異世界転生(仮)

綺璃鵺 緋鷹

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第一章 未知

目覚め

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頬に心地よい風邪が当たり、目を開けて。
何も見なかったことにして狸寝入りすることにした。
おかしい。
絶対におかしい。
私がいたのは日本の都会であったはずで、私はそこから少し離れた自宅に向かっていたはずで。
絶対にこんなのどかな草原が近くにあるはずがない。
あってせいぜい田んぼと畑が関の山。
なんだこれは。
もう一度目を開ける。
景色は変わっていない。
青い空、白い雲。
柔らかい草地。
「って、どこだ!ここは!」
私は思わず飛び起きる。
周りを見渡しても人の気配はなく、ただ気持ちの良い草原が広がっている。
自分の服装を見下ろす。
今日、職場に着て行った服装そのままだった。
それなら、私の記憶は間違いではないことになる。

私は確かに今日、日本の、そこそこ都会のいつもの職場に向かい、いつものように仕事をし、そして。
そして???
「ん?んん?」
その後のことが思い出せない。
いや、落ち着け。
とりあえず、いつものように仕事を終えて職場から出たのは間違いない。
問題はその後。
私は、家に向かっていたはずで。
その後。
その後何があった?
家には着いてないのは確かだ。
今の服装は職場に着て行ったときのもので、靴も履いたまま。
ということは、家に帰るまでの間に何かがあった?
そこまで頭の中を整理したとき、頭の中を濁流のように記憶が蘇ってきた。
思わず顔を顰める。
軽く目眩がする。
でも、何が起きたのかは思い出せた。
私はいつものように会社を出たあと、事故に遭い、死んだ。
いや、正確には死んだはずだ。
今私の身に起きていることが夢でないなら、私は死後、何がどうしてかわからないがここに来たことになる。
というか、思い出した記憶によれば、これは夢か死後の世界かのどちらかだ。
記憶が正しいならば、私の現実の肉体は無事であるはずがないのだから。
私の詳細な死因は、今は思い返すのはやめておこう。
もっと落ち着ける安全な場所でやるべきだ。
そのために今は、何よりも優先してやらなければならないことがある。
今夜の宿探しだ。
「あと、お腹も空いたし。って、その前にここってお金どういう感じなんだろ?日本円使えるかな」
と言いつつ、財布の中身を確認しようとして、確認する前に一人微笑む。
(紙幣数枚、小銭がいくらか。あとはカード類って、カード使えるわけあるかい!)
という諦観の微笑みだ。
手持ちの現金では、元の世界でだってまともな宿には泊まれないだろう。
私は鞄から出した財布の中身を確認することなく鞄に戻すと、草地に寝転がった。
もう自分ではどうしようもない。
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