魔拳のデイドリーマー

osho

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第21章 世界を壊す秘宝

第493話 乱入に次ぐ乱入

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 時は少しさかのぼり……ミナトのところに、モニカに持たせてあった端末から連絡が届いて……その、少し後のこと。


 ☆☆☆


 僕らは急遽、ネフィちゃん達に事情を話し……聖都にとんぼ返りすることに。
 彼女達の護衛には、聖騎士の部隊をそのままと、エルク、ザリー、ミュウ、クロエ、ネリドラ、ギーナを残しておく。

 残る僕、シェリー、ナナ、サクヤ、セレナ義姉さん、師匠、そしてアルバの6人と1匹で、聖都に戻ることにして……超音速で飛ぶ戦闘機型マジックウェポン『八咫烏・改』で出達した。
 これなら聖都まで数分で到着である。

 ただ……

「何でミナト君とクローナさん、あんな平気な顔で外にいんの?」

「しかも立ってるし……この乗り物、一応超音速で飛んでるのよね?」

 風防を隔てて、シェリーと義姉さんの呆れたような声が聞こえる。

 しょうがないじゃん、もともとコレ、1~2人乗りなんだから。
 ちょっと無理すればどうにか中に4人は乗れる(操縦士込みで)ので、ナナに操縦を頼み、義姉さん、シェリー、サクヤが中に乗っている。

 で、外でも平気な僕と師匠は……両側の翼の上に立っている。あと、アルバは僕の肩にとまっている。ううん、風がすごい。

 もともと、何かあった時は……その『何か』の規模とか厄介さに応じて、誰が、何人で行くか決めて、それに応じた手段で行こうと思ってた。

 例えば、僕1人でも大丈夫そうなことであれば、『ライオンハート』……超音速で走るバイク型のマジックアイテムで僕1人、あるいは『サテライト』要員のアルバと一緒に帰るつもりでいた。

 しかし、モニカちゃんから届いた連絡の内容だと、どうやら襲って来たのは『ダモクレス財団』……しかも、『最高幹部』を含む複数人が来てるらしい。
 加えて、移動中に追加で『チラノース帝国』の連中も来ている、しかも『ダモクレス財団』と手を組んでるくさいという連絡まできた。マジか……超面倒なことになってんじゃん。

 前半部分だけでも特大の厄介事なので、戦闘に秀でたメンバーで一気に事態を収束させるべく、こうして飛んでいるわけだ。

 手持ちの乗り物の中では、この『八咫烏・改』が一番速い。
 本来ならコレのパイロットはクロエであり、モニカちゃんが聖都にいるってこともあって彼女も行きたそうにはしてたんだけど……戦闘力で見るとちょっと不安なんだよな。
 それに彼女には万が一の場合に別な仕事を頼む予定でいるので、ひとまず残留。運転はナナに頼んだわけだ。

 で、コレの中に乗れるのはMAXで4人なので、ナナを含む4人をそこに入れ……僕と師匠は、外でも平気だから立ってるってわけ。

 そんなことを考えてるうちに、『聖都』が見えてきた。
 が、超音速で飛んでいるので、見えたと思ったらもう即到着する距離である。というか、このまま飛んでるとあっという間に、普通に通り過ぎる。

 なので、ナナは『八咫烏・改』を急減速させ始めるが……それと同時に、僕と師匠は翼の下側に「よっこらせ」と回り込む。
 操縦席からサクヤが、僕が落ちやしないかとハラハラしながら見てるが……大丈夫大丈夫、そんなヘマしないから。

 そして、翼の下に取り付けられているミサイルの上にまたがる。

「よし、ナナ。やっちゃって」

「いいんですね、ホントに……知りませんからねどうなっても」

「ははは、この程度でどうにかなるほどやわじゃないって」

 ため息をつきながら、ナナは操縦桿についているボタンを押し……その瞬間、ミサイルが発射された。
 もちろん、乗っかってる僕と師匠ごと。

 超音速よりもさらに速い速度で飛んでいくミサイルは、空を切って飛び、大聖堂のちょうど真上まで飛んで……そこで、師匠の乗っていたミサイルと、僕の乗っていたミサイルが激突、爆発した。
 丁度そうなるように、あらかじめ射線を交差させて飛ばしてあったのだ。こうすれば、どっかに着弾して建物破壊とかの被害が出ることはない。

 爆発の直前に僕も師匠も飛び降りてるので、問題なし。

 しかし、そこからの自由落下中に下を見て……僕は、モニカちゃんに聞いてたよりも状況がさらにわけのわからないものになっていることを知った。
 いいとか悪いとかじゃなくて……いや、どっちかって言ったら悪い方なんだろうけど……ええと、何がどうなってこんなことになってるんだ?

