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後
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「それじゃあ明後日、各委員会の集まりがある筈だから、各自きちんと出席する様に。いいなー?」
はーい、とクラスメイトがまばらに返事をする中、私は机に突っ伏していた。
「同じ図書委員だね。よろしく、わ…木本さん」
「和光君、よろしく~」
突っ伏していた理由は、これだ。
何故冒険しないんだ、ヒロインの私。
実行委員でも風紀委員でも美化委員でもやって、金髪や青髪や赤髪とプラグをぶすぶす差せば良かったのに!
何の為に女神様?に私がこのゲームのストーリーを体験させて頂いたんだか、わかりゃしない。
けど。
キラキラ王子も、ギラギラ不良も多分私は受け付けられない。
まだ会ってないのに言っては悪いが、恐らく小悪魔後輩も「なんだコイツ」と感じる事だろう。
だって、小悪魔後輩は上目遣いで「なぁに、木本先輩って…ボクの事、好きなの?」とか。「ボク、先輩とならペア組んでもいいかもぉ♪」とか言う台詞がある。
実際に言われたら、「キモい」の一言に尽きる…
キラキラ王子は距離感掴めない馴れ馴れしい人。
ギラギラ不良はガキの愛情表現しか出来ない面倒な何様。
小悪魔後輩はうふふ、とリアルに笑いそうなキモいキャラ。
ああああ……駄目だわ、こりゃ。
ヒロインになってすら、脇役の道を歩みたい願望しかない。
そんな私に、疑似でも彼氏なんぞ出来る訳がない。
まぁ、最も無理だと思ったから主人公の友人に立候補しようとしたのだけど。
ヒロインとヒーローのラブラブな空気を少しお裾分けしてもらう位で、十分お腹いっぱいになった筈なのに。
あのせっかちな女神様?が人の話を最後まで聞かずにヒロインにしてしまったから仕方がない。
胸キュンプラグを全て差さなかったら、ノーマルエンディングになるのかな?そうだろうな。
よし、ここはひとつ高校での青春の謳歌は諦めて、大学で垢抜けようじゃないか。
ならば、する事はただひとつ!
勉強だ勉強!!
結局私は、必要以上に攻略対象者達と接触する事なく、現実の高校二年生と寸分違わぬ生活を送る事にしたのだった。
★★★
━━のだが。
「なぁ、茉央。この問題わかる?」
「えーと、どれどれ…?あ、それね。えと、ここは少し引っ掛け問題でね……この選択肢だと、thatなら無難に思うだろうけど、こっちが……」
「成る程」
「あ、和光君。この答えってこれであってる?」
「……開。名前で呼んでって言ったろ?」
「……えと、開……」
「ん。どれ?」
「この問題……」
何故か。
何故か、ヒーロー達とは全く関係ないところでほんのちょっぴり青春の謳歌をしている。
今は、高校二年生の二学期に入ったところ。
(うちの高校は、三学期制だ。)
私と和光君は、本来図書委員で接点はあったものの、お互いに好きな本を読み耽るだけの間柄だった。
現実世界では、沢山話はしたけどずっと名字で呼びあってたし、少し世間話をする位の関係。
それが、私がいつ目が覚めても勉強だけはついていける様に、受験勉強なんかを図書カウンターでし始めた事をきっかけに、和光君とその日の宿題を一緒に終わらせる間柄となり、一緒に本屋まで参考書を買いに行く間柄となり、その参考書を貸し借りする間柄となり、果ては勉強仲間として休みの日にまで会う間柄となり。
夏休みの間もマクドナルドや図書館で一緒に勉強してたけど、とうとう「お互い自転車だし、家で勉強やろうよ」とお家にお呼ばれされる間柄になってしまった。
私は和光君にどんどん惹かれていったし、多少の淡いトキメキは感じている。
だけど、和光君は私の事をどう思っているのかはわからない。
仲の良いクラスメイト?なのか、親友?なのか、私の事を少しは異性として見ているのか。
少なくとも、嫌われてはいない、と思う。
この世界の事は、全て偽りで、現実の高校三年生である私は和光君とクラスも別れて全く話すらしない。
