キングスゲーム ~召喚された異世界は想像以上にRPGでした~

いかぽん

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第1章

第8話

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 コボルド四体、撃破終了。
 ジゼルはへたりと、地面に座りこむ。

「ふわぁあああっ……か、勝てたぁ。──っと、それよりも王様、すみません! ボクが不甲斐ないばっかりに、一体そっちに行かせてしまって!」

 ジゼルはそう言って、ぺこぺこと頭を下げてくる。
 何をやらせても可愛いなこいつ。

「いや、ジゼルのせいじゃないよ。多分三体以上になると、前衛一人じゃ抑えられないようになってるんだろ」

「……っ! は、はい。それは、そうなんですけど……」

 俺が笑いかけると、ジゼルはボッと顔を真っ赤にして、もじもじとしながらそうつぶやく。

 コボルド四体との遭遇戦は、三体相手のときとは戦闘の流れが大きく変わった。

 まず俺とジゼルの連携攻撃で一体を倒したところまでは良かった。

 だが残る三体がジゼルに襲い掛かるのかと思いきや、そうではなく、二体がジゼルに攻撃を仕掛け、残る一体は後衛である俺のほうへと向かってきたのだ。

 ジゼルは二体のコボルドに囲まれてしまって、それを阻止できなかった。

 というか、どうも阻止できないように「世界の仕組み」がなっているような、そんな妙な動きがあった。

 どこをどうとは言いづらいのだが、阻止をしようとしたジゼルがいつもより動きが鈍くなったような気がしたし、逆にコボルドの動きがその瞬間だけ速くなったようにも見えた。

 そんなわけで、俺もコボルドの攻撃にさらされてダメージを受けた。
 受けたダメージは2ポイント。

 五発もらったら死ぬようなダメージのわりには、そこまでの痛みじゃなかった。
 腹部を石のナイフで刺されたのだが、刺された痛みというよりは、腹に強めのパンチをもらった程度の鈍い痛みだった。

 俺はそこで、ジゼルに【ファイアボルト】の使用を指示。
 俺の目の前のコボルドに撃ち込ませ、それでも倒れなかったので、さらに俺の弓矢による攻撃を加えてこれを撃破。

 あとは順調に、残りの二体を倒して終了だ。

 最終的には俺が2ポイント、ジゼルが5ポイントのダメージを受けた状態での勝利である。
 そう考えると、まあまあ危なかったようにも思う。

「ひとまずは、ここらが潮時だろうな」

 俺は自分とジゼルを【ヒールウォーター】で癒しながら、そう独り言ちる。

 これで俺の【MP】が「2/5」まで減少した。
【ヒールウォーター】を使えるのは、あと二回だけだ。

 ちなみにジゼルの【HP】はそれでは全快せず、「11/12」となった。

 ここにも乱数要素がないとすれば、【ヒールウォーター】の回復量は現在のところ4ポイントということになる。

 おそらくは最初級の回復魔法なのだろうから、回復量が心許ないのは仕方ないな。
 さすがにこの状況下では、もう一発の【ヒールウォーター】は控えておく。

 一方、俺の独り言を聞いていたジゼルが、「ん?」と可愛らしく小首をかしげる。

「もう戻るんですか、王様? あと一回か二回の遭遇ぐらいは、余裕で戦えると思うんですけど……。──あ、いえ、もちろん異論があるとかではなくて、なんとなく不思議だなーって思っただけで。出過ぎたことを言ってすいませんすいません。ご機嫌を損ねてしまわれたなら、なんなりと罰を。むしろ罰を」

 ……こいつひょっとして、Mの気があるんじゃないのか?
 誘い受けか?

 俺がジト目で見てやると、顔を真っ赤にしたジゼルはしゅんとして、どんどん小さくなった。

 なんだこの虐めてやりたさは……。
 いや我慢だ、我慢しろ俺。

 まあそれはさておき。

 ジゼルの言うとおり、ここまでの戦闘の雰囲気だと、最低でもあと一回か二回、場合によっては三回か四回程度の戦闘にもどうにか耐えられそうな感じではある。

 だが一方で俺は、ひとつ気になっていることがあった。

 それは、「帰り道ではモンスターと遭遇しないのかどうか」ということだ。

 ここまで世界観がゲーム的だと、モンスターとの遭遇が「ランダムエンカウント」で動いている可能性も疑う必要があると俺は考えていた。

 ランダムエンカウントというのはRPG用語の一つで、主人公が街の外やダンジョンを歩いているとき、一歩あゆみを進めるごとに一定確率でモンスターと遭遇する仕組みのことを指す。

 まあ厳密には単純な確率ではなかったりもするのだが、それはここでは重要な話ではないので横に置いておくとして。

 ここで重要なのは、ランダムエンカウント式のRPGでは、主人公がモンスターの出現する地帯を移動すればするだけ、その都度モンスターに遭遇する可能性が発生するということだ。

 まあいずれにせよ、情報が少ないうちは安牌を取った方がいいだろう。
 コンティニュー不可能の、俺が一回死んだらお終いのゲームだからな。

「いや、やっぱり一度帰還する。騎士のジゼルから見ると臆病と思うかもしれないが、これが俺の戦い方だ」

「そ、そそそそんなっ、臆病だなんて少しも思ってません! ボクはいつでも王様のことを尊敬してます!」

「またまたぁ。本当のことを言ってもいいんだぞ? 俺は寛大な王様だからな、許してやる」

「本当ですっ! 本当ですってば! ねぇ信じてくださいよっ! ねぇってば! 王様ぁっ!」

 泣きつくように、悲鳴を上げるように訴えかけてくる少女騎士の頭を、笑いながらうりうりとなでてやってから、俺はジゼルを連れて回復の泉がある広場までの帰還の途についた。

 ちなみにその帰路で、さらに三体のコボルドと遭遇した俺は、いつもどおりジゼルと協力してこれを撃破。
 それにより、俺とジゼルがともにレベルアップ、2レベルへと上昇した。

 レベルアップ後のステータスは、こんな具合だ。


【名 前】 アラカワ リョウタ
【属 性】 水
【武 器】 弓
【レベル】 2 (+1)
【経験値】 10/30
【H P】 10/14 (+4)
【M P】 2/7 (+2)
【 力 】 7 (+2)
【耐久力】 7 (+2)
【素早さ】 7 (+2)
【魔 力】 7 (+2)
【スキル】 弓術1、ヒールウォーター
【S P】 0
【武 器】 狩人の弓矢(攻撃力3)
【防 具】 上流市民の衣服(防御力2)
【補助1】 なし
【補助2】 なし
【攻撃力】 7 (+1)
【防御力】 1


【名 前】 ジゼル
【属 性】 火
【武 器】 片手剣
【レベル】 2 (+1)
【経験値】 10/30
【H P】 9/16 (+4)
【M P】 4/7 (+2)
【 力 】 7 (+2)
【耐久力】 8 (+2)
【素早さ】 5 (+1)
【魔 力】 7 (+2)
【スキル】 片手剣術1、ファイアボルト
【S P】 0
【武 器】 見習い騎士の剣(攻撃力3)
【防 具】 見習い騎士の鎧(防御力2)
【補助1】 見習い騎士の盾(防御力1)
【補助2】 なし
【攻撃力】 7 (+1)
【防御力】 3 (+1)


 その後、広場まで到着すると、回復の泉の水を飲んで【HP】と【MP】を全回復。
 リソースをしっかりと回復してから、俺は再度の挑戦を行うことにした。
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