魔拳のデイドリーマー

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第20章 双月の霊廟

第471話 『大外れ』と英雄の責務

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「次、行きます! 『バーニングジャベリン』!」

「こちらも……『ライフリングアクアショット』!!」

 ニコラさんの炎魔法と、ナナさんの水魔法――ただし片方は狙撃にしか見えないけども――が放たれ、その先にいる魔物『ミクトランデーモン』に向けて飛んでいく。
 しかし同時に、その標的になっている山羊頭の悪魔もまた、凄まじい速さで魔力を練り上げて魔法を発動する。2本の角から迸る電撃が顔の前で収束し、とてつもない光量と電圧の光球になる。

 次の瞬間射出された光弾が、先に放たれた炎槍と水弾と衝突して爆散。凄まじい衝撃波により巻き上がった土埃と、水弾が蒸発した水蒸気が周囲に立ち込めて視界を遮る。

 が、その直後にその土煙と水煙の混合物を突き抜けて、風の魔力で加速した4本の矢が飛び出して『ミクトランデーモン』に殺到する。

 それもとっさに張った障壁に防がれるが、一瞬遅れて飛び出すシェリー。その背中から、攻撃力を倍加させるブースターになっている炎翼を出しながら、矢を追うようにその懐に飛び込み、横一線に剣を薙ぎ払う。その刃には、赤い光にしか見えないほどに超高密度の炎を纏っていた。

 腕力と炎、二重の意味でとてつもない火力で放たれた一撃は、煙の向こうからけん制のために放たれたレムの矢を防いだ結界を容易く破壊し、『ミクトランデーモン』の体を両断する。
 斬撃と同時に叩き込まれた熱が、悪魔の体内で豪華となって燃え上がり、体内から焼き尽くす。

 両断された直後も『ミクトランデーモン』はしばらくの間生きていたが、あまりの熱に体は硬直してまともに動かず、口から炎を嘔吐し……当然ながら、自慢の強力な魔法を発動することもできない。そのまま、反撃を警戒して油断なく構えるシェリー達の目の前で息絶えた。

 その反対側では、飛びかかってきた『ケルベロス』の爪の一撃を、ザードさんが生まれ変わった盾を斜めに構え、衝撃を受け流すようにして防御する。その勢いをそのまま利用して、体勢を崩させる形にした。

 それを防ぐため、踏みとどまるべく力強く地面を踏みしめるケルベロス。しかし突如、その足元の地面がサラサラの砂に変わり、その足を絡めとる。

 地面に魔力を浸透させて砂に変えたザリー。その横を駆け抜けて、ミュウとヴォルフさん……が、呼び出した召喚獣たちが前に出る。

 ミュウが召喚した『デストロイヤー』と、ヴォルフさんが召喚した、とっておきの1つだという『ガルーダ』。
 見た目、機械的でロボットみたいな戦士と、強靭な肉体と鋭い爪とくちばし、背中に大きな翼を持つ鳥人のような魔物。どちらも空を飛んで、砂の地面に影響されずに攻撃を加えていく。

 が、流石にSランクの『ケルベロス』相手では荷が勝ち過ぎたらしい。
 『デストロイヤー』の光の剣と、『ガルーダ』の爪で次々と傷を刻まれて苛立った三つ首の猛犬は、その3つの口全てから灼熱の炎を吐き出した。間欠泉のような勢いで噴き出した炎は、ガルーダを飲み込んで一瞬で消し飛ばす。『デストロイヤー』も、何秒間かは盾で防いでいたが、とてつもない熱量を防ぎきれずに盾が溶解し、その炎に飲み込まれた。

 が、彼らは十分に役目を果たした。

 2体が時間を稼いだ間に、上空にいたアルバが魔力のチャージを終えていた。
 吐き出した炎を塗りつぶすほどの輝きを放ちながら、何十本もの束ねられた雷が、上空から『ケルベロス』に襲い掛かり、毛皮の防御を容易く貫いてその全身を駆け巡る。一瞬にして全身を炭化させて消失させた。