和光君の隣は居心地が良すぎて、何故現実の私は高校二年生から受験勉強をしなかったのかと、口惜しい気持ちになる。
和光君の肘が触れるか、触れないかの横並びの距離。
和光君のノートと私のノートがくっつきそうな、対面の距離。
そんな距離を詰めたく思う度、「これは夢だ」と思い直して頭を冷ます。心は冷える。
和光君は、私の気持ちも知らずにその垣根を壊していく。
目が合えば、綺麗に目を細めて笑い掛ける。
他のクラスメイトの目も気にせずに、平気でお昼ご飯を一緒に食べる。
好きな本、CD、DVD、参考書の貸し借りは当たり前。
帰りも家まで送ってくれるのも、いつの間にか当たり前になって。
私が少しでも困っていれば、すぐに助けてくれて。
「……茉央?まーお??」
はっ、と気付けば目の前に和光君の顔。
おでこがぶつかりそうなその距離に、「きゃ」と自分らしくない悲鳴をあげて、思わず体を仰け反った。
ゴン!!
「いったぁ~~~………」
「ごめん、驚かせて。頭ぶつけたね、痛い?見せて?」
「だ、大丈夫……」
そっと私の後頭部を撫でる和光君の大きな手。
「……こぶは出来てないみたいだけど……冷やす物、取ってくるよ」
和光君の大きな手が離れていく。
私は思わず、その手を握りしめていた。
「大丈夫だよ、ありがとう」
無理。
無理だよ、好きにならない様にするのは。
目にじわりと涙が浮かぶ。
「茉央……」
ちゅ、と音がした。
★★★
え?
え?
ええ??
「茉央、可愛い。ポカーンとしてる」
「い、いいい今……」
「ごめん、キスしちゃった。…嫌だった?」
私は思い切り首を左右に振る。
「ファーストキス……」
「俺も」
「そうなの?」
「うん。そう。茉央が、俺の初恋」
「っ……!!」
「茉央、好きだ」
私も、好き。
そう言いたい。
けど、これは
「夢、だ……」
「夢じゃないよ?」
「ううん、夢なの」
きっぱり言い切った私に、和光君は、少し困った顔をした。
「じゃあ、夢でいい。触っても、良い?」
コクンと頷く。
詰めたい、と思っていた距離。
それをあっさり無いものとする彼。
好き。私も、好きなの。
眼を閉じて、和光君の手の平の感触を胸で感じる。
「……なんで、泣いてるの?」
「え……?」
知らないうちに、頬に涙が一筋通っていた。
「嫌だった?」
「ううん、嫌じゃない」
もっと触って欲しい。
目が覚めても、和光君のぬくもりを思い出せる位に━━
★★★
夢の中だけど、初めて他人と身体を繋げた。
夢の中だけど、凄く痛くて。
私の顔に、沢山のキスを降らせながら、「茉央、可愛い。大好きだ」と沢山の愛を囁きながら、慎重に慎重に和光君は私の中に手探りで挿入してきた。
「茉央、力抜ける?」
「初めてだから、無理だよぉ」
「俺も初めてだから、直ぐイッちゃいそう」
お互い目を合わせて、フフ、と笑う。
「あ、駄目、和光君。おっきくしないで」
「……開、って呼んで」
「開、おっきくすると痛いよ」
「……茉央がそういう可愛い事言うから、おっきくなんの」
「え、私のせい?」
「うん。茉央のおかげ」
お互い初めて同士なのに、軽口言い合って。
気持ち良くはならなかったし、ただひたすら痛かったけど。
私の心は、羽根の様に舞い上がっていた。
★★★
「あっ……!あ、あんっ……!!」
「茉央、すげー気持ちい、好きだ、よ?」
「開ぃ、私、も、好き、好きぃ」
ぱちゅんぱちゅんと私のぬかるみが水音をたて、その音が私達の気持ちを更に昂らせる。
ぐりぐり、と慣れた様に私の子宮を開の亀頭が押し広げ、私はそれによって腰から痺れが全身に広がった。
「それ、ダメ、イッちゃうよぉ……っっ!!」
「可愛い、茉央のイキ顔、見せて?」
開は私を見つめながら、腰を押さえていた手を離して乳首をクニクニと弄び、その先端を更に舐めた。
「あうんっ!!あ、は、ぁあ………っっ」
「気持ちい?茉央のオマンコ、締まったね」
胸からの刺激で、膣がきゅきゅ、と開の肉棒を締め付ける。
「も、ダメ、ダメ……………!!」
ぐちゅ、ぐちゅう!!
