ヒミツの能力～時間停止能力所持の兄と～

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西暦2×00年。



人間はとっくに神の領域である遺伝子操作や遺伝子組換えに着手し、所謂古くからの全人類の憧れの能力である「超能力」を持つ子供達が生まれるようになっていた。



とはいえ、流石に空を自由に飛んだり、透明になったり、火や水を操ったり……というような漫画の世界をそのまま再現したかのような能力ではく、ごくごく僅かに滞空時間を引き伸ばせたり、紙一枚分だけ透視したり、ミリ単位で物を動かしたり、という中途半端な能力だった。



それでもそうした超能力を持つ子供達の割合はまだまだ少なく、彼らは世界的にかなり多くの優遇措置を設けられている。



そして、一時いっときは能力を今後も効率よく増やし、継承させ、高めていく為に、過去には超能力を持つ子供達と一般人との恋愛結婚が許されない時代もあった。



超能力を持つ者こそがエリートと呼ばれ、エリートはエリート同士で結婚し、子をもうけて更なるエリートを産み出せという国の施策が打ち出された時代である。

だから、当時の超能力を所持した子供達は、普通の子供達に興味を持たせない為に、徹底的に隔離されるという非人道的なことが行われたという。



しかし、そんな時代は長く続かなかった。

彼らの選民意識が強くなり過ぎたことが問題視されたことと、そもそも能力に優れた超能力持ちの人間を、普通の人間によって閉じ込めておくことが困難になってきたからだ。



その為、超能力所持者エリート達自身が好きな人との恋愛結婚を願って大きなデモが起きたこともあり、最終的には自由恋愛、自由結婚が法的に認められたのである。



だが、法的には認められているものの、未だに超能力所持者は超能力所持者同士で結婚すべき、という昔からの風習に染まった思想の者も少なくはない。



結果、今となっては能力持ちだということを隠す人も少なくない時代に突入していた。

いくら優遇措置がとられるとはいえ、幼少期から特殊な施設に預けられてしまう為、家が裕福であればある程、小さな我が子を想う親はその能力を隠すという家庭が多く見受けられるようになっていた。

最近では、国が超能力保持者を全体把握する為に超能力保持者は申告しなければならないという法的な罰則も設けられた。だが、その罰則自体はあまり厳しいものに出来なかった。何故なら、宙に浮いたり、水を凍らせるようなわかりやすい能力に限ったことではないからだ。



そもそも周りにバレにくい超能力だと、家族ですらも気付かないことがある。

それは、私の兄も同じだった。