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転職体験記①『好きでもないことに時間は使えない』
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長く介護の仕事をしているボクだけど、若い頃は違う仕事をしていた時がある。
そもそも工業高校を卒業して、専門学校も電気工事の勉強をしたのだ。
卒業したら電気の仕事に就くのが順当な進路と言える。
まだ仕事したくない……。
専門学校を卒業した時、ボクは19歳だった。
知り合いの子供に現在、そのぐらいの歳の男の子がいるが、彼がしっかり仕事をしている姿を見ると、19歳の頃のボクはなんて何も考えていないのだろうと思ってしまう。
実際にその頃のボクは何も考えていなかった。
何の仕事がしたいのか?
その人生の問いに自分自身の答えを見つけられずにいたのだ。
だから何も考えずに電気の仕事に就いた。
ここまでは普通である。
大抵の人はそのまま電気の仕事を続けるだろう。
入社して半月。
ボクは仕事が嫌になった。
何が嫌かというと、仕事の内容がまったく分からないのが嫌だった。
何も役に立てていないのに8時間会社にいなければいけないのがものすごく嫌だったのだ。
どんな仕事をするにしても、右も左も分からないから誰かに聞かなくちゃならない。それがしんどかったのだ。
なぜかと言うと……
聞くこと自体は構わない。
しかし聞く相手はいつも忙しそうに仕事しているのだ。
手を止めてしまうのが嫌だった。
仕事に行って、仕事をしたいと思った。
つまり、簡単なことでもなんでもいいから自分で最初から最後までやれる仕事がしたかったのだ。
最初の数回、手順さえ聞けばその後は自分でこなせる仕事がやりたかったのである。
あいにく、電気の仕事はそういうわけにはいかない。
物作りの仕事と言うのはそういうものだ。簡単には仕事の手順は覚えられない。だから、覚えるまでは右往左往しながら仕事を覚えていく。何年間かそんなふうにしながらも、自分で勉強しながら覚えていくものなのだ。
自分で勉強する……というところに若いボクは引っかかった。
ただでさえたいして好きでもない仕事なのに、自分のプライベートを削ってまでそのための勉強をなんでやらなければならないのか……。
『勉強してる?』
『なんで?』
『いや、仕事、覚えなくちゃならないし』
『うちはラインの仕事だから一度工程を覚えたらそればかりやればいいから勉強なんかしなくてもいいんだよ』
就職した後、何度か会っている保田くんに聞いたらそんなことを言っていた。
ああ……勉強しなくていいのか。
しかも仕事の工程を一度覚えたらあとはそれだけをやればいい。
いいなあ……。
そう思った。
ボクにとって仕事とは生活の手段だけであり、生きがいでも何でもない。
生きがいであるなら、学習を楽しみながら何年も勉強して、その仕事を物にするという考え方も納得ができるがそうではないのだ。
そもそも、仕事を探すという行為の時点で自分のやりたいことが見つかっていないのだ。
どんな仕事も好きではないのだから、仕事のために時間をとっていろいろ勉強しなければならない仕事など嫌に決まっている。
仕事とはそんなもんだ。
よくそんなセリフを聞いた。
世の中のすべての社会人はそうやって仕事をこなしている……という意味なのだろうけど、なんで好きでもないことのために勤務時間以外の時間をあてなければならないのだ。
こんな考えのボクが最初の仕事を辞めるのは時間の問題だった。
そもそも工業高校を卒業して、専門学校も電気工事の勉強をしたのだ。
卒業したら電気の仕事に就くのが順当な進路と言える。
まだ仕事したくない……。
専門学校を卒業した時、ボクは19歳だった。
知り合いの子供に現在、そのぐらいの歳の男の子がいるが、彼がしっかり仕事をしている姿を見ると、19歳の頃のボクはなんて何も考えていないのだろうと思ってしまう。
実際にその頃のボクは何も考えていなかった。
何の仕事がしたいのか?
その人生の問いに自分自身の答えを見つけられずにいたのだ。
だから何も考えずに電気の仕事に就いた。
ここまでは普通である。
大抵の人はそのまま電気の仕事を続けるだろう。
入社して半月。
ボクは仕事が嫌になった。
何が嫌かというと、仕事の内容がまったく分からないのが嫌だった。
何も役に立てていないのに8時間会社にいなければいけないのがものすごく嫌だったのだ。
どんな仕事をするにしても、右も左も分からないから誰かに聞かなくちゃならない。それがしんどかったのだ。
なぜかと言うと……
聞くこと自体は構わない。
しかし聞く相手はいつも忙しそうに仕事しているのだ。
手を止めてしまうのが嫌だった。
仕事に行って、仕事をしたいと思った。
つまり、簡単なことでもなんでもいいから自分で最初から最後までやれる仕事がしたかったのだ。
最初の数回、手順さえ聞けばその後は自分でこなせる仕事がやりたかったのである。
あいにく、電気の仕事はそういうわけにはいかない。
物作りの仕事と言うのはそういうものだ。簡単には仕事の手順は覚えられない。だから、覚えるまでは右往左往しながら仕事を覚えていく。何年間かそんなふうにしながらも、自分で勉強しながら覚えていくものなのだ。
自分で勉強する……というところに若いボクは引っかかった。
ただでさえたいして好きでもない仕事なのに、自分のプライベートを削ってまでそのための勉強をなんでやらなければならないのか……。
『勉強してる?』
『なんで?』
『いや、仕事、覚えなくちゃならないし』
『うちはラインの仕事だから一度工程を覚えたらそればかりやればいいから勉強なんかしなくてもいいんだよ』
就職した後、何度か会っている保田くんに聞いたらそんなことを言っていた。
ああ……勉強しなくていいのか。
しかも仕事の工程を一度覚えたらあとはそれだけをやればいい。
いいなあ……。
そう思った。
ボクにとって仕事とは生活の手段だけであり、生きがいでも何でもない。
生きがいであるなら、学習を楽しみながら何年も勉強して、その仕事を物にするという考え方も納得ができるがそうではないのだ。
そもそも、仕事を探すという行為の時点で自分のやりたいことが見つかっていないのだ。
どんな仕事も好きではないのだから、仕事のために時間をとっていろいろ勉強しなければならない仕事など嫌に決まっている。
仕事とはそんなもんだ。
よくそんなセリフを聞いた。
世の中のすべての社会人はそうやって仕事をこなしている……という意味なのだろうけど、なんで好きでもないことのために勤務時間以外の時間をあてなければならないのだ。
こんな考えのボクが最初の仕事を辞めるのは時間の問題だった。
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