4 / 6
4
しおりを挟む
「何をしてるんだ?来るなら来るって言ってくれれば、屋敷で歓迎したのに。オースティンは今日はいないぞ?」
私は一年ぶりの再会を喜び、デリックに駆け寄る。
しかしデリックは慌てた様に、さながら侵入者を警戒するかの様に左右に目を走らせながら、近付いた私の腕をとった。
「早くここから逃げるぞ!」
「デリック?何を言ってるんだ?ここは私の……」
「ここは、敵の住処だぞ!!」
「……は?」
私は、デリックは何処かに頭を打ち付けたのだろうかと本気で心配した。
何で弟弟子であるオースティンが敵なんだ??
「ああもう、本当にリビーの弱点は厄介だな!!……とにかく、今は説明している時間がない!早く逃げるぞ!!」
デリックは、私の手を引いたまま、温室の外に出ようとする。
「いや、待ってくれ。私が勝手に屋敷の外に出ると、オースティンが嫌がるんだ」
「リビー……!!仕方ない、これを見ろ。ほら、良く見るんだ」
「ん?これは……解除の石か?懐かしいなぁ」
マーブル模様のその石は、私が魔術師だった頃、ブレスレットとして常に持たされていた物だ。
その石をじっくり見ていれば、私の……魅了に掛かりやすく、洗脳されやすいという弱点が解消出来るから。
「リビー、昔の俺達を思い出すんだ……師匠が生きていた頃の……!」
デリックの声に導かれて、昔の記憶が甦る。
よく兄弟子や弟弟子のデリック、そしてオースティンと……オースティン?……オースティンなんて弟子仲間がいたか?確かにもう一人いたが、男ではなく女だった筈。妹のように可愛がっていたつもりだったが、彼女は私を裏切り、お師匠様が下さった私のヴェールを燃やして弱点を……
「……あ……ぁあ……ッッ」
「リビー?大丈夫か、リビー!?」
「私の妻に、触らないで下さい」
その時、オースティンの声が頭上から聞こえ……次の瞬間、デリックが吹き飛ばされた。魔力を失った筈のオースティンが、魔術師であるデリックを圧倒するという矛盾。
音もなく、私の横に降り立つオースティン。
「……オースティン……いや、お前は……っっ!!」
「すっかり解けてしまった様ですね、厄介な石です。リビー……この男を殺されたくなければ、閉じている瞳を開けて下さい」
「俺の事は気にするな!」
「卑怯だ……」
「リビー。これ以上思い出せば、貴女はまた……お願いです、開けて下さい」
オースティンは、今まで通り優しい声で懇願してくる。
力を失ったのは、私だけで。魔力に溢れているオースティンは、力ずくでも出来る筈なのにそれをしようとはしない。
もう一度、言う。
「……卑怯だ……!!」
一年の間、あんなに愛を私に捧げて。その記憶もあるのに、絆されない訳がないじゃないか。
「……どうか、デリックは助けて欲しい……」
「わかりました。本当は殺しておきたいですが、この男も解放すると約束しましょう……洗脳してから、ですが」
「ふざけるなっ!!」
デリックはオースティンに吠えていたが、オースティンは約束を破った事がなかった。だから、例え本当は敵であったとしても……デリックの命は奪わないという約束は守ってくれる筈。
そう信じて、瞳を開けた。
私は一年ぶりの再会を喜び、デリックに駆け寄る。
しかしデリックは慌てた様に、さながら侵入者を警戒するかの様に左右に目を走らせながら、近付いた私の腕をとった。
「早くここから逃げるぞ!」
「デリック?何を言ってるんだ?ここは私の……」
「ここは、敵の住処だぞ!!」
「……は?」
私は、デリックは何処かに頭を打ち付けたのだろうかと本気で心配した。
何で弟弟子であるオースティンが敵なんだ??
