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初めての、お宅訪問とえっちです。
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エレベーターの中のキスで腰砕けになった私は、半ば凱逘に抱き抱えられながら部屋に入った。
「蘭ちゃん、ここに座って」
「うん」
凱逘は、玄関に私を座らせると、目の前で私の靴を片方ずつ脱がせる。
「……」
なんだろう、これ。
お姫様扱いみたいで、恥ずかしすぎる。
凱逘といると、いつも顔が赤くなる。
それが、嫌でない自分がいるのも確かで。
「凱逘……?」
凱逘は私の靴を脱がせた後、何か考え込んでいる様だった。
「ああゴメン。蘭ちゃんの脚、細くて綺麗だなって見惚れてた」
「……もうっ」
パッと凱逘の手から足を抜き、立ち上がろうとしたところに、凱逘の腕が差し伸べられる。
スマートな、動き。
それが例え、経験値によるものだったとしても。
──凱逘、好き。
私はその気持ちが伝わります様にと、ぎゅ、と凱逘の腕にしがみつく。
凱逘は微笑み返してくれた。
「……広ーい。何だか、モデルハウスみたい……」
リビングに通されて、思わずキョロキョロとしてしまう。
壁はガラス張りの面が多くて、ブラインドがあがっている今は眼下に街並みが見えた。
これは絶対、夜景が素晴らしいに違いない……!!
ダイニングテーブルはなくて、一人暮らしの凱逘は対面キッチンにあるカウンターテーブルで食事をしていそう。
「何か飲む?ジュースなら、コーラとリンゴがあるよ。温かいのなら、紅茶か緑茶」
「紅茶が嬉しいな」
「セイロン?ダージリン?アッサム?アールグレイ?」
「……違いわからないから、何でも」
「じゃあ、ダージリンで良いかな」
「うん」
凱逘の家に来て、良かった。
凱逘は紅茶が好きだと言う事がわかったから。
嬉しくてふんわり笑いながら、借りてきたDVDを準備しようとした。
リビングにはコの字型のソファが置いてあって、その中心にローテーブルが鎮座している。
……テレビ、ないよ??
部屋の片隅にパソコンデスクはあるけど、その上に乗ってるのはテレビじゃなくてやっぱりパソコンだよね?
首を傾げていると、私の足元に何かが当たる。
「きゃ」
驚いて下を見れば、それはペット……ではなく、自動掃除機だった。
「ああゴメン、毎日この時間に掃除する様に設定してるんだ」
「何だか可愛い。ツノのないカブトガニがせっせと掃除してるみたい……」
つい、目でその動きを追ってしまう。
凱逘は、そんな私を見てクスクス笑ってた。
ピンポーン、と玄関のベルが鳴り、「ちょっと待っててね」凱逘が来客の相手をしに行く。
二言三言話しているのが何となく聞こえて、凱逘は直ぐに戻ってきた。
手に、ケーキの箱を持って。
「さっき、コンシェルジュに頼んでおいたんだ」
「コンシェルジュ……?」
「エレベーター乗るところに、いた人だよ。フロントみたいなところがあったでしょ?」
「……ああ、さっきのホテルにいるみたいな人!」
私の反応にまたクスクス笑う凱逘は、何だか魔法使いみたいだ。
私みたいな子供が本当に凱逘の彼女で良いのだろうか、といつも思う。
「蘭ちゃん、確かチョコケーキが好きだったよね?」
魔法使いの凱逘は、私の大好物のベイクドチョコケーキをパッと出す。
「……うん、大好き。美味しそう……っっ!!」
「ケーキがあるから、紅茶はお砂糖なしでも大丈夫かな?」
「うん、ありがとう~」
ヤバい、幸せ過ぎる。
凱逘の入れてくれた紅茶を片手に、一口一口味わって食べる。
「凄い、濃厚……っ!瑠衣ちゃんの作ってくれるケーキと互角だなんて……っっ」
瑠衣ちゃんの趣味は、お菓子やケーキを手作りする事だ。
家計が豊かでなくて、お菓子をおねだり出来なかった時によく作ってくれた。
私がケーキの美味しさに感激してうち震えていると、「それは良かった。こっちも食べる?」と、凱逘は自分の分を指差す。
「太るから、要らない。ありがとう」と返事をすると、凱逘はさっさとそれを食べた。
……今、3口位で食べた?この人。
私が唖然としていると、「……蘭ちゃんの分だけじゃ気にするかなって、つい自分の分も用意したけど。実は甘いの苦手なんだ」と苦笑する。
そう言えば、私がパフェとか食べていても、凱逘は頼んだ事なかった。
その時は、大人の男の人だし頼むのが恥ずかしいのかな?って思ってたけど、凱逘は甘い食べ物が苦手だったらしい。
うちの兄達は全員、甘い食べ物が大好きだから、全く気付かなかった。
良かった、バレンタイン前に知る事が出来て!!
