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第一章 出会い(囲い込み)編
1
可もなく不可もない、フツメン。
それが、この度めでたく私がゴールインする事になった相手の印象だ。
山田良。
名前も普通。中肉中背。髪の毛は少しくせ毛で、安い床屋で散髪をすます。
特に目立つ容姿でも、眼鏡などのアクセントもなく、醤油顔。
性格は穏やか。けれども時にはくだらないことで喧嘩もする。
タバコは吸わない、酒も飲まない。
唯一の趣味は山登りだそうで、地元の登山サークルに入っており、私とのデートのない休みは専ら山に登っているらしい。
うん、素晴らしい。完璧だ。
対する私、戸枝希嵐羅。
脳内メルヘンな別世界に住む母親の元に生まれた定めとして、とんでもないキラキラネームを付けられたのが、運のツキ。
外国人とのロマンスに憧れた母親がワンナイトラブで作ってしまった私は当然ハーフで、幸か不幸か名前負けしない派手な顔をしている。
よく外国人から話し掛けられるが、英語は話せない。
地毛が茶色い……というより金髪に近いから、よく素行が悪い子供と間違えられる。
街を歩けば不良に絡まれるか夜の店にスカウトされるか、酷いと「一晩いくら?」と聞かれる。
更に全く嬉しくないモデルのような背の高さを手に入れ、中高とバスケ部やバレーボール部からの勧誘が凄かった。
因みに運動音痴。
つまり、本人の意思に関係なく、昔から無駄に目立った。
私は顔が派手なだけの、中身はごくごく普通な女なのに。
だから、私は常日頃から思うんだ。
普通って大事。
普通が一番。
そんな私は、普通の高校に行って、身の丈に合う普通の大学に入った。
その大学で出会ったのが、良ちゃん……私の旦那様になる人だ。
私達の出会いは、たまたま選んだゼミが一緒だったところからスタートする。
将来にそこまでの夢も希望も見出せず、何となく自分の偏差値で決めた大学、何となく無難な学科と思えた経済学研究科・経済学部。
大学三年生から専攻するゼミが開始し、私はインターネットと経済の研究に特化するそのゼミを選択した人達の中で、唯一の知り合いである友人を待っていた。
人見知りが激しい訳ではないけれども、急に和気あいあいと話せる程のコミュニケーション能力を私は持ってはいない。
だから知らない人の中で、極力目立たないように教室の隅に座り、事前に購入したその教授の本をパラパラと捲って眺めていた。
「戸枝さん、隣座っていいかな?」
「あっ……」
声を掛けられ、私が顔をあげるとそこには私の知らない男の人の顔。
高校までは席が決まっていたからこんな風に話し掛けられる事はなかったけれど、大学になって自由に席を選べるようになってからは、多々あった。
……何で、私に声を掛けてくるのだろう。他にも沢山、席は空いているのに……。
そうは思っても、自分は相手を知らないのに相手は私の名前まで知っている。断ったら相手に悪い印象を与えてしまうかも、と思うと言葉が口から出てこない。
ゼミは、卒業までの二年間メンバー固定ですすめられる為、あまり問題を起こしたくなかった。
それでも、やはり隣には友人に座って欲しくて、私は懸命に口を開こうとする。
「あの、」
「ごめんキララ~!待った~?」
「繭ちゃん!」
私の視界にやっと友人が登場し、私は安堵でホッとする。
「それじゃあ、俺はここで」
「あんがとねー、山田君!これからよろしく!」
「ん」
私の友人の繭ちゃんは、ゼミ開始時間の結構ギリギリ前に男の人と二人で入室してきた。
その男性は目が合った私にぺこりとお辞儀だけすると、他の席の知り合いらしいメンバーに声を掛けて着席する。
その、グイグイこない適度な距離感は、私をホッとさせた。
やっぱり、初対面の人ってこんな感じが普通だよ、ね?