開がそのタイミングでクリトリスを押し潰す様に腰をスライドさせ、私は達してしまった。
ぬぶ!ぬぶ!ぬぶ!
「あ、イッた、から、待ってぇ……」
痙攣する体を、開は更に攻め立てる。
「だめ。今の、膣イキじゃなくてクリイキだろ?もっと気持ち良くしてやらないと」
十分だったが、私が膣でイケる様になってからというもの、彼は膣でイクまでその手を緩める事はなかった。
「俺じゃないと、ダメにしてやるから……っっ」
今、私達は卒業を間近に控えている。
高校三年生では、私は開と違うクラスの筈だったが、何故かキラキラ王子とギラギラ不良とあわせて開も同じクラスの設定だった。親友のあかりは、現実世界と同じく違うクラスになっていた。
私も開も、お互い大学受験には合格したが、それぞれ違う大学を希望した為、大学ではバラバラだ。
そのせいか、最近の開は、会う度に私の躰を獣の様に貪り尽くした。
そんな開の気持ちは、まるで溺愛されている様で、ますます私を夢中にさせる。
「開、開……愛して、る……!!」
「俺も……!茉央、愛してる!!」
最近の私達の、イク時の台詞は、いつも互いへの告白だった。
まるで、お互いがこの時間に限りがある事を知っているかの様に━━━
★★★
「……お、茉央!!目が覚めたのね!!」
「ねーちゃん!!良かった!良かったああああ!!!」
病院のベッドで横たわる私の視界に、黒髪の母と弟の顔が入ってきた。
「一週間も、一週間も意識がなかったのよ、茉央……!!」
「俺、とーちゃんに連絡してくる!!」
私は、眼から溢れてくる涙が止められなかった。
夢が、終わったんだ……
卒業式の途中で、私の意識はなくなった。
開に、別れを言えずに……
開……開……!!