 そんで残る1匹だけども、

「シャイニング……ディバイド!!」

 クレヴィアさんの剣から迸る超速の電撃が、鞭の要領で横凪ぎに振るわれて襲い掛かる。
 その雷の鞭が『ディアボロス亜種』に触れた瞬間、瞬時に今までこめられていたものに数倍する電圧が流し込まれ、まるで巨大な雷の剣を振り抜いたような形になる。

 が、下手なモンスターであれば一瞬で炭化・焼失させてしまうほどの電圧も、SSランクの『ディアボロス』が相手では、僅かな時間、動きを止める程度のことしかできなかった。

 全身を貫いた電撃に一瞬怯んだものの、次の瞬間には、ギロリと敵意のこもった目でクレヴィアさんを睨みつける。

 が、それが既に『隙』になっている。
 余波の電撃がそこら中に流れているのも構わず――むしろ、電撃系はよっぽどの威力でない限り、僕にとっては分解して吸収できる餌でしかない――突貫した僕は、瞬時に装備を『ハイパーアームズ』に変換。懐に飛び込んで、『ディアボロス亜種』の鳩尾に拳を叩き込む。

 その手ごたえに、やはりコイツ……というか、この種族の頑丈さは規格外だな、と思い知らされる。
 魔力もガッツリ込めて、胴体をぶち抜くつもりで放った拳だったんだけども、この黒トカゲの体を『く』の字に折り曲げるにとどまった。

 鱗や甲殻を、そしてその下のあばら骨を多少砕いた感触はあった。が、その状態からでも反撃してくるのがこいつらである。
 もっとなじみ深いアイツのおかげで、それは身に染みて知ってる。

(そういえば最近アイツに遭ってないな……今はどこで何をしてるのやら。まあ、それはいいとして……1発でダメなら、何発でも叩き込む!)

 即座に、両の拳にさらなる魔力を充填。
 まるで両手にブラックホールを握りこんでいるように見える、渦を巻く漆黒のオーラと共に殴る、殴る、殴る。ちなみにペースは秒間16発くらいで。
 機関銃くらいのペースだが、そのくらいで驚いてもらっちゃ困る。こいつレベルだと秒間5、6発くらいは打ってくるし。ゼットはもっとだな多分。

 肋骨を全損させて、その内側の内臓も潰した。
 しかし、それでも安心はできない……ほら、普通に体ひねって尻尾で薙ぎ払おうとしてくるもん。痛覚あんのかなこいつ……?

 が、この隙に後ろに回り込んだクレヴィアさんが、再び『ディアボロス亜種』の背後から『シャイニングディバイド』を放つ。
 雷の大剣は、今度は大上段から振り下ろされ、その体を縦一閃に両断した。

 その際、普通に僕を巻き込んでいるが、あらかじめ打ち合わせ済みというか……『ちょっとやそっとの電撃なら効かないので、っていうかむしろ吸収するんで遠慮なく巻き込んでください』って事前に言ってあるがゆえだ。

 で、有言実行。巻き込んで僕の体にも叩き込まれた電撃を、即座に吸収して力に変換する。
 鋭く踏み込んで、大きく足を振り上げ……踵落としの要領で、『ディアボロス亜種』を地面に叩き落し、めり込ませる。

 その状態で……トドメの一撃。

「燃え尽きろ……『タワーリング・インフェルノ』!」

 叩き込んだ『火』と『土』の魔力がマグマに変わり、めり込んだ床のひびから噴き出して、『ディアボロス亜種』の体を焼いていく。それも、ただ熱を持って焼くだけじゃなく……どっちかっていうと、火山の噴火みたいに爆風とか衝撃波を伴っているので、焼いて、砕いていく。

 万全の状態ならこの攻撃にも耐えられたのかもしれないが、この短時間に何十発も叩き込まれた拳によって各部がボロボロになっていた体では、暴力的な威力の熱と衝撃に耐えることはできなかった。耐えきれず、体を焼かれた上にバラバラに爆散させて……確実に絶命する。

 最後に、後方で待っていてもらったエルクの『サテライト』で、敵が3体とも、きちんと死んだことを確認して……ようやく、僕らは息をついた。


 ☆☆☆

 
 入ってすぐのフロアからえらい難易度のバトルをやることになった僕らは……うん、まあ、ホントに入ってすぐだけどひとまず仕方ないってことで、休憩を取っていた。
 まあ、水分補給しながらちょっと休む程度のものではあるけど……精神的な余裕を取り戻したり、この先のことを改めて考える上でも、必要な時間だと思うし。

