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エピローグ
エピローグ
「キララ……釣った魚はフツメンとは程遠かったね……何だか責任感じるわぁ……」
新居に遊びに行くね、と約束していた繭ちゃんは、何だかんだで都合がつかず、結局新居から更に新しいマンションに引っ越ししてからの約束になってしまった。
繭ちゃんを駅まで迎えに行って、一緒に自宅まで案内したのだけど……終始ポカン、という表現が一番似合う表情で家の中まで着いてきてくれた。
で、ソファに座るなり良ちゃんについて質問攻めに合い、わかる限りで丁寧に答えて……繭ちゃんは先程の言葉を発した。
「え?繭ちゃんには感謝してるよ!?良ちゃんと会わせてくれて、本当にありがとう」
繭ちゃんの発言に驚きながら、私はばかでかい冷蔵庫からケーキを取り出す。
「でもキララ、どう考えても……囲われてない?」
繭ちゃんに言われて、「確かにねぇ」と私は頷く。
基本的に外出を必要としない生活だ。冷蔵庫の中のものが空になれば、自動で注文が飛ぶから、スーパーにすら行かないでも済む。
でも、決して外出を禁止されている訳ではないので、自由を奪われたという気はしない。友達と外で会うのも勿論自由だ。
「いやいや、会うのは自由でも送迎付きでしょ!?」
ドン引きの繭ちゃんに、あはは、と私は笑う。
因みに駅までは雨にも濡れずに済む直通の通路があるので、今回繭ちゃんとの待ち合わせには一人で向かい、行き帰り徒歩二分の外出となる。
「良ちゃんが働いている間は私も一人になれるし、外に行く時は一人より良ちゃんと一緒の方が良いからさ。普通とはちょっと……いやかなりかけ離れた生活になったけど、幸せではあるからさ」
「キララが大丈夫なら、それで良いんだけどさ~!」
繭ちゃんはアウトドア派で、イベントや舞台が予定の大半を占めている人だ。家には寝に帰る、を実践している人だから私の生活がイメージし辛いのだろう。
「それより繭ちゃん、結婚式の招待状ありがとう」
私がお礼を言うと、
「山田君に伝えておいて、披露宴では山田君の実家より良い物は出せませんって」
繭ちゃんは口を尖らせて言った。
「ふふふ、そんなこと心配しなくても大丈夫だよ。良ちゃん、私と付き合っていた時、沢山ジャンクフードも食べていたから」
「……それは、キララに合わせていただけなような……」
「私に合わせてくれる人だから、私の大切な繭ちゃんに合わせない訳がないよ」
良ちゃんは、そういう人だ。
「なら心配することなかったね!ご馳走様ーっ!!」
「繭ちゃん、まだケーキ残ってるけど」
「……私、そんなキララが好き」
「うん?私も繭ちゃん好きだよ」
それから一日、たっぷり繭ちゃんとおしゃべりを楽しんだ。
始めは「このソファいくらよ!?」とか言っていた繭ちゃんも、帰る頃にはゴロゴロと寝そべる程度に慣れてくれて、また遊びに来るという約束もしてくれた。
このマンションの施設は住民と一緒であれば誰でも利用出来るから、それが次来た時のお楽しみらしい。
帰りも駅まで送り、「じゃ、山田君にもよろしく伝えといて~」と言って繭ちゃんは去って行った。
「でね、繭ちゃん元々美人だったけど……幸せオーラが出ててね、益々綺麗になってたよ。良ちゃんによろしくって言ってた」
「そうなんだ。楽しい時間が過ごせて良かったね」
良ちゃんは、ちゅ、と私の頬にキスを落とす。胸がふんわりと温かくなり、幸福感に包まれた。
「それで、こっちの報告はしたの?」
良ちゃんは大事そうに、私のお腹に手を当てる。
「ううん、今日は繭ちゃんの結婚式とか、旦那様になる人の話とかしか聞いてないよ。まだ2ヶ月だし……安定期に入ったら報告しようかと思ってるけど」
「そっか。うん、それがいいね」
良ちゃんは、私のお腹に当てた手をゆっくりゆっくり優しく撫でた。
「キララ、幸せ?」
「勿論、幸せだよ」
私の夢は、普通の幸せ。
私は、普通に結婚して、普通に子供を生んで、普通に家事育児して……そして、普通に老後を送るんだ。
旦那様だけ、ちょっと普通じゃなかったけど。
時々不安そうに、私が幸せなのかどうか聞いてくる心配性なフツメン顔の愛しい人に、私は安心させる為のキスをした──。
