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1章 ローヌの決闘
13.ロゼのお見舞い
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宿舎に戻ったときには、オレはもう一歩も動きたくなかったが、付けていた装具が痛いので、やっとのことで外した。
サイズだけオレに適合するように作ってあるこの装具は、構造はナイヤに作ったものと同ものだった。
ナイヤの装具がうまく機能するかを検証するために、自分に装着して模擬戦に望んだのだ。
外してみると、関節を支えるフレーム構造が歪んでいた。それが脚にあたっているので痛かったのだ。
フレームを曲げるほどの衝撃がオレを襲ったということである。
同時に、この装具がオレを対戦相手の猛攻から救ったということである。
「お前のおかげで助かったよ」
オレは外した両足の装具を、椅子に立て掛けた。その椅子は、ナイヤの診察に使ったものだった。
「もう必要ないかもな。」
とつぶやくものの、ナイヤの脚にかかる重圧を考えると、フレーム構造をもう少し強化したほうがいいだろう。と発想が止まらない。
「とりあえず、寝よう。疲れた」
徹夜続きだったことを思い出し、オレはベットに倒れるようにして眠りについた。
呼ばれている気がして、オレは目を覚ました。
頭が痛い。起きようとして身体中が痛いことにも気づいた。
身体をずり動かすように移動させて、オレはなんとか起き上がった。
窓の外はすでに明るく。昼過ぎていた。
「ルカさん、起きてますか? 入りますよ!」
やばい。訓練をすっぽかした。ロゼが叱りに来たんだな。
「今、開ける。」
オレが答えた瞬間ドアが開かれた。
ロゼと宿舎付の侍従が入ってきて、侍従だけが「もうしわけありません」と頭を下げた。合鍵を使って部屋に入ったことをわびているのだろう。
「いや、いいよ。問題ない」
「今、お食事をお持ちします」
侍従は頭を下げ、部屋を出ていった。
ロゼが驚くほど近くに寄ってきて、オレの顔をジロジロ見つめた。
「大丈夫なんですか? 聞きましたよ、リンチされたんでしょ」
「リンチ。。。そっか、そういうことになるか」
ロゼは、不満そうな顔をしていた。
「見たかったなー。ルカさんが、リンチされているところ」
「お前、心配しているんじゃないのか?」
「心配してますよ。こちらの世界で、ルカさんのことを心配するなんて、私くらいだと思いますよ。でも、ルカさんが痛い目にあっているのは、見たいのです。」
「……」
どこが本心なのかわからん女である。
「で、、、お前、なにしに来たの? オレが訓練を無断で休んだからダメ出しに来たんじゃないの?」
「あ、それは大丈夫です。タイユさんが特別訓練をしすぎたから、休息させてほしいと副隊長にお願いして許可されてます。」
「特別訓練?」
「もともと、そういう話だったみたいですよ。『ナイヤ様とペアを組んでいる以上、もっと成長してもらわないと困る』ってことで、元騎士団の皆さんが副隊長に提案してましたから」
「鬼教官にもうまいこと話を作っていたのか。。。恐ろしいなアイツら。。。」
「ところで、いいんですか?」
ロゼが、オレの顔を覗き込んだ。
「何が?」
「ナイヤ・ガラさんですよ。逆玉は無理だとしても、取り入って上級階級の方とコネクションを作ろうとされていたんでしょ!」
オレは笑った。
「お前とちがうわ!」
「えーー。それじゃー疑われ損じゃないですか。どうせ疑われるんだから、関係深めておきましょうよ! コネがあると何かと役立ちますよ? レッツ勝ち組人生!」
「かもな。でも、もう近づかないって約束した。」
「えーー!もったいない!」
さっき出ていった、侍従がノックして部屋に入ってきた。朝食と昼食がセットになったような食事だった。ありがたい。昨日の朝からほとんど何も食べてなかった。唾が溢れてくる。