「まあ、終わってみれば短時間のバトルで済んだわけだけど……ちょっとコレ、聞いてたよりだいぶ難易度高い感じだったね」

「……すまん。言い訳にしかならないかもしれないが……これほどの相手が出てくるのは、私達としても初めてのことだ……こんな浅い階層に、あんな凶悪な敵が出るなどとは、思いもしなかったし、そういう情報を仕入れることもできていなかった」

 と、クレヴィアさんが謝ってきたけど、いやいや、別に責めてるわけじゃなくてね?
 それは流石に仕方ないって……もともと仕組み的に意味わかんないダンジョンなんだし、きちんとした情報を得た上で潜れるなんて、そこまで期待してない。いや、しちゃいけない。

 彼女達が持ってきてくれた情報だって、それが間違ってたわけじゃないんだろうしね……ただ、今回は引きが悪かっただけだろうと思う。何せ『ランダム』だもんね。

「というか……俺達だけの時にあんなもんが出て来た日にゃ、間違いなく全滅してたな……むしろ、あんた達と組んだこの回に遭遇できたのは、運がよかった、と見るべきかもしれねー」

 と、ヴォルフさん。その横で、ザードさんとニコラさんも『うんうん』としきりに首を縦に振って同意していた。続けてレムさんも、

「第1階層で、Sランクが2匹に推定SSランクが1匹……ああ、確かに私達では、逃げることもできずに全滅だっただろうな。間違いなく前代未聞……いや、そうとは限らないか」

「? どういうこと、それ?」

「他にも、ランダムでこういう『大外れ』に当たったチームはいたかもしれないってことでしょ? でも、あんなレベルの奴らと戦って生き残れるはずもないから……」

「ああ、引き当てた連中は全滅して帰ってこれなかったから、こういうステージの存在も知られていなかった……と。納得できる話ね」

 セレナ義姉さんとシェリーが、あんまり考えたくない……けど恐らく当たっているんであろう予想を呟くように言った。なるほどね……そら情報なんて出回るはずもないわ。

「でも、どうします? 今回のこの引きが『大外れ』だとして……このまま進みますか? それとも、一旦出直しますか?」

 と、ナナ。
 まあ、当然の意見と言うか、選択肢だよね……1階層から既にこの難易度だもの。一回出て入り直して、もうちょっと難易度の低いエリアを抽選で引くっていう選択肢も……

 ……いわゆる『リセマラ』だよねこれ。『あたり』を引くまで何度でもやり直すっていう……。
 高校の頃、スマホでソシャゲやってた友達に聞いたことある。僕自身はそういうの長く続かない性格だったから、そういうのの経験はないけど……ああでも、お目当ての報酬が出るまで何度でもゲームのミッションを繰り返しやるとか、モンスターの尻尾を切り落とすとかならやってたな。

 普通に考えれば、それが賢い選択肢なんだろう。難易度バカ高いとわかってて進むのは、死地とわかっている場所へ進む命知らず、あるいは死にたがりのやることだ。

 けど……

「……それも選択肢ではあるが、あまりとりたくない方法だな……聞く者によってはくだらない理由かもしれないが、私とミナト殿……SランクとSSランクが入ってすぐに逃げ帰ってきた、などという醜聞が立つのは、あまり好ましくない」

「それは……わからなくもないけど、命あっての物種、って言うじゃない。なら、多少後ろ指刺されるくらい……ちょっと我慢すればいいだけの話だと思うけど?」

 と、クレヴィアさんの言葉に反論して言うエルク。
 しかし、クレヴィアさんはその言い分を理解しつつも、眉間にしわを寄せたままだ。

「エルク殿のいうことももっともだし……私自身、命を粗末にするようなことはしたくない。だが……この手の醜聞は思ったよりも後を引く上に、私達だけでなく、私達にかかわりのある者達にも影響がいくことが多いんだ。迷惑をかけたくない相手に限ってな……それに……」

 それに?

