魔拳のデイドリーマー

osho

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第19章 妖怪大戦争と全てを蝕む闇

第402話 いろいろ気になる場所と情報

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 『諸国行脚』も、今日で7日目。
 時期的にも場所的にも、折り返し地点にさしかかろうというところではあるが……半分進んだからと言って、油断などしてはいけないのは、この手のトレーニングのお決まりみたいなもんだ。

 上がった実力や、進んできた道のりを見返して達成感を覚えるくらいなら、何も問題ないだろうけど……それで収まらず、休息を通り越して気が緩み、油断につながり、ケガとかよくない事態を招く……なんてこともありうるのだから。

 無論、その辺はきちんと僕も理解している。
 『樹海』で母さんに、『暗黒山脈』で師匠に、その他、色々なところで色々な人に、色々なことを習う際に、同じような注意については口を酸っぱくして言われたもんだし。

 つまるところ、こういう『油断大敵』『転ばぬ先の杖』『帰るまでが遠足ですよ』の精神は、万事に通ずるものであると言えるし、僕はそれを理解してものごとに取り組んでいる自負がある。

 そう、だから……


「いぃィィ―――ヤッホォ―――ォゥ!!」


 コレは今後の鍛錬を健全かつ正常な精神を保って戦うための気分転換です。異論は認めない。

 何やってるのかって? スノボーです。
 持参したボード(自作)で、昨日止まった山小屋の近くで、思いっきり今、冬レジャー楽しんでます、はい。

 いやー……何だかんだで、ようやくこいつも出番が来たな。
 前にフロギュリアに行った時は、山とか行かなかったから使わなくて……大自然の中で思いっきり滑る楽しさって奴を再認識できて、今めっちゃ楽しい。

 ……再認識も何も、前世インドアの出不精だったから、スキーもスケートも何年もやってなかったんだけどね……スノボーなんてやったこともないし。

 だから、転生したこの体で作り上げた、練習ほぼなしでもこれだけ滑れる運動神経は、ただただ楽しむだけという僕の目的には大変好都合だ。
 失敗したところで誰に迷惑になるわけでもないしね。

 なお、このレジャーは完全に自由時間にやってることなので、スノボーという『乗り物』に乗ってるのはノーカウントです。
 修行になったら、改めて山小屋に戻って、そこからスタートするし。

 というか今、まだ早朝なんだよね……日の出からさほど時間が立ってないくらいの時間帯。師匠たちは、まだ起きてない人がほとんどだ。
 今、吹雪いてもいないし、そこそこ明るいので、滑るのに支障はない。

 ただ、気温は氷点下20度下回ってるから、普通の人なら動くだけでも億劫……を通り越して、防寒着きちんと着なきゃ命の危険もあるレベルだろうけど。
 僕? 一応自作の防寒着着とるよ? このくらいの寒さ、平気平気。

 きっちり日が昇って明るくなって、朝食食べたら出発だからね、その前にちょっと滑ってたってわけ。いやー……誰も見てないと思ってはっちゃけちゃったよ。

 超がつくほど角度のある急な坂道を滑り降りて、高速道路走れるくらいの速度でぶっ飛ばしたり、

 樹氷みたいになってる森の中をスラロームで滑ろうとして、途中ミスって木に激突して、くっついてた雪とか氷が落ちてきて埋もれたり。

 断崖絶壁を利用してジャンプして、着地までに14回転半とか決めてみたり。

 なお、着地はすさまじい衝撃になりそうだったので――僕とボードは平気だろうが、それが原因でクレーターができたり、振動で雪崩が起こったりすると面倒だ――ボードに組み込んでおいた、イナーシャルコントロール……慣性制御の術式で運動エネルギーを中和してそっと着地した。

 落下加速も合わさって、弾丸のような速さで落ちて来た僕onスノボーが、着地直前に急減速し、まるで羽のようにふわりと雪上に舞い降りた光景は、自分のことながら中々面白いものになっていたんじゃないかな、と思う。いやー、面白いもん作れてよかった。

 そんな感じで、そりゃもう好き放題遊んでたんだが……そろそろ朝食の時間が近づいてきているので、もうあと1~2回滑ったら帰ろうかな、なんて思っていた時のこと。

(……ん……何だろコレ?)

