1 / 8
1 お宝探し
しおりを挟む
よくある古代遺跡。
私はひとりでワクワクとお宝探し、否、謎に包まれた古代の魔道具探しに精を出していた。
「師匠、その先は発掘許可が出てないのでは?」
……ひとりで探しに来たのに、腰巾着のようにぴったりと寄り添い、私の行動を逐一監視する男は私の愛弟子、ルクソスだ。
「確かに出ていませんね。流石次の筆頭候補です、しっかりしていて私も鼻が高いですよ」
「思ってもないことを言わないでください。俺の魔力なんて、師匠に比べれば……」
「いくら魔力が多くても、魔道具への回路が十分でなければ意味がないと教えたはずですが」
いつも私と自分を比較し肩を落とす愛弟子に、間違いなく能力は高いのだから、気にするなと伝えようとしたのだが。
「その回路だって、師匠の緻密さや正確さを完璧に模倣できません」
愛弟子の向上心はとどまるところを知らない。
「貴方は私より五歳も若いのですから、当然です。それより、これから貴方は偉くなるのだから、『俺』はやめなさい」
「別に、俺は偉くなりたいわけではなくて、師匠の傍にいたいだけなんですけど」
可愛いことを言い出す愛弟子の頭をよしよしと撫でた。
随分と前から、その頭は私よりずっと上のほうにあるが、撫でられるとわかっている愛弟子はひょいと頭を下げて、私が撫でやすいように合わせてくれる。
「なぜ師匠は筆頭魔道士にならないのですか?」
「現場に行くことが難儀になりますからね」
執務室の椅子に座って面白くもない書類とにらめっこしたり会議室で小難しい話を何時間も延々と話すくらいなら、魔道士をやめて実家の魔道具店を継いだほうがマシだと何年も言い続けているかいがあり、老齢の筆頭魔道士が後継者選びをする際には、私を飛び越えて愛弟子がその候補に挙がった。
ルクソスは承認欲求を拗らせているため、てっきりその報告を喜ぶものだと思っていたのだが。
しかし実際のところ、「なぜ師匠ではなく能力の劣る俺なんですか」だの、「俺はまだまだ師匠について学びたいので、後継者候補から外して貰います」だの言って、喜ぶどころか不機嫌になってしまったのだ。
首を傾げる私に、「師匠より強い」と「師匠より偉い」は別なのだと言い、自分は師匠より強くなりたいんです、と言い張った。
「師匠が筆頭魔道士になるなら、俺は喜んで補佐するのに」
「ルクソスは、貧しい人達の希望の光なのです。ですから師匠としては是非、頂点にまでのぼりつめて欲しいものですね」
「師匠がそう言うから、結局候補になったままなんですよ……」
恨みがましそうな目でこちらを見るルクソス。
私はそんな彼に片手をあげ、「待て」の意味のジェスチャーをした。
気になる物を見つけたからだ。
「……これも、魔道具ですね」
「これがですか?」
長いチェーンのついた、古びた懐中時計のようなものを瓦礫の下から救い出す。
ふぅ、と息を吹きかけて埃を払えば、時計の裏側には確かに魔法陣が刻まれていた。
「……見たことのない魔法陣です」
「師匠が知らないなんて、新しい発見ですね」
「ひとまず持って帰りましょう」
私はネックレスのように懐中時計を首に引っ掛ける。
だからお宝発掘はやめられない。
この魔法陣がどんな効果をもたらすのか、早く試したくて堪らない。
しかし、一応魔道士協会に所属する身としては、魔法陣の解読が先である。
古代遺跡の中には危険な魔道具も多いため、解読前の魔道具の使用は固く禁じられていた。
私はひとりでワクワクとお宝探し、否、謎に包まれた古代の魔道具探しに精を出していた。
「師匠、その先は発掘許可が出てないのでは?」
……ひとりで探しに来たのに、腰巾着のようにぴったりと寄り添い、私の行動を逐一監視する男は私の愛弟子、ルクソスだ。
「確かに出ていませんね。流石次の筆頭候補です、しっかりしていて私も鼻が高いですよ」
「思ってもないことを言わないでください。俺の魔力なんて、師匠に比べれば……」
「いくら魔力が多くても、魔道具への回路が十分でなければ意味がないと教えたはずですが」
いつも私と自分を比較し肩を落とす愛弟子に、間違いなく能力は高いのだから、気にするなと伝えようとしたのだが。
「その回路だって、師匠の緻密さや正確さを完璧に模倣できません」
愛弟子の向上心はとどまるところを知らない。
「貴方は私より五歳も若いのですから、当然です。それより、これから貴方は偉くなるのだから、『俺』はやめなさい」
「別に、俺は偉くなりたいわけではなくて、師匠の傍にいたいだけなんですけど」
可愛いことを言い出す愛弟子の頭をよしよしと撫でた。
随分と前から、その頭は私よりずっと上のほうにあるが、撫でられるとわかっている愛弟子はひょいと頭を下げて、私が撫でやすいように合わせてくれる。
「なぜ師匠は筆頭魔道士にならないのですか?」
「現場に行くことが難儀になりますからね」
