魔拳のデイドリーマー

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第16章 摩天楼の聖女

第286話 式典と『聖女』

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なんかこう……色々と思うところはありつつも、問題なく『聖都』に到着。

大国の王族・重要人物、さらにはその護衛という形とは言え、今噂の『SSランク』の関係者4までもが一度に訪れたため、かなり驚かれたけども……何にせよ招待状をきちんともっていたこともあって、若干時間がかかった程度で、問題なく町には入ることができた。

聖都『シャルクレム』は、通常、巡礼者を含む宗教関係者か、その紹介を受けた人物しか行くことはできない。町の中に入ることすらできないのだ。入れば即、逮捕される。

冒険者ギルド所属の冒険者すらも例外ではなく……許可を取らなければ入ることは不可能。

ただし、実質のところ……それは一応の建前である。

中心部には、一応そういう宗教関係の遺跡とか、すごく大事な施設とかも多いみたいなので、全くの建前ってわけじゃないものの……外側が、ね。

さっき、電車(ナイトライナー)の中から見てわかったように……随分とまあ、俗物的なイメージを想起させる街並みになってるし。

ほぼ円形に広がっている『シャルクレム』は、大きく分けて3つに分かれていた。

一番外側に、貧困層の暮らしているであろう、スラムとか暗黒街的なエリア。ここはいわば無法地帯に等しく、宗教関係者以外お断りのルールも及ばない。
というか、そういう人たちがいる場所に入れない連中のたまり場、みたいな感じ。

一番内側、中心部は……宗教国家らしい、と言っていいのか、厳粛な感じの空間が広がるエリア。冗談抜きで宗教色が強いというか、理屈が通用しない、本物の『聖域』的なところ。

で、その2つの間にあるのが……さっき言った成金エリア。
ここを境にして内と外は別世界である、とでも言いたげな、大きな塀や堀があって……その内側がそうだ。色々と娯楽施設がそろってる感じで、上流階級の滞在にも適してそうだ。

出入りは厳しく制限されていて、スラムの住人なんかは当然、入れない。
さっき言った通り、宗教関係者かその紹介を受けた者しか入れないのだ……建前は。

ただ、その『紹介』ってのが……『お布施』って形で金を積めば割と簡単に手に入るので、あってないような制限だったりする。

町の景観?を損なうような貧民層をシャットアウトするには役立ってるのかもしれないけど、そこそこ成功している商人とかであれば、今言った方法で、『シャルム教に理解のある善良な市民である』として中に入れる。

要は、中で散財して『シャルクレム』に利益を落としてくれるような『金づる』なら普通に歓迎ってことで、そのためにカジノやら何やら充実してるってわけだ。

まあ、僕らの場合は最初から『招待』されてたわけで、許可下りてたんだけどもね。


☆☆☆


そんなこんなで到着した僕らは、宿を取って荷物をそこに置いた後……服装を整えて、早速、その『聖女』関係の式典に参加した。

……したんだ、が……

「……帰りたい」

「気持ちはわかるけど、我慢しなさい。……気持ちはわかるけど」

僕の独り言に、エルクがぴしゃりと。大事なことだから2回言ったんですねわかります。
今の僕の心境を一言で言い表すと……死ぬほど退屈。

高校の時の、よくわかんない式典とか思い出した。校長や同窓会長の、よくわからんスピーチやら何やらを聞かされて……寝ないで耐えてるのに必死だった、あの感じ。

退屈で仕方ないその状況下……さらに僕の不快感を増長してるのは、ひっきりなしに襲ってくる、他国の権力者その他の挨拶攻勢である。

今参加している式典は、今回の聖女就任記念式典『シャルム・レル・ナーヴァ』の儀礼の1つであり……関係者各位の参加する『お茶会』という名の社交会の形になっている。

出ているお茶やお菓子は、重要な式典だけあって、一級品だとわかるものばかり。それらを暇を見つけてはつまんで、この退屈からくるストレスを癒している感じである。

……ハーブティーや紅茶はあんまり好きじゃないんだけど……銘柄にもよるみたいだな。案外おいしい。

さて……ランクSSである僕の人物としての価値は、下手な貴族なんかより全然上である。
この場で、折角なので色々とコネクションを作っておこうと考える連中は、かなり多かった。

現在、僕は……護衛という形で、リンスことリンスレット王女と一緒にこの場を回っている。

隣には、僕の付き添いのポジションで同行している、エルクとナナも。
2人とも、この時のために用意しておいたドレスに身を包んでいる。超にあっていてかわいいのなんの……眼福です。

例によって(と言うべきか)、それぞれのイメージカラー……エルクは若草色、ナナは藍色のドレスだ。装飾品とかもその系統でそろえていて、上品かつ清楚なイメージでコーデしてある。
僕にそういう才能はないので、全面的にクロエやアリスなんかの経験者枠に任せたけど。

電車の中で話になった通り、付き添っているリンスが虫よけになって、中途半端な連中は声をかけてこないし、近寄っても来ない。視線は感じるから、若干鬱陶しいけど。

しかしそれでも……まったく声をかけてくる奴がいないわけじゃない。
具体的には、王族にも声をかけられるレベルの奴らが、そのついで、みたいな感じで。

『おお、ご無沙汰しております、リンスレット王女殿下……やや、そちらにいるのはもしや、SSらんくの『災王』殿では!?』

とか、そんな感じで……それだけでもうっとうしい。
……これで『虫よけ』がなかったら、と考えると……ちょっと背筋が寒くなるな。

礼儀作法の訓練の時にも思ったけど、拳で解決できるトラブルやモンスターが相手の方がよっぽど気楽でいいな……いや、だからってそういうトラブルが起こってほしいわけじゃないけども。

なお、こういう場での礼儀作法なんかもナナ達に叩き込まれたものの……促成栽培的な訓練では色々と限界があり、特に社交の場での受け答えなんかはもう、全然ダメ。
なので、こっそりナナと念話をつないで、カンペ代わりをやってもらったりしている。

そんな感じで、とりあえずは上手く立ち回れてはいるものの……

「これがあと14日続くとか……いやになるな」

「そうですね、私も少し疲れました……。ですが、毎回違った内容の式典になっているようで、その分退屈なだけというわけではなさそうですし、いっそ楽しみましょう?」

「そうできるように努力はするけど……はぁ……」

……聖女就任記念式典「シャルム・レル・ナーヴァ」は……1日ないし1回の式典で終わり、ではない。
実に15日間もの間、様々な式典が執り行われる長丁場の儀式なのである。

そもそもここ、聖都『シャルクレム』は……塀の中の領域、つまりは『関係者以外立ち入り禁止』の部分が、中央の聖域エリアを含めて、全部で7層に分かれている。

京都の碁盤の目みたいになってる街並みわかるかな……ちょうどあんな感じで、町の中心から同心円状にエリアが広がっていってる。

中心にいくほど、立ち入りに特別な許可が必要になり……高級官僚的な立ち位置の宗教関係者か、そのより高いレベルの『紹介』を受けた部外者しか入れない。つまりは、金か権力を相当なレベルで持ってる連中、ってことね。

ただ、一番中心の、神殿とかがあるエリアは……本当に宗教関係者しか入れない。他国の王族すらシャットアウトだそうだ。

で、僕ら式典参加者は……その7層の街並みを、儀礼の日程が進むごとに、徐々に内側に入りながら式典をこなしていく。『シャルム・レル・ナーヴァ』は、そういう風に進むらしい。

今日は初日。
町の7層あるうちのここ、一番外側のエリアで……まずは、参加者の顔合わせ的な式典。
それは実はもう終わっていて、僕らがまさに出席している『お茶会』は、式典お疲れ様、みたいなノリで開かれている。打ち上げに近い感じだ。

お菓子とお茶だけで酒はなく、時間も短いので……参加している面子や規模を考えれば、本当に『ささやか』だけど。
あと数十分程度か……今日の日程は、そこで終わり。解散。

で、その翌日……つまり明日は、今日よりも本格的な、晩餐会システムでの社交界が行われる(この時点でもう今からうんざりって感じである)。
……まあ、それはある程度適当な部分もある感じなので、途中で抜け出したりとかもできるそうだから、遠慮なく脱走させてもらおうと思う。半分も出てれば十分だろう。