私がニマニマしていると、「こら、笑うな」と笑いながら言われた。
……凱逘、大好き。
☆☆☆
ケーキを食べ終えた私達は、借りてきたDVDを見る事にした。
……そう言えば、テレビがないんだった、この部屋。
「ああ、このボタン押せば上から降りてくるんだ」
「上?」
凱逘が、部屋の壁にあるスイッチを押すと、上からスクリーンがガラス張りの窓とソファの間にスルスルと降りてきた。
「……」
何だろう、開いた口が塞がらない。
凱逘って、お金持ちだったりするんだろうか?
いくら高校生の私でも、何となく凱逘が普通以上の暮らしを当たり前にしている事に、気付き始めた。
……この人、彼女が私で本当にいいの?
けど、私からはもう別れられない程に大好きで。
少し不安になって凱逘を見ると、凱逘は「映画館みたいで、楽しくない?」とにっこり笑う。
「……う、ん。映画館みたい」
「俺、昔からDVD見るの好きでさ。今日は蘭ちゃんと一緒に見れて、嬉しいな」
私の不安を消すかの様に、私のおでこに、ちゅ、とキスを落としてくれる。
「映画館と言えば?」
「……??」
「蘭ちゃん、映画館行かない?」
「行くよ。いつも、ポップコーンとコーラ頼むの」
「良かった、一緒だ」
凱逘はひょいと台所に消えて、直ぐにお盆を持って戻ってきた。
お盆の上には、コーラとポップコーンが乗っている。
「……甘いの苦手なのに、コーラはいいの?」
「うん。何故かコーラだけは平気」
心のメモに、凱逘の情報を書き足していく。
「俺の家には、コーラとポップコーンが常備されています」
凱逘が冗談めかして言うから、つい笑ってしまった。
そんな私を見て、凱逘は目を細める。
ああ、私もきちんと凱逘に好かれてるんだな、って思って少し安心した。
「さ、ブラインドを下げて、暗くして……ではそろそろ上映致します」
凱逘とのDVDの鑑賞会は、凄く楽しかった。
「そう言えば、今日は何時迄に帰るの?」
DVDを見終わると、凱逘が聞いてきた。
「……21時」
「そう。わかった。じゃあ、今日は夕飯食べてく?簡単なものなら、作れるし、外に食べに行ってもいいけど」
「うん」
何だか急に、ドキドキしてきた。
喉が渇いてコーラに手を伸ばすけど、そこには既に、中身がない。
「もっと飲む?」
目敏い凱逘が聞いてくれたけど、私は首を横に振った。
どうしよう。何だか落ち着かない。
処女でもないのに、ソワソワし出す。
今までソワソワするのは相手であって、私がこんな気分になる事なかったのに。
「蘭ちゃん?」
「凱逘、キスして」
「うん、いいよ」
凱逘はちゅ、と触れるだけのキスをした。
「そうじゃなくて、もっと……」
浅ましいけど、私から舌を伸ばす。
「蘭ちゃ……」
「ん、ふぅ、ん……」
仕掛けたのは私だけど、呼吸が先に上がったのも私で。
凱逘とのキスだけで、私の下半身がぐちゅり、と期待に濡れるのがわかった。
「カ、凱逘……あのね、今日は……」
「蘭ちゃん、無理しなくていいよ?蘭ちゃんは高校生なんだから、俺待てるし」
高校生なんだから、と言われてつい、頭に血が昇る。
「高校生でもっ!凱逘とシたいの!」
「蘭ちゃん……」
「処女でもないから、気にしなくて平気っ」
私が苛立ち紛れにそこまで言うと、凱逘は私の口をその唇で再び塞いだ。
「んんっ……、は、はぁ……っ」
「蘭ちゃん、処女じゃないって?」
「……うん。もう経験した事あるもん」
凱逘は私の肩に頭を落としていて、表情までは見えなかった。
「そっか……」
「凱逘?」
「蘭ちゃん、そんなに俺に抱いて欲しい?」
「……抱いて欲しいって言うか……凱逘の彼女なんだって、自信をつけたいと言うか……」
「今は、俺の彼女って気がしないの?」
「ううん、大事にされてるなぁって気はするけど……子供扱いというか、私は……女として見られてないのかな、って、思っちゃって……」
「なるほど。うん、蘭ちゃんの気持ちはわかった。不安がらせてごめんね?ただ、えっちな事すると逆に、蘭ちゃんが不安がるかと思ったんだよね」
「……なんで?」
「俺、蘭ちゃんに嘘は付きたくないから言うけど」
凱逘の前置きに、ドキリとした。
「うん……」
「俺、多分蘭ちゃんと普通にヤっても、イけないから……」
「え??」
イけないって、どういう事だろう??
