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7 見合いとデートと身体の相性
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「ん……」
「世那、おはよう」
「はよ……」
普通に答えて、僕はぱち、と目を開けた。
あれ?
もう朝?
仕事に行かないと……!
「うわ、今何時!?」
慌ててガバっと起き上がる。
そこは見慣れない部屋だった。
極端に物が少なくて一瞬ビジネスホテルかと思ったが、ビジネスホテルの割にはベッドが大きすぎる。
そして、ビジネスホテルにはあり得ない大きさのクローゼットが存在していた。
「まだ二十二時だ。運動したからか、よく寝てたな」
清流は広げていた新聞を畳みながら、ベッド横の北欧風イージーチェアから立ち上がる。
僕の同級生で新聞を紙で読む人、初めて見たかも。
「ええと、ここって……」
「俺の家。世那のマンションはわかるけど部屋番号までは知らないし、鞄を勝手に漁るのも気が引けたんで、うちに連れて来た」
「ごめん、迷惑かけたな」
ベッドから出ようとして、驚いた。
なんで僕、裸なんだ。
「世那の服は洗濯してるから、そこにあるバスローブ使って」
「うん」
バスローブを自宅で使う人間って本当にいるんだ。
そりゃいるか。
そんなことを考えながら、フワフワの手触りを楽しみつつ袖を通す。
僕の服は、いつ乾くのだろうか。
明日は仕事だから今日中に家に帰りたいんだけど、清流の服を借りなきゃ帰れないかもしれない。
ベッドの上でもそもそバスローブを羽織っていると、僕の隣に清流が座りマットレスが軽く沈む。
顔を上げて清流を見ると、じっと何か言いたげな顔をしてこちらを見ていた。
「清流、どした?」
「なぁ世那、俺たち、お見合いしただろ?」
「? うん」
「で、今日はデートした。楽しかったって言ってたよな?」
頷きながら、内心首を捻る。
男同士でも、デートって言うのか?
「うん。あ、そうだ、お金を返さないと」
「そしたら次、結婚する前に確かめるべきことがあるよな」
「……次?」
そもそも男同士じゃ結婚できないけどな、というツッコミ待ちだろうかと思いながら、僕は枕元に置いてあったポーチに気づいて、財布を取ろうと手を伸ばす。
しかし、ポーチを手にする前に、手首をガシッと掴まれた。
「そう。つまり、身体の相性」
「なるほど。……て、んんん?」
こんな冗談を言うやつだったのか。
高校時代つるまなかったから、わからなかった。
「いやいや、ちょっと待って。まるで清流が、僕と本当のカップルになる気でいるみたいに聞こえる」
あはははは、と笑って誤魔化しながら僕の手首を掴む清流の手を引き剝がそうとする。
同じ男なのに、全然、剝がれない。
「最初から、俺は本気だ」
「ほ、本気って……つまり清流は、僕と結婚……は日本じゃ無理だから、付き合いたいってこと?」
衝撃を受けながらも、なんとか平静を装い会話を繋げた。
「ああ。生涯のパートナーになりたい」
そういえば、同性愛の人たちは相手のことをパートナーって呼ぶんだっけ?
僕は今まで関わったことのない世界を垣間見た気がした。
「えーっと、清流はゲイなの?」
「いや、バイだ。世那が好きなんだ……ずっと、前から」
え、ずっと前からって……高校時代からってこと?
「僕のこと、めちゃくちゃ睨んでなかったっけ?」
ピアス盛りだくさんの金髪ヤンキーから、親の仇のような鋭い眼光を向けられましたけど!?
視力もいいはずだし、実は目が悪くて……なんて少女漫画のようなベタな展開はないだろう。
告白されたにもかかわらず、納得いかない。
僕の唇は自然ととんがる。
清流は微笑みながらそんな僕の唇をつんつんと人差し指でつついて、素直に謝った。
「確かに睨んでたかもな、悪かった。あの頃は何にイラついているのか、自分自身でもわからなかったんだ。厳格で頭でっかちな父親に育てられた俺は、中学の半ばからわかりやすくグレて反抗期に入ってて……」
清流はそこから、少しだけ当時の話をしてくれた。
「世那、おはよう」
「はよ……」
普通に答えて、僕はぱち、と目を開けた。
あれ?