……と、言いたいところだが……護衛対象であるリンスたちが帰らないのであれば、僕らも帰れないわけで……うぅ、失敗した。

……話を戻そう。
そんなわけで……今日は『式典』、明日は『宴席』があるわけだ。

そして明後日は……1つエリアを内側に移して、また『式典』がある。
その翌日は『宴席』……という形で、『式典』と『宴席』を交互に繰り返し、2日ごとに開催地を内側のエリアにどんどん移して進んでいく。
そういう感じで、『シャルム・レル・ナーヴァ』は進む。

また、式典の内容によっては、招待客はお休み……つまりは宗教関係者のみの参加の場合もあったりする、一番中央の『神殿』なんかの、関係者以外立ち入り禁止の領域では特に。

全部で2週間の日程。それだけ大ごとなんだそうだ、この式典は。

もっとも、さすがに他国は2週間も留守が前提になるとなると、重要人物を送るにしても人選は重要になる。だからこそ、王族とか大貴族だけど、長期出張に行っても問題ない人物ってことで……リンスやルビスあたりが送り込まれたわけだ。

(ま、職業柄、自由にできる時間はいっぱいあるし、僕も別にそれで文句はないけども……ある程度覚悟はしてたとはいえ、式典ってもんはどこの世界も…………ん?)

そんなことを考えていた時、視界の端に……妙な連中を見つけた。

見た感じ、東洋風……というか、唐衣みたいな服に身を包んでいる集団。
つくりはよさそうだから、けっこうな高級品だとは思う。護衛らしき屈強な男たちを含めて……5~6名ってところか?

そして、その胸のあたりに……見覚えのあるエンブレムが入っていた。
……月に、百合の花……あれは……

「……帰りたい」

「だから我ま……あー、そゆことね」

と、思わずこぼれ出た僕のつぶやきを聞いたエルクが、通算何度目になるかもわからない注意をしようとして……その視線の先に、その元凶があるのを見て、ため息をついた。

(あの連中……チラノース帝国の招待客か? 各国に平等と言えばまあ、聞こえはいいけど……)

正直に言えば……あんなん呼ぶなよ、と言いたい。

正直僕は、あんまり人を見る目が達者な方じゃない。
けど……あの連中は、目を見るだけで、いかにも他人を見下してる感じなのがわかる。

それに加えて、自分たちよりもうまく国交を温めて仲良くやってるのが納得できていない感じだ。自分たちがバカな形で外交やってるのが原因なのに、それを棚に上げて。

そんな連中呼んでも、ゆかいなことにはならないのは目に見えてるだろうに……せいぜい、嫌味とか恫喝外交の材料集め、あるいは相手を選んでその実行の場、くらいにしか考えないだろう。

事務的ないし機械的に声をかけているのかもしれないけど、あんな、他国と仲良くする気のない国に配慮しても……あーでも、この国も似たようなもんなんだっけか?

だとすると……そのへんどーでもいいって考えてる可能性が可能性があるか……

リンスにアイコンタクトを送ると……ちらっと向こうを見た後に、フルフル、と首を横に振って、チラノースの連中から人を挟んで陰になる位置に、僕らを伴って移動した。

目の端で見ると、ルビスやオリビアちゃんも同じ感じ。
あ、レジーナこっち来た。絡まれないように避難してきたか。よし、おいでおいで。

ま、わかりきってたことではあったけどね。あの国が不人気だなんてのは。
それでも、強引にこっちに近づいて声かけてきても、無難に対応しとけばいいか……ナナ、カンペよろしく。僕は怒らないようにだけ気を付けるから。

それでもお構いなしに声かけまくるかもしれないしなあ、あの国は……最近、相当国家運営とか厳しくなってるみたいだし。周辺国のほとんどとは、軒並み国交が半断絶状態で、かろうじて国交があるのは、事実上の属国と化しているいくつかの小国だけ。

