辺境勤務の魔法少女 ~怪物すぎる新人と、おいしく食べられそうになる先輩~

いかぽん

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第十話

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 洞窟を進んだ先の大広間。

 そこで多数のゴブリンと遭遇した魔法少女たちは、その醜悪な小人たちを次々と打ち倒していた。

「──はっ!」

 ユニスが拳を撃ち込むと、目の前にいた一体のゴブリンが吹き飛び、壁に打ち付けられて消滅する。

 一方ではそのユニスに向かって、別の二体のゴブリンが武器を振り上げて襲い掛かるが──

「「キキッ……?」」

 ゴブリンたちが武器を振り下ろした先に少女の姿はない。
 彼らは慌てて周囲を見回す。

 だが、自分たちの背後に相手の姿を見つけたときには、もう遅い。

「遅せぇよ──ウィンドスラッシュ!」

 ユニスの手のひらから、三枚の風の刃が放たれた。

 そのうちの二枚がゴブリンたちをそれぞれ真っ二つに切り裂き、もう一枚が今現在ユニスに背後から襲い掛かろうとしていた別の一体を両断した。

 いずれもが直後に消滅し、あとには魔石がころりと地面に転がる。

 それを確認したユニスは、ひとつ息をつく。

「ふぅ……こっちは片付いたな。イルマの方は──」

 その大広間にいたゴブリンの数は十数体ほど。
 ユニスが倒したのは、その半分にも満たないはずだ。

 残りはと言えば──

「あ、ユニス先輩、そっちも終わりました?」

 広間にいたもう一人の魔法少女が、いつもの笑顔とともにその手に拾い集めた魔石をじゃらりと見せてきた。

 手にした魔石の数は、すなわち倒したゴブリンの数ということ。
 イルマが手にしている魔石の数は、ユニスが倒した数の倍ぐらいはあるのではなかろうか。

 その魔石を、ユニスが戦闘を終えたタイミングではすでに拾い集め終えているというのだから、戦闘そのものはもっと早く終わっていたということだ。

 戦闘を開始してから、まだ十秒ほどしかたっていないというのに。
 相変わらずの怪物っぷりに、ユニスとしては舌を巻くしかない。

「……ていうかお前、今のでも本気出してないだろ」

「あ、バレました? えへへー、ユニス先輩の戦っているところ見たくて。カッコ良かったですよ、先輩」

「ったく。油断すんなっつってんだろ」

「そうですね。だから手を抜いたんですけど」

「……?」

 首をかしげるユニスの横で、後輩魔法少女は周囲を見渡しながら、わずかに真剣な表情を垣間見せる。

 だがそれも一瞬のことで。

「それよりもユニスせんぱぁい。カッコ良かったですぅ。抱かせてくださいよぉ」

「なっ……! なんでカッコ良かったら抱かせろになるんだよ! バ、バカ、にじり寄ってくんな……!」

「んふふっ、先輩ってば、照れちゃって可愛いです……」

「ひ、ひぃっ! こっち来んなぁあああああっ!」

 相変わらずのコメディを繰り広げる二人の少女。

 ──その先では、濁った闇が少女たちを絡め取ろうと待ち受けているのだが、その前に後輩の魔の手から逃げ回らなければならないユニスが、それに気付くことはなかった。
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