書庫『宛先のない手紙』

中村音音(なかむらねおん)

文字の大きさ
54 / 116

投稿サイトで交流の始まった創作仲間の貴女へ。

しおりを挟む
投稿された小説、読ませてもらいました。
知らないうちに18禁に振り返るなんてひどい話ですね。

山💜詠🔶は文学で宇■耕☆✖️はエロ?

『蛇と⚪︎ア⭐️』なんてエロの極致だと思って読みましたが、どうなんでしょう?
どこをもって文学と定義しているんでしょう?
考えてみたのですが、いちばんの理由は文壇が賞を与えたかどうか。じゃないのでしょうか?


もちろん詠🔶さんの表現や描写には、エロに終わらないものがありました。絡みストレート、エグく描ききる、というのと違って、心情というか内面までペンがえぐっていたし、そこから盛り上がってくる情念みたいなものをつかみとって文字に変換した感があった。
そうしたところが差と言えば違いといえるのかもしれません。

だとすれば貴女の作品はどうとらえればいいのでしょう?
肉欲大放出、それだけで描き切りましたというのとは明らかに違います。
心の動き、心理描写、うまく描けていると思うんだけどなあ。

そうそう、読んでいるあいだ、隣でただじっとそれを観ている、傍観している、みたいなものをずっと感じていました。ベッド・シーンだけでなく、街を並んで歩いているときも、カフェでティー・カップ持ち上げているときも。
テレビ・クルーで付き添っているというのとは違う。
だけどその場にいる。
そんな感じ。

エロは、演者と自分を重ねてはけ口にするものだと思います。
でも貴女の作品は、臨場感があって興奮させておきながらも、エレクトが持続せずインポテツにしてしまう。そんな力というか、呪術みたいなものがある。
ほかのエロと決定的に違っていたのはそこでした。


作品にケチをつけるつもりは毛頭ありません。
逆にすごいなと思っています。

貴女の作品を読むまで、大きなくくりでの官能系作品は性欲というほむらに油を注ぐものだとばかり思っていました。
官能小説を読む、ということは、エッチ感情の着火剤を投与することだと。

文学作品としてのエッチだって、性欲を増進させる意味で同じベクトルにあるといえませんか?

それに対して貴女の作品は、性欲を静かに先延ばしさせていく。
消ていくのではなく、あえて残しておきながら凪の状態で止めて維持していく。
そうすることで消えない炎を浮きだたせていく。

その手法の効果で、少しだけ感じている表皮みたいな性欲が肌に染み込んでいく。

オーガズムはとっておく。
そうすることで、愛おしさも際立ってくる。

熱すぎもせずあたたかに、昂ぶっているのに穏やかに。

エロであれば、そんな中途半端はありえません。

投げた、打った、取った、か、落としたあ、ランナー3塁を蹴ってホームに向かう!
1点、入ったあ!
みたいな展開で、一気呵成にまくして場を盛り上げちゃったりする。

この観点からすれば、貴女の作品は官能ではない。エロじゃない。

僕なりに解釈すると「愛撫小説」という命名がいちばんしっくりきます。あくまでも個人的にはですが。
肌にふれるかふれないか、ギリギリのところを行き来する指。舌の先端だけを皮膚に滑らせ流れていく。

たとえるなら、そんな小説に思えました。


選考委員にはじき伝わるんじゃないですか。
こんな作品、これまでほかにはなかったですから。

撫でられてさわられて、とっても気持ちいいんだけど、性的に興奮しているのだけれど、性器はしだいに落ちつていく作品。微振動ならぬ微刺激で貫かれた作風。
余韻みたいな快楽が続いて、それをずっと味わっていられる。


世に出たら、待ってました、って声が飛んでくるように思います。
今まで現れなかったのが不思議なくらい、人の欲望が心の奥底で求めていたタイプの小説。

あとは、継続することですね。

作家になるってことは、ふたつ大事な要素を満たしていなければならないと常々考えています。
作品を生み出し続けられるかどうかがひとつ。
もうひとつは、この作家だからこの小説、という個性の確立。個性ができあがると、誰々の小説が読みたい、というふうに指名が入りますから。

個性はすでにある。
愛撫小説家。
あとはしつこく審査員の皆さんに訴えかけていくことですね。
「ほらこれが愛撫小説ですよ」
「これでもか」
「どうだ!」ってね。

いちど認めてもらえれば、もう立派な文学作品。
18禁小説なんて言われることもなくなるはずです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

麗しき未亡人

石田空
現代文学
地方都市の市議の秘書の仕事は慌ただしい。市議の秘書を務めている康隆は、市民の冠婚葬祭をチェックしてはいつも市議代行として出かけている。 そんな中、葬式に参加していて光恵と毎回出会うことに気付く……。 他サイトにも掲載しております。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

処理中です...