「……これは、いや、これこそ価値観や視点の違いからくることかもしれないが……『ノブレス・オブリージュ』というものを知っているか、ミナト殿?」

「? えっと、たしか……貴族とか王族なんかが、その特権と引き換えに、生まれながらにして背負うことになる責務、のことでしたっけ?」

「その通りだ……博識だな」

 『ノブレス・オブリージュ』……だかオブリゲーションだったか。
 直訳で『王たる者の責務』……だったっけか?

 国や組織の偉い人達……貴族とか王族は、当然のことだけど、ふんぞり返って偉そうにして、ぜいたくな暮らしをしていればいいわけじゃない。そんなわけがない。
 そういう『特権階級』の人達っていうのは、必要があるからこそそういう権力を持たされているのであり、それをもって国を、領地を、円滑に運営して市民に豊かな暮らしをさせる義務がある。

 民が貴族に尽くすだけじゃない、貴族もまた、民のために尽くす。それが、正しい在り方なのだ。
 ……そんなこともわかってないバカ貴族も、世の中には残念ながら多いわけなんだけども。

 それと同じ、あるいは似たようなものだと思うけど……例えば、軍の将軍や、英雄と呼ばれるような人達の背負うべき責務には、ただ単に部下たちをまとめて指示を出すだけじゃなく……時に、自分の存在そのものをアイコンにして味方を鼓舞したり、自信や自負を持たせるというものもある。

 要するに、カリスマ、ないしネームバリューを用いて集団を統率し、動かすってものだ。

 例えば、ドレーク兄さんを例にとって考える。

 『天戟のドレーク』の名で知られる兄さんは、国内外から英雄としてその名を知られている。敵対してた連中からすれば、恐れられている。
 ネスティア国内では言わずもがな前者であるし、彼に憧れて軍に入った人だっているだろう。

 そして、ドレーク兄さんへの憧れから、兄さんが総帥を務める『騎士団』に所属することを目標にする者だって多いだろうし……今騎士団に所属している者の多くは、かの英雄『天戟』の部下として働けていることを誇りに思う者も多いだろう。

 そんな風に、名前、ないし存在自体が、その下あるいは後ろに続く者達の憧れや希望になり、意識を高め、鼓舞する力を持つ……それが、『英雄』に課せられた『責務』である。

 そしてそういうのは、『高ランク冒険者』というものにももちろん、ある。
 自画自賛を承知で言うけど、僕やクレヴィアさんに憧れて、追いつきたい、並び立ちたいと思って……それを原動力、あるいはその一部にしている冒険者は決して少なくないはずだ。

 で、そのイメージが崩れるようなことは極力避けたいと。
 醜聞もそうだけど、そういう人達の意識を高く保つために、自分と言う存在を磨き上げて輝き続けるというのも、人の上に立つ者の責務だから……と、クレヴィアさんは言ってるわけだ。

 ……だいぶ説明が遠回りというか、回り道になったな……。けど、そのおかげでわかりやすい形で説明できて、話がまとまった。

 ……だけど、それを踏まえた上でも……なあ……

「私としては……まあ、おそらく、元々貴族と言う立場で、そういう考え方に触れる、ないし学ぶ機会が多かったのもあるだろうが……私は、私達に向けられる期待や憧れに応える意味でも……このまま進みたいと思っている。戻るにしても……少なくとも、何かしらのはっきりした成果を手にしてから、にしたい。……ミナト殿は……どう思う?」

「……正直、僕としては……そこまでそういう方面に高い意識はない、ですかね……。実のところ……他の人の評価とかは、親しい人からのもの以外は、あんまり気にしたことないですし」

 名誉とか評判とか、そういうのが全くどうでもいいわけじゃない。
 けど、何を置いても守りたいとか、そういうことを考えることはほぼない。そういうのは、本人の行動の結果ないし成果としてついてくるもんだと思ってるし……実際僕は、自分に対する評判を意識して行動したことなんて、ほとんどない。
 今僕に向けられている『評判』は、99%以上は確実に、僕が好きなように、やりたいようにやった結果としてもたらされたものであるはずだ。あんまり気にしたことないからね。