(え、何この地獄絵図。聞いてないんだけど)

 ……いや、ホントにわけがわからないので、見たままを述べて説明しようと思う。眼下に広がっている、大聖堂の周辺の光景を。

 当初の予定では、陽動としてソニアが暴れてるはずだったんだけど……

「動けない者を運び出せ! 早くしろ、食い殺されるぞ!」

「くっ、『義賊』なんぞに庇われるとは……」

「言ってる場合かよ! ちっ、済まない義賊……今だけは感謝する!」

「皆まで言うな……私とて無駄な人死にを出したいわけではない。今は自分達が生き延びることを考えていればいい!」

「悪いがそりゃできない相談だ。俺達は聖騎士……相手が賊徒だろうが魔物だろうが龍だろうが、この聖都を守ることこそ俺達の使命だ!」

 ……なんか、ソニアと聖騎士の皆さんが協力して戦ってるんだが。

 しかも、その戦ってる相手ってのが……魔物の群れだった。大きく分けて、2種類いる。

 1つは……最近、聖都周辺で多く目撃されるようになってきていた、獣型の魔物。
 今回僕らがこの『シャラムスカ皇国』にくることになった依頼の討伐・調査対象だった魔物だ……1年以上前、聖都をモンスターパニック映画状態に叩き込んだ『アバドン』と同系統の。

 それが、あちこちに出現して暴れてる。数はそんなにいないみたいだけど……結構体が大きな奴も混じってて、苦戦してるな、聖騎士の人達。

 そして、もう1つは……龍だ。

 こちらは獣型の奴よりも少ないが、その分強力な個体がそろっている様子。前足がそのまま翼のワイバーン型もいれば、4足歩行のトカゲみたいなやつもいる。中には、翼も前足もあるドラゴン型……というか、『ドラゴン』そのものもいた。AAAランクのやつ。

 そいつらが、聖堂を襲って……いや、よく見るとそいつらも争ってる?

 ……獣型の魔物達と、ドラゴン系の魔物達と、聖騎士+ソニアの連合チームが三つ巴で争ってるような状況か、これ? 何でこんなことになってるんだ?
 ひょっとして『ダモクレス財団』が何かやったんだろうか、なんて思ってたんだが……確かめるすべはない。

 幸いにして、数はそこまで多くないし、戦闘が起こっている範囲はそこまで広くない。大聖堂の敷地内だけでおさまってるから、こないだみたいな、聖都全域が巻き込まれたモンスターハザード状態にはなってない。局所的には十分カオスだけども。
 ただ、あの数、あの強さの魔物は、聖騎士の皆さんだけでは駆逐するのは骨……いや、それどころか全滅する可能性の方が高いな。

 彼らが弱いわけじゃないけど、獣も龍も、常人なら一発でも攻撃食らえば十分死ねるパワーを持ってるし……龍の場合は、ブレスっていう範囲攻撃もある。
 戦場が限られている=狭いことが災いして、そんなもんがぶっこまれた日にゃ何人死ぬか……って言ってるそばからドラゴンがブレス吐こうとしてるし!