新居に遊びに行くね、と約束していた繭ちゃんは、何だかんだで都合がつかず、結局新居から更に新しいマンションに引っ越ししてからの約束になってしまった。
繭ちゃんを駅まで迎えに行って、一緒に自宅まで案内したのだけど……終始ポカン、という表現が一番似合う表情で家の中まで着いてきてくれた。
で、ソファに座るなり良ちゃんについて質問攻めに合い、わかる限りで丁寧に答えて……繭ちゃんは先程の言葉を発した。
「え?繭ちゃんには感謝してるよ!?良ちゃんと会わせてくれて、本当にありがとう」
繭ちゃんの発言に驚きながら、私はばかでかい冷蔵庫からケーキを取り出す。
「でもキララ、どう考えても……囲われてない?」
繭ちゃんに言われて、「確かにねぇ」と私は頷く。
基本的に外出を必要としない生活だ。冷蔵庫の中のものが空になれば、自動で注文が飛ぶから、スーパーにすら行かないでも済む。
でも、決して外出を禁止されている訳ではないので、自由を奪われたという気はしない。友達と外で会うのも勿論自由だ。
「いやいや、会うのは自由でも送迎付きでしょ!?」
ドン引きの繭ちゃんに、あはは、と私は笑う。
因みに駅までは雨にも濡れずに済む直通の通路があるので、今回繭ちゃんとの待ち合わせには一人で向かい、行き帰り徒歩二分の外出となる。
「良ちゃんが働いている間は私も一人になれるし、外に行く時は一人より良ちゃんと一緒の方が良いからさ。普通とはちょっと……いやかなりかけ離れた生活になったけど、幸せではあるからさ」
「キララが大丈夫なら、それで良いんだけどさ~!」
繭ちゃんはアウトドア派で、イベントや舞台が予定の大半を占めている人だ。家には寝に帰る、を実践している人だから私の生活がイメージし辛いのだろう。
「それより繭ちゃん、結婚式の招待状ありがとう」
私がお礼を言うと、
「山田君に伝えておいて、披露宴では山田君の実家より良い物は出せませんって」
繭ちゃんは口を尖らせて言った。
「ふふふ、そんなこと心配しなくても大丈夫だよ。良ちゃん、私と付き合っていた時、沢山ジャンクフードも食べていたから」
「……それは、キララに合わせていただけなような……」
「私に合わせてくれる人だから、私の大切な繭ちゃんに合わせない訳がないよ」
良ちゃんは、そういう人だ。
「なら心配することなかったね!ご馳走様ーっ!!」
「繭ちゃん、まだケーキ残ってるけど」
「……私、そんなキララが好き」
「うん?私も繭ちゃん好きだよ」
それから一日、たっぷり繭ちゃんとおしゃべりを楽しんだ。
始めは「このソファいくらよ!?」とか言っていた繭ちゃんも、帰る頃にはゴロゴロと寝そべる程度に慣れてくれて、また遊びに来るという約束もしてくれた。
このマンションの施設は住民と一緒であれば誰でも利用出来るから、それが次来た時のお楽しみらしい。
帰りも駅まで送り、「じゃ、山田君にもよろしく伝えといて~」と言って繭ちゃんは去って行った。
「でね、繭ちゃん元々美人だったけど……幸せオーラが出ててね、益々綺麗になってたよ。良ちゃんによろしくって言ってた」
「そうなんだ。楽しい時間が過ごせて良かったね」
良ちゃんは、ちゅ、と私の頬にキスを落とす。胸がふんわりと温かくなり、幸福感に包まれた。
「それで、こっちの報告はしたの?」
良ちゃんは大事そうに、私のお腹に手を当てる。
「ううん、今日は繭ちゃんの結婚式とか、旦那様になる人の話とかしか聞いてないよ。まだ2ヶ月だし……安定期に入ったら報告しようかと思ってるけど」
「そっか。うん、それがいいね」
良ちゃんは、私のお腹に当てた手をゆっくりゆっくり優しく撫でた。
「キララ、幸せ?」
「勿論、幸せだよ」
私の夢は、普通の幸せ。
私は、普通に結婚して、普通に子供を生んで、普通に家事育児して……そして、普通に老後を送るんだ。
旦那様だけ、ちょっと普通じゃなかったけど。
時々不安そうに、私が幸せなのかどうか聞いてくる心配性なフツメン顔の愛しい人に、私は安心させる為のキスをした──。
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