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3 愚かな兄王
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「どうか、お元気で」
最後の挨拶に伺った時、第一王女は涙を流しながらカルロに縋り付いた。
「カルロ叔父様、どうか行かないでください。私の傍に、ずっといてください!」
「……申し訳ありません」
瑶鈴と同じ年頃の少女を引き離すことは難儀だった。
カルロは膝をついて第一王女と視線を合わせる。
「私はこれから他国の人間となりますが、何か困ったことばあれば、頼ってください。私が死んでいなければ、必ず助けるとお約束いたしましょう」
「そんな! 死ぬだなんて、おっしゃらないでください」
「すみません、言い過ぎました」
ぎゅう、と王女を抱き締めながら苦笑する。
言い過ぎではない。
「他国」ではなく「敵国」に身一つで乗り込むのだから、入国したその瞬間に狙われてもおかしくはないだろう。
ソードマスターでなければ、アルテネ国王への道は地獄逝きの一方通行だ。
そういえば、アルテネの王弟もソードマスターだったな、とカルロは思い出した。
アルテネもストラヘイムも、国王は動かずソードマスターの弟を動かすという点では非常によく似ていてる国だ。
アルテネとストラヘイムが一番激しく衝突した一年前、一度だけ戦場で遠目に見たことがある。
確かに見事な立ち回りで、兵士を鼓舞するのもとてつもなく上手かった。
総力で押し負け、最終的には撤退するしかない厳しい戦いだったが、あの時はなぜか深追いをされなかったからカルロは死地から生還することができた。
それから直ぐにアルテネから使者が送られ二国は停戦し、一年後には休戦する代わりにカルロを嫁としてアルテネに差し出すよう要請があった。
そして自国からカルロを追い出したかった兄王は、その提案に喜んで飛びついた。
自分で言うのもなんだが、貴重な戦力であるソードマスターを敵国に渡してどうするのか、と呆れてしまう。
ソードマスターは、世界に満ちるマナの原理を理解し、それを完璧に操ることのできる剣士の称号だ。
マナは気功と酷似している。
また気功の達人だったからか、カルロには蘭雪だった前世の記憶もあった。
だから当然マナの扱いのコツを掴むのが早く、この世界でも若くしてソードマスターになったカルロ。
戦場では兵士百人分の働きはするし、カルロがいるだけでストラヘイムの兵士の士気も変わる。
カルロが殺されれば、それは結局ストラヘイムの大きな戦力の損失にしかならないはずなのに。
「まぁ、今さらですね」
主人でなくとも、自分の所属する国の王が命じたのだ。
簡単に殺されるつもりはないが、自分ひとりが国から離れることで国民や第一王女殿下が少しでも安眠できるのであれば、それで良しとしよう。
カルロは考えることを放棄し、瞼を閉じた。
最後の挨拶に伺った時、第一王女は涙を流しながらカルロに縋り付いた。
「カルロ叔父様、どうか行かないでください。私の傍に、ずっといてください!」
「……申し訳ありません」
瑶鈴と同じ年頃の少女を引き離すことは難儀だった。
カルロは膝をついて第一王女と視線を合わせる。
「私はこれから他国の人間となりますが、何か困ったことばあれば、頼ってください。私が死んでいなければ、必ず助けるとお約束いたしましょう」
「そんな! 死ぬだなんて、おっしゃらないでください」
「すみません、言い過ぎました」
ぎゅう、と王女を抱き締めながら苦笑する。
言い過ぎではない。
「他国」ではなく「敵国」に身一つで乗り込むのだから、入国したその瞬間に狙われてもおかしくはないだろう。
ソードマスターでなければ、アルテネ国王への道は地獄逝きの一方通行だ。
そういえば、アルテネの王弟もソードマスターだったな、とカルロは思い出した。
アルテネもストラヘイムも、国王は動かずソードマスターの弟を動かすという点では非常によく似ていてる国だ。
アルテネとストラヘイムが一番激しく衝突した一年前、一度だけ戦場で遠目に見たことがある。
確かに見事な立ち回りで、兵士を鼓舞するのもとてつもなく上手かった。
総力で押し負け、最終的には撤退するしかない厳しい戦いだったが、あの時はなぜか深追いをされなかったからカルロは死地から生還することができた。
それから直ぐにアルテネから使者が送られ二国は停戦し、一年後には休戦する代わりにカルロを嫁としてアルテネに差し出すよう要請があった。
そして自国からカルロを追い出したかった兄王は、その提案に喜んで飛びついた。
自分で言うのもなんだが、貴重な戦力であるソードマスターを敵国に渡してどうするのか、と呆れてしまう。
ソードマスターは、世界に満ちるマナの原理を理解し、それを完璧に操ることのできる剣士の称号だ。
マナは気功と酷似している。
また気功の達人だったからか、カルロには蘭雪だった前世の記憶もあった。
だから当然マナの扱いのコツを掴むのが早く、この世界でも若くしてソードマスターになったカルロ。
戦場では兵士百人分の働きはするし、カルロがいるだけでストラヘイムの兵士の士気も変わる。
カルロが殺されれば、それは結局ストラヘイムの大きな戦力の損失にしかならないはずなのに。
「まぁ、今さらですね」
主人でなくとも、自分の所属する国の王が命じたのだ。
簡単に殺されるつもりはないが、自分ひとりが国から離れることで国民や第一王女殿下が少しでも安眠できるのであれば、それで良しとしよう。
カルロは考えることを放棄し、瞼を閉じた。
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