キングスゲーム ~召喚された異世界は想像以上にRPGでした~

いかぽん

文字の大きさ
4 / 11
第1章

第4話

しおりを挟む
 ジゼルに言われた通り『ステータスオープン』と声に出すと、俺の前にゲームのステータス画面のようなものが現れた。

 どういう形かというと、B5用紙サイズの半透明の下敷きのような感じだ。
 それが俺の前の空中に浮いている──というか、固定されている。

 胸より少し低いぐらいの高さにあって、ほどよい角度で斜めになっている。
 俺が見たり、操作したりするのにちょうどいい具合だ。

 ちなみに表示内容は、こんな感じ。


【名 前】 アラカワ リョウタ
【属 性】 水
【武 器】 弓
【レベル】 1
【経験値】 0/10
【H P】 10/10
【M P】 5/5
【 力 】 5
【耐久力】 5
【素早さ】 5
【魔 力】 5
【スキル】 弓術1、ヒールウォーター
【S P】 0
【武 器】 なし
【防 具】 平民の衣服(防御力0)
【補助1】 なし
【補助2】 なし
【攻撃力】 2
【防御力】 0



 うん、これはやはりゲームだな。
 それもロールプレイングゲームってやつだ。

 細かい数値などに関しては今見てもしょうがない気がするので、おいおい見ていくことにする。

 ちなみに操作しやすそうな位置にあるなと思って触ってみたら、予想通り、タブレットと同じ要領で操作できるようだ。

 適当に弄っていくと、今度はジゼルのステータスが表示された。


【名 前】 ジゼル
【属 性】 火
【武 器】 片手剣
【レベル】 1
【経験値】 0/10
【H P】 12/12
【M P】 5/5
【 力 】 5
【耐久力】 6
【素早さ】 4
【魔 力】 5
【スキル】 片手剣術1、ファイアボルト
【S P】 0
【武 器】 見習い騎士の剣(攻撃力3)
【防 具】 見習い騎士の鎧(防御力1)
【補助1】 見習い騎士の盾(防御力1)
【補助2】 なし
【攻撃力】 6
【防御力】 2


 ステータスは俺と似たり寄ったりに見えるが、少し装備がいいのかもしれない。
 ちょっと羨ましい。

 なお、ステータス表示の右上にあった×印をタップすると、ステータス画面はポッと音を鳴らして消え去った。

「ジゼル、このステータスっていうのは、俺たち王の候補者と騎士だけが持っているものなのか? それともこの世界の住人は全員持っている?」

「全員持っています。ちなみに一般人のステータスは、【力】【耐久力】【素早さ】【魔力】がすべて3程度ですね」

 なるほど。
 ということは、俺もジゼルも現段階では、一般人と大差がないぐらいか。

 モンスターの強さは分からないが、多分この雰囲気だと、ちょっと強いモンスターに遭遇したら負けてしまいそうな気がする。
 力を得たぜヒャッホーと言って、無双できる感じではなさそうだ。

 というか、そもそも俺は武器を持っていないんだよな。

 最初は素手で戦えってことだろうか。
 それともジゼルを前に立てて戦わせるのが正解ってことか?

 そんなことを考えていると、ジゼルが声をかけてきた。

「ところで王様、ちょっといいですか?」

「ん、なんだ」

「王様に手に取ってほしいものがあります。こちらなんですが」

 ジゼルが示した先には、木箱が三つ置かれていた。
 少女騎士は木箱の横に立って、俺に促してくる。

「どうぞこちらをお開けください。王のために用意されたアイテムです」

 俺は言われるままに、木箱を開けていく。

 三つの木箱にはそれぞれ、小型の弓矢、少し上等そうな衣服、数十枚の金貨らしきものが入っていた。

 ほうほう、なんとなく分かる気がするぞ。
 これは初期装備ってやつだな。

 なんだ、武器もちゃんとあるじゃないか。
 まあ王のアイテムというにはしょぼい気はするが、この辺はお約束だな。

 そうして俺がそれらのアイテムを手にしようとすると──

 シュンッ!
 なんと、箱の中にあった道具類が一瞬だけ光り輝いたかと思うと、全部消え去ってしまった。

 おぉっと……?