 雪原を歩いて、ジャンプにいいポイントはないか探していた僕は……ふと、はるか向こうに見える山の、中腹辺りに……『何か』を見た。

 まるで隠すように森の中にあって、木々についた雪や氷に加え、徐々に高くなってきた太陽の光で雪原が煌めき始め……おかげで見えづらいことこの上ない。
 しかし、明らかに何か……小さな、建造物のようなものが建っていた……ように見えた。

 しかも、一度そっちを気にすると、もう1つ何となくわかることが……どうも、それと同じ、あるいは近い位置に……妙な魔力……いや、霊力か妖力の類を感じるのだ。
 重ねて言う形になるが……確実に『何か』はあるな。

 視力を強化して頑張って見てみたところ、どうやら、小さな祠か何かみたいだ。
 お地蔵さんが祭られてそうな、木造の……1mあるかないかくらいのもの。年代物と見ていいのか……かなりボロボロで、大人がちょっと力を込めて殴れば壊れそうな見た目である。

 中に何が祀られてるのかまでは見えないが……単なる飾りってことはなさそうだ。

 正直、興味があるけど……同時に、コレ、調べてもいいんだろうか、っていう点も気になる。

 というのも、見てみようかなと思って、少しそっちに向けて近づいたところで……周囲に、いわゆる『人払いの結界』が展開されていることに気が付いた。
 明らかに人為的なものだ……それも、数歩歩いただけでもわかるが、あの『祠』に近づくほど、その作用が協力になっていく。

 今はただ単に、妙に寒気がするとか、無意識下でその場所に『近づきたくない』と思う程度の作用だけど……直感的に、これ以上近づくとヤバそうな気がした。

 ……というか、それより先にヤバそうなのが来た。

 恐らく、この辺を巡回してる、あの祠の番人か何かだろう。そこにいたのは……どう見ても野生動物には見えない、巨大な毛むくじゃらの生き物だった。

 一言で言えば……ミノタウロスのトナカイ版、みたいな……首から上はトナカイ(あるはエゾシカか何か)、首から下は屈強な人間の肉体(ただし腰から下は再び獣)という異形。
 日本だと、似たようなのに……『牛頭』『馬頭』とかいう鬼がいたっけか?

 それに従って名付けるなら……『鹿頭』?

 手にはその巨体に見合った矛を持っていて……それを、こちらを威嚇するかのように、刃をちらつかせて持っている。

「異国の者よ、ここから先へ立ち入ることは許されぬ」

 僕の真正面に立ちはだかったそいつは、意外と流暢な口調で語りかけて来た。

 何で僕が異国から来たってこと知ってるのかとかは気になったけど、ひとまず何も言わず、

「これより先は、この土地の主である『白雪太夫』様により管理され、立ち入りを禁じられている場所……客人である旨は聞いているが、主の許しなく立ち入れる場所にあらず。立ち去られよ」

 あ、なるほど、ミスズさんから聞いてたのか、僕らのこと。なら納得。
 そして、やっぱりここ立ち入り禁止なのね……そりゃ、興味あっても勝手に調べたり、近づいちゃまずいわな。うん。

「あー、すいません、知らなかったもので……ちょっと変な力を感じて気になっただけです。そういうことならコレで帰ります、お騒がせしました」

「理解に感謝する」

 とまあ、事情をきちんと把握したので、平和的に解決しました。
 『鹿頭(仮)』さんも、立ち去りさえするなら別にこれ以上何か言う気もする気もないみたいだ。

「ところで、参考までに……何があるのかって聞いても?」

「すまぬが、それを許可なく教えることはできない」

「なるほど、わかりました。じゃあ、コレで失礼します」

「うむ……明るくなって温かくなると、雪や氷が解けて足場が緩む。足を取られぬよう気を付けて帰られよ」

「あ、はい、ご丁寧にどうもありがとうございました」

 意外と知的で話せる妖怪さんだった……見た目に似合わず。

 正直、アレが何だったのかは気になるけど……ミスズさんに迷惑になるようなことをするわけにも行かないしね。そもそも気まぐれだったし、仕方ないとしよう、これは。

 ……タマモさんに聞いたら何か知ってるかな? そのくらいなら……いいよね?


 ☆☆☆


「……残念だけど、それについては、私もよくは知らないのよね」

「あ、そうなんですか……」

 山小屋に帰り、朝食を食べ、そして出発して……移動途中にさっきの疑問を聞いてみて、帰ってきた返答が、今のやり取りである。タマモさんも知らないのか。
 こりゃひょっとして、この土地……『エゾ』の縄張りを管理する妖怪たちの間のトップシークレットか何かですかね?