「ああもう、本当にリビーの弱点は厄介だな!!……とにかく、今は説明している時間がない!早く逃げるぞ!!」
デリックは、私の手を引いたまま、温室の外に出ようとする。
「いや、待ってくれ。私が勝手に屋敷の外に出ると、オースティンが嫌がるんだ」
「リビー……!!仕方ない、これを見ろ。ほら、良く見るんだ」
「ん?これは……解除の石か?懐かしいなぁ」
マーブル模様のその石は、私が魔術師だった頃、ブレスレットとして常に持たされていた物だ。
その石をじっくり見ていれば、私の……魅了に掛かりやすく、洗脳されやすいという弱点が解消出来るから。
「リビー、昔の俺達を思い出すんだ……師匠が生きていた頃の……!」
デリックの声に導かれて、昔の記憶が甦る。
よく兄弟子や弟弟子のデリック、そしてオースティンと……オースティン?……オースティンなんて弟子仲間がいたか?確かにもう一人いたが、男ではなく女だった筈。妹のように可愛がっていたつもりだったが、彼女は私を裏切り、お師匠様が下さった私のヴェールを燃やして弱点を……
「……あ……ぁあ……ッッ」
「リビー?大丈夫か、リビー!?」
「私の妻に、触らないで下さい」
その時、オースティンの声が頭上から聞こえ……次の瞬間、デリックが吹き飛ばされた。魔力を失った筈のオースティンが、魔術師であるデリックを圧倒するという矛盾。
音もなく、私の横に降り立つオースティン。
「……オースティン……いや、お前は……っっ!!」
「すっかり解けてしまった様ですね、厄介な石です。リビー……この男を殺されたくなければ、閉じている瞳を開けて下さい」
「俺の事は気にするな!」
「卑怯だ……」
「リビー。これ以上思い出せば、貴女はまた……お願いです、開けて下さい」
オースティンは、今まで通り優しい声で懇願してくる。
力を失ったのは、私だけで。魔力に溢れているオースティンは、力ずくでも出来る筈なのにそれをしようとはしない。
もう一度、言う。
「……卑怯だ……!!」
一年の間、あんなに愛を私に捧げて。その記憶もあるのに、絆されない訳がないじゃないか。
「……どうか、デリックは助けて欲しい……」
「わかりました。本当は殺しておきたいですが、この男も解放すると約束しましょう……洗脳してから、ですが」
「ふざけるなっ!!」
デリックはオースティンに吠えていたが、オースティンは約束を破った事がなかった。だから、例え本当は敵であったとしても……デリックの命は奪わないという約束は守ってくれる筈。
そう信じて、瞳を開けた。
14
あなたにおすすめの小説
憐れな妻は龍の夫から逃れられない
向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。
生贄は囚われの愛を乞う~棄てられ令嬢と狼将軍~
マチバリ
恋愛
美しい見た目ゆえ、領主の養女となったレナ。
有用な道具に仕立てとする厳しい教育や義兄の異常な執着にうんざりしながらも何もかもを諦めて生きていた。
だが、その運命は悪政を働く領主一家を捕えに来た<狼将軍>と呼ばれる男の登場により激変する。
最高魔導師の重すぎる愛の結末
甘寧
恋愛
私、ステフィ・フェルスターの仕事は街の中央にある魔術協会の事務員。
いつもの様に出勤すると、私の席がなかった。
呆然とする私に上司であるジンドルフに尋ねると私は昇進し自分の直属の部下になったと言う。
このジンドルフと言う男は、結婚したい男不動のNO.1。
銀色の長髪を後ろに縛り、黒のローブを纏ったその男は微笑むだけで女性を虜にするほど色気がある。
ジンドルフに会いたいが為に、用もないのに魔術協会に来る女性多数。
でも、皆は気づいて無いみたいだけど、あの男、なんか闇を秘めている気がする……
その感は残念ならが当たることになる。
何十年にも渡りストーカーしていた最高魔導師と捕まってしまった可哀想な部下のお話。
日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。
そんな彼に見事に捕まる主人公。
そんなお話です。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
大金で買われた少女、狂愛の王子の檻で宝石になる ―無自覚な天才調合師は第二王子の婚約者(虫除け)を演じることになりました―
甘塩ます☆
恋愛
「君を金貨三十枚で買ったのは、安すぎたかな」
酒浸りの父と病弱な母に売られた少女・ユナを救ったのは、国中から「放蕩王子」と蔑まれる第二王子・エルフレードだった。
「虫除けの婚約者になってほしい」というエルの言葉を受け、彼の別邸で暮らすことになったユナ。しかし、彼女には無自覚の天才調合師だった。
ユナがその才能を現すたび、エルの瞳は暗く濁り、独占欲を剥き出しにしていく。
「誰にも見せないで。君の価値に、世界が気づいてしまうから」
これは、あまりに純粋な天才少女と、彼女を救うふりをして世界から隠し、自分の檻に閉じ込めようとする「猛禽」な王子の物語。
気付いたら最悪の方向に転がり落ちていた。
下菊みこと
恋愛
失敗したお話。ヤンデレ。
私の好きな人には好きな人がいる。それでもよかったけれど、結婚すると聞いてこれで全部終わりだと思っていた。けれど相変わらず彼は私を呼び出す。そして、結婚式について相談してくる。一体どうして?
小説家になろう様でも投稿しています。
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる