リインカーネーション

たかひらひでひこ

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 二学期の中間試験も終わり、秋雨前線と台風が、連チャンで立て続けに降臨し、ジメジメとした日々を、オレは憂鬱に過ごしていた。
 十月には学校では学園祭なるものが行事として行われたが、体育会系の部活では、大して披露するものもなく、店も出ず、クラスで早急に作り上げた小学生の夏休みの研究みたいなものが展示され、お茶を濁した。
 だいたい、ウチの高校は、受験に関係のない行事に関しては極めて冷淡なのだ。だったら、こんなスケジュールやめればいいのにと思うのだが、高校生活の想い出作りとやらで、そうもいかないらしい。生徒の間でもおおむね不評だった。
 あれから、新美克哉とは、急速に仲良くなっていった。クラスは隣だし、部活は空手で同じ、最寄り駅までの帰りも同じで、顔を会わせる機会も増えた。つい、ネルソンと呼んでしまう。
 彼は、前世では、ドレッドノートの操縦手だった。彼とはバッキーと同様、同じ街の出身で、一緒に志願した仲間でもあった。
 空手部でも、新美と絡むことが多くなった。学園祭のあいだ、オレはすることもなく、校内を回ることもなく、部室で新美とボケっと話をして過ごした。
 新美は、オレが武道の素人ではないことを見抜いていた。
「お前、何か別の格闘技やってるだろう」
「なんでそう思う?」
「動きだな。よく見ると他の連中とは動きが違う。だが、空手の形とも違う。だから、そう推理したわけだ」
「まあな、実は、空手は腰かけ程度だ。高校じゃ勉強が忙しくて、拳法の道場に通えなくなったからなあ。その代わりだ」
「少林寺か」
 オレは頷いた。
「何年やってる?」
「十二年てとこか」
「スゲエなあ、師範代クラスじゃないのか?」
「いや、そんなことはない」
 オレは、いつもの説明を繰り返した。
「二段でも、実質は五段程度のレベルか。オレより遥かに上だな」
「新美の空手歴は何年なの」
「六年ほどだよ。今二段だ」
 オレたちは、練習の合間に話し合った。新美には空手の形を教えてもらった。お返しに拳法の技も少し教えた。
 「松澤、お前、空手も初段は取っとけよ。黒帯なら試合にも出られる。お前が出てくれれば、ウチの部も県大会に行けるかも知れんぞ」
 「悪いが、その気はないんだ。オレの流派は他流試合禁止でなあ。試合をやれば、空手じゃなくて、拳法の技を使っちまうだろう。ばれたら後が怖い。オレの師匠、めっちゃ怖いんだ」
「お前にも、怖いものがあるんだな」
「世間は広いよ。強いひとは幾らでもいる。謙虚にならないといかんよ」
オレは、新美こそ本気になればいいと思った。新美の空手の実力は、一年では一番だ。二年と合わせてみても、ウチの部では三本の指に入る。来年の部長候補だ。
 オレは、なるべく大人しく、練習では、習った空手の技だけを使うことを心がけた。新美もオレのことは、他の部員に黙っていてくれたので、大半の部員にはヘタレ部員認定されたままだった。
 学園祭も終わったある日、教師の研修事業ということで、オレたちは、午前中で授業が終了し、午後からは早々に帰宅することになった。オレは、夏実と一緒に下校したが、途中で新美を見つけた。夏実に新美を誘って、例のマギーに行くことを提案した。
 「いいね、たまには新美君とも話したいし」
オレは、先を行く新美を呼んだ。
「よお、新美ちょっと付き合わないか?」
新美は、オレと夏実の顔を交互に見た。
「いや、遠慮しとく。おまいらのジャマするほど野暮じゃねえよ」
「言われなくても、イチャイチャしてる。それより、夏実もいるから、例の話をしたいと思ってな。今日はいい機会だろう」
 オレたちはできるだけ、人前では過去世の話はしないようにしていた。新美とも、自衛軍の総合火力演習以来、そのことについて話したことはなかった。
 新美は、オレたちの提案に納得すると、オレたちの行きつけの店に行った。
「マギー?これ、武田の名前じゃないか!」
新美は店の名前を見て、頓狂な声を上げた。
「そう、偶然なんだけどね、一発で気に入ったの」
「実は、オレも最初に夏実とここに来たときは、気づかなかったんだ。後で知ってビックリだよ」
「うん、いいな。場所も表通りから入ったところで、落ち着いた雰囲気だ。ここって、隠れ家的なお店だな」
 オレと夏実は、いつものメニューを、新美はカフェオレを注文した。品が来ると、三人で再会を祝して、乾杯した。
 「しかし、今考えると偶然にしてはできすぎと思わないか」
オレは、二人に言った。
「マギーとの再会もそうだが、ドレッドノートの乗員の三人が集まったんだぜ。オレが見るとこ、ウチの小隊の他の車両に乗ってた奴もいるみたいだ」
「一組の豊田と大井、四組の丹波と浅野、六組の芝原・・・」
「新美も、ちゃんと分ってるな」
「ああ、オレも何人かは話しかけてみた。だが、オレたちみたいに明確に自覚してる奴はあまりいないな」
 「そのひとたちって、みんなあたしに告ってきたよ」
「ひへっ!?」
「ネルソン・・・まさか、お前まで・・・」
「いや、オレはそんなことはしてないぞ!前世でオレは、お前と同じ街の出身でもあったから、マギーとも面識あったんだ。武田がマギーなのも、最初から気づいてた!お前たちの仲も覚えてたから、手出しなんかしねえよ。彼女に訊いてみれば分かる!」
 新美はなぜか慌てていた。おおかた、夏実に告ろうとして、気づいて止めた、というところだろう。夏実に訊くと、新美君は告ってこなかった、というから、気づいていたのは確かだろうが、最初から、というのは怪しい。オレは、片肘ついて、ニヤニヤしながら新美の奴を眺めた。
 新美は、コホンと咳払いをすると、話題を変えた。
「だが、ドレッドノートの乗員は、まだ二名他にいる。そいつらが、現れるかどうかだな」
「そうだが、オレが言いたいのは、なぜ示し合わせたかのように、みんなが集まって来たのか、ということだ。オレはそこに何らかの『意図』を感じる」
 新美はカフェオレを口にした。
「これ、うめえなあ、こんなの久し振りだ」
「過去世以来てこと?」
「昔、街のダイナーでよく飲んだ。懐かしいなあ。腹減ったな、サンドウィッチ頼んでいいか?」
「好きにしろよ」
 新美は手を挙げて、追加でオーダーした。そういや、ネルソンは昔からサンドウィッチが好きな奴だったなあ、と何気なくオレは考えていた。
 「それで、何で集まったか、て話だったな、オレもそれは疑問に思って考えてみた」
「でお前の結論は?」
「何らかの目的があるんじゃないか?」
「例えば?」
「元軍人を集める」
「何のために?戦争?今の日本では可能性は低いだろう。だいいち誰が集めたんだ?神様みたいな現世を超越した存在か?」
「いや、よく分からんが、そういった意思によってではなく、自主的にこの世に出てきてるんじゃないかな」
 オレは、新美の意見を考えてみたが、未だ情報が少なすぎて結論は出なかった。
「まだ、仲間は集まる気がする。もう一、二年様子を見ることだろう。来年になれば、新入生も入ってくる。そん中に残りの二人がいるかも知れない」
 オレは横目で夏実を見た。なぜだか、夏実は浮かない顔をしていた。
「お前、久住に勉強教えるとか言ってたが、マジで教えてるのか」
「教えてるよ、向こうが遠慮して、メールやラインでの質問が多いけどね。あの子なかなか優秀だよ。真面目にやってれば、来年はウチに来るんじゃないかな」
 結局その日は三時間も、マギーで粘ったが、『意図』というのが分からないままだった。
「まあ、これ以上情報がないのに、考えても意味がないな。結局憶測にもならない」
 その日は、それで解散することとなった。
「ねえ、遼介わたしなんか嫌な予感がするの」
夏実が深刻な顔をしていた。
「みんなに逢えるのは嬉しいけど、それと同時に何かいけないことのような気もする」
「なに?なんか気になることあるの?」
「・・・・・」
オレはその時、夏実の言っていることが分からなかった。もっと、ずっと後になって思い当たることになるのだが。
 「なあ、俺も夏実の予備校に移ろうかな、どうも今のとこは不満があるんだ」
オレは、夏実となるべく一緒にいたかった。彼女はオレの意図を察して笑顔になると、ケータイを取り出し、オレが見学に行けるように予備校に段取りをしてくれた。
 見学の日オレは部活のため、予備校に行くのが予定より遅くなってしまった。新部長は、来年を見据え、みっちり部員に稽古させる方針だ。だが今日は、新美の姿がなかった。
 予備校の最寄りの駅で降りたところで、トラブルに巻き込まれた。バイクに乗った高校生くらいの一団が、大きな音でエンジンを吹かしていた。ツーストロークエンジンのかん高い音が耳に響く。