「蘭ちゃんを気持ち良くさせる事なら、出来るんだよね。ただ、俺の性癖が普通じゃなくて……普通のえっちだと、多分イけない」
「そ、そうなんだ……」
他に何を言えば良いんだろう??
「それでも、良い?蘭ちゃんが不安にならないなら、するけど」
「うん、良い。したい。凱逘と、したいの」
凱逘をぎゅ、と抱き締める。
私は初めて、彼氏にえっちのおねだりを、した。
☆☆☆
「ベッドに移動しようか」
凱逘に言われて、こくりと頷く。
「あの、シャワーとかは……」
「うーん、蘭ちゃんが嫌じゃなければ、浴びて欲しくないかな」
「うん、わかった。大丈夫」
「ごめんね、ありがとう」
凱逘はにこりと笑って、ベッドへ私を誘った。
寝室に入ると、そこには大きなベッドが置いてある。
というか、ベッドしか置いてなくて、燦々と太陽の光が差し込むリビングとは真逆に、壁紙も、小さな縦型の窓に備え付けられたブラインドも、暗いカラーで統一されていた。
更に凱逘は電気を最小まで、絞ってくれる。
「蘭ちゃん、座って……服、脱がせるけど平気?」
「うん」
凱逘が私の服を、一枚一枚丁寧に剥いでいく。
恐怖でなく緊張で、最後の一枚が脱がされた時、カタカタと震えた。
「蘭ちゃん……震えてる」
震える私を労る様に、凱逘は座る私の後ろに回り込んで、背中から肩にかけてちゅ、ちゅ、とキスを何度も落としてく。
「ちょっと、寒くて」
私はシーツの中に潜り込んで、胸元までそれを引き上げた。
凱逘の両手が私の両胸に移り、ブラジャーとの間に出来た隙間に滑り込ませた。
「……んっ……」
凱逘の指先が乳首を挟み、そのまま全体を揉まれる。
凱逘の舌先は、私の首筋をつー、となぞっていた。
気持ち良くて、キスで濡れた蜜口から、更にこぷりと愛液が溢れるのを感じる。
凱逘の片手が胸からお腹へ、お腹からパンツの中に入り込んだ。
「ぁっ……」
指先が私の陰毛を掻き分け、くちゅり、と音を鳴らしながら花びらのスジを何度も行き来する。
陰毛全体がぬらぬらと濡れる位になると、凱逘の指が一本、つぷりと奥に潜り込んできた。
半年ぶり程の感覚に、腰が揺れる。
今までの彼氏達は、私が濡れているのがわかるとさっさと突っ込んできたものだけど、凱逘は違った。
潜り込ませた指を繊細に動かし、膣内を探索する。
絡んだ愛液をたまに膣の上のお豆に塗り込んでは、私の全身を痺れさせた。
何度も何度も膣を探索され、クリトリスを刺激され、私は散々鳴かされた。
何時になったら埋めて貰えるのだろうと期待しながら、凱逘の指に翻弄される。
ぷっくり膨れた花芯を、今度はたっぷり口と舌で可愛がられて、何度も絶頂させられた。
私は今日初めて、絶頂という状態を知る事が出来た。
凱逘が施してくれる愛撫は優しくて、そしてとても残酷だ。
何度イっても入れて貰えないから、最後には私から欲しがるしかなくて。
「まだまだ可愛がりたかったな」
とか言われながら凱逘が突き入れてくれた時には、散々焦らされ刺激を求めて降りた子宮が喜び過ぎて、その瞬間にもイってしまった。
ダメだ、こんなえっちを知ってしまったら──もう、凱逘以外と出来る訳が、ない。
今までのセックス、とは何だったのか。
そう思える程に、凱逘との経験は衝撃的なものだった。
「蘭ちゃん、ここに座って」
「うん」
凱逘は、玄関に私を座らせると、目の前で私の靴を片方ずつ脱がせる。
「……」
なんだろう、これ。
お姫様扱いみたいで、恥ずかしすぎる。
凱逘といると、いつも顔が赤くなる。
それが、嫌でない自分がいるのも確かで。
「凱逘……?」
凱逘は私の靴を脱がせた後、何か考え込んでいる様だった。
「ああゴメン。蘭ちゃんの脚、細くて綺麗だなって見惚れてた」
「……もうっ」
パッと凱逘の手から足を抜き、立ち上がろうとしたところに、凱逘の腕が差し伸べられる。
スマートな、動き。
それが例え、経験値によるものだったとしても。
──凱逘、好き。
私はその気持ちが伝わります様にと、ぎゅ、と凱逘の腕にしがみつく。
凱逘は微笑み返してくれた。
「……広ーい。何だか、モデルハウスみたい……」
リビングに通されて、思わずキョロキョロとしてしまう。
壁はガラス張りの面が多くて、ブラインドがあがっている今は眼下に街並みが見えた。
これは絶対、夜景が素晴らしいに違いない……!!
