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第16章 摩天楼の聖女
第285話 『聖都』への道中
しおりを挟む――ガタンゴトン、ガタンゴトン……
「お弁当はいかがですか~? 飲み物もありますよ~?」
「……ターニャ、何してんのあんた」
「や、なんかミナトさんにやってくれって頼まれて。ちなみに意味とかは特に聞いてない」
「……まあ、んなこったろうと思ったけどね……相変わらずわけのわからんことを」
いやあ、電車って言ったらやっぱコレじゃない? 車内販売。
駅弁とかお菓子買って、窓の外の景色見ながら食べるのも旅の楽しみの1つだよね。
……もっとも今回の旅の場合、ちょっとばかり行く先には楽しみが期待できないかも……っていう残念なポイントがあるんだけど。
「あ、ターニャちゃーん、こっちに飲み物ちょーだい。ミルクティーがいいな」
「はいはーい、ちょっと待っててねレジーナさん、今作っちゃうから」
「へ? 作るって……うわぁ、そんなこともできるんだ。これもミナトの発明?」
ターニャちゃんが、台車(マジックアイテム。僕作)のギミックを起動し、お茶を入れるセットを設置。それを使ってささっとご注文のミルクティーを淹れてしまった。ものの十数秒で。
横からそれを見ていたレジーナは……なんか、面白いもの見た、って感じで楽しそうだった。子供がマジックショーとかを目の前で見ていた感じに近いな。
そんな2人を……通路を挟んで反対側の席に座っている、リンスとルビスが、微笑ましげな視線で見ている。なんか、ノリの軽い感じが、姉妹みたく見えるからかも……確かに微笑ましい。
見守りながら、自分たちも飲み物をそれぞれ注文していた。
……さて、そろそろ説明するか。
今、僕らは……予想はつくだろうけど、『シャラムスカ皇国』に向かっている最中だ。
僕がSSランクになった時に、兄さん達を『キャッツコロニー』に招待したときにも使った、僕特製の魔力機関式旅客輸送列車『ナイトライナー』で。
コレ使えば、馬車や竜車なんかよりよっぽど早く、まとまった人数を移動させられるし……今回僕ら『邪香猫』が参加がてら護衛するメンバーはけっこう人数が多いし、あちこちの国にいたので、その迎えとかも兼ねてコレでみんなで行くことにしたわけだ。
具体的には、まずキャッツコロニーを出発した後、南に行ってニアキュドラでレジーナを拾い、ネスティアに行ってリンスたちを拾い、ジャスニアに言ってルビス達を拾い……現在そこから、まっすぐシャラムスカの『聖都』に向けて移動中だ。
今、夕方だけど……このまま進めば、明日の昼前には聖都とやらにつくだろう。それまで、のんびりゆったり過ごしていればいい。
快適に過ごせるように、車内にはいろんな設備を充実させている。横になれる寝台車両はもちろん、風呂もトイレも完備、食堂やバーすらある。店員はメイドロボだけど。
しかしそれ以前に、今のこの『お友達と一緒にお出かけ』状態の雰囲気がそもそも楽しさを増幅しているのか……皆、今でも十分楽しそうにしている気がする。
……なんかこう……遠足とか、修学旅行に行く道中、って感じ。
ああ、うん……アレ、行く途中の電車の中が異様に盛り上がって楽しい感じするもんね。わかるわかる。経験あるから。
とはいえ、そのメンツが……王族やら貴族やら高級軍人やらをわんさか含む、まともな神経の持ち主なら緊張のし過ぎで卒倒ないしショック死してもおかしくないそれなわけだけど……。あ、僕はもう慣れたんで。
っていうか、リンスやルビスに『敬語不要』『堅苦しい呼び方嫌』って言われて、今じゃこんな風に呼び捨てや愛称で呼んでるくらいだし……あ、レジーナは元々だけど。
そんな感じなので、これからの護衛任務の期間中も、互いにストレスとか感じることもなく(トラブルが起こらない限りは)ゆったり過ごせるかなー、なんて思ってたんだけども……
どうやら、全く別な角度というか理由から、難しいだろう、というご意見をいただいた。
何度かシャラムスカに行ったことがあるという、ルビスや姉さん達から。
「そもそもあの国は…『宗教国家』などと言っていながら、ある意味でチラノース以上の問題児だからな」
「『シャルム教』の総本山。それに偽りはないが……教会や、他の小さな宗教や精霊信仰のような、物静かで厳かな聖地、などというものはどこにもない。まあ……人の営みの行き着く先、地位を持つ者のふるまいとして考えれば、ある意味そのままかもしれんがのう」
「……つまり?」
「欲の皮の突っ張った生臭坊主共と、選民思想すれすれの狂信者共の巣窟、ってこと」
ルビスとイーサさんの言葉を、ジェリーラ姉さんがまとめてくれた。
「末端やそのとりまとめの位置の僧侶たちには、真に人の世のためを思って活動に励んでいる者も多くいるのじゃが……上に行くほど俗物が多くなってきてのう。なまじ金も権力も手に入る分、自らの本分を忘れて堕落する者の多いこと、多いこと……」
「その一方で、苛烈・過激な戒律を振りかざしたり、独善的かつ排他的だったり……『シャルム教』の宗教観を押し付けてくるような奴もいるの。その2つが無駄にうまいこと噛みあってて、お互いの領分を侵さない限りは無干渉なもんだから……余計に面倒なのよね」
ええとつまり……宗教とか教えとか実はどうでもよくて、贅沢三昧の生活してる連中と……宗教に熱心すぎて非人道的だろうが周りに迷惑だろうがお構いなしの連中の両方がいる、ってこと?
「付け加えて言うなら、もう1種類いるわね」
「贅沢三昧好き放題やりつつ、宗教も大事にしている……自分たちの贅沢や横暴は神の名のもとに許されるが、他がそうだったり、文句言って来たりするのは神を冒涜するけしからんことだ……とかなんとか意味の分からん考え方を持っている連中、じゃな」
……本当によくわかんないな……。何だよ、それ。
特に最後の……せめてどっちかにしろと言いたい。もう完全に堕落した暗君そのものだな。
いや、どっちかに絞ればいい、って言うつもりもないけどさ。
「そんな感じだからさ……えーっと、時間的にもうすぐ『シャラムスカ』との国境よね? まあ……実際に見た方が早いか、きっと驚くわよ」
「驚くって……何に?」
「宗教国家とは思えない……私たちの国以上の格差社会だ」
そう言いながら、ルビスは窓の外……まだ、景色ばかりで何も見えないその向こうを、なぜか苦々しげ、あるいは忌々しげににらんでいた。
「……よくわかんないけど、危ない国、ってこと?」
「『あぶない』というよりは……『ひどい』国だとお姉さまは言っていましたね」
と、レジーナとリンス。今までの話、何気に聞いていたらしい。
「リンスは、シャラムスカのこと……メルディアナ王女から何か聞いてたの?」
「ええ……その……聞きかじりではあるのですが、宗教、神の教えの国とは名ばかりの……どこよりも人の業が横行闊歩する国だと……」
……聞けば聞くほど、マイナスイメージばかりが膨らむ国だ……。
確かに、あの国にはチラノースなみに悪い噂が跋扈している。
国同士の付き合いにおいても公然とお布施を要求する、他の国々が全面的に賛成して人道的にも正しいと言える政策を、宗教観を理由に突っぱねる、きちんと外交上の手続きをすべて踏んで締結した条約を、宗教上の理由ってだけで平気で破る……ちょっと調べただけでも、まだまだある。
『聖典』だか『戒律』……だっけ? 宗教上正しいとされる、神の教え……これに反していれば、たとえ正規の法律ですら悪法とみなされ、従う必要はない……なんていう主張は、前世の地球にもある時代、ある地域で平然と横行したようだけど……この異世界でもか、
『魔法』なんて奇跡じみた技があり、命の価値が向こうより軽いだけある……まあ、予想しないではなかったけど……はぁ、一番めんどくさそうなパターンだな。
『多神教国家』『無信心国家』とまで言われるほどに、宗教に寛容というか適当な国、日本で育った僕にとっては、どうやっても理解することのできない価値観だ。
個人あるいは内輪で主張するならともかく、国家間のやり取りの場にまで持ち込むんじゃ……煙たがられても仕方ないよなあ。
一応、外交ってもんを少しは考えてるのか、きちんと他の国に多少は合わせる部分もあるようだけど……なまじ、自分たちを正しいと思ってそうしている連中だけに、こっちが正論で返しても、向こうにとっての聖論(誤字にあらず)、こっちにとっての暴論で返ってくるもんな。
……しかも、そう建前(って言っていいのかはわからんけども)を立てておいて、実際のところは自分たちの欲で動いている連中もいるってんだから……もう、めんどくさい。
めんどくさい信者と、めんどくさくて欲深い信者兼俗物と、超めんどくさくて危険な狂信者。この三者が同居する国……か……。
……やばい……今更ながら超めんどくさそう。
「まあまあ……ミナトがそういうの苦手なのはほら、私たちもわかってるけどさ」
「そのために私たちがいるようなものだ……少しは安心していいぞ」
と、レジーナとルビス。ついで、リンスも、
「護衛とはいえ、我々各国の王族と一緒にいるのであれば、虫よけくらいにはなるはずです。少なくとも、表立って横柄な態度を取ってくる者や、無理にコネクションを作ろうと迫ってくるような者はいなくなるでしょうから……微力ながらお力になれるかと」
とのこと。がんばりますね! といつものふんわりした雰囲気ながら、やる気に満ちている様子だった。かわいい。
……依頼をもらった段階で、そういう形でも役に立つよ、という話がもともとあったとはいえ……王族を虫よけ……普通に考えると、とんでもない位置づけというか、扱いというか。
まあ、向こうから言い出してくれてることだし……結果的に、みたいな面もあるし、いいか。
それに、その気持ちはうれしいんだけど……それを聞く限り……
「……逆に言えば、そうしないと私らにはそういうのがジャンジャン寄ってくる……ってことなのよね」
そうそう。エルクの言う通り。
そうでもしないと、無位無官であることも手伝って……多少強引にでも、僕に何かしらのちょっかいをかけてくるような輩は、多いどころじゃないだろう、と目されてるわけで……。
世界唯一のSSランク。
稀代の発明家兼研究科。
一国を一人で落とす戦闘力。
大陸中央部に所有する広大な土地。
各国の要人と顔見知りであるという人脈。
各国の中枢としても、単なる権力者やその派閥としても、僕につなぎを取っておきたい……できることならば、何らかの形で確かなつながりを持ちたい理由は十分なのだそうだ。
ことあるごとにノエル姉さんとかセレナ義姉さんとかギーナちゃんとかアリスとかから言われて、ようやく最近、僕は僕の正確な……というか、客観的な地位というものを理解してきている。
現代社会で例えれば……そうだな……。
例によって自画自賛になるけど……唯一無二の技術を持つ人間国宝で、学会に旋風を巻き起こしたノーベル賞受賞者で、オリンピック金メダリスト級のアスリートで、六本木の一等地にビルをぽんと建てちゃえるような資産家で、各国の要人に顔が広くて政治レベルで融通が利く……ってこんだけ盛るともう何だかわかんないな。
ともかく、そんな感じに見られているらしいのだ。
そりゃ……味方に引き込みたいよな。客寄せパンダにしてよし、用心棒にしてよしだ。
そういうのから身を護る『虫よけ』……うん、そう考えるとありがたい。
「まあ、そうは言っても……基本、自分の利とするためにつながりを持ちたい連中じゃからの、極論、こっちに害になる、隔意を持たれるようなことは避けるはずじゃて……そう身構えんでもよかろう」
「そうですね。むしろ注意すべきは……それを乱そうとする者達の方でしょう」
「あら、ドレーク……会議は終わったのですか?」
「はっ……情報交換及び今後の日程等の確認、つつがなく終了いたしました」
「その様子じゃと、お主もじゃな、デンゼル」
「はい、レイリアル伯」
ちょうど、車両の扉を開けて入ってきたドレーク兄さんと……ジャスニアからついてきた、デンゼル・ビート将軍、それに、エルビス王子がいた。
どうやら、会話は聞いていたようだ……一応防音なんだけど、この車両。
……まあ、ドレーク兄さんなら不思議でもないか。そこまで厳重にしたわけじゃないとはいえ、僕の技術力もまだまだだな。
乗車後まもなく、今後のことで話し合いがしたいってんで、3人と、あと部下の人達含めて何人か……別な車両の会議スペースに移ったんだよね。
一応僕らも『護衛』なんだけど、また別な分野の話になるらしく、出なくていい、とのことだった。護衛関係で必要な打ち合わせは、事前に何度もしたし……必要になったらその都度声をかけるから、って。
となると……政治か、外交がらみか何かかな?