6大国……ネスティア、ジャスニア、フロギュリアからは完全に無視されてて、密輸や違法移民、トラブル関係以外の国交はなしと言っていい。

リアロストピアとベイオリアは多少あったんだけど……どっちも僕が滅ぼした上、その後釜になったニアキュドラは、ネスティアら3国の支援を受けた際に、外交上の立ち位置も継承したので、当然のように国交なしに。

他に隣接してる大国、ないしそれに準ずるものといえば、『ローザンパーク』と『キャッツコロニー』だけど……こっちはむしろ敵対姿勢だから、何ももう言うまでもないな。
何度か僕んとこに使者が……来ようとして来れてないけど。危険で。

まあ、来たとしても突っ返すだけだけど。手紙とかそうしてるし。

で、残るここ、シャラムスカは……国交断絶とは言わないけど、間にいくつも国や地域を挟んでいて、物流はほぼないと言っていいから、その面での役には立ってないしな。

そんな状態だから、このパーティをいい機会と見て、色々声をかけてくる可能性があるけど……まあ、僕自身やその周りの連中は気にしない方向で行くとは言え、招待したシャラムスカやその責任者にクレームとか行かないといいけど。

……特に、その『責任者』を……さっき、式典の中で見てるから、余計にそう思う。

今日の式典自体は、長くはあってもごく簡単なものだった。

顔見せ会みたいなもんだから、新しい『聖女』や、その身の回りの人たちが出てきて挨拶して、各方面からお祝いのメッセージとか、その他事務連絡、みたいな感じだったし。

で、その場で当然、僕らの前に、その新しい『聖女』が姿を見せた。

一目見ての感想は……なんというか、変な感じなんだけど……『儚い』だったな。

色白の肌に、小柄な体躯。線が細くて、触れたら折れてしまいそうな感じ。
よく言えば華奢で人形みたいな可愛さ……悪く言えば、ちょっと不健康そうでもあった。栄養足りてるんだろうか、って感じ。

プラチナブロンドの、ふんわりした感じにウェーブのかかった髪。深紅、というよりは若干暗い感じの赤い瞳。うつむきがちな表情が、余計に『儚さ』に拍車をかける感じ。

口数も少なく、口調も静かな感じだった。……それだけで判断するのもどうかとは思うけど……なんか同時に、暗い感じの印象も受けた、かな。

(……『ラグナドラス』で会った時のリンスと、同じ感じがしたな)

あの時のリンスは、病や気苦労で心身ともに衰弱し、一生治らないままに死を迎えるかもしれない、という悲観の中……周りの者達に迷惑や心配をかけないように、気丈にふるまっていた。
それが余計に、隠し切れない儚さやもの悲しさを醸し出していたんだけど。

そして、昼間見た新『聖女』。名を『アエルイルシャリウス』というらしい――本名じゃなく、聖女就任に伴ってもらう称号を兼ねた、名に組み込む『洗礼名』らしい――彼女は、当時のリンスをさらに悪化させたみたいな雰囲気だった。

隣にいた、そのリンスが……その様子に驚きつつ、心配そうな表情をしていたので、おそらくは同じことを思っていたんだろうな、と思う。

(それに、あの感じ……あれは、多分……)

……ただの、新しいお偉いさん、あるいは客寄せパンダのお披露目式、みたいに思ってたけど……いやまあ、それで間違ってないんだろうけど、ちょっとばかり想定とは違いそうだな。

あの『聖女』様と、同じような雰囲気を持っていた人物を……僕は、もう1人知っている。

あの感じは多分……本人が望まぬ地位ないし立場を押し付けられた人間のものだ。
いやいや仕事をやってる感じの態度だ。

今、僕の斜め後ろで、甘いお茶菓子を楽しんでいる……レジーナと同じように。
かつて、身の回りの仲間たちの安全を盾に、革命の旗印にさせられようとしていた、彼女と……同じ。

……とはいうものの、他国のお家問題に、僕らが何を言うこともできないし……そもそも完全に他人事だ。何も言うつもりはないけど、さ。背後の色んな事情も知らんし。

まあ……若干同情はする、ってだけで。



……それはともかく。

今日はこの後……いよいよ、夜……ジェリーラ姉さんから、『遊び方』を教わる日だ。
楽しみなような、不安なような……まあいいや、気楽に待っとこ。



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