 聖騎士達が盾を構え、そこに障壁魔法も重ね崖して決死の覚悟で防ごうとしている。

 ソニアはそれ自体を撃たせまいと突貫して止めようとするが、別な魔物に遮られて進めない。

 あれだと何人かは死ぬと思ったので、僕は自由落下から、『スカイラン』で空気を蹴ってそこに直行し……今まさに放たれたブレスと、聖騎士の皆さんの間に割り込んだ。
 突然上から振ってきたうえに、ドラゴンの火炎ブレスの前に無防備に身を晒している――ように見えているだろう――僕に、聖騎士達は驚いていたが、かまわずドラゴンの方に向き直り……

「――しャァッ!!」

 横一線に足を振り抜き、その蹴りの爆風とか衝撃波でブレスを相殺してかき消した。

 突然ブレスが無効化されて驚いているように見えるドラゴンだが、次の瞬間には少し遅れて振ってきた師匠が、ドラゴンの頭の上に着地。
 そのまま真下に強烈な氷属性の魔法『コキュートス』を放ち、ドラゴンを一瞬で氷漬けにした。

 聖騎士達はそれを見ていたものの……死ぬかもしれない状況から一瞬で、あまりに大きく自体が動いて、理解が追いつかないらしい。
 それより早く、ソニアが僕に気づいて……『念話』で話しかけてきた。

『ミナト殿! 来てくれたか……すまない、信じて託してくれたのに、手を煩わせてしまった』

『いや、これも仕事のうちだし……別にソニアのせいじゃないんだから気にしなくていいでしょ。っていうか、コレそもそもどういう状況なの? 何でこんなところに、例の獣共と、龍まで? なんか色んな種類ごっちゃになってるし……』

『わからん。途中までは作戦通りだったのだが……どちらも突然現れたのだ』

『突然?』

『ああ……獣達は、壁や瓦礫を突き破って、まるで湧いて出たかのように。龍達は……同じように湧いて出たものもいれば、空から飛んで舞い降りて来たものもいたな。……そういえば……奴らが出てくる直前、瓦礫の中に妙な光が見えた気もするが……』

『ほー……なるほどね』

 わかったかもしれない。こいつらがどうしてここに『いきなり』現れたのか。
 その理由もそうだが……犯人も。

 ……相変わらずというか……前情報がなかろうが、目に見える範囲内にいなかろうが……近くに『あいつ』がいると、僕はこうして感じ取れるんだもんなあ。
 そして『あいつ』なら、ここに来ていてもおかしくないし、突然魔物が現れるなんていう事象を引き起こすことも可能だろう……『召喚術』で。

 アルバに師事して『サテライト』を使わせると……いたいた、やっぱりいた。
 しかも、マリーベル達も一緒にいて……やばい、結構ピンチっぽい。早く行こ。

 しかし、そう思った瞬間……僕の斜め後方から、ひときわ大きな獣型の奴が突っ込んできた。牙をむいて、僕を食い殺す気満々で。

 時間は欠けてらんないので、速攻で倒すべく拳を握って……しかし、次の瞬間、


 ―――ズドォオオオォオン!!


「……んん!?」

 突如、上空から凄まじい勢いで何かが突っ込んできて、その獣に直撃。
 激突の衝撃で獣は粉砕され……肉はつぶれ、骨は折れて砕けて、一部が外に飛び出していた。どうみても絶命している。

 他のドラゴンの流れ弾のブレスか何かかと思ったけど、土埃の向こうに見えたのは……見覚えのある、黒と琥珀色のカラーリングだった。

 えっ、ちょっと……何でお前ここにいるの!? てか、何でここに今、来るの!?

「ゼッ、ト……!?」

『ガァァアアァアアッ!!!』

 その咆哮は衝撃波となり、立ち込めていた土埃を吹き飛ばす。

 そこにいたのは、今では人間よりもかなり大きく体躯の育った……漆黒鎧のような鱗と甲殻に身を包み、体の所々……爪や角、背びれや尾の先端に琥珀色の輝きを持つ、人に近い形の龍。
 ついでに言えば……僕の顔見知りでもある。

 『ディアボロス亜種』のゼット。そいつが、そこにいた。
 ここまでは飛行してきたらしいが、その時に使ったのであろう翼は、目の前で折りたたんで背中にしまってしまった。

 しかし、何でこいつがここに来る……!?
 縄張りを持たない流浪の魔物だから、その行く先々で魔物とかと戦って蹴散らしたりすることはあるけど……ここをまさか縄張りにしてるとか、流れ着いたってわけじゃないだろうし。