 だがそれに関しては、ジゼルが説明してくれる。

「王の所有物と認められたアイテムは、王のアイテムストレージに自動的に収納されるんです。ステータス画面から操作できるので、よければ確認してみてください」

 言われたとおりに再びステータスを呼び出し、ボードをなんとなく操作してアイテム画面を引き出す。

 するとアイテム画面には、【狩人の弓矢】【上流市民の衣服】の二つが表示され、さらにさっきまで「0ゴールド」だった「所持金」の欄には、今は「50ゴールド」と表記されていた。

 さらにポチポチと適当に操作していくと、【狩人の弓矢】と【上流市民の衣服】を「装備」することができた。

 結果、俺のステータスはこんな風に変わった。


【武 器】 なし→狩人の弓矢(攻撃力3)
【防 具】 平民の衣服(防御力0)→上流市民の衣服(防御力1)
【攻撃力】 2→6
【防御力】 0→1


 強さ的には、だいぶマシになった感じがする。

 なお「装備」をしたら、俺が身に着けている衣服が瞬時に変化し、さらに腰のベルトのホルダーに弓が、背中には矢の入った筒が現れた。
 すごい。

 細かい部分でちょっと気になったのは、攻撃力3の弓矢を装備したのに、実際の攻撃力が4上がったことだ。
 これはジゼルに聞いたところ、俺が持っている【弓術】というスキルの効果によるものらしい。

 ちなみにジゼルは、そんな俺のステータス画面の操作を興味深そうにのぞき込み、ぽつりとつぶやく。

「それにしても王様、すごいですね。ボクが何も教えていないのに、ステータス画面を完全に使いこなしてます」

「あー、まあな。俺たちの世界にあった道具と、使い方が似てるんだよ。っていうか神々とやらが、そういう風に作ったんじゃないか?」

「そうかもしれません。でも、さすが王様です」

 何が「さすが」なのか分からないが、褒められて悪い気はしない。
 ジゼルは本当に尊敬している様子で、バカにしているような雰囲気もないしな。

 それはそうと──

「なあジゼル。その敬語とか、『王様』とかいう呼び方もやめないか? なんかむず痒いんだが」

「えっ……ダ、ダメですか? ごめんなさい! 王様からのご命令とあれば、変えますけど……」

「いや、ダメってことはないんだが……。ちなみに俺は荒川良太って名前だから、荒川さんとか、良太さんとかで全然いいぞ」

「はい、リョウタ様ですね。そのお名前は、ボクの胸にしっかりと刻み込みました。──でも、えぇっと……もし王様にお許しいただけるなら、ボクとしては王様ってお呼びした方が、しっくりくるんですけど……」

「まあ、別にそれでも俺は困らないから、ジゼルがそのほうがいいなら構わないけど」

「本当ですか!? ありがとうございます王様! こんなボクのわがままを聞いてくれるなんて、王様はやっぱり心が広いお方です! ボクは王様に仕えることができて幸せです!」

「いや、そう褒められるような事を言った覚えもないんだが……」

 なんか調子狂うなぁ……。
 元の世界ではこんなによいしょされたことがない俺なので、どうにも決まりが悪い。

 まあでも、そのうち慣れるのかもな。
 せっかくだから、素直にいい気分になっておくか。

「じゃあジゼル、準備はこのぐらいで大丈夫か? そろそろ表に出てみたいんだが」

「はい、そうですね。あとは魔法の使い方とかもお教えしないとですけど、それはここを出てからのほうがやりやすいでしょうし。あと──」

 ジゼルは、てててっと俺の前に回り込んでくる。
 そしてにっこり笑顔で、こう言ってきた。

「あらためて。これからお願いしますね、王様♪」

「おう。こっちこそよろしくな、ジゼル」

 俺は目の前の小動物チックな少女の頭を、軽くなでてみる。
 なんかこう、ついそうしたくなる可愛らしさがジゼルにはあるのだ。

 するとジゼルは、「にゃはっ」と笑って嬉しそうにした。

 やっべー、可愛い。
 これは嵌ってしまいそうだ。

 キングスゲーム──これはヤバいゲームに招待されてしまったようだ。
 神々とやらに感謝をしておくことにしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

スキル『農業』はゴミだと追放されたが、実は植物の遺伝子を書き換える神スキル【神農】でした。荒野を楽園に変えて異世界万博を開催します!

黒崎隼人
ファンタジー
「そのスキル『農業』?剣も魔法も使えないクズはいらん、失せろ!」 勇者召喚に巻き込まれて異世界へ転生した植物オタクの青年カイルは、地味なスキルを理由に王都を追放され、死の荒野へと捨てられた。 しかし、誰も知らなかったのだ。 彼のスキルが、ただの農業ではなく、植物の遺伝子さえ書き換え、不毛の大地を瞬く間に聖域に変える神の力【神農】であることを。 荒野を一瞬で緑豊かな楽園に変えたカイルは、伝説の魔獣フェンリルを餌付けして相棒にし、傷ついた亡国の美姫ソフィアを助け出し、自由気ままなスローライフを開始する。 やがて彼が育てた作物は「エリクサーより効く」と評判になり、その噂を聞きつけた商人によって、彼の領地で世界規模の祭典――『異世界万博』が開催されることに!? 一方、カイルを追放した王国は深刻な食糧難に陥り、没落の一途をたどっていた。 「今さら戻れと言われても、この野菜は全部、俺とソフィアのとフェンのものですから」 最強の農民が送る、世界を揺るがす大逆転・万博ファンタジー、ここに開幕!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

処理中です...