 というより……血、なのかもなあ、こういう価値観……親がそうだったから。うん。

 世間の評判や、大勢の人々の民意、大多数の人間が従う常識……そういったものに、一切の躊躇なく喧嘩を売って、徹頭徹尾やりたいようにやる。そういう人が母親なもんで。

 そして、僕自身の信条も、それに近い……というか、ほぼほぼ同じそれなもんで。

 僕の価値観を聞いて、クレヴィアさんはまた少し眉間のしわを深くしたように見えた。
 おそらく、僕はどちらかというと、そういう評判とか気にしない方=『名より実』な人間だという評価になったっぽいので、『このまま攻略』に反対されると思ったんだろう。

 けどご安心を。このまま攻略するっていうのには、僕は賛成だから。

「? そうなのか? けど今、『そういうのは気にしない』と言っていたばかりでは……」

「そうですね……まあ、名誉とか評判とかだけが理由なら、リセット派だったと思います」

 思わず僕が使ってしまった言葉に『リセット?』と反応しているクレヴィアさん。
 しかし、説明がめんどくさそうなので意図的にスルーさせてもらう。

「まあ、単純に……一回出てやり直すのとかめんどくさいし……、この手の『ランダム』は、そう簡単に理想的な、攻略しやすいステージを引けるかというと……早い話が、何回もやり直したからって、難易度のちょうどいいステージになり、難易度のちょうどいい相手に立ち向かえるかと聞かれると……そうとは限らないじゃん」

 世の中には『物欲センサー』というものがあってね……そういう時に限って、『なってほしくない』系統のことが起こることが多いのですよ。
 結果、お目当てを手に入れるまで、めっちゃ時間かかると。

 それに、ヤバい魔物が出てくるヤバいダンジョンだって言うのは、もとから覚悟していたことだし……今回の戦いも、僕らの共同戦線で、十分に余裕を持って対処できた。
 なら……このまま行くっていう選択肢も、決して無謀なばかりではないだろうと思う。

 ……何より……

「ヤバいモンスターが出るってことは、それ相応に希少な素材が回収できる、ってことだしね」

 このダンジョンで出て来た魔物は……通常の魔物と同じく、『素材』を回収することができる。当然、外に持ち出すことも。持ち出した途端、煙のように消えてなくなる、なんてこともない。
 なので、さっき倒した『ミクトランデーモン』『ケルベロス』そして『ディアボロス亜種』の素材ももちろん回収してある。かなり本気で戦ったから、損傷も激しくて、目減りしてるけども。

 これらと同じような、あるいはこれら以上のレアリティの素材が手に入る(かもしれない)ってのも……立派に僕にとっては、このまま進むメリットだもんな。

 それを放したら、しばし唖然として……しかし、ちょっと呆れつつも、クレヴィアさん達は、僕も『このまま攻略に賛成』ということで、他にも色々意見を聞いて……最終的に、十分注意した上でこのまま進む、ってことで、結論を出した。

 それと同時に、休憩時間も終了。
 いつの間にか――恐らくは、あの3体の魔物を倒したあたりで――出現していた、下の階層への入り口を通り、僕らはこの『ランダムダンジョン』の次なるフロアに降りていった。

 さーて、次の階層は、鬼が出るか蛇が出るか……?



 ……それにしても……だ。
 いくらこの空間が『ザ・デイドリーマー』で作られたもので、『ザ・デイドリーマー』が基本的に何でもありの能力だとは言っても……さっきちらっと言った『素材』については……やっぱりちょっと違和感と言うか、信じられない部分が強くある……な。
 
 ダンジョン内に出てくる魔物も、ダンジョンそのものと同様に『ザ・デイドリーマー』で生み出したものだとして……その魔物を倒した後、その死体や、回収した素材は消えることがなく、外に自由に持ち出せるってことは……無から有を生みだしてる、ってことにならないか?

 ……いくらとんでもない能力でも、それってあり得るんだろうか? 何か……気になる。

 もし仮に、そうじゃないとしたら……ここで出てくる魔物やら何やらは、一体どういう仕組みになってて……それを僕らが知ることができる時は、果たして来るんだろうか?



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