乙女ゲームのヒロインになりましたが、ヒーロー達が微妙です。

イセヤ レキ

文字の大きさ
2 / 2

しおりを挟む
「それじゃあ明後日、各委員会の集まりがある筈だから、各自きちんと出席する様に。いいなー?」
はーい、とクラスメイトがまばらに返事をする中、私は机に突っ伏していた。

「同じ図書委員だね。よろしく、わ…木本さん」
「和光君、よろしく~」

突っ伏していた理由は、これだ。
何故冒険しないんだ、ヒロインの私。

実行委員でも風紀委員でも美化委員でもやって、金髪や青髪や赤髪とプラグをぶすぶす差せば良かったのに!
何の為に女神様?に私がこのゲームのストーリーを体験させて頂いたんだか、わかりゃしない。


けど。
キラキラ王子も、ギラギラ不良も多分私は受け付けられない。
まだ会ってないのに言っては悪いが、恐らく小悪魔後輩も「なんだコイツ」と感じる事だろう。

だって、小悪魔後輩は上目遣いで「なぁに、木本先輩って…ボクの事、好きなの?」とか。「ボク、先輩とならペア組んでもいいかもぉ♪」とか言う台詞がある。
実際に言われたら、「キモい」の一言に尽きる…


キラキラ王子は距離感掴めない馴れ馴れしい人。
ギラギラ不良はガキの愛情表現しか出来ない面倒な何様。
小悪魔後輩はうふふ、とリアルに笑いそうなキモいキャラ。


ああああ……駄目だわ、こりゃ。
ヒロインになってすら、脇役の道を歩みたい願望しかない。
そんな私に、疑似でも彼氏なんぞ出来る訳がない。
まぁ、最も無理だと思ったから主人公の友人に立候補しようとしたのだけど。
ヒロインとヒーローのラブラブな空気を少しお裾分けしてもらう位で、十分お腹いっぱいになった筈なのに。
あのせっかちな女神様?が人の話を最後まで聞かずにヒロインにしてしまったから仕方がない。

胸キュンプラグを全て差さなかったら、ノーマルエンディングになるのかな?そうだろうな。
よし、ここはひとつ高校での青春の謳歌は諦めて、大学で垢抜けようじゃないか。

ならば、する事はただひとつ!
勉強だ勉強!!


結局私は、必要以上に攻略対象者達と接触する事なく、現実の高校二年生と寸分たがわぬ生活を送る事にしたのだった。





★★★





━━のだが。
「なぁ、茉央。この問題わかる?」
「えーと、どれどれ…?あ、それね。えと、ここは少し引っ掛け問題でね……この選択肢だと、thatなら無難に思うだろうけど、こっちが……」
「成る程」
「あ、和光君。この答えってこれであってる?」
「……かい。名前で呼んでって言ったろ?」
「……えと、開……」
「ん。どれ?」
「この問題……」


何故か。
何故か、ヒーロー達とは全く関係ないところでほんのちょっぴり青春の謳歌をしている。

今は、高校二年生の二学期に入ったところ。
(うちの高校は、三学期制だ。)

私と和光君は、本来図書委員で接点はあったものの、お互いに好きな本を読み耽るだけの間柄だった。
現実世界では、沢山話はしたけどずっと名字で呼びあってたし、少し世間話をする位の関係。


それが、私がいつ目が覚めても勉強だけはついていける様に、受験勉強なんかを図書カウンターでし始めた事をきっかけに、和光君とその日の宿題を一緒に終わらせる間柄となり、一緒に本屋まで参考書を買いに行く間柄となり、その参考書を貸し借りする間柄となり、果ては勉強仲間として休みの日にまで会う間柄となり。

夏休みの間もマクドナルドや図書館で一緒に勉強してたけど、とうとう「お互い自転車だし、うちで勉強やろうよ」とお家にお呼ばれされる間柄になってしまった。


私は和光君にどんどん惹かれていったし、多少の淡いトキメキは感じている。
だけど、和光君は私の事をどう思っているのかはわからない。
仲の良いクラスメイト?なのか、親友?なのか、私の事を少しは異性として見ているのか。
少なくとも、嫌われてはいない、と思う。

