阪上くんと保田くん

阪上克利

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最後の1年

専門学校

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 お屠蘇とそ気分も抜けきり……
 阪神大震災の混乱も少しずつ落ち着いてきた1月末ごろ。

 いやいや…… 
 被災地では当然落ち着いてなかっただろうけど…… 
 ボクが住んでいる場所では少しずつ落ち着きを取り戻し始めていた。

 1995年1月もやはり寒かった記憶がある。

 相も変わらず進路が決まらないボク。 
 こっちはまったく落ち着く気配がない。 
 いつまでも自分がすべきことに悩んでばかりで何をしていいか分からないまま、時間だけは過ぎ去っていく。

 同級生たちはすべて進路を決めており、決まっていないのはボクを含めた数人だけになっていた。数人と言っても実は出席日数の関係で留年した奴が含まれているので、実質は決まっていないのはボクだけという状況だった。

 これには久保山先生も困っただろうと思うが…… 
 不思議なことに先生から心配されたことはなぜかない。 
 別に先生がボクのことをほったらかしにしたとかそういうことではない。 
 いろいろ気にかけてくれていたとは思う。

 だけど……あまり心配されたという記憶がないのだ。

 なぜかは分からないけど。

 受験に失敗したボクは次の進学先を探した。 
 もう考えるのも嫌で、適当に資格がとれる専門学校を探した。 
 そこは受験もなく、申込みさえすれば入学できる学校だった。

 電気工事士という資格を在学中に取得すれば就職に有利になるという話があった。 
 適当な理由をつけて『資格を取る』と言えばいいか…… 
 そんなふうにボクは思っていた。

 ちなみに…… 
 電気工事士の資格は実際に就職に有利であること事実らしい。

 ケアマネジャーとして仕事している今でも利用者の家で……
『実はボク、電気工事士持ってるんですよ』 
 と言ったらけっこうな賛辞をいただける。

 電気工事士の資格…… 
 在学中にも取得できるチャンスはあった。

 ただ…… 
 当然な話だが…… 
 やる気のないボクが在学中に勉強したからと言ってとれるぐらい甘い資格ではない。

 やりたいことはない。 
 なら……せめて資格でも取得すれば道も開けるかもしれない。 
 安易ではあるがボクはそう思った。 
 そして、いくつかの専門学校に見学に行き、パンフレットをもらってきた。

 それらの専門学校は学費が高かった。 
 ただ…… 
 もう卒業するまで時間がない。 
 専門学校は通常2年通うのだけど、1年の学校もあった。

 1年だけなら高い学費も半額になるし良いのではないだろうか。 
 そう思ってボクは池袋にある専門学校に通いたいと親に告げた。

 このころになると親もあきらめもあったのだろう。 
 とにかく卒業して家でプラプラされても困るのだ。 
 そんな思いから、専門学校に行くことを許してくれた。

 卒業まで残り2か月。 
 ようやくボクの進路は定まった。
 あとは卒業を待つばかりだった。
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