もう朝?
仕事に行かないと……!
「うわ、今何時!?」
慌ててガバっと起き上がる。
そこは見慣れない部屋だった。
極端に物が少なくて一瞬ビジネスホテルかと思ったが、ビジネスホテルの割にはベッドが大きすぎる。
そして、ビジネスホテルにはあり得ない大きさのクローゼットが存在していた。
「まだ二十二時だ。運動したからか、よく寝てたな」
清流は広げていた新聞を畳みながら、ベッド横の北欧風イージーチェアから立ち上がる。
僕の同級生で新聞を紙で読む人、初めて見たかも。
「ええと、ここって……」
「俺の家。世那のマンションはわかるけど部屋番号までは知らないし、鞄を勝手に漁るのも気が引けたんで、うちに連れて来た」
「ごめん、迷惑かけたな」
ベッドから出ようとして、驚いた。
なんで僕、裸なんだ。
「世那の服は洗濯してるから、そこにあるバスローブ使って」
「うん」
バスローブを自宅で使う人間って本当にいるんだ。
そりゃいるか。
そんなことを考えながら、フワフワの手触りを楽しみつつ袖を通す。
僕の服は、いつ乾くのだろうか。
明日は仕事だから今日中に家に帰りたいんだけど、清流の服を借りなきゃ帰れないかもしれない。
ベッドの上でもそもそバスローブを羽織っていると、僕の隣に清流が座りマットレスが軽く沈む。
顔を上げて清流を見ると、じっと何か言いたげな顔をしてこちらを見ていた。
「清流、どした?」
「なぁ世那、俺たち、お見合いしただろ?」
「? うん」
「で、今日はデートした。楽しかったって言ってたよな?」
頷きながら、内心首を捻る。
男同士でも、デートって言うのか?
「うん。あ、そうだ、お金を返さないと」
「そしたら次、結婚する前に確かめるべきことがあるよな」
「……次?」
そもそも男同士じゃ結婚できないけどな、というツッコミ待ちだろうかと思いながら、僕は枕元に置いてあったポーチに気づいて、財布を取ろうと手を伸ばす。
しかし、ポーチを手にする前に、手首をガシッと掴まれた。
「そう。つまり、身体の相性」
「なるほど。……て、んんん?」
こんな冗談を言うやつだったのか。
高校時代つるまなかったから、わからなかった。
「いやいや、ちょっと待って。まるで清流が、僕と本当のカップルになる気でいるみたいに聞こえる」
あはははは、と笑って誤魔化しながら僕の手首を掴む清流の手を引き剝がそうとする。
同じ男なのに、全然、剝がれない。
「最初から、俺は本気だ」
「ほ、本気って……つまり清流は、僕と結婚……は日本じゃ無理だから、付き合いたいってこと?」
衝撃を受けながらも、なんとか平静を装い会話を繋げた。
「ああ。生涯のパートナーになりたい」
そういえば、同性愛の人たちは相手のことをパートナーって呼ぶんだっけ?
僕は今まで関わったことのない世界を垣間見た気がした。
「えーっと、清流はゲイなの?」
「いや、バイだ。世那が好きなんだ……ずっと、前から」
え、ずっと前からって……高校時代からってこと?
「僕のこと、めちゃくちゃ睨んでなかったっけ?」
ピアス盛りだくさんの金髪ヤンキーから、親の仇のような鋭い眼光を向けられましたけど!?
視力もいいはずだし、実は目が悪くて……なんて少女漫画のようなベタな展開はないだろう。
告白されたにもかかわらず、納得いかない。
僕の唇は自然ととんがる。
清流は微笑みながらそんな僕の唇をつんつんと人差し指でつついて、素直に謝った。
「確かに睨んでたかもな、悪かった。あの頃は何にイラついているのか、自分自身でもわからなかったんだ。厳格で頭でっかちな父親に育てられた俺は、中学の半ばからわかりやすくグレて反抗期に入ってて……」
清流はそこから、少しだけ当時の話をしてくれた。
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