ダイニングテーブルはなくて、一人暮らしの凱逘は対面キッチンにあるカウンターテーブルで食事をしていそう。
「何か飲む?ジュースなら、コーラとリンゴがあるよ。温かいのなら、紅茶か緑茶」
「紅茶が嬉しいな」
「セイロン?ダージリン?アッサム?アールグレイ?」
「……違いわからないから、何でも」
「じゃあ、ダージリンで良いかな」
「うん」
凱逘の家に来て、良かった。
凱逘は紅茶が好きだと言う事がわかったから。
嬉しくてふんわり笑いながら、借りてきたDVDを準備しようとした。
リビングにはコの字型のソファが置いてあって、その中心にローテーブルが鎮座している。
……テレビ、ないよ??
部屋の片隅にパソコンデスクはあるけど、その上に乗ってるのはテレビじゃなくてやっぱりパソコンだよね?
首を傾げていると、私の足元に何かが当たる。
「きゃ」
驚いて下を見れば、それはペット……ではなく、自動掃除機だった。
「ああゴメン、毎日この時間に掃除する様に設定してるんだ」
「何だか可愛い。ツノのないカブトガニがせっせと掃除してるみたい……」
つい、目でその動きを追ってしまう。
凱逘は、そんな私を見てクスクス笑ってた。
ピンポーン、と玄関のベルが鳴り、「ちょっと待っててね」凱逘が来客の相手をしに行く。
二言三言話しているのが何となく聞こえて、凱逘は直ぐに戻ってきた。
手に、ケーキの箱を持って。
「さっき、コンシェルジュに頼んでおいたんだ」
「コンシェルジュ……?」
「エレベーター乗るところに、いた人だよ。フロントみたいなところがあったでしょ?」
「……ああ、さっきのホテルにいるみたいな人!」
私の反応にまたクスクス笑う凱逘は、何だか魔法使いみたいだ。
私みたいな子供が本当に凱逘の彼女で良いのだろうか、といつも思う。
「蘭ちゃん、確かチョコケーキが好きだったよね?」
魔法使いの凱逘は、私の大好物のベイクドチョコケーキをパッと出す。
「……うん、大好き。美味しそう……っっ!!」
「ケーキがあるから、紅茶はお砂糖なしでも大丈夫かな?」
「うん、ありがとう~」
ヤバい、幸せ過ぎる。
凱逘の入れてくれた紅茶を片手に、一口一口味わって食べる。
「凄い、濃厚……っ!瑠衣ちゃんの作ってくれるケーキと互角だなんて……っっ」
瑠衣ちゃんの趣味は、お菓子やケーキを手作りする事だ。
家計が豊かでなくて、お菓子をおねだり出来なかった時によく作ってくれた。
私がケーキの美味しさに感激してうち震えていると、「それは良かった。こっちも食べる?」と、凱逘は自分の分を指差す。
「太るから、要らない。ありがとう」と返事をすると、凱逘はさっさとそれを食べた。
……今、3口位で食べた?この人。
私が唖然としていると、「……蘭ちゃんの分だけじゃ気にするかなって、つい自分の分も用意したけど。実は甘いの苦手なんだ」と苦笑する。
そう言えば、私がパフェとか食べていても、凱逘は頼んだ事なかった。
その時は、大人の男の人だし頼むのが恥ずかしいのかな?って思ってたけど、凱逘は甘い食べ物が苦手だったらしい。
うちの兄達は全員、甘い食べ物が大好きだから、全く気付かなかった。
良かった、バレンタイン前に知る事が出来て!!
