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砂時計
砂時計2
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月日がしばらく経った、ある日。
屋敷内は、バタバタと慌ただしかった。
まだ月明かりが射すほどの時刻。
メイドや使用人達が走り回る中、見知らぬ人々も屋敷を歩いている。
輝李はトイレから戻り、乙の部屋に入ると起きていた乙に話し掛けた。
「ねぇ、乙
部屋の外が騒がしいけど、何かあったのかな?」
「臨月だろうな」
「臨月?」
「もうすぐ生まれるんだよ、俺達の兄弟がな」
「本当!!」
輝李の瞳が急に輝きだし、ベッド上で身を乗り出すように乙に近づいた。
「…ああ。だからしばらく俺達は、部屋で大人しくしているしかないな
さっき今井がサンドイッチを持ってきたから、小腹が空いたら食べるといいってさ」
「うん…。ね!!男の子かな?それとも女の子かな?」
「弟…らしいぜ」
微笑んだ乙の表情は、一瞬どこか寂しげに見えた。
「…乙?」
「ん?どうした?」
気が付くといつもの笑顔に戻っている。
「ううん…なんでもない」
「輝李」
「何?」
「ありがとうな…」
乙は、輝李の頭を撫でた。
輝李には乙の《ありがとう》の意味が少し解らなかった。
病弱だった母の体力も限界に近かったのだろう。
出産は難産となった。
しかし母体から出てきたのは、元気な男の子だった。
母の身体も何とか保ったらしく、母子共に健在となった。
新しく月影家の家族として生まれた男児は《聖慈》と名付けられ、皆からの祝福を受けた。
聖慈は、すくすくと育ち人間の顔が整い始めた頃。
輝李と乙は、母に呼ばれ部屋に向かった時だった。
赤ん坊の聖慈を抱き、揺りかごのように揺れている母が口を開いた。
「もう、二人供お姉さんね。
乙、輝李、大きくなったら一緒に遊んであげてね」
「うん、勿論だよ!!母様♪ね?乙」
「ああ」
満遍の笑顔で答える2人に、母は優しい笑顔を返した。
屋敷内は、バタバタと慌ただしかった。
まだ月明かりが射すほどの時刻。
メイドや使用人達が走り回る中、見知らぬ人々も屋敷を歩いている。
輝李はトイレから戻り、乙の部屋に入ると起きていた乙に話し掛けた。
「ねぇ、乙
部屋の外が騒がしいけど、何かあったのかな?」
「臨月だろうな」
「臨月?」
「もうすぐ生まれるんだよ、俺達の兄弟がな」
「本当!!」
輝李の瞳が急に輝きだし、ベッド上で身を乗り出すように乙に近づいた。
「…ああ。だからしばらく俺達は、部屋で大人しくしているしかないな
さっき今井がサンドイッチを持ってきたから、小腹が空いたら食べるといいってさ」
「うん…。ね!!男の子かな?それとも女の子かな?」
「弟…らしいぜ」
微笑んだ乙の表情は、一瞬どこか寂しげに見えた。
「…乙?」
「ん?どうした?」
気が付くといつもの笑顔に戻っている。
「ううん…なんでもない」
「輝李」
「何?」
「ありがとうな…」
乙は、輝李の頭を撫でた。
輝李には乙の《ありがとう》の意味が少し解らなかった。
病弱だった母の体力も限界に近かったのだろう。
出産は難産となった。
しかし母体から出てきたのは、元気な男の子だった。
母の身体も何とか保ったらしく、母子共に健在となった。
新しく月影家の家族として生まれた男児は《聖慈》と名付けられ、皆からの祝福を受けた。
聖慈は、すくすくと育ち人間の顔が整い始めた頃。
輝李と乙は、母に呼ばれ部屋に向かった時だった。
赤ん坊の聖慈を抱き、揺りかごのように揺れている母が口を開いた。
「もう、二人供お姉さんね。
乙、輝李、大きくなったら一緒に遊んであげてね」
「うん、勿論だよ!!母様♪ね?乙」
「ああ」
満遍の笑顔で答える2人に、母は優しい笑顔を返した。
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