オレが、何から手を付けようと思案していると、ロゼが素早くパンを取って半分ちぎると自分の口に押し込んでいた。
「なんで、お前が食べるんだよー」
「…だって、ウゴウゴ、悔しいじゃ、ウゴゴ、ないです…コホ、かー」
喉につかえたのか、オレのミルクも飲み干した。
慌ててオレも、パンやハムを口に押し込んだ。
「私、懸命にルカさんのこと庇ったんですよ?」
へー。と思ったが、オレは口の中が満載になっていたので返事ができなかった。
「『ルカというヤツは、何を企んでいる』って聞かれたので、
ルカさんは私に一番興味があって、ナイヤさんはあくまでも二番目だって」
「!」
オレは吐き出しそうになって、慌てて飲み込み、大きくむせた。
「大丈夫ですか? ゆっくり食べないと身体に悪いですよ」
ようやく口が聞けるようになったオレは、怒りをロゼにぶつけた。
「お前のせいで、オレが誤解を受けるんだろうが! それから、食事の邪魔だ!出ていってくれ!」
「えーー、せっかくお見舞いに来たのに。」
「お前の見舞いは、寿命が縮む。」
オレの話を聞いているのかいないのか。ロゼは、じっとテーブルに置かれた食事を見て、素早くフルーツを食べてしまった。まるでカメレオンのようだ。
部屋から出ていくつもりもないようだ。
怒る気もしない。あとで侍従におかわりをお願いしよう。
「まだ、話があるのか?」
「はい」
「聞くのも怖いが、、、何だ?」
「ルカさんは転属させられることになりそうですよ。」
それって、やっぱりロゼの言動が悪いんじゃないか?と思ったが、オレは黙っていた。
「ナイヤさんは反対されていたみたいですけど、ナイヤさんが反対されればされるほど元騎士さんたちは不安みたいで」
「そっか。それを伝えに来たのか」
「はい。でも、まだ間に合うと思いますよ。『治療が終わるまではルカさんが必要』って言えば、十分説得できると思います。」
「いやいや面倒はごめんだ。また襲撃されかねない。オレは長生きしたい」
ロゼは黙って、オレのオレンジジュースを飲んでいた。
オレも慌てて、食事を再開した。
サイズだけオレに適合するように作ってあるこの装具は、構造はナイヤに作ったものと同ものだった。
ナイヤの装具がうまく機能するかを検証するために、自分に装着して模擬戦に望んだのだ。
外してみると、関節を支えるフレーム構造が歪んでいた。それが脚にあたっているので痛かったのだ。
フレームを曲げるほどの衝撃がオレを襲ったということである。
同時に、この装具がオレを対戦相手の猛攻から救ったということである。
「お前のおかげで助かったよ」
オレは外した両足の装具を、椅子に立て掛けた。その椅子は、ナイヤの診察に使ったものだった。
「もう必要ないかもな。」
とつぶやくものの、ナイヤの脚にかかる重圧を考えると、フレーム構造をもう少し強化したほうがいいだろう。と発想が止まらない。
「とりあえず、寝よう。疲れた」
徹夜続きだったことを思い出し、オレはベットに倒れるようにして眠りについた。
呼ばれている気がして、オレは目を覚ました。
頭が痛い。起きようとして身体中が痛いことにも気づいた。
身体をずり動かすように移動させて、オレはなんとか起き上がった。
窓の外はすでに明るく。昼過ぎていた。
「ルカさん、起きてますか? 入りますよ!」
やばい。訓練をすっぽかした。ロゼが叱りに来たんだな。
「今、開ける。」
オレが答えた瞬間ドアが開かれた。
ロゼと宿舎付の侍従が入ってきて、侍従だけが「もうしわけありません」と頭を下げた。合鍵を使って部屋に入ったことをわびているのだろう。
「いや、いいよ。問題ない」
「今、お食事をお持ちします」
侍従は頭を下げ、部屋を出ていった。
ロゼが驚くほど近くに寄ってきて、オレの顔をジロジロ見つめた。