そんな事を考えているうちに、気付けば私に声を掛けてきた人は、友人の登場により私の隣の席は諦めてくれたのか、斜め前の席に座る事にしたようだ。そして無事に、友人である繭ちゃんが私の隣に来た。
繭ちゃんは、大学一年生から知り合った友人で、とても明るく知り合いの多い子だ。フレンドリーで、誰とでも直ぐに仲良くなれるタイプの子。本人は自分をオタクだと言うけれど、彼女の周りには類は友を呼ぶ、以外にも様々な人達が集まってくる。
「随分ぎりぎりだったけど、どうかしたの?」
私は彼女の為に席に置いておいた荷物をどかしながら、疑問に思って聞いた。
「あー、普通に迷子。前の授業でサークルの先輩に頼まれた物を普段行かない棟まで運んでたら、凄く入り組んでて戻れなくなっちゃってさ」
「そうだったんだ。大変だったね、お疲れ様、繭ちゃん」
「うん。本当、途中で山田君に会って助かったよ~。初日から遅刻したら流石に先生の心証マイナススタートだろうからさぁ」
繭ちゃんそう言ったタイミングで、ゼミの教授が入室した。
「始めるぞー、皆揃ってるかー」
はーい、と私を含め、皆が返事をした。
それが、この度めでたく私がゴールインする事になった相手の印象だ。
山田良。
名前も普通。中肉中背。髪の毛は少しくせ毛で、安い床屋で散髪をすます。
特に目立つ容姿でも、眼鏡などのアクセントもなく、醤油顔。
性格は穏やか。けれども時にはくだらないことで喧嘩もする。
タバコは吸わない、酒も飲まない。
唯一の趣味は山登りだそうで、地元の登山サークルに入っており、私とのデートのない休みは専ら山に登っているらしい。
うん、素晴らしい。完璧だ。
対する私、戸枝希嵐羅。
脳内メルヘンな別世界に住む母親の元に生まれた定めとして、とんでもないキラキラネームを付けられたのが、運のツキ。
外国人とのロマンスに憧れた母親がワンナイトラブで作ってしまった私は当然ハーフで、幸か不幸か名前負けしない派手な顔をしている。
よく外国人から話し掛けられるが、英語は話せない。
地毛が茶色い……というより金髪に近いから、よく素行が悪い子供と間違えられる。
街を歩けば不良に絡まれるか夜の店にスカウトされるか、酷いと「一晩いくら?」と聞かれる。
更に全く嬉しくないモデルのような背の高さを手に入れ、中高とバスケ部やバレーボール部からの勧誘が凄かった。
因みに運動音痴。
つまり、本人の意思に関係なく、昔から無駄に目立った。
私は顔が派手なだけの、中身はごくごく普通な女なのに。
だから、私は常日頃から思うんだ。
普通って大事。
普通が一番。
そんな私は、普通の高校に行って、身の丈に合う普通の大学に入った。
その大学で出会ったのが、良ちゃん……私の旦那様になる人だ。
私達の出会いは、たまたま選んだゼミが一緒だったところからスタートする。
将来にそこまでの夢も希望も見出せず、何となく自分の偏差値で決めた大学、何となく無難な学科と思えた経済学研究科・経済学部。
大学三年生から専攻するゼミが開始し、私はインターネットと経済の研究に特化するそのゼミを選択した人達の中で、唯一の知り合いである友人を待っていた。
人見知りが激しい訳ではないけれども、急に和気あいあいと話せる程のコミュニケーション能力を私は持ってはいない。
だから知らない人の中で、極力目立たないように教室の隅に座り、事前に購入したその教授の本をパラパラと捲って眺めていた。
「戸枝さん、隣座っていいかな?」
「あっ……」
声を掛けられ、私が顔をあげるとそこには私の知らない男の人の顔。
高校までは席が決まっていたからこんな風に話し掛けられる事はなかったけれど、大学になって自由に席を選べるようになってからは、多々あった。
……何で、私に声を掛けてくるのだろう。他にも沢山、席は空いているのに……。
そうは思っても、自分は相手を知らないのに相手は私の名前まで知っている。断ったら相手に悪い印象を与えてしまうかも、と思うと言葉が口から出てこない。
ゼミは、卒業までの二年間メンバー固定ですすめられる為、あまり問題を起こしたくなかった。
それでも、やはり隣には友人に座って欲しくて、私は懸命に口を開こうとする。
「あの、」
「ごめんキララ~!待った~?」
「繭ちゃん!」
私の視界にやっと友人が登場し、私は安堵でホッとする。
「それじゃあ、俺はここで」
「あんがとねー、山田君!これからよろしく!」
「ん」
私の友人の繭ちゃんは、ゼミ開始時間の結構ギリギリ前に男の人と二人で入室してきた。
その男性は目が合った私にぺこりとお辞儀だけすると、他の席の知り合いらしいメンバーに声を掛けて着席する。
その、グイグイこない適度な距離感は、私をホッとさせた。
やっぱり、初対面の人ってこんな感じが普通だよ、ね?
そんな事を考えているうちに、気付けば私に声を掛けてきた人は、友人の登場により私の隣の席は諦めてくれたのか、斜め前の席に座る事にしたようだ。そして無事に、友人である繭ちゃんが私の隣に来た。
繭ちゃんは、大学一年生から知り合った友人で、とても明るく知り合いの多い子だ。フレンドリーで、誰とでも直ぐに仲良くなれるタイプの子。本人は自分をオタクだと言うけれど、彼女の周りには類は友を呼ぶ、以外にも様々な人達が集まってくる。
「随分ぎりぎりだったけど、どうかしたの?」
私は彼女の為に席に置いておいた荷物をどかしながら、疑問に思って聞いた。
「あー、普通に迷子。前の授業でサークルの先輩に頼まれた物を普段行かない棟まで運んでたら、凄く入り組んでて戻れなくなっちゃってさ」
「そうだったんだ。大変だったね、お疲れ様、繭ちゃん」
「うん。本当、途中で山田君に会って助かったよ~。初日から遅刻したら流石に先生の心証マイナススタートだろうからさぁ」
繭ちゃんそう言ったタイミングで、ゼミの教授が入室した。
「始めるぞー、皆揃ってるかー」
はーい、と私を含め、皆が返事をした。
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