ま、気にしなくていいみたいだし……言われた通り、何か声がかかるまでは、普通の護衛依頼として、それに集中すればいいか。
「いや~……正直、私も緊張して不安だったりしたんだけどさー、ミナトが護衛してくれるんなら安心してイベント対応できるよ。こんなのまで作ってくれてさ」
にひひ、と、嬉しそうなような、リラックスしているような感じでレジーナが言いながら、指にはめている金色の指輪を、見せびらかすように指ごとこっちに向ける。
同じ指輪は……今回の護衛対象全員に配ってある。リンス、ルビス、エルビス王子にも。
これは、今回のために作ったマジックアイテムだ。大体予想はつくと思うが……緊急時の防御や各種対処、連絡などの機能をわんさか搭載している。
例を挙げれば……一定以上の威力の衝撃に対するオート障壁、各種干渉系(転移含む)の術式に対するジャミング、緊急事態発生時に僕らにそれを伝えるアラーム、僕らと離れていても話せる通信機能、ある程度のケガの治療を行える回復機能、一通りの毒物等に対応した解毒・緩和機能、緊急避難用の転移機能……エトセトラ。可能な限り不意打ちとかも防げるように。
なお、指輪型にしたのは……風呂とかでも外さないで着けておけるようにだ。
あんまり考えたくないけど……入浴中や着替えとかの、身に着けているところを外したその隙に拉致られる、とかいう危険性を考えている。
一回それで痛い目を見ているだけに……不測の事態とは僕にとって『対応する』より『起こさせない』ものだという認識なのだ。
……もっとも、着替えや入浴中に襲撃なんて卑劣な上に破廉恥極まりない真似をして来ようもんなら、地の果てまででも追いかけて僕がこの手で消すけど。
このメンバーは、そのくらいに思うくらいには、僕にとっても大切な存在だ。友達として。
ちなみに、同じ護衛対象でも、オリビアちゃんに対してだけは渡していない。
もちろん、差別とかじゃなくて、もともと彼女は『身内』判定なので、それより強力な『邪香猫』仕様のリングを渡してあるのだ。ザリーとおそろいのデザインの奴を。
能力がさらに多彩な上に……相手からの攻撃の種類や敵意・殺意の度合いによっては、ちょっと洒落にならないレベルのカウンターが発動したり、封じ込めてあるやばい『CPUM』が解放されて暴れだしたりするので……。
ちなみに……なんか皆、つけてる指が違うのが気になった。
リンスが、左手の小指。
ルビスとエルビスが、右手中指。
レジーナが、右手の小指。
オリビアちゃんは……左手の人差し指。
……たしか、指輪をはめる指って、それぞれ意味があったんだっけ……?
忘れた、っていうか知らないけど。今度暇があったら調べてみようかな。
なお、うちのメンバーにも『邪香猫』仕様のリングを渡してあるのはさっき言った通りだが……そのうち、僕、エルク、シェリー、ナナ、ネリドラは左手の薬指に着けていたり(自慢)。
他のメンバーはそれぞれ思い思いの指に着けている。中には、日によってつけてる指が違う人や、指輪じゃなくて別の装飾品――腕輪とか、イヤリングとか――にしてつけてる人もいる。
前者はミュウとかクロエ。後者はシェーンやコレットだ。料理するから指輪は邪魔だってさ。
☆☆☆
開けて翌日。昼。
雑談しながら、修学旅行的な感じで進んできて……しかし、そんな電車の旅もそろそろ終わる。
ちょっと前に言われた……シャラムスカがどうひどいのか、『見ればわかる』って言われた意味が……言われた通り、実際にみてよぉ~くわかった。
「……これ、国家運営成り立ってんの……?」
「首を縦に振りづらいですよね。少なくとも、宗教国家としてはちょっと……」
「いや、普通にアウトでしょ……今までに見た限りでも」
特に誰に聞いたってわけでもないんだけど……僕の独り言に、リンスとレジーナから返事が返ってきた。
その視線は……3人とも、いや、ここにいるほぼ全員のそれが……目の前のモニターに映る光景に注がれている。
何が映っているのかというと……望遠機能で見えている、目的地である『聖都』だ。
他の国でもそうだけど、この『ナイトライナー』に限らず、僕が作ったオーバーテクノロジーの乗り物で、都市部やその近くに乗り付けると、まず間違いなく騒ぎになる。