「大丈夫なんですか? 聞きましたよ、リンチされたんでしょ」
「リンチ。。。そっか、そういうことになるか」
ロゼは、不満そうな顔をしていた。
「見たかったなー。ルカさんが、リンチされているところ」
「お前、心配しているんじゃないのか?」
「心配してますよ。こちらの世界で、ルカさんのことを心配するなんて、私くらいだと思いますよ。でも、ルカさんが痛い目にあっているのは、見たいのです。」
「……」
どこが本心なのかわからん女である。
「で、、、お前、なにしに来たの? オレが訓練を無断で休んだからダメ出しに来たんじゃないの?」
「あ、それは大丈夫です。タイユさんが特別訓練をしすぎたから、休息させてほしいと副隊長にお願いして許可されてます。」
「特別訓練?」
「もともと、そういう話だったみたいですよ。『ナイヤ様とペアを組んでいる以上、もっと成長してもらわないと困る』ってことで、元騎士団の皆さんが副隊長に提案してましたから」
「鬼教官にもうまいこと話を作っていたのか。。。恐ろしいなアイツら。。。」
「ところで、いいんですか?」
ロゼが、オレの顔を覗き込んだ。
「何が?」
「ナイヤ・ガラさんですよ。逆玉は無理だとしても、取り入って上級階級の方とコネクションを作ろうとされていたんでしょ!」
オレは笑った。
「お前とちがうわ!」
「えーー。それじゃー疑われ損じゃないですか。どうせ疑われるんだから、関係深めておきましょうよ! コネがあると何かと役立ちますよ? レッツ勝ち組人生!」
「かもな。でも、もう近づかないって約束した。」
「えーー!もったいない!」
さっき出ていった、侍従がノックして部屋に入ってきた。朝食と昼食がセットになったような食事だった。ありがたい。昨日の朝からほとんど何も食べてなかった。唾が溢れてくる。
オレが、何から手を付けようと思案していると、ロゼが素早くパンを取って半分ちぎると自分の口に押し込んでいた。
「なんで、お前が食べるんだよー」
「…だって、ウゴウゴ、悔しいじゃ、ウゴゴ、ないです…コホ、かー」
喉につかえたのか、オレのミルクも飲み干した。
慌ててオレも、パンやハムを口に押し込んだ。
「私、懸命にルカさんのこと庇ったんですよ?」
へー。と思ったが、オレは口の中が満載になっていたので返事ができなかった。
「『ルカというヤツは、何を企んでいる』って聞かれたので、
ルカさんは私に一番興味があって、ナイヤさんはあくまでも二番目だって」
「!」
オレは吐き出しそうになって、慌てて飲み込み、大きくむせた。
「大丈夫ですか? ゆっくり食べないと身体に悪いですよ」
ようやく口が聞けるようになったオレは、怒りをロゼにぶつけた。
「お前のせいで、オレが誤解を受けるんだろうが! それから、食事の邪魔だ!出ていってくれ!」
「えーー、せっかくお見舞いに来たのに。」
「お前の見舞いは、寿命が縮む。」
オレの話を聞いているのかいないのか。ロゼは、じっとテーブルに置かれた食事を見て、素早くフルーツを食べてしまった。まるでカメレオンのようだ。
部屋から出ていくつもりもないようだ。
怒る気もしない。あとで侍従におかわりをお願いしよう。
「まだ、話があるのか?」
「はい」
「聞くのも怖いが、、、何だ?」
「ルカさんは転属させられることになりそうですよ。」
それって、やっぱりロゼの言動が悪いんじゃないか?と思ったが、オレは黙っていた。
「ナイヤさんは反対されていたみたいですけど、ナイヤさんが反対されればされるほど元騎士さんたちは不安みたいで」
「そっか。それを伝えに来たのか」
「はい。でも、まだ間に合うと思いますよ。『治療が終わるまではルカさんが必要』って言えば、十分説得できると思います。」
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