化け猫の憂鬱

阪上克利

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化け猫の憂鬱

ネコと魔女の関係

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アヤコちゃん。
今まで本当にありがとう。
アヤコちゃんが足をさすってくれるおかげであたしはとても楽になるんだよ。
そうそう。
もしかしたらこのメールが届くころには、あたしはいないかもしれないけど、悲しまないでね。

ひまわりを見たら、あたしを思い出してくれると嬉しいな。
それと、後ね…。
あたし、知ってたんだ…。
アヤコちゃんはネコだったんだね。
周りの人には分からなかったみたいだけど、あたしは分かったんだ。
魔女の宅急便のキキみたいに、あたしは魔女なのかもね。

アヤコちゃん、知ってる?

魔女の飼っているネコは魔女の女の子に大切な男の人ができるまで人生を共にするんだよ。
大切な人ができるまで、ネコは魔女の大切なパートナーなの。
でも大切な人ができたら普通のネコに戻っちゃうんだ。

あ…そうか…ごめんね。
あたし死んじゃうからアヤコちゃん、結婚できないかもよ。
でも大丈夫かな。魔女だったらあたし死なないもんね。

あたしにとってアヤコちゃんはお父さんとお母さんの次に大切よ。
そしてその次はウミハラ先生かな。
本当にありがとうね。
…できたらまた会えるといいな。



死んだはずのカンナからメールがきたのは1か月後の話だった。

あたしは心臓が止まるかと思うほどびっくりした。
…よくよく考えてみたら彼女は死ぬ前にメールの送信予約をしていたに違いない。
いたずらっぽい笑顔で笑っているカンナの顔が目に浮かぶ。

あたしはあれからウミハラ先生と一緒に、病室から見える花壇にひまわりを植えた。
そのひまわりは今、8月の暑さに負けずに、しっかりと太陽に向かってまっすぐ強く咲き誇っている。
まるで、カンナの分まで強く生きることを決意しているかのように…。

あのひまわりはカンナの生きた証。
あたしはひまわりが枯れたころに種を集めて、毎年植えようと心に決めている。

それにしても本当にカンナは魔女だったのかもしれない。
普通の人間には気づかないはずなんだけど彼女はあたしの正体に気づいていたのだから。
このメールを見てあたしは、いつかアキさんが言っていた「ネコと魔女の関係」を思い出した。

案外、そうだったのかもなあ…。
でもね…カンナ。
魔女だって死んじゃうんだよ。

死なない生き物なんて存在しないんだ。

あたしは少し泣いた。
でも今度は感情には流されなかった。
カンナはあたしに生きた証を残してくれた。
それがあるかぎり、あたしの心の中でカンナはずっと生き続ける。
あたしがここにいるかぎり、ひまわりが夏に花咲くとき、カンナの思い出もまた花咲くだろう。

その時まで。
いつか花咲くその時まで。
さようなら。
カンナ。

((了))

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