執務室の椅子に座って面白くもない書類とにらめっこしたり会議室で小難しい話を何時間も延々と話すくらいなら、魔道士をやめて実家の魔道具店を継いだほうがマシだと何年も言い続けているかいがあり、老齢の筆頭魔道士が後継者選びをする際には、私を飛び越えて愛弟子がその候補に挙がった。
ルクソスは承認欲求を拗らせているため、てっきりその報告を喜ぶものだと思っていたのだが。
しかし実際のところ、「なぜ師匠ではなく能力の劣る俺なんですか」だの、「俺はまだまだ師匠について学びたいので、後継者候補から外して貰います」だの言って、喜ぶどころか不機嫌になってしまったのだ。
首を傾げる私に、「師匠より強い」と「師匠より偉い」は別なのだと言い、自分は師匠より強くなりたいんです、と言い張った。
「師匠が筆頭魔道士になるなら、俺は喜んで補佐するのに」
「ルクソスは、貧しい人達の希望の光なのです。ですから師匠としては是非、頂点にまでのぼりつめて欲しいものですね」
「師匠がそう言うから、結局候補になったままなんですよ……」
恨みがましそうな目でこちらを見るルクソス。
私はそんな彼に片手をあげ、「待て」の意味のジェスチャーをした。
気になる物を見つけたからだ。
「……これも、魔道具ですね」
「これがですか?」
長いチェーンのついた、古びた懐中時計のようなものを瓦礫の下から救い出す。
ふぅ、と息を吹きかけて埃を払えば、時計の裏側には確かに魔法陣が刻まれていた。
「……見たことのない魔法陣です」
「師匠が知らないなんて、新しい発見ですね」
「ひとまず持って帰りましょう」
私はネックレスのように懐中時計を首に引っ掛ける。
だからお宝発掘はやめられない。
この魔法陣がどんな効果をもたらすのか、早く試したくて堪らない。
しかし、一応魔道士協会に所属する身としては、魔法陣の解読が先である。
古代遺跡の中には危険な魔道具も多いため、解読前の魔道具の使用は固く禁じられていた。
188
あなたにおすすめの小説
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
ダメンズな彼から離れようとしたら、なんか執着されたお話
下菊みこと
恋愛
ソフトヤンデレに捕まるお話。
あるいはダメンズが努力の末スパダリになるお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
大好きだけど、結婚はできません!〜強面彼氏に強引に溺愛されて、困っています〜
楠結衣
恋愛
冷たい川に落ちてしまったリス獣人のミーナは、薄れゆく意識の中、水中を飛ぶような速さで泳いできた一人の青年に助け出される。
ミーナを助けてくれた鍛冶屋のリュークは、鋭く睨むワイルドな人で。思わず身をすくませたけど、見た目と違って優しいリュークに次第に心惹かれていく。
さらに結婚を前提の告白をされてしまうのだけど、リュークの夢は故郷で鍛冶屋をひらくことだと告げられて。
(リュークのことは好きだけど、彼が住むのは北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまう私には無理!)
と断ったのに、なぜか諦めないリュークと期限付きでお試しの恋人に?!
「泊まっていい?」
「今日、泊まってけ」
「俺の故郷で結婚してほしい!」
あまく溺愛してくるリュークに、ミーナの好きの気持ちは加速していく。
やっぱり、氷の国に一緒に行きたい!寒さに慣れると決意したミーナはある行動に出る……。
ミーナの一途な想いの行方は?二人の恋の結末は?!
健気でかわいいリス獣人と、見た目が怖いのに甘々なペンギン獣人の恋物語。
一途で溺愛なハッピーエンドストーリーです。
*小説家になろう様でも掲載しています
周囲からはぐうたら聖女と呼ばれていますがなぜか専属護衛騎士が溺愛してきます
鳥花風星
恋愛
聖女の力を酷使しすぎるせいで会議に寝坊でいつも遅れてしまう聖女エリシアは、貴族たちの間から「ぐうたら聖女」と呼ばれていた。
そんなエリシアを毎朝護衛騎士のゼインは優しく、だが微妙な距離感で起こしてくれる。今までは護衛騎士として適切な距離を保ってくれていたのに、なぜか最近やたらと距離が近く、まるでエリシアをからかっているかのようなゼインに、エリシアの心は揺れ動いて仕方がない。
そんなある日、エリシアはゼインに縁談が来ていること、ゼインが頑なにそれを拒否していることを知る。貴族たちに、ゼインが縁談を断るのは聖女の護衛騎士をしているからだと言われ、ゼインを解放してやれと言われてしまう。
ゼインに幸せになってほしいと願うエリシアは、ゼインを護衛騎士から解任しようとするが……。
「俺を手放そうとするなんて二度と思わせませんよ」
聖女への思いが激重すぎる護衛騎士と、そんな護衛騎士を本当はずっと好きだった聖女の、じれじれ両片思いのラブストーリー。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる