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化け猫の憂鬱
ひまわり
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「明日、いいものあげるからこっそり部屋に来て。」
カンナからメールが来たのは昨夜のことだ。
あたしが「ふるだぬき」から自宅に帰ったぐらいのことだ。
あんな夢を見たので心配していた。
でもとりあえずは何事もなさそうだ。
翌朝、あたしは出勤してすぐにカンナの病室に行った。
こっそりも何も、あたしは看護師なのでどうどうと病室には入れる。
朝になって…カンナからのメールに病室を部屋と書いてあったのを思い出してしまった。
辛いのだろう。
よく考えてみれば…カンナがいるのは病室なのだ。
部屋ではない。
病室なんて不便なものだ。
好きな漫画も…好きなドラマも…好きな映画も…何もかも…好きなことはできない。
それに病室にいるということは病気の象徴なのだ。
ましてカンナの病気は治らない。
毎日毎日、悪くなる一方なのだ。
待っているのは死だ。
「おはよう。調子はどう?」
「おはよう。調子は…あんまり…かな…。」
「足、さするね。」
あたしは布団をめくってカンナの足を見た。
びっくりするぐらいに白くて細かった。
もともと色白な彼女は病気のために白いのを通り越して青白くなっているようだった。
その足は、ウドの枝のようだった。
「アヤコちゃん。あまり絵文字使わないんだね。」
話すのもつらいはずなのにカンナはあたしが来るとよく話す。
「なんかメール自体打つのが苦手なの。でもカンナちゃんからのメールは大歓迎よ。」
あたしは精一杯の笑顔をカンナに向けて言った。
この言葉に偽りはない。
いつしかあたしにとってカンナはかけがえのない存在になっていた。
なぜだろう。
今度…アキさんに聞いてみよう。
「絵文字使った方がかわいくない?」
「そうだね。カンナちゃんからのメール見てそう思った。」
「でしょでしょ。」
カンナは嬉しそうに言った。
元気だったらはしゃぎたいところだろう。
「これあげる。」
カンナが手渡してきたものはひまわりの種だった。
「ありがとう。」
あたしはひまわりが好きだ。
夏の太陽に負けずに、しっかりと大地に根付き、誇らしげに咲いているひまわりを見ると元気がでてくる。
カンナとあたしはなんとなく以心伝心のところがあるのかもしれないなあ。
「他の看護婦さんにとってきてもらったんだ。あたしもひまわりみたいに元気になりたいから。ほら。」
カンナがあたしに見るように促した病室の花瓶の横にはひまわりの種が一杯入っている瓶があった。
「これ全部アヤコちゃんにあげるから、どこかに植えてあげて。」
「いいの?」
「うん。来年の夏に花が咲いたら嬉しいから。」
「分かった…。ありがとう。」
来年の夏に、暑さに負けず太陽の方をしっかり向きながら、強く咲いたひまわりを一緒にみよう…とは言えなかった。
寂しくて悲しい思考があたしに入ってくる…。
少しだけこの間と違うのは…
強い意志のようなものがわずかに感じられる。
ああ…。
やりきれない。
カンナは来年自分がいなくなることを知っている…。
強い意志は覚悟の表れだ…。
あたしはつらく重い気持ちをおくびにも出さずに笑顔で瓶をポケットにしまって病室をでた。
カンナからメールが来たのは昨夜のことだ。
あたしが「ふるだぬき」から自宅に帰ったぐらいのことだ。
あんな夢を見たので心配していた。
でもとりあえずは何事もなさそうだ。
翌朝、あたしは出勤してすぐにカンナの病室に行った。
こっそりも何も、あたしは看護師なのでどうどうと病室には入れる。
朝になって…カンナからのメールに病室を部屋と書いてあったのを思い出してしまった。
辛いのだろう。
よく考えてみれば…カンナがいるのは病室なのだ。
部屋ではない。
病室なんて不便なものだ。
好きな漫画も…好きなドラマも…好きな映画も…何もかも…好きなことはできない。
それに病室にいるということは病気の象徴なのだ。
ましてカンナの病気は治らない。
毎日毎日、悪くなる一方なのだ。
待っているのは死だ。
「おはよう。調子はどう?」
「おはよう。調子は…あんまり…かな…。」
「足、さするね。」
あたしは布団をめくってカンナの足を見た。
びっくりするぐらいに白くて細かった。
もともと色白な彼女は病気のために白いのを通り越して青白くなっているようだった。
その足は、ウドの枝のようだった。
「アヤコちゃん。あまり絵文字使わないんだね。」
話すのもつらいはずなのにカンナはあたしが来るとよく話す。
「なんかメール自体打つのが苦手なの。でもカンナちゃんからのメールは大歓迎よ。」
あたしは精一杯の笑顔をカンナに向けて言った。
この言葉に偽りはない。
いつしかあたしにとってカンナはかけがえのない存在になっていた。
なぜだろう。
今度…アキさんに聞いてみよう。
「絵文字使った方がかわいくない?」
「そうだね。カンナちゃんからのメール見てそう思った。」
「でしょでしょ。」
カンナは嬉しそうに言った。
元気だったらはしゃぎたいところだろう。
「これあげる。」
カンナが手渡してきたものはひまわりの種だった。
「ありがとう。」
あたしはひまわりが好きだ。
夏の太陽に負けずに、しっかりと大地に根付き、誇らしげに咲いているひまわりを見ると元気がでてくる。
カンナとあたしはなんとなく以心伝心のところがあるのかもしれないなあ。
「他の看護婦さんにとってきてもらったんだ。あたしもひまわりみたいに元気になりたいから。ほら。」
カンナがあたしに見るように促した病室の花瓶の横にはひまわりの種が一杯入っている瓶があった。
「これ全部アヤコちゃんにあげるから、どこかに植えてあげて。」
「いいの?」
「うん。来年の夏に花が咲いたら嬉しいから。」
「分かった…。ありがとう。」
来年の夏に、暑さに負けず太陽の方をしっかり向きながら、強く咲いたひまわりを一緒にみよう…とは言えなかった。
寂しくて悲しい思考があたしに入ってくる…。
少しだけこの間と違うのは…
強い意志のようなものがわずかに感じられる。
ああ…。
やりきれない。
カンナは来年自分がいなくなることを知っている…。
強い意志は覚悟の表れだ…。
あたしはつらく重い気持ちをおくびにも出さずに笑顔で瓶をポケットにしまって病室をでた。
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