それを避けるために、離れたところで降車してそこからアナログ手段で行く……っていう方法を、僕らはいつも取っている。
今回もそうするつもりで、まだ遠い位置でコレを止めたんだけど……その際、せっかくだから、コレに搭載されている望遠装置を使って、遠くの位置に見え始めた『聖都』を見てみたのだ。
その結果が……さっきのセリフってわけ。
宗教国家の中心都市なんだから……僕はてっきり、歴史の重みとか、荘厳さ? みたいなものを感じる街並みなんだろうと想像していた。
いや、確かにそういう部分もあるのかもしれないけど、どちらかというとこれは……。
(……他の国にもあった、富裕層の暮らす街並み、って感じだな。貴族街、とか言うんだっけか)
かなり整備されてる点は、都市として評価点なのかもしれないけど……都心の一等地みたいな、それなり以上に豪華な建物があちこちに。それも、町の中央部に行くほど多くなっていき……しまいには、超のつくような豪邸ばっかりになっていっている。
宗教色の強いような、それを理由に豪華な建物ももちろんあるけど……ほとんどは、個人の財力を示すかのような、普通の豪邸だ。
一番中心にあるのは……話に聞いた『神殿』って奴だな。一応、きらびやかではあるけど、比較的マシというか……『荘厳』な感じも出ているように見える。
その周囲は……『金持ち』系の建物で囲まれてるけど。
そして町の中心部には……セレブ系の建物の他に、娯楽施設や店舗みたいなのが結構な数見受けられた。宗教都市に必要なのかな、って思うようなのも含めて。
拡大してるとはいえ、ここからでも見える程度にあるってか……
(なるほど。姉さん達が言ってた『遊びには事欠かない』ってのは……このことか)
『聖都』なんて大層な名前を持っておきながら――いや、実際にその役割もきちんと担っていられるだけの機能があるんだろうけど――そこにあるのは、他の国の貴族街と変わらない、いや、それ以上に人の欲望と直結した街並み。
宗教に関係ない、普通に金持ちたちが遊ぶための施設がわんさかあり、昼も夜も関係なく、己の欲望を満たすことに苦労しない。あの分だと、種類も相当だろうな……ショッピング、飲食、賭博、風俗……どんくらい充実してるのやら。
宗教っていう『権威』がそこに付随している分、余計に集まりやすかったりするのかも。
そしてこの街並みが、異質というか、際立って見えてしまうのには……もう1つ理由がある。
町の外縁部や、ここに来るまでに窓から見下ろした時に見えた、町や村。
そこに見えたのが……発展途上国もかくや、って感じの、貧困街じみた光景だったからだ。
文明の利器的なものはほとんど見受けられず、この、剣と魔法の異世界の平均的なレベル……中世的な文化・生活水準にすら明らかに達していない、困窮した中で生きていると一目でわかる、そんな町や村だった。もはや、スラムと言ってもいい。
全部がそうだったわけじゃないけど……明らかに多数派だった。
そうじゃなかったのなんて、街路が通ってて、交通の要所かそれに準ずる位置とわかる場所にある町村だけで……後は、悪いけど、ちょっと入りたくも、近づきたくもない感じの……うん。
衛生的とはお世辞にも言えない感じだったし……治安も悪そうで……。
『南北問題』っていうんだったか……地球にもあって、問題視されてたな、こういうの。
本当に同じ国かよ、って感じで、都市部と地方で生活水準が天と地レベルで違う、とんでもないレベルの格差社会。お隣のあの国がまさにそんな感じだったな。
まあ、資本主義とかが極まるとそうなるのもある程度しかたないというか、そうなってしまうものなのかもしんないけど……あれ、あの国社会主義だったような……あいいや、どうでも。
そして、こういう問題が極まってくると、そこから生じる格差や不満を背景に、色んな犯罪やら社会問題が次々出てくるんだよな……例を挙げればきりがない。
その場合、犠牲になる……そのあおりをもろにうけるのは、市民階級か、それ以下の人たちだ。
……なるほど、不謹慎を承知で言うけど……テロリストに狙われそうな国だな。
その中心部、まさに狙われそうな感じの場所に、これから行くのか……気を引き締めないとかも。
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