度を越えたシスコン共は花嫁をチェンジする

イセヤ レキ

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「サラ、お前の嫁ぎ先が決まった」
「はぁ、そうですか…え?ええっ!?」

その爆弾は、家族揃った夕餉の席にて投下された。

「父上、明日のスケジュールみたいに言うから危うく聞き逃すところでしたよ…えと、私が婿に?」
「違う。お前が嫁に、だ」
「誰がそんな奇特な願いを?」
「ルクセンのサージス殿だ」
「…は?…いや、それはないでしょう」
「いや、事実だ」

私はここにきて、くだんのサージス殿と交流のある弟をみやる。
弟は、無表情でも確実にこくりと首を縦にふった。


「明日は天変地異が起こるに違いない…」
「ん?何だ?」
「いえ、何でも。私は騎士の仕事に就いていますが、それについては先方は何と?」
「続けて良いらしい」
「はぁ…」


おかしい。
先日だって、たまたま王城で顔を合わせた際には「貴女はまだそんなモノを握っているのですか、嘆かわしい。ガルダー侯爵が不憫だ」とサージスはのたまったのだ。


サージスには、目の中に入れても痛くない程可愛がっている妹がいて、彼女が理想の女性であると公言までしている。
美しく長い銀糸の様な髪にサファイアの様な青い瞳の美青年なのだが、痛いヤツだ。

その妹…ユリアナは、確かに女性のお手本の様なで、素直で愛らしく、見た目も性格もそれはそれは可愛らしい。

そんなサージスが私を嫁にとは…?
何か裏がありそうだが、私に拒否権はないだろう。
元々、騎士の道も反対されたのを無理矢理突き進んだのだ。
その時、「もし万が一、求婚されたらそれを受ける。正当な理由なしに断らない」と約束してしまったのだ。


「それと、カダルの結婚も決まった」
「おぉ!!そうなのか!?おめでとう!!」

我が弟であるカダルは、見目麗しく引く手あまたなのに女を寄せ付けず、シスコン気味だったから心配していたのだ。

「ありがとう」
カダルは興味無さげに答える。
おい、自分の話ですらもどうでも良さそうな態度は改めなさい、嫁に逃げられるぞ?
「お相手は誰なんだ?」
「…姉さんも、良く知ってるよ」
食事ばかりで名前を言わない弟に業を煮やし、父上が答える。


「ははは、こちらもルクセンのユリアナ様だ」


「…は??」
カダルの趣味と真逆じゃないか…?
父上の前だったから、辛うじてその疑問は飲み込む事が出来た。




☆☆☆




「カダル、どういうつもりだ?」
「…何が?」
「ユリアナを嫁になど、何を考えている?」
「…別に、何も」
「嘘をつけ。お前がユリアナに全く興味がない事はわかっている。…サージスに、何か弱味でも握られたか?」

カダルが、ごく僅にだが反応を見せた。
他人が見ても…いや、両親が見てもわからないレベルで。

「仮にサージス様に弱味を握られたとして、それがなんで、彼が溺愛している妹との結婚に結びつくんだよ?」

それもそうだ。
しかし。
「…わかった。だがカダル。お前、ユリアナを泣かせる様な事はするなよ?私にとっても、可愛い妹の様なものだからな」
「わかってる。俺泣かせないよ」
「そうか。なら、良い」


カダルとサージスが何を考えているのかはわからないが、カダルは私にべったりでサージスはユリアナにべったりだ。
そんな環境が結婚という契約で変わるのならば、両親を安心させる為にもその提案に乗ろうじゃないか。
サージスとは気が合わないが、考えてみれば、騎士の仕事をしても良いなどという旦那はこの先現れないだろうし、ラッキーと思う事にしよう。


新たな人生設計を考えるのに夢中で、私はカダルが何か呟いたのを聞きそびれてしまった。



「ユリアナを泣かせるのはサージス様で、俺泣かせるのは姉さんだからね」
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