この世界の事は、全て偽りで、現実の高校三年生である私は和光君とクラスも別れて全く話すらしない。
和光君の隣は居心地が良すぎて、何故現実の私は高校二年生から受験勉強をしなかったのかと、口惜しい気持ちになる。


和光君の肘が触れるか、触れないかの横並びの距離。
和光君のノートと私のノートがくっつきそうな、対面の距離。
そんな距離を詰めたく思う度、「これは夢だ」と思い直して頭を冷ます。心は冷える。


和光君は、私の気持ちも知らずにその垣根を壊していく。
目が合えば、綺麗に目を細めて笑い掛ける。
他のクラスメイトの目も気にせずに、平気でお昼ご飯を一緒に食べる。
好きな本、CD、DVD、参考書の貸し借りは当たり前。
帰りも家まで送ってくれるのも、いつの間にか当たり前になって。
私が少しでも困っていれば、すぐに助けてくれて。



「……茉央?まーお??」
はっ、と気付けば目の前に和光君の顔。
おでこがぶつかりそうなその距離に、「きゃ」と自分らしくない悲鳴をあげて、思わず体を仰け反った。


ゴン!!

「いったぁ~~~………」
「ごめん、驚かせて。頭ぶつけたね、痛い?見せて?」
「だ、大丈夫……」
そっと私の後頭部を撫でる和光君の大きな手。
「……こぶは出来てないみたいだけど……冷やす物、取ってくるよ」
和光君の大きな手が離れていく。
私は思わず、その手を握りしめていた。
「大丈夫だよ、ありがとう」


無理。
無理だよ、好きにならない様にするのは。
目にじわりと涙が浮かぶ。

「茉央……」

ちゅ、と音がした。




★★★




え?
え?
ええ??

「茉央、可愛い。ポカーンとしてる」
「い、いいい今……」
「ごめん、キスしちゃった。…嫌だった?」
私は思い切り首を左右に振る。

「ファーストキス……」
「俺も」
「そうなの?」
「うん。そう。茉央が、俺の初恋」
「っ……!!」
「茉央、好きだ」

私も、好き。
そう言いたい。
けど、これは

「夢、だ……」
「夢じゃないよ?」
「ううん、夢なの」

きっぱり言い切った私に、和光君は、少し困った顔をした。
「じゃあ、夢でいい。触っても、い?」
コクンと頷く。
詰めたい、と思っていた距離。
それをあっさり無いものとする彼。

好き。私も、好きなの。

眼を閉じて、和光君の手の平の感触を胸で感じる。

「……なんで、泣いてるの?」
「え……?」

知らないうちに、頬に涙が一筋通っていた。

「嫌だった?」
「ううん、嫌じゃない」

もっと触って欲しい。
目が覚めても、和光君のぬくもりを思い出せる位に━━





★★★




夢の中だけど、初めて他人と身体を繋げた。
夢の中だけど、凄く痛くて。
私の顔に、沢山のキスを降らせながら、「茉央、可愛い。大好きだ」と沢山の愛を囁きながら、慎重に慎重に和光君は私の中に手探りで挿入しはいってきた。

「茉央、力抜ける?」
「初めてだから、無理だよぉ」
「俺も初めてだから、直ぐイッちゃいそう」

お互い目を合わせて、フフ、と笑う。

「あ、駄目、和光君。おっきくしないで」
「……開、って呼んで」
「開、おっきくすると痛いよ」
「……茉央がそういう可愛い事言うから、おっきくなんの」
「え、私のせい?」
「うん。茉央のおかげ」

お互い初めて同士なのに、軽口言い合って。
気持ち良くはならなかったし、ただひたすら痛かったけど。

私の心は、羽根の様に舞い上がっていた。





★★★





「あっ……!あ、あんっ……!!」
「茉央、すげー気持ちい、好きだ、よ?」
「開ぃ、私、も、好き、好きぃ」
ぱちゅんぱちゅんと私のぬかるみが水音をたて、その音が私達の気持ちを更に昂らせる。
ぐりぐり、と慣れた様に私の子宮を開の亀頭が押し広げ、私はそれによって腰から痺れが全身に広がった。
「それ、ダメ、イッちゃうよぉ……っっ!!」
「可愛い、茉央のイキ顔、見せて?」

開は私を見つめながら、腰を押さえていた手を離して乳首をクニクニと弄び、その先端を更に舐めた。

「あうんっ!!あ、は、ぁあ………っっ」
「気持ちい?茉央のオマンコ、締まったね」

胸からの刺激で、膣がきゅきゅ、と開の肉棒を締め付ける。

「も、ダメ、ダメ……………!!」
ぐちゅ、ぐちゅう!!
開がそのタイミングでクリトリスを押し潰す様に腰をスライドさせ、私は達してしまった。

ぬぶ!ぬぶ!ぬぶ!