私の様子に気付いた看護師さんが、そっと母に声を掛けた。
「渡辺さん、患者様はまだ本調子ではないので……」
「あ、そうですよね。すみません、大きな声を出して……」
そして、私にも声を掛けた。
「茉央さん、どこか痛いところとかありませんか?」
「……大丈夫です……」
痛いのは、切り裂かれそうなのは、体じゃなくて心だ。
「では今、ドクターを連れて来ますね。安静にしてて下さい」
病室には、私と母だけが残された。
薄ピンクの髪である私と母に対してあんなに違和感があったのに、二年も見れば慣れるものだったんだな、と黒髪の母を見て思う。
黒髪の母は、頭が重たそうに見えたから。
「あっ…、そうだわ、茉央が目覚めた事、和光さんにもお伝えしないと…!!ちょっと茉央、「和光さんって?」
母の会話を遮り、離れていこうとするその腕を握って聞いた。
「茉央……どこから説明すれば良いのかしら。貴女は、交通事故で一週間眠っていたの。貴女を助けようとして一緒に轢かれた和光君という同級生もね。二人とも、救急車で運び込まれた時、殆ど外傷はなかったと聞いていたのに、なかなか目が覚めなくて…ついさっき、和光君が目覚めたと、和光君のお母様から連絡があって。慌てて駆け付けてきたら、貴女も目が覚めたのよ。だから、和光さんにも貴女の事をお伝えしなくちゃならないわ。少し待ってて貰えるかしら?」
その時だった。
コンコン。
私の病室がノックされる。
母が、「はい」と答えれば、「失礼します」と検査着を着た開が立っていて、驚きに眼を見張る。その後ろに、母と同じ位の年齢の女性と、看護師さんが気遣わしげに控えていて、「少しだけですよ!」と開に注意していたのが聞こえた。
「具合はどう?……大丈夫か?」
「え、と……うん」
開に、抱き付きたい。けど、この現実世界では、その距離感はおかしいんだ。
私はシーツをぎゅ、と握った。
「今、お母さんから、か…和光君が、私を事故から助けてくれたって聞いたところなの……本当に、ありがとう」
私はゆっくりと頭を下げた。
私の世界が暗転する前に聞いた、「あぶない!」という声は、開のものだったんだ。
「茉央さん、目が覚めて、本当に良かったわ…。息子が、人を助ける事が出来て、本当に嬉しく思うの」
だから頭をあげて?と優しく開のお母さんから言われて、そっと頭をあげる。
夢の世界で何度も開の家には行ったけど、バリバリキャリアウーマンで一度もお会いした事はなかった。
開のお母さんは、私と同じく目に涙を溜めて、何度も頷いた。
開のお母さんから開へと向き直れば、私を見つめる、優しい開の瞳と視線が交わる。
……勘違い、しそう。
夢の中でも、私が開を見る度に、この澄んだ眼が優しく細められていたから。そして、「茉央、好きだよ」って言ってくれた。
「渡辺さんも、これからドクターが診られますから、和光君、そろそろ検査に行きましょう?」
「はい。安心しました、ありがとうございました」
看護師さんが、和光君を連れて行こうとする。
「あの、」
開は振り向いてくれたけど、言葉が出ない。
「……あ、の……」
「茉央。また後で」
驚いた私を置いて、開は今度こそ病室から出て行った。
★★★
「ごめんなさいねぇ、貴方と女のコ、轢かれる予定じゃなかったんだけどぉ。意識が戻るまで、もーちょっと時間が掛かるみたい~」
「そうですか」
「暇だろうからぁ、少しだけ貴方がヒーローになる夢を見させてあげるわよぉ?」
「結構です」
「あら、そぅお?ハーレム築く夢とかも見られるのにぃ…好きなAV女優とかいるなら、相手役も出来るわよぉ?」
「興味ないんで」
「つまんないわねぇ。ま、いいなら良いわ~。仕事が一つ減るだけだしぃ」
「……待って下さい」
「ん~?なぁにぃ?」
「彼女は?」
「?」
「彼女は、どんな夢を見るんですか?」
「んーと、恋愛ゲーム?のヒロインにさせてあげたわよぉ?」
「……同じ夢で」
「ん~?」
「彼女が見ている夢を、俺にも見させて下さい。いや、登場させて下さい」
「ヒーロー役になるのぉ?」
「いえ。俺のままで……クラスメイトとか。出来ますか?」
「今回の夢の設定なら、簡単よぉ」
「では、それでお願いします」
「じゃ、いってらっしゃ~い。……頑張ってねぇ♪」
渡辺の名前が、木本になっていた。
髪は、桃色。
制服も、何故か違う。
だが。
彼女は、そのままだった。
目立つ事が苦手で、誰にでも公平で、普段はちょっと困った様に笑うけど、親友の君佐木さんと話すときだけは真っ白い八重歯を見せて笑う。
直ぐに好きになったのに、俺がヘタレで友人以上になれなかった高校二年生の一年間。
距離を詰めて、君の心を手に入れよう。
今度こそ━━━
はーい、とクラスメイトがまばらに返事をする中、私は机に突っ伏していた。
「同じ図書委員だね。よろしく、わ…木本さん」
「和光君、よろしく~」
突っ伏していた理由は、これだ。
何故冒険しないんだ、ヒロインの私。
実行委員でも風紀委員でも美化委員でもやって、金髪や青髪や赤髪とプラグをぶすぶす差せば良かったのに!
