青く澄み渡っている雲一つない空の下に住んでいるボクたちの何もないような日々

阪上克利

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春先は調子が悪い

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 調子が悪い。
 毎日寒かったり暑かったりで体調が悪くなるのだけど同時に自律神経もおかしいらしく、精神的にも調子が悪い。

 特に……
 かけなければならない電話をなかなかかけることができなかったり、新規の仕事が怖かったりする。

 電話をかけると何か怒られるんじゃないだろうか……怒られるまで行かなくてもちょっと面倒なことになるのではないだろうか……とか思ってしまうとスマートフォンを触る手にちょっとした抵抗を感じてしまうのだ。
 新規の仕事についても同じ。
 嫌な利用者だったらどうしようとか……家族が問題ありの人だったらどうしようとか……そんなにふうに思って怖くなってしまうのだ。

 とにかく精神的な調子が悪い時というのは、まだ起こってもいない悪いことがなぜか絶対に起こるような気がする。

 実際にはそのようなことはないと言いたい。
 だけど、悪いことは、たまに本当に起こってしまう。
 それが印象的過ぎて毎回起きてしまうと錯覚を起こしてしまうのだ。
 錯覚だと分かっているのに怖い。
 怖いからさらに精神的に悪い影響を与え、鬱的になる。

 で……病院に行っても薬しかくれないから安心できない。

 何の根拠もないのだけど、このしんどいのは薬だけでよくなるものではないような気がするのだ。
 いや、薬も大事だよ。
 薬を飲めば悪いことが起きるような気がするという錯覚は消えてくれるだろう。
 でも錯覚ではなく、実際に悪いことが起きてしまったときは薬ではぬぐえないぐらいの苦しさがあるのだ。
 そんな時は自分を責めてしまう。

 なんで事前に何も考えなかったのだ……と。
 油断しているからこんなことになってしまっただ……と。
 そしてなんだか分からないけど続けて悪いことが起きるような気がしてしまう。
 もう怖くて仕方ないのだ。
 平気な顔をして毎日を過ごしているけど、本当はどこかに逃げてしまいたいと思っている。

 これをどうにかしてほしい。

 気にしなければいい?
 否。
 完全に忘れることができたら最高だ。
 でもそんなことはできない。

 だから薬よりも必要なのが……

 何か安心できる言葉。

 その安心できる言葉をボクは常に探している。
『死ぬわけじゃない』とかそんな言葉。
 でも調子が悪いとそういう言葉が虚無に響いてなんだかダメ。

 死ぬわけじゃない……
 でも死ぬほどつらい。

 何が辛いのか……
 いや……何が辛いんだろ。
 でも何か悪いことが起きそうな気がする。

 あ……そうか。
 ボクにはこの仕事向いてないのかもしれないなあ。

 そんな結論に至る。
 問題はここからなのだ。

 向いていないこの仕事。
 じゃあ、辞めればいいじゃんってなるんだけど、そしたらどうやって生活して行くの? 
 ということになるんだよね。

 何か向いている仕事あるかな?
 そんなふうに考えると……

 何も思いつかないのだ。

 この仕事をやめてまったく白紙の状態で他の仕事することの方がもしかしたら今のボクにはストレスなのかもしれない。

 どうする?
 結局、今の仕事を続けるしかないってこと。
 なんだか永遠に続く地獄にいるようだ。
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