「あ、イッた、から、待ってぇ……」
痙攣する体を、開は更に攻め立てる。
「だめ。今の、膣イキじゃなくてクリイキだろ?もっと気持ち良くしてやらないと」

十分だったが、私がなかでイケる様になってからというもの、彼は膣でイクまでその手を緩める事はなかった。

「俺じゃないと、ダメにしてやるから……っっ」

今、私達は卒業を間近に控えている。
高校三年生では、私は開と違うクラスの筈だったが、何故かキラキラ王子とギラギラ不良とあわせて開も同じクラスの設定だった。親友のあかりは、現実世界と同じく違うクラスになっていた。

私も開も、お互い大学受験には合格したが、それぞれ違う大学を希望した為、大学ではバラバラだ。

そのせいか、最近の開は、会う度に私の躰を獣の様に貪り尽くした。
そんな開の気持ちは、まるで溺愛されている様で、ますます私を夢中にさせる。

「開、開……愛して、る……!!」
「俺も……!茉央、愛してる!!」

最近の私達の、イク時の台詞は、いつも互いへの告白だった。
まるで、お互いがこの時間に限りがある事を知っているかの様に━━━





★★★





「……お、茉央!!目が覚めたのね!!」
「ねーちゃん!!良かった!良かったああああ!!!」

病院のベッドで横たわる私の視界に、黒髪の母と弟の顔が入ってきた。

「一週間も、一週間も意識がなかったのよ、茉央……!!」
「俺、とーちゃんに連絡してくる!!」

私は、眼から溢れてくる涙が止められなかった。

夢が、終わったんだ……


卒業式の途中で、私の意識はなくなった。
開に、別れを言えずに……

開……開……!!


私の様子に気付いた看護師さんが、そっと母に声を掛けた。
「渡辺さん、患者様はまだ本調子ではないので……」
「あ、そうですよね。すみません、大きな声を出して……」
そして、私にも声を掛けた。
「茉央さん、どこか痛いところとかありませんか?」
「……大丈夫です……」
痛いのは、切り裂かれそうなのは、体じゃなくて心だ。
「では今、ドクターを連れて来ますね。安静にしてて下さい」

病室には、私と母だけが残された。
薄ピンクの髪である私と母に対してあんなに違和感があったのに、二年も見れば慣れるものだったんだな、と黒髪の母を見て思う。
黒髪の母は、頭が重たそうに見えたから。


「あっ…、そうだわ、茉央が目覚めた事、和光さんにもお伝えしないと…!!ちょっと茉央、「和光さんって?」

母の会話を遮り、離れていこうとするその腕を握って聞いた。

「茉央……どこから説明すれば良いのかしら。貴女は、交通事故で一週間眠っていたの。貴女を助けようとして一緒に轢かれた和光君という同級生もね。二人とも、救急車で運び込まれた時、殆ど外傷はなかったと聞いていたのに、なかなか目が覚めなくて…ついさっき、和光君が目覚めたと、和光君のお母様から連絡があって。慌てて駆け付けてきたら、貴女も目が覚めたのよ。だから、和光さんにも貴女の事をお伝えしなくちゃならないわ。少し待ってて貰えるかしら?」

その時だった。

コンコン。

私の病室がノックされる。
母が、「はい」と答えれば、「失礼します」と検査着を着た開が立っていて、驚きに眼を見張る。その後ろに、母と同じ位の年齢の女性と、看護師さんが気遣わしげに控えていて、「少しだけですよ!」と開に注意していたのが聞こえた。