私がニマニマしていると、「こら、笑うな」と笑いながら言われた。
……凱逘、大好き。
☆☆☆
ケーキを食べ終えた私達は、借りてきたDVDを見る事にした。
……そう言えば、テレビがないんだった、この部屋。
「ああ、このボタン押せば上から降りてくるんだ」
「上?」
凱逘が、部屋の壁にあるスイッチを押すと、上からスクリーンがガラス張りの窓とソファの間にスルスルと降りてきた。
「……」
何だろう、開いた口が塞がらない。
凱逘って、お金持ちだったりするんだろうか?
いくら高校生の私でも、何となく凱逘が普通以上の暮らしを当たり前にしている事に、気付き始めた。
……この人、彼女が私で本当にいいの?
けど、私からはもう別れられない程に大好きで。
少し不安になって凱逘を見ると、凱逘は「映画館みたいで、楽しくない?」とにっこり笑う。
「……う、ん。映画館みたい」
「俺、昔からDVD見るの好きでさ。今日は蘭ちゃんと一緒に見れて、嬉しいな」
私の不安を消すかの様に、私のおでこに、ちゅ、とキスを落としてくれる。
「映画館と言えば?」
「……??」
「蘭ちゃん、映画館行かない?」
「行くよ。いつも、ポップコーンとコーラ頼むの」
「良かった、一緒だ」
凱逘はひょいと台所に消えて、直ぐにお盆を持って戻ってきた。
お盆の上には、コーラとポップコーンが乗っている。
「……甘いの苦手なのに、コーラはいいの?」
「うん。何故かコーラだけは平気」
心のメモに、凱逘の情報を書き足していく。
「俺の家には、コーラとポップコーンが常備されています」
凱逘が冗談めかして言うから、つい笑ってしまった。
そんな私を見て、凱逘は目を細める。
ああ、私もきちんと凱逘に好かれてるんだな、って思って少し安心した。
「さ、ブラインドを下げて、暗くして……ではそろそろ上映致します」
凱逘とのDVDの鑑賞会は、凄く楽しかった。
「そう言えば、今日は何時迄に帰るの?」
DVDを見終わると、凱逘が聞いてきた。
「……21時」
「そう。わかった。じゃあ、今日は夕飯食べてく?簡単なものなら、作れるし、外に食べに行ってもいいけど」
「うん」
何だか急に、ドキドキしてきた。
喉が渇いてコーラに手を伸ばすけど、そこには既に、中身がない。
「もっと飲む?」
目敏い凱逘が聞いてくれたけど、私は首を横に振った。
どうしよう。何だか落ち着かない。
処女でもないのに、ソワソワし出す。
今までソワソワするのは相手であって、私がこんな気分になる事なかったのに。
「蘭ちゃん?」
「凱逘、キスして」
「うん、いいよ」
凱逘はちゅ、と触れるだけのキスをした。
「そうじゃなくて、もっと……」
浅ましいけど、私から舌を伸ばす。
「蘭ちゃ……」
「ん、ふぅ、ん……」
仕掛けたのは私だけど、呼吸が先に上がったのも私で。
凱逘とのキスだけで、私の下半身がぐちゅり、と期待に濡れるのがわかった。
「カ、凱逘……あのね、今日は……」
「蘭ちゃん、無理しなくていいよ?蘭ちゃんは高校生なんだから、俺待てるし」
高校生なんだから、と言われてつい、頭に血が昇る。
「高校生でもっ!凱逘とシたいの!」
「蘭ちゃん……」
「処女でもないから、気にしなくて平気っ」
私が苛立ち紛れにそこまで言うと、凱逘は私の口をその唇で再び塞いだ。
「んんっ……、は、はぁ……っ」
「蘭ちゃん、処女じゃないって?」
「……うん。もう経験した事あるもん」
凱逘は私の肩に頭を落としていて、表情までは見えなかった。
「そっか……」
「凱逘?」
「蘭ちゃん、そんなに俺に抱いて欲しい?」
「……抱いて欲しいって言うか……凱逘の彼女なんだって、自信をつけたいと言うか……」
「今は、俺の彼女って気がしないの?」
「ううん、大事にされてるなぁって気はするけど……子供扱いというか、私は……女として見られてないのかな、って、思っちゃって……」
「なるほど。うん、蘭ちゃんの気持ちはわかった。不安がらせてごめんね?ただ、えっちな事すると逆に、蘭ちゃんが不安がるかと思ったんだよね」
「……なんで?」
「俺、蘭ちゃんに嘘は付きたくないから言うけど」
凱逘の前置きに、ドキリとした。
「うん……」
「俺、多分蘭ちゃんと普通にヤっても、イけないから……」
「え??」
イけないって、どういう事だろう??