 ……いやまあ、やめろって言われてるものを暴くつもりはないけどね? 敵対してるわけでもないし。

「知らないけれど、予想くらいならできるわね。もともとあの辺りは、古くからよくないものがよく発生してたようでね……一説には、氷漬けにして『何か』を封印してる、っていう話も伝え聞いているのよ。『エゾ』の地の王者は、代々その封印を守る番人である、ともね」

「ほー……何かこう、ヤバい魔物か何かでも封印してんのか?」

 と、いきなり横から口を挟んできた師匠。
 何でもない口調のように聞こえるが、僕にはわかる。この話題に興味を持ったのだと。

 なぜかって? そりゃ、僕もそうだからさ。
 『八妖星』の一角が守る封印(らしきもの)……明らかに触れてはいけないものだろうと思うけど、そういうのに限って我々マッドには魅力的に思えちゃうんだよねえ……

 まあでも、他人にそんな迷惑かけてまで同行したいとは思わないしな。
 ちょっと心配そうな表情になりつつあったタマモさんにも、そう伝えると、ほっとした様子が見て取れた。

「ちっ、しゃーねーな。まあでも、それ関係で何か協力が必要だったら……例えば、ヤバい魔物が復活したとかそういうのがあったら呼べよ? 手、貸すからよ」

「何であなたが譲歩したような形になっているのよ、クローナ……あとその提案、正義感とか義侠心から来るものじゃないわよね? 純粋なあなた達の欲望よね」

「おう、報酬はその未知のモンスター……ないし『妖怪』の素材でいい」

「断ったり呼ばなかったら無理やりにでも押しかけてきそうね……まあ、その時は頼むわ、援軍として見れば頼もしいしね……。それと、何日後かに行く先でそれっぽいのと戦うから、未知の妖怪の素材が欲しければそこで我慢して頂戴」

「ほー……ちなみに何が出んだ?」

「『ヤマタノオロチ』よ……知ってるかしら?」

 聞いたその名前に、走ってる途中ですっ転びそうになった。
 と、とんでもない名前が出て来たな……『ヤマタノオロチ』って、超のつく大物じゃないか。妖怪云々っていうか、日本神話の中でその名前が語られてる化け物だぞ!?

 恐らく、日本人でこの怪物の名前知らない奴いないんじゃないかな? いたらごめん。

 8つの頭と8つの尾を持ち、いくつもの山と谷にまたがるほどの巨体を持つと言われる大蛇。
 天災クラスといってもいいほどにヤバい魔物である……が、日本人でしかも男の子であった僕にしてみれば、数多の漫画やゲーム、小説で目にしたその名前を聞いては、テンションを上げざるを得ない…………

 …………と言いたいところだが、

「あん? 何だ、あれかよ……まあ、珍しい魔物っちゃそうだけど、別に未知でも何でもねーじゃねーかよ。つか、この国にもいんのなアレ」

「ええ、そうみたい。大陸に住んでるのとは、微妙に生態や強さも違うけれどね」

 と、師匠とタマモさんが話している。まるで、以前にも……それも、『アルマンド大陸』で、件の『ヤマタノオロチ』を見たことがあるかのように。

 ……否、あるんだろうな、そりゃ。
 恐らくだけど……大陸にも居たんだろう、『ヤマタノオロチ』という名前の魔物は。そして、タマモさんの言葉から察するに、そんなに見た目も力も変わらない……これは、刀とかみたいに、この国原産の魔物が大陸に出た例か?

 というより、名前聞いてすぐに思いだしたんだけど……『ヤマタノオロチ』って名前だけなら、僕も既に聞いてるんだよな。随分前のことで、忘れかけてたけど。

 僕がまだ、冒険者として登録して何日も経ってない頃だったと思うけど……アイリーンさんにもらった、一人前になるために倒すべき『討伐目標魔物リスト』。その中に、その名前はあったはず。

 でも、どっちみち詳しくは知らなかったから……いい機会だから聞いてみた。

「読んで字のごとく……8つの頭と8本の尾を持つ大蛇よ。大陸で言えば『ヒュドラ』に近いわね……アレと違って毒は持っていないんだけど、そんなことは問題にならないくらいに素のスペックが高いから、油断するとあっという間に食い殺されるわ。術も使うし、ブレスも吐くし」