何の為に女神様?に私がこのゲームのストーリーを体験させて頂いたんだか、わかりゃしない。
けど。
キラキラ王子も、ギラギラ不良も多分私は受け付けられない。
まだ会ってないのに言っては悪いが、恐らく小悪魔後輩も「なんだコイツ」と感じる事だろう。
だって、小悪魔後輩は上目遣いで「なぁに、木本先輩って…ボクの事、好きなの?」とか。「ボク、先輩とならペア組んでもいいかもぉ♪」とか言う台詞がある。
実際に言われたら、「キモい」の一言に尽きる…
キラキラ王子は距離感掴めない馴れ馴れしい人。
ギラギラ不良はガキの愛情表現しか出来ない面倒な何様。
小悪魔後輩はうふふ、とリアルに笑いそうなキモいキャラ。
ああああ……駄目だわ、こりゃ。
ヒロインになってすら、脇役の道を歩みたい願望しかない。
そんな私に、疑似でも彼氏なんぞ出来る訳がない。
まぁ、最も無理だと思ったから主人公の友人に立候補しようとしたのだけど。
ヒロインとヒーローのラブラブな空気を少しお裾分けしてもらう位で、十分お腹いっぱいになった筈なのに。
あのせっかちな女神様?が人の話を最後まで聞かずにヒロインにしてしまったから仕方がない。
胸キュンプラグを全て差さなかったら、ノーマルエンディングになるのかな?そうだろうな。
よし、ここはひとつ高校での青春の謳歌は諦めて、大学で垢抜けようじゃないか。
ならば、する事はただひとつ!
勉強だ勉強!!
結局私は、必要以上に攻略対象者達と接触する事なく、現実の高校二年生と寸分違わぬ生活を送る事にしたのだった。
★★★
━━のだが。
「なぁ、茉央。この問題わかる?」
「えーと、どれどれ…?あ、それね。えと、ここは少し引っ掛け問題でね……この選択肢だと、thatなら無難に思うだろうけど、こっちが……」
「成る程」
「あ、和光君。この答えってこれであってる?」
「……開。名前で呼んでって言ったろ?」
「……えと、開……」
「ん。どれ?」
「この問題……」
何故か。
何故か、ヒーロー達とは全く関係ないところでほんのちょっぴり青春の謳歌をしている。
今は、高校二年生の二学期に入ったところ。
(うちの高校は、三学期制だ。)
私と和光君は、本来図書委員で接点はあったものの、お互いに好きな本を読み耽るだけの間柄だった。
現実世界では、沢山話はしたけどずっと名字で呼びあってたし、少し世間話をする位の関係。
それが、私がいつ目が覚めても勉強だけはついていける様に、受験勉強なんかを図書カウンターでし始めた事をきっかけに、和光君とその日の宿題を一緒に終わらせる間柄となり、一緒に本屋まで参考書を買いに行く間柄となり、その参考書を貸し借りする間柄となり、果ては勉強仲間として休みの日にまで会う間柄となり。
夏休みの間もマクドナルドや図書館で一緒に勉強してたけど、とうとう「お互い自転車だし、家で勉強やろうよ」とお家にお呼ばれされる間柄になってしまった。
私は和光君にどんどん惹かれていったし、多少の淡いトキメキは感じている。
だけど、和光君は私の事をどう思っているのかはわからない。
仲の良いクラスメイト?なのか、親友?なのか、私の事を少しは異性として見ているのか。
少なくとも、嫌われてはいない、と思う。
この世界の事は、全て偽りで、現実の高校三年生である私は和光君とクラスも別れて全く話すらしない。
和光君の隣は居心地が良すぎて、何故現実の私は高校二年生から受験勉強をしなかったのかと、口惜しい気持ちになる。
和光君の肘が触れるか、触れないかの横並びの距離。
和光君のノートと私のノートがくっつきそうな、対面の距離。
そんな距離を詰めたく思う度、「これは夢だ」と思い直して頭を冷ます。心は冷える。