「蘭ちゃんを気持ち良くさせる事なら、出来るんだよね。ただ、俺の性癖が普通じゃなくて……普通のえっちだと、多分イけない」
「そ、そうなんだ……」
他に何を言えば良いんだろう??
「それでも、良い?蘭ちゃんが不安にならないなら、するけど」
「うん、良い。したい。凱逘と、したいの」
凱逘をぎゅ、と抱き締める。
私は初めて、彼氏にえっちのおねだりを、した。
☆☆☆
「ベッドに移動しようか」
凱逘に言われて、こくりと頷く。
「あの、シャワーとかは……」
「うーん、蘭ちゃんが嫌じゃなければ、浴びて欲しくないかな」
「うん、わかった。大丈夫」
「ごめんね、ありがとう」
凱逘はにこりと笑って、ベッドへ私を誘った。
寝室に入ると、そこには大きなベッドが置いてある。
というか、ベッドしか置いてなくて、燦々と太陽の光が差し込むリビングとは真逆に、壁紙も、小さな縦型の窓に備え付けられたブラインドも、暗いカラーで統一されていた。
更に凱逘は電気を最小まで、絞ってくれる。
「蘭ちゃん、座って……服、脱がせるけど平気?」
「うん」
凱逘が私の服を、一枚一枚丁寧に剥いでいく。
恐怖でなく緊張で、最後の一枚が脱がされた時、カタカタと震えた。
「蘭ちゃん……震えてる」
震える私を労る様に、凱逘は座る私の後ろに回り込んで、背中から肩にかけてちゅ、ちゅ、とキスを何度も落としてく。
「ちょっと、寒くて」
私はシーツの中に潜り込んで、胸元までそれを引き上げた。
凱逘の両手が私の両胸に移り、ブラジャーとの間に出来た隙間に滑り込ませた。
「……んっ……」
凱逘の指先が乳首を挟み、そのまま全体を揉まれる。
凱逘の舌先は、私の首筋をつー、となぞっていた。
気持ち良くて、キスで濡れた蜜口から、更にこぷりと愛液が溢れるのを感じる。
凱逘の片手が胸からお腹へ、お腹からパンツの中に入り込んだ。
「ぁっ……」
指先が私の陰毛を掻き分け、くちゅり、と音を鳴らしながら花びらのスジを何度も行き来する。
陰毛全体がぬらぬらと濡れる位になると、凱逘の指が一本、つぷりと奥に潜り込んできた。
半年ぶり程の感覚に、腰が揺れる。
今までの彼氏達は、私が濡れているのがわかるとさっさと突っ込んできたものだけど、凱逘は違った。
潜り込ませた指を繊細に動かし、膣内を探索する。
絡んだ愛液をたまに膣の上のお豆に塗り込んでは、私の全身を痺れさせた。
何度も何度も膣を探索され、クリトリスを刺激され、私は散々鳴かされた。
何時になったら埋めて貰えるのだろうと期待しながら、凱逘の指に翻弄される。
ぷっくり膨れた花芯を、今度はたっぷり口と舌で可愛がられて、何度も絶頂させられた。
私は今日初めて、絶頂という状態を知る事が出来た。
凱逘が施してくれる愛撫は優しくて、そしてとても残酷だ。
何度イっても入れて貰えないから、最後には私から欲しがるしかなくて。
「まだまだ可愛がりたかったな」
とか言われながら凱逘が突き入れてくれた時には、散々焦らされ刺激を求めて降りた子宮が喜び過ぎて、その瞬間にもイってしまった。
ダメだ、こんなえっちを知ってしまったら──もう、凱逘以外と出来る訳が、ない。
今までのセックス、とは何だったのか。
そう思える程に、凱逘との経験は衝撃的なものだった。
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