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REFRAIN
REFRAIN1
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あの日から乙は、憂鬱な時を過ごしていた。
何をしていてもボーッと空を見上げ、その身に新鮮に入ってくる事もない。
きっと雨の続く梅雨のせいだろうか…。
学院でも何度か瀾を見掛ける事があった。
学院で過ごす瀾の姿は、輝李といる時もクラスメイトといる時も、その顔は穏やかで、乙と居た時の不安な欠片が見える事はない。
手が届きそうで届かない絶対的な…
近くて遠い碧落のようだった。
何も出来ない自分…
瀾の今の笑顔を与える事も、守る事も何一つ出来なかった。
乙が瀾に与えたのはただ一つ。
恋する期待と不安…
そして、捨てられる絶望だ。
《「何なら僕から野中 瀾を奪い返してみれば?
…僕に勝てるなら、だけど?」》
輝李の最後の言葉が繰り返される。
自分には出来なかったものを輝李は瀾に与えたのだろう。
瀾の表情を見れば、その事実は明白だった。
乙の瞳は哀愁という影を写し、そのもどかしさをユラユラと揺らしていた。
瀾を見るたびに、乙の胸には感じた事のない表現の難しい想いが困惑と混乱すら罪の意識となって蝕んでいく。
──蒼白の乙の顔を見たあの日から、乙の様子は一変した。
神流が何を話し掛けても乙は、何か思い詰めた表情を浮かべたまま一言二言答えるだけ。
そんなある日、移動教室の最中だっただろうか。
相変わらず懸命に話し掛ける神流だったが、乙が不意に足を止めた事に気が付いた。
「乙?どうし…」
そこまで神流が口にすると、乙がジッと見つめる先にこの間、輝李と共にいた少女がいた。
少女は、沢山の書物を両手で抱え、閉まったドアと問答しているようだった。
「……」
小さなため息が神流の耳を通る。
見ると乙は物悲しい眼差しを向け、辛そうに目を伏せると少女の元へ歩きだし、無言のまま流れるようにドアを開けて通りすがったのだ。
「乙…」
神流は、ふと以前、乙が言った言葉を思い出した。
《「帰る必要がなくなった…」》
痛々しい程の少女に向ける乙の眼差し…。
それは、ただの後輩に向けるものではなかった。
そして、輝李が編入してまだ僅かな月日に寮で見かけた輝李に食って掛かったていた乙。
「…まさか…!!」
神流は口元に手を添えて思考を巡らさずにはいられなかった。
何をしていてもボーッと空を見上げ、その身に新鮮に入ってくる事もない。
きっと雨の続く梅雨のせいだろうか…。
学院でも何度か瀾を見掛ける事があった。
学院で過ごす瀾の姿は、輝李といる時もクラスメイトといる時も、その顔は穏やかで、乙と居た時の不安な欠片が見える事はない。
手が届きそうで届かない絶対的な…
近くて遠い碧落のようだった。
何も出来ない自分…
瀾の今の笑顔を与える事も、守る事も何一つ出来なかった。
乙が瀾に与えたのはただ一つ。
恋する期待と不安…
そして、捨てられる絶望だ。
《「何なら僕から野中 瀾を奪い返してみれば?
…僕に勝てるなら、だけど?」》
輝李の最後の言葉が繰り返される。
自分には出来なかったものを輝李は瀾に与えたのだろう。
瀾の表情を見れば、その事実は明白だった。
乙の瞳は哀愁という影を写し、そのもどかしさをユラユラと揺らしていた。
瀾を見るたびに、乙の胸には感じた事のない表現の難しい想いが困惑と混乱すら罪の意識となって蝕んでいく。
──蒼白の乙の顔を見たあの日から、乙の様子は一変した。
神流が何を話し掛けても乙は、何か思い詰めた表情を浮かべたまま一言二言答えるだけ。
そんなある日、移動教室の最中だっただろうか。
相変わらず懸命に話し掛ける神流だったが、乙が不意に足を止めた事に気が付いた。
「乙?どうし…」
そこまで神流が口にすると、乙がジッと見つめる先にこの間、輝李と共にいた少女がいた。
少女は、沢山の書物を両手で抱え、閉まったドアと問答しているようだった。
「……」
小さなため息が神流の耳を通る。
見ると乙は物悲しい眼差しを向け、辛そうに目を伏せると少女の元へ歩きだし、無言のまま流れるようにドアを開けて通りすがったのだ。
「乙…」
神流は、ふと以前、乙が言った言葉を思い出した。
《「帰る必要がなくなった…」》
痛々しい程の少女に向ける乙の眼差し…。
それは、ただの後輩に向けるものではなかった。
そして、輝李が編入してまだ僅かな月日に寮で見かけた輝李に食って掛かったていた乙。
「…まさか…!!」
神流は口元に手を添えて思考を巡らさずにはいられなかった。
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