和光君は、私の気持ちも知らずにその垣根を壊していく。
目が合えば、綺麗に目を細めて笑い掛ける。
他のクラスメイトの目も気にせずに、平気でお昼ご飯を一緒に食べる。
好きな本、CD、DVD、参考書の貸し借りは当たり前。
帰りも家まで送ってくれるのも、いつの間にか当たり前になって。
私が少しでも困っていれば、すぐに助けてくれて。
「……茉央?まーお??」
はっ、と気付けば目の前に和光君の顔。
おでこがぶつかりそうなその距離に、「きゃ」と自分らしくない悲鳴をあげて、思わず体を仰け反った。
ゴン!!
「いったぁ~~~………」
「ごめん、驚かせて。頭ぶつけたね、痛い?見せて?」
「だ、大丈夫……」
そっと私の後頭部を撫でる和光君の大きな手。
「……こぶは出来てないみたいだけど……冷やす物、取ってくるよ」
和光君の大きな手が離れていく。
私は思わず、その手を握りしめていた。
「大丈夫だよ、ありがとう」
無理。
無理だよ、好きにならない様にするのは。
目にじわりと涙が浮かぶ。
「茉央……」
ちゅ、と音がした。
★★★
え?
え?
ええ??
「茉央、可愛い。ポカーンとしてる」
「い、いいい今……」
「ごめん、キスしちゃった。…嫌だった?」
私は思い切り首を左右に振る。
「ファーストキス……」
「俺も」
「そうなの?」
「うん。そう。茉央が、俺の初恋」
「っ……!!」
「茉央、好きだ」
私も、好き。
そう言いたい。
けど、これは
「夢、だ……」
「夢じゃないよ?」
「ううん、夢なの」
きっぱり言い切った私に、和光君は、少し困った顔をした。
「じゃあ、夢でいい。触っても、良い?」
コクンと頷く。
詰めたい、と思っていた距離。
それをあっさり無いものとする彼。
好き。私も、好きなの。
眼を閉じて、和光君の手の平の感触を胸で感じる。
「……なんで、泣いてるの?」
「え……?」
知らないうちに、頬に涙が一筋通っていた。
「嫌だった?」
「ううん、嫌じゃない」
もっと触って欲しい。
目が覚めても、和光君のぬくもりを思い出せる位に━━
★★★
夢の中だけど、初めて他人と身体を繋げた。
夢の中だけど、凄く痛くて。
私の顔に、沢山のキスを降らせながら、「茉央、可愛い。大好きだ」と沢山の愛を囁きながら、慎重に慎重に和光君は私の中に手探りで挿入してきた。
「茉央、力抜ける?」
「初めてだから、無理だよぉ」
「俺も初めてだから、直ぐイッちゃいそう」
お互い目を合わせて、フフ、と笑う。
「あ、駄目、和光君。おっきくしないで」
「……開、って呼んで」
「開、おっきくすると痛いよ」
「……茉央がそういう可愛い事言うから、おっきくなんの」
「え、私のせい?」
「うん。茉央のおかげ」
お互い初めて同士なのに、軽口言い合って。
気持ち良くはならなかったし、ただひたすら痛かったけど。
私の心は、羽根の様に舞い上がっていた。
★★★
「あっ……!あ、あんっ……!!」
「茉央、すげー気持ちい、好きだ、よ?」
「開ぃ、私、も、好き、好きぃ」
ぱちゅんぱちゅんと私のぬかるみが水音をたて、その音が私達の気持ちを更に昂らせる。
ぐりぐり、と慣れた様に私の子宮を開の亀頭が押し広げ、私はそれによって腰から痺れが全身に広がった。
「それ、ダメ、イッちゃうよぉ……っっ!!」
「可愛い、茉央のイキ顔、見せて?」
開は私を見つめながら、腰を押さえていた手を離して乳首をクニクニと弄び、その先端を更に舐めた。
「あうんっ!!あ、は、ぁあ………っっ」
「気持ちい?茉央のオマンコ、締まったね」
胸からの刺激で、膣がきゅきゅ、と開の肉棒を締め付ける。
「も、ダメ、ダメ……………!!」
ぐちゅ、ぐちゅう!!