 オレがそいつらを無遠慮に見ていると、その中のひとりがオレにアヤ付けてきた。
「あんだ、てめえ!何ジロジロ眺めてやがんだ、コラア!」
 声を押し殺してはいるが、明らかに女だった。いわゆるレディースという連中だろう。今でも絶滅せずにいるんだ。変なところに感心したが、近所迷惑なのは違いない。オレは、思うところを率直に述べてやった。
 「いや、格好つけるのは、あんたらの勝手だが、その騒音は近所迷惑じゃないかな」
オレは、できるだけ穏やかに話をしたつもりだった。だが、そいつはいつものテンプレどおりの口上を述べた。
「あんたらのレゾンデートルってもんがあるのは分かるが、日本はムラ社会だろ。まわりの方々にご迷惑をおかけするのは、よろしくないんじゃないか?」
 その時、そのレディースのトップらしい女が出て来た。なかなかの美人だった。
「ツラ、貸しな・・・」
「いいが、今は先約があるんだ。あと二時間後でどうだ?」
「あんだとお!ヘッドが直々にお話しされてるのに、その態度は舐めてんのか!」
忠実な部下たちが、騒ぎ出す。
「お前が用があるのは、このビルか?」
ヘッドが、予備校のビルを顎でしゃくりあげた。
「ああ、約束より遅れてるんだ、あんたらも信頼関係、という意味は分かるだろう。それを破るわけにはいかない。だから、こっちを優先させてくれ。そのあとで、あんたの用事とやらに付き合う」
ヘッドは、考えていた。
「いいだろう、待っててやるよ。逃げんなよ二枚目」 
 オレは溜息を付きながら、城南予備校の講義を見学することになった。驚いたことに、新美もすでにその予備校を受講していた。道理で部活で姿を見なかったわけだ。もっとも夏実とは、レベルの違うコースだったが。
 「なんだよ、お前らオレの知らないところで示し合わせてたのかよ」
オレは講義終了後、ふたりに文句を言った。
「僕もいますよ、小隊長」
久住の野郎だった。中学生のコースに参加していたらしい。四人で顔合わせ、メシでも食って帰ろうか、という話になった。
 予備校のビルを出たところで、さっきのレディースが、他のチームに絡まれている様子だった。オレを待ってたレディースチームは、ここが本来のシマではなかったようだ。二時間も留まったせいで、地元のヤンキーグループに取っ掴まったようだった。
 小競り合い程度ではあったが、そのままでは本格的な抗争になりそうな雰囲気だった。 レディースの娘たちも、気迫では負けてなかったが、多勢に無勢で圧倒的に不利な状況だ。男たちとは体格差もあった。
 もともとの原因はオレなので、地元のヤンキーのヘッドに話を付けようとした。
「うるせいぞコラア!トーシローは、すっこんでろ!」
ヤンキーどもの、怒りがこっちに向いて来た。オレも、話を聞いていてムカついてきた。
 「理由はともかく、野郎が多勢でレディにケンカ売るのは、公平じゃねえだろ!オレはなあ何が嫌いって、弱い者いじめする奴がでえ嫌えなんだよ!」
「うるせえボケが!痛い目に遭いたいのかコラア!」
相手のヤンキーが、問答無用で殴りかかってきた。こうなりゃ遠慮は要らねえ。
 久しぶりに本気を出したオレは、ヤンキーどもの幹部を容赦なくボコボコにしてやった。いかな強面のヤンキーの兄さんと言えど、所詮武道は素人だ。オレの技のキレに付いてこれるわけがなかった。片はあっという間についた。新美は手出しこそしなかったが、オレの背後をキッチリ守ってくれていた。
 「覚えてやがれ」
ヤンキーどもは、ヘタった幹部を連れて逃げ去って行った。負けた奴が吐くテンプレどおりのセリフだった。そのとおり覚えてたためしはないが。レディースの娘たちは、オレの拳法の腕に唖然としていた。
 「すまなかった。いつか借りは返す」
レディースのヘッドが、直々にお礼を言ってくれた。
「気にするな、単なるヘタレ高校生が勝手にやったことだ。忘れてくれ。それより、さっきの話の続きをやるか?大丈夫、ヤンキーと言えど、オレは女の子に手は出さないよ」
「いや、今夜は世話になった、話はチャラだ」
配下のレディースの面々も頭を下げてくれた。
 オレは、笑顔を見せて手を振ると、仲間と共にメシのため、近くのファミレスに入ることとした。
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