 それにこいつは、他の魔物とは違う。人間並みに高い知能を持ってる。
 仲良くなったエータちゃんを守るために戦ったり、幾度も戦っている僕をライバルと認めていて……幾度も挑んできて戦った。『リアロストピア』の時は、一時的に共闘した……と言えばいいのか、亜人の軍が『オルトヘイム号』を襲おうとしたのを蹴散らしてくれたりした。

(『ダモクレス』がエータちゃんを利用してけしかけたのか? それとも、ウェスカーが『召喚獣』として……いや、多分違う。『召喚』が発動する気配はなかったし、こいつは自力で間違いなくここに飛んで現れた……でもなら猶更何で!?)

 ここに、しかも今、こうしてこいつが来たのには、何か理由があるはずだ。
 まさかとは思うけど、また僕を助けてくれるとかそういうんじゃ……

「ガァァアアァアアッ!!!」

「……なさそうだな」

 ゼットの咆哮には……なぜか、怒りの感情が込められているような気がした。
 むしろ僕には目もくれず、周囲を見回し、睨みつけ……ちょうどその視界に、自分に襲い掛かってくる何体かの獣が映った。

 直後、ゼットは消えたかと思うほどの速さで跳躍し、向かって来た獣のうちの1匹の懐に飛び込んで、爪の一撃で引き裂いて仕留めた。
 別な獣を、鞭のようにしなる……しかし、凶悪な切れ味を持つ刃でもある尾で真っ二つに。
 そして残りは、口から吐き出した黄金色の魔力のブレスで消し飛ばした。

 よ、容赦ないな……いや、する必要ないけども。

 にしても……何でこいつこんな、怒ってるというか、苛立ってる様子なんだ?

 この感じ、前にも覚えが……ジャスニアで、エータちゃんが『ディアボロス』の原種に襲われた時にも、こいつは襲撃者に対して怒っていた。
 しかし、今感じるというか、むしろまき散らしている怒りは……その時以上のような……

 その怒りは、これもなぜかはわからないけど、主に『獣』に対して向けられているようでもあるけど……気のせいじゃなければ、聖騎士の皆さんとか、ソニアにも……あと、今ちょっと僕にも向けられなかった? なぜ!?

 え、ちょっと待って、僕何もしてないよね!? お前を怒らせるようなこと! マジで何なの!?

「ぜ、ゼット? その……何でそんなに、ってか、何に対して怒ってんの? 反抗期?」

 恐る恐る聞いたけど、『ガルルルル!』って唸られた。怖……

 しかし、それ以上はしてこずに、また周囲をきょろきょろとし始めた……かと思ったら、何かを見つけたのか、ばっと振り向いて、地面のある一点を見つめ始めるゼット。

(……ん? あの位置は……というか、あの方向は……)

 かと思ったら、突如ゼットは翼を出して飛びあがり……空中で、凄まじい魔力を練り上げ始めた。背中から尻尾にかけて並んだ、刃のようなひれが輝きを放ち……おい待てちょっとお前何しようとしてんの!?

 それ、ブレスの予備動作だよね!? しかも結構凶悪な威力の奴! さっき獣数匹まとめて消し飛ばした時以上のだろ!

 やめろ、そんなの……しかも、そこに向かって撃つのは!
 そこは……っていうか、その直線上は……ちょうど地下通路になってて、マリーベル達がいる場所だから! 『サテライト』にそう映ってて……っていうかあっちもかなりピンチじゃん! ウェスカーあの野郎、敵だから当たり前だけど容赦なく……

 しかし、射線に割り込んで止めようとした僕を、ゼットは尻尾の一撃で弾き飛ばして妨害した。
 腕でガードしたけど、この威力……やっぱり前よりもがぜん強くなってるなこいつ!

 しかも、僕が怯んだ一瞬の隙に、ゼットのブレスが……超圧縮した光弾となって放たれ、地面に着弾し……ああもう、間に合わない!

「アルバ! 障壁で聖騎士さん達を守れ!」

 ―――ぴーっ!