開がそのタイミングでクリトリスを押し潰す様に腰をスライドさせ、私は達してしまった。
ぬぶ!ぬぶ!ぬぶ!
「あ、イッた、から、待ってぇ……」
痙攣する体を、開は更に攻め立てる。
「だめ。今の、膣イキじゃなくてクリイキだろ?もっと気持ち良くしてやらないと」
十分だったが、私が膣でイケる様になってからというもの、彼は膣でイクまでその手を緩める事はなかった。
「俺じゃないと、ダメにしてやるから……っっ」
今、私達は卒業を間近に控えている。
高校三年生では、私は開と違うクラスの筈だったが、何故かキラキラ王子とギラギラ不良とあわせて開も同じクラスの設定だった。親友のあかりは、現実世界と同じく違うクラスになっていた。
私も開も、お互い大学受験には合格したが、それぞれ違う大学を希望した為、大学ではバラバラだ。
そのせいか、最近の開は、会う度に私の躰を獣の様に貪り尽くした。
そんな開の気持ちは、まるで溺愛されている様で、ますます私を夢中にさせる。
「開、開……愛して、る……!!」
「俺も……!茉央、愛してる!!」
最近の私達の、イク時の台詞は、いつも互いへの告白だった。
まるで、お互いがこの時間に限りがある事を知っているかの様に━━━
★★★
「……お、茉央!!目が覚めたのね!!」
「ねーちゃん!!良かった!良かったああああ!!!」
病院のベッドで横たわる私の視界に、黒髪の母と弟の顔が入ってきた。
「一週間も、一週間も意識がなかったのよ、茉央……!!」
「俺、とーちゃんに連絡してくる!!」
私は、眼から溢れてくる涙が止められなかった。
夢が、終わったんだ……
卒業式の途中で、私の意識はなくなった。
開に、別れを言えずに……
開……開……!!
私の様子に気付いた看護師さんが、そっと母に声を掛けた。
「渡辺さん、患者様はまだ本調子ではないので……」
「あ、そうですよね。すみません、大きな声を出して……」
そして、私にも声を掛けた。
「茉央さん、どこか痛いところとかありませんか?」
「……大丈夫です……」
痛いのは、切り裂かれそうなのは、体じゃなくて心だ。
「では今、ドクターを連れて来ますね。安静にしてて下さい」
病室には、私と母だけが残された。
薄ピンクの髪である私と母に対してあんなに違和感があったのに、二年も見れば慣れるものだったんだな、と黒髪の母を見て思う。
黒髪の母は、頭が重たそうに見えたから。
「あっ…、そうだわ、茉央が目覚めた事、和光さんにもお伝えしないと…!!ちょっと茉央、「和光さんって?」
母の会話を遮り、離れていこうとするその腕を握って聞いた。
「茉央……どこから説明すれば良いのかしら。貴女は、交通事故で一週間眠っていたの。貴女を助けようとして一緒に轢かれた和光君という同級生もね。二人とも、救急車で運び込まれた時、殆ど外傷はなかったと聞いていたのに、なかなか目が覚めなくて…ついさっき、和光君が目覚めたと、和光君のお母様から連絡があって。慌てて駆け付けてきたら、貴女も目が覚めたのよ。だから、和光さんにも貴女の事をお伝えしなくちゃならないわ。少し待ってて貰えるかしら?」
その時だった。
コンコン。
私の病室がノックされる。
母が、「はい」と答えれば、「失礼します」と検査着を着た開が立っていて、驚きに眼を見張る。その後ろに、母と同じ位の年齢の女性と、看護師さんが気遣わしげに控えていて、「少しだけですよ!」と開に注意していたのが聞こえた。
