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化け猫の憂鬱
別れ
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「至急連絡求ム。」
目が覚めたあたしは携帯を画面を見て肝を冷やした。
大分前に来たメールだ。
嫌な予感がする…。
気が付けば、「ふるだぬき」の2階だった。
悲しい気持ちに呑まれてしまったあたしを、アキさんが気を利かして、泊めてくれたのだろう。
お礼はまた今度言っておこう。
今はそれどころではない。
あたしはネコに姿を変えた。
急いでいるときは、こちらの方が早いのだ。
あたしは必死になって病院に向かった。
どうやって病院に走ったかは覚えていない。
ただはっきりしていること。
それは…。
「カンナ…。」
あたしは病室の前で力なくつぶやいた。
病室はすでに空だった。
頭の中が真っ白になって何もかも分からなくなった。
ただはっきり分かったこと。
それは…。
それは…カンナがいなくなったこと。
カンナとは…もう二度と会えないということ。
「あ…ああ…。」
言葉が出てこない。
いや…とくに言葉を発する場所でもないことはよく分かる。
勤務時間ではない時間に、突然病棟に現れたあたしを周りのスタッフたちは驚いて見ている。
寂しさと悲しさと虚無感に襲われる。
あたし自身が死ぬわけではないのに、こちらの命まで削られるようだ。
放心状態のあたしの肩にそっと手を置く誰かがいた。
あたしが振り返るとそこにはウミハラ先生がいた。
カンナの主治医で、病院ではキリコとあだ名されている女先生だ。
キリコとは、漫画に出てくる悪い医師のことらしい。あたしは詳しいことは知らない。
でも先生がとても優しい人であることは知っている。
彼女の思考は包み込むような優しさ。
あたしの中で何かの箍が外れた。
涙がぽろぽろと流れた。
悲しい。
とにかく悲しい。
涙が止まらない。
ウミハラ先生は別室にあたしを連れて行ってくれた。
暖かくて甘い飲み物も持ってきてくれた。
「メールしたのはあたし。三池さん、よくやってたから…。できれば最後に間にあえばと思ってね。」
ここで人が亡くなるのは普通のことだから、いくら担当の看護師でも患者に何かあったからと言って帰宅してから連絡は来ることはない。
あたしはメールにビックリして急いで病院に来たが冷静さを欠いていたのかそんなことまで忘れていた。
先生はあたしを一人にしてくれた。
いったいどのくらい泣いただろうか…。
だんだん落ち着いてきた。
でも悲しい気持ちはなくならなかった。
「落ち着いた?」
しばらくしてウミハラ先生が部屋に入ってきた。
「す…すみません…。」
鼻声であたしは言った。
きっとひどい顔なのだろう。
医療従事者は泣いてはいけないと言われる。
感情を制御しないといけない。
少なくともあたしはそういう風に学んだ。
きっとあたしは困った顔をしていたのだろう。
気持ちを察してくれたのか…先生は言った。
「いいのよ。あなたが自然なの。死は永遠の別れだから…寂しいと…悲しいと感じて当たり前なのよ。むしろあたしたちはそれに慣れすぎているのかもしれないね。」
「え…でも…。」
「悲しいのをこらえたり慣れたりすることだけが医療従事者としての心構えではない…とあたしは思う。」
「…。」
「この病棟にはもう死を待つ人しかいないの。私たちは患者さんの人生の最終部分に寄り添うんだから寂しくて当たり前よ。」
「そう…ですけど…。」
「悲しいと思ったら泣けばいいの。もちろんみんなの前ではまずいけど…。あたしもこれから呑みに行って思い切り泣いてくるんだから。」
そういうとウミハラ先生の目から涙がぼろぼろぼろ…と流れ落ちた。
それを見たあたしはまた涙が止まらなくなった。
目が覚めたあたしは携帯を画面を見て肝を冷やした。
大分前に来たメールだ。
嫌な予感がする…。
気が付けば、「ふるだぬき」の2階だった。
悲しい気持ちに呑まれてしまったあたしを、アキさんが気を利かして、泊めてくれたのだろう。
お礼はまた今度言っておこう。
今はそれどころではない。
あたしはネコに姿を変えた。
急いでいるときは、こちらの方が早いのだ。
あたしは必死になって病院に向かった。
どうやって病院に走ったかは覚えていない。
ただはっきりしていること。
それは…。
「カンナ…。」
あたしは病室の前で力なくつぶやいた。
病室はすでに空だった。
頭の中が真っ白になって何もかも分からなくなった。
ただはっきり分かったこと。
それは…。
それは…カンナがいなくなったこと。
カンナとは…もう二度と会えないということ。
「あ…ああ…。」
言葉が出てこない。
いや…とくに言葉を発する場所でもないことはよく分かる。
勤務時間ではない時間に、突然病棟に現れたあたしを周りのスタッフたちは驚いて見ている。
寂しさと悲しさと虚無感に襲われる。
あたし自身が死ぬわけではないのに、こちらの命まで削られるようだ。
放心状態のあたしの肩にそっと手を置く誰かがいた。
あたしが振り返るとそこにはウミハラ先生がいた。
カンナの主治医で、病院ではキリコとあだ名されている女先生だ。
キリコとは、漫画に出てくる悪い医師のことらしい。あたしは詳しいことは知らない。
でも先生がとても優しい人であることは知っている。
彼女の思考は包み込むような優しさ。
あたしの中で何かの箍が外れた。
涙がぽろぽろと流れた。
悲しい。
とにかく悲しい。
涙が止まらない。
ウミハラ先生は別室にあたしを連れて行ってくれた。
暖かくて甘い飲み物も持ってきてくれた。
「メールしたのはあたし。三池さん、よくやってたから…。できれば最後に間にあえばと思ってね。」
ここで人が亡くなるのは普通のことだから、いくら担当の看護師でも患者に何かあったからと言って帰宅してから連絡は来ることはない。
あたしはメールにビックリして急いで病院に来たが冷静さを欠いていたのかそんなことまで忘れていた。
先生はあたしを一人にしてくれた。
いったいどのくらい泣いただろうか…。
だんだん落ち着いてきた。
でも悲しい気持ちはなくならなかった。
「落ち着いた?」
しばらくしてウミハラ先生が部屋に入ってきた。
「す…すみません…。」
鼻声であたしは言った。
きっとひどい顔なのだろう。
医療従事者は泣いてはいけないと言われる。
感情を制御しないといけない。
少なくともあたしはそういう風に学んだ。
きっとあたしは困った顔をしていたのだろう。
気持ちを察してくれたのか…先生は言った。
「いいのよ。あなたが自然なの。死は永遠の別れだから…寂しいと…悲しいと感じて当たり前なのよ。むしろあたしたちはそれに慣れすぎているのかもしれないね。」
「え…でも…。」
「悲しいのをこらえたり慣れたりすることだけが医療従事者としての心構えではない…とあたしは思う。」
「…。」
「この病棟にはもう死を待つ人しかいないの。私たちは患者さんの人生の最終部分に寄り添うんだから寂しくて当たり前よ。」
「そう…ですけど…。」
「悲しいと思ったら泣けばいいの。もちろんみんなの前ではまずいけど…。あたしもこれから呑みに行って思い切り泣いてくるんだから。」
そういうとウミハラ先生の目から涙がぼろぼろぼろ…と流れ落ちた。
それを見たあたしはまた涙が止まらなくなった。
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