 視界の端で、アルバがノータイムで超強度の障壁を作り出し、聖騎士の皆さん……と、ソニアもきちんと保護して守るのを確認しつつ、僕は『サテライト』で頭の中にある情報をもとに、『虚数跳躍』を発動。
 途中にある障害物……地面とか石壁とかを無視して、地下通路に一気に飛ぶ。

 そこで、今まさに、床に転がってる『血晶』――僕が作ったダミーじゃなく、たぶん本物――を拾おうとしてるウェスカーの真後ろに出現。

 しかし同時にウェスカーも気付いて、振り向きながら障壁を発動……構わず、そこに、電磁加速させた拳『レールガンストライク』を叩きつけ、障壁ごと殴り飛ばす。
 ダメージにはなってないけど、距離と時間は稼げた。そしてすばやく、床に落ちてる『血晶』を拾い、収納。
 
 その瞬間、ウェスカーが『しまった』とでも言いたげな表情に一瞬なったけど、すぐにいつもの営業スマイルじみた表情になる。

「……これはこれは……お早いご到着で。今日は急な護衛任務で遠征に出ていたはずでは?」

「大急ぎで戻ってきたんだよ、ヤバいことになってるって連絡貰ったから。全く、毎度毎度ホントにお前らは迷惑なことしてくれる……ていうか、上のバカ騒ぎは何なのあれ? あれもお前らが何かやってアイツ暴れてんの?」

「? アイツ、とは? 上で暴れているのは『義賊』のお嬢さんではないのですか? であれば、あなた方の計画の範疇でしょうに……」

「何言って……なるほど、お前らにとってもイレギュラーなわけね。あいつの参戦は。まったく、久々に会ったと思ったらなんでアイツあんな……」

 やっぱりゼットの襲撃はこいつの手引きじゃなかったか……しかもこの物言いだと、ひょっとして龍や獣達も違う……?
 てっきり、ゼット以外はこいつが『召喚獣』で送り込んだ陽動だと思ってたんだけど……だとしたら何で……って、考えてる暇はないな。

 上の方ですんごい爆発音がして、衝撃がここまで届いた。あ、やばい、天井崩れる。
 ゼットあのやろー、ホントに洒落にならん威力のブレスを……ここ、見た目のわりにかなり堅牢な魔法防御が張ってあるみたいなのに、岩盤ごと全部ぶち抜いて崩すとか……

 マリーベル達は……だめだな、動けなそう。しかも5人全員は、僕でも抱えて逃げるのはちょっと……間に合わない。
 なので、拳を連続で突き出した衝撃波で、瓦礫を全部砕いて……その爆風でかけらとか粉塵も吹き飛ばす。

 それでどうにか凌ぎぎったくらいのタイミングで、ゼットが降りてきた。


『―――ガァァアアァアアッ!!!』


「……!? これはこれは……まさか、こんなところで……」

「ホント、何でよりによって今、ここに来るんだかこいつは……。久しぶり……ではあるんだけど、お前の場合、再会を素直には喜べないんだよなあ……ゼット」

 変わらず怒りの感情を迸らせての、咆哮。
 その姿を見て、ウェスカーと……あと、一緒に来ていたらしいバスクも警戒する。こいつの戦闘能力については、ウェスカーとかから聞いてるだろうしな。

 敵対し、戦闘になった場合は相当苦労することは予想できるだろう。

 ……しかしゼット……何でさっきから僕の方を睨んでるの?

 何でそのまま襲い掛かってくるの!? しかも割と殺す気で!
 目が、目が『邪魔するなら例えお前でも許さん!』的な怒気を!? なぜだぁ!?

 しかも『チャンス!』みたいな表情になったウェスカーとバスクまでくるし! この野郎お前ら……ああもう、百歩譲ってくるのはいいから、倒れてるマリーベル達を巻き込むなよ!?
 こいつらが相手じゃ僕も回収してる余裕は……あっ、ナナとサクヤ降りてきた。ちょうどいいところに! そこの5人回収して安全なところにお願い!

 これで彼女達の身の安全はいいとして……ゼット! 繰り返しになるけど……あの、何か僕、気に触ることをしましたでしょうか!? せめて理由、理由を誰か教えろ!
 さっきから予想の斜め上の連続でもうなんか頭が追いついてきてないんだよぉおお!



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