青く澄み渡っている雲一つない空の下に住んでいるボクたちの何もないような日々

阪上克利

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ラジオは優しい

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 朝起きて疲れているときがある。

 そんなときは仕事を休んで、外には一切出ることなく……家でラジオを聞いてパソコンに向かって駄文を打ちながら一日を過ごしたいと思う時がある。
 外に出ることなくなんて言ったけど……疲れて調子が悪い時は基本的には文章が頭に浮かんでこないことも多くなってきたので、何の目的もなく散歩に出るとかそういう感じでとにかく心を休めたいと思うのだ。

 疲れていると感じるがたぶん身体は疲れていない。
 普通に目は覚めるし、眠くもない。
 夜中には何度か目が覚めるのはもう慢性的になっているので気にしなくてもたぶん大丈夫。
 だから本格的に身体が疲れているということではないということはなんとなくだけど分かるのだ。

 つまりこういうときには心を休めたいのである。

 本当に贅沢な話だが、こういう時は一人になりたい。
 子供やかみさんに話しかけられるのが煩わしいと感じる。
 もちろんそう感じても話はしなくてはならない。特にかみさんには我慢してもらえても子供に我慢させるのは気が引けるので、子供の話はしっかり聞くようにしている。

 ただ、一人になろうと思えば、家族がいても一人になれる。
 それは日中の時間、仕事を休んでしまえばいいのだ。
 そうすれば子供は学校に行ってしまうし、かみさんも仕事に行く。だからその時間はボクの一人時間であり、その時間に無音の時間を楽しむことができるのだ。

 無音の時間……。
 最近、周りの音が煩わしく感じることが多い。
 特にテレビの音やYouTubeなどの動画の音。
 なんだか耳障りだと感じることがある。もちろんいつもではないのだけど疲れているときは無音の時間を楽しみたい。
 静かに何の音もしない部屋の中で駄文を綴っていると、自分がキーボードを打つ音だけがする。その瞬間がなんだか心地いい。

 そして1時間ほどその時間を続けると今度は何か音がほしくなる。
 それでラジオをかける。テレビやYouTubeと違ってラジオは音が優しい。あくまでボクの感覚なのだけどラジオから流れてくるDJの声は騒がしくない。テレビやYouTubeなどから流れる音は騒がしく感じるのに……。

 この違いはなんだろう。

 普段はそんなことは考えないのに、先日ボクはふと手を止めて考えてみた。
 なんでラジオから流れる音は優しいのか……。

 それは恐らく、ラジオというメディアがリスナーの気持ちにかなり寄り添っているからではないだろうか。

『今日、第1子が無事生まれました。おお!! おめでとうございます』
 ラジオのDJはリスナーからのこんなメールをよく読む。

 ボクはそれを聞きながら一喜一憂している。
『赤ちゃんか……健やかに育つと良いな……』
 そんなことをつぶやいてみる。

 なんだか優しい気持ちになる。

 こんなメールもよく読まれている。
『今日は息子の高校受験です。頑張れるといいのですが……応援してください。うわあ。それは大変だ。ガンバレ、息子ちゃん!!』

 ラジオの前でボクは呟く。
『そうか……ガンバレ!! 大丈夫だよ』

 なんだかちょっと不安でドキドキした気持ちになる。
 ラジオの向こうのリスナーさんたちは見ず知らずの他人だけど、それでもなんだか応援したくなる。

 そう。
 ラジオは優しいのだ。
 聞く人の気持ちにみんなで寄り添っていくのだ。
 こんなに優しいメディアは他にはないかもしれない。

 これがテレビやYouTubeと違うところだとボクは思っている。

 疲れた時はラジオで癒されたい。
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