「具合はどう?……大丈夫か?」
「え、と……うん」

開に、抱き付きたい。けど、この現実世界では、その距離感はおかしいんだ。
私はシーツをぎゅ、と握った。

「今、お母さんから、か…和光君が、私を事故から助けてくれたって聞いたところなの……本当に、ありがとう」

私はゆっくりと頭を下げた。
私の世界が暗転する前に聞いた、「あぶない!」という声は、開のものだったんだ。

「茉央さん、目が覚めて、本当に良かったわ…。息子が、人を助ける事が出来て、本当に嬉しく思うの」
だから頭をあげて?と優しく開のお母さんから言われて、そっと頭をあげる。
夢の世界で何度も開の家には行ったけど、バリバリキャリアウーマンで一度もお会いした事はなかった。
開のお母さんは、私と同じく目に涙を溜めて、何度も頷いた。


開のお母さんから開へと向き直れば、私を見つめる、優しい開の瞳と視線が交わる。

……勘違い、しそう。
夢の中でも、私が開を見る度に、この澄んだ眼が優しく細められていたから。そして、「茉央、好きだよ」って言ってくれた。


「渡辺さんも、これからドクターが診られますから、和光君、そろそろ検査に行きましょう?」
「はい。安心しました、ありがとうございました」

看護師さんが、和光君を連れて行こうとする。

「あの、」
開は振り向いてくれたけど、言葉が出ない。
「……あ、の……」
茉央・・。また後で」

驚いた私を置いて、開は今度こそ病室から出て行った。





★★★





「ごめんなさいねぇ、貴方と女のコ、轢かれる予定じゃなかったんだけどぉ。意識が戻るまで、もーちょっと時間が掛かるみたい~」
「そうですか」
「暇だろうからぁ、少しだけ貴方がヒーローになる夢を見させてあげるわよぉ?」
「結構です」
「あら、そぅお?ハーレム築く夢とかも見られるのにぃ…好きなAV女優とかいるなら、相手役も出来るわよぉ?」
「興味ないんで」
「つまんないわねぇ。ま、いいなら良いわ~。仕事が一つ減るだけだしぃ」
「……待って下さい」
「ん~?なぁにぃ?」
「彼女は?」
「?」
「彼女は、どんな夢を見るんですか?」
「んーと、恋愛ゲーム?のヒロインにさせてあげたわよぉ?」
「……同じ夢で」
「ん~?」
「彼女が見ている夢を、俺にも見させて下さい。いや、登場させて下さい」
「ヒーロー役になるのぉ?」
「いえ。俺のままで……クラスメイトとか。出来ますか?」
「今回の夢の設定なら、簡単よぉ」
「では、それでお願いします」
「じゃ、いってらっしゃ~い。……頑張ってねぇ♪」




渡辺の名前が、木本になっていた。
髪は、桃色。
制服も、何故か違う。

だが。
彼女は、そのままだった。
目立つ事が苦手で、誰にでも公平で、普段はちょっと困った様に笑うけど、親友の君佐木きみさきさんと話すときだけは真っ白い八重歯を見せて笑う。




直ぐに好きになったのに、俺がヘタレで友人以上になれなかった高校二年生の一年間。
距離を詰めて、君の心を手に入れよう。


今度こそ━━━
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた

鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。 焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。 このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。 エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。 「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」 「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」 「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」 ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。 ※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。 ※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【完結まで執筆済み】筋肉が語る男、冷徹と噂される騎士団長レオン・バルクハルト。 ――そんな彼が、ある日突然、婚約破棄されたという噂が城下に広まった。 「……えっ、それってめっちゃ美味しい展開じゃない!?」 破天荒で豪快な令嬢、ミレイア・グランシェリは思った。 重度の“筋肉フェチ”で料理上手、○○なのに自由すぎる彼女が取った行動は──まさかの自ら押しかけ!? 騎士団で巻き起こる爆笑と騒動、そして、不器用なふたりの距離は少しずつ近づいていく。 これは、筋肉を愛し、胃袋を掴み、心まで溶かす姉御ヒロインが、 推しの騎士団長を全力で幸せにするまでの、ときめきと笑いと“ざまぁ”の物語。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます

久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」 大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。 彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。 しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。 失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。 彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。 「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。 蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。 地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。 そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。 これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。 数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...