「ただ、その強さはその個体がどの程度成熟しているか、っつー点に大きく左右される。まだ年若い個体は大して強くねえ、そこらの冒険者でもがんばれば倒せるくれーだ……半面、年を重ねて成熟しきった個体だと、文句なしに災害レベルだって言われるがな」

 タマモさんと師匠が交互に説明してくれた話をまとめると……どうやらヤマタノオロチって、割かし繁殖力が強くて数もそこそこいるらしく、生息地になっている場所に行けばそこそこみられるので、珍しくはあっても希少な魔物ではないらしいんだよな。
 その生息地自体、限られてるから、やっぱ希少といってもいいかもしれんけど。

 それに、どうやらヤマタノオロチって、最初から頭が8つあるわけじゃなく、成長していくと徐々に数が増えていくみたいで……成長途中の個体は、首が4本だったり5本だったりするから、半ばタイトル詐欺みたいなことになってる場合もあるんだそう。

 地方によっては、成長度合いや頭の数によって、出世魚みたいに呼び名が変わる場合すらあるらしい。……なんか、知れば知るほどコレジャナイ感が……

 ちなみに師匠曰く、結構美味らしい。マジでか。

「資料によれば、大体頭は四半世紀に1本くらいのペースで増えていくらしいわ。すなわち、頭が8つある成熟個体になるまでに、200年弱はかかるってことね」

「その間、欲望の赴くままに外敵を排除し、捕食し……活動期間が終わると冬眠、っていうよりは休眠状態になり、長い期間を寝て過ごす。まあ、早い話が食っちゃ寝繰り返してでかくなるわけだな……ただ、この魔物には1つ、かなり珍しいと言える特徴がある」

 ? その特徴とは?

「燃費がいいんだよ、異様に」

「燃費……ですか?」

 と、聞き返す僕。
 よく見ると、他のメンバー……タマモさんやイヅナさんまで含めた全員が、師匠の言葉に、頭の上に『?』を浮かべていた。どうやら、彼女達にも未知の知識だったらしいな。

「『ヤマタノオロチ』の大きさは、首1本の若い個体でも10mを軽く超える。八ツ首の成熟個体ともなると、なりたてのものでも、数十mクラス……人間なんぞ一飲みにできるレベルの巨体だ。いくら休眠期間が長いと言っても、そんだけの巨体の魔物が暴れれば……いや、暴れなくても普通に食ってるだけでも、周囲一帯の動植物が食い荒らされて大変なことになってもおかしくない」

「確かに……サイズから考えると、特に何もしなくても基礎代謝だけで結構なレベルになってそうですね。体が大きくても燃費がいい動物は珍しくありませんけど、絶対値的な量は多いわけですからね。ましてや冬眠……もとい休眠するとなれば、その間も無代謝ってわけでもないでしょうし、その分の栄養は必要……相当食料が豊富な地域でもないと、引きこもるなんて難しいですね」

「……あらためてこうして口に出すと気になってきたな……おいタマモ、もうすぐそいつと戦えるんだよな?」

「ええ……具体的には明々後日、『イズモ』っていう場所で、ね」

 ……なるほど、この世界でも、ヤマタノオロチの住処は出雲なわけか。
 どうも、想定していたものとは違う感じであるようだが……それでも元・日本人の男の子として、かの圧倒的なネームバリューを持つ大怪獣との戦いは楽しみだ。早く明々後日になーれ、っと。

「―――けど」

 しかしそんな雰囲気に、水を差すようにタマモさんは口をはさむ。

 同時に、戦闘を走る彼女が急減速したので、それに伴って僕らも速度を落とし……止まる。

「その『イズモ』もそうだけど……そこに行くまでの間にある、『リュウキュウ』や『シマヅ』に行くためにも……ここを、越えなきゃいけないんだけどね?」

 そう言いながら、タマモさんが指さす先に広がっているのは…………海だった。

 ただの海じゃない。吹き付ける潮風が凍り付くように冷たく、波は決して低くなく、当たり前のようにあちこちに流氷が浮かんでいる……冬の北海道をまさに彷彿させる、極寒の海だ。

 ここを僕らはこれから、渡っていかなければならない。
 これまでと同じく……『乗り物禁止』のルールのもとで。

 やれやれ……これはまた、ハードだな。まあ、油断しなければ何とかなると思うけど。



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