「具合はどう?……大丈夫か?」
「え、と……うん」
開に、抱き付きたい。けど、この現実世界では、その距離感はおかしいんだ。
私はシーツをぎゅ、と握った。
「今、お母さんから、か…和光君が、私を事故から助けてくれたって聞いたところなの……本当に、ありがとう」
私はゆっくりと頭を下げた。
私の世界が暗転する前に聞いた、「あぶない!」という声は、開のものだったんだ。
「茉央さん、目が覚めて、本当に良かったわ…。息子が、人を助ける事が出来て、本当に嬉しく思うの」
だから頭をあげて?と優しく開のお母さんから言われて、そっと頭をあげる。
夢の世界で何度も開の家には行ったけど、バリバリキャリアウーマンで一度もお会いした事はなかった。
開のお母さんは、私と同じく目に涙を溜めて、何度も頷いた。
開のお母さんから開へと向き直れば、私を見つめる、優しい開の瞳と視線が交わる。
……勘違い、しそう。
夢の中でも、私が開を見る度に、この澄んだ眼が優しく細められていたから。そして、「茉央、好きだよ」って言ってくれた。
「渡辺さんも、これからドクターが診られますから、和光君、そろそろ検査に行きましょう?」
「はい。安心しました、ありがとうございました」
看護師さんが、和光君を連れて行こうとする。
「あの、」
開は振り向いてくれたけど、言葉が出ない。
「……あ、の……」
「茉央。また後で」
驚いた私を置いて、開は今度こそ病室から出て行った。
★★★
「ごめんなさいねぇ、貴方と女のコ、轢かれる予定じゃなかったんだけどぉ。意識が戻るまで、もーちょっと時間が掛かるみたい~」
「そうですか」
「暇だろうからぁ、少しだけ貴方がヒーローになる夢を見させてあげるわよぉ?」
「結構です」
「あら、そぅお?ハーレム築く夢とかも見られるのにぃ…好きなAV女優とかいるなら、相手役も出来るわよぉ?」
「興味ないんで」
「つまんないわねぇ。ま、いいなら良いわ~。仕事が一つ減るだけだしぃ」
「……待って下さい」
「ん~?なぁにぃ?」
「彼女は?」
「?」
「彼女は、どんな夢を見るんですか?」
「んーと、恋愛ゲーム?のヒロインにさせてあげたわよぉ?」
「……同じ夢で」
「ん~?」
「彼女が見ている夢を、俺にも見させて下さい。いや、登場させて下さい」
「ヒーロー役になるのぉ?」
「いえ。俺のままで……クラスメイトとか。出来ますか?」
「今回の夢の設定なら、簡単よぉ」
「では、それでお願いします」
「じゃ、いってらっしゃ~い。……頑張ってねぇ♪」
渡辺の名前が、木本になっていた。
髪は、桃色。
制服も、何故か違う。
だが。
彼女は、そのままだった。
目立つ事が苦手で、誰にでも公平で、普段はちょっと困った様に笑うけど、親友の君佐木さんと話すときだけは真っ白い八重歯を見せて笑う。
直ぐに好きになったのに、俺がヘタレで友人以上になれなかった高校二年生の一年間。
距離を詰めて、君の心を手に入れよう。
今度こそ━━━
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どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
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