10 / 14
第十話
しおりを挟む
洞窟を進んだ先の大広間。
そこで多数のゴブリンと遭遇した魔法少女たちは、その醜悪な小人たちを次々と打ち倒していた。
「──はっ!」
ユニスが拳を撃ち込むと、目の前にいた一体のゴブリンが吹き飛び、壁に打ち付けられて消滅する。
一方ではそのユニスに向かって、別の二体のゴブリンが武器を振り上げて襲い掛かるが──
「「キキッ……?」」
ゴブリンたちが武器を振り下ろした先に少女の姿はない。
彼らは慌てて周囲を見回す。
だが、自分たちの背後に相手の姿を見つけたときには、もう遅い。
「遅せぇよ──ウィンドスラッシュ!」
ユニスの手のひらから、三枚の風の刃が放たれた。
そのうちの二枚がゴブリンたちをそれぞれ真っ二つに切り裂き、もう一枚が今現在ユニスに背後から襲い掛かろうとしていた別の一体を両断した。
いずれもが直後に消滅し、あとには魔石がころりと地面に転がる。
それを確認したユニスは、ひとつ息をつく。
「ふぅ……こっちは片付いたな。イルマの方は──」
その大広間にいたゴブリンの数は十数体ほど。
ユニスが倒したのは、その半分にも満たないはずだ。
残りはと言えば──
「あ、ユニス先輩、そっちも終わりました?」
広間にいたもう一人の魔法少女が、いつもの笑顔とともにその手に拾い集めた魔石をじゃらりと見せてきた。
手にした魔石の数は、すなわち倒したゴブリンの数ということ。
イルマが手にしている魔石の数は、ユニスが倒した数の倍ぐらいはあるのではなかろうか。
その魔石を、ユニスが戦闘を終えたタイミングではすでに拾い集め終えているというのだから、戦闘そのものはもっと早く終わっていたということだ。
戦闘を開始してから、まだ十秒ほどしかたっていないというのに。
相変わらずの怪物っぷりに、ユニスとしては舌を巻くしかない。
「……ていうかお前、今のでも本気出してないだろ」
「あ、バレました? えへへー、ユニス先輩の戦っているところ見たくて。カッコ良かったですよ、先輩」
「ったく。油断すんなっつってんだろ」
「そうですね。だから手を抜いたんですけど」
「……?」
首をかしげるユニスの横で、後輩魔法少女は周囲を見渡しながら、わずかに真剣な表情を垣間見せる。
だがそれも一瞬のことで。
「それよりもユニスせんぱぁい。カッコ良かったですぅ。抱かせてくださいよぉ」
「なっ……! なんでカッコ良かったら抱かせろになるんだよ! バ、バカ、にじり寄ってくんな……!」
「んふふっ、先輩ってば、照れちゃって可愛いです……」
「ひ、ひぃっ! こっち来んなぁあああああっ!」
相変わらずのコメディを繰り広げる二人の少女。
──その先では、濁った闇が少女たちを絡め取ろうと待ち受けているのだが、その前に後輩の魔の手から逃げ回らなければならないユニスが、それに気付くことはなかった。
そこで多数のゴブリンと遭遇した魔法少女たちは、その醜悪な小人たちを次々と打ち倒していた。
「──はっ!」
ユニスが拳を撃ち込むと、目の前にいた一体のゴブリンが吹き飛び、壁に打ち付けられて消滅する。
一方ではそのユニスに向かって、別の二体のゴブリンが武器を振り上げて襲い掛かるが──
「「キキッ……?」」
ゴブリンたちが武器を振り下ろした先に少女の姿はない。
彼らは慌てて周囲を見回す。
だが、自分たちの背後に相手の姿を見つけたときには、もう遅い。
「遅せぇよ──ウィンドスラッシュ!」
ユニスの手のひらから、三枚の風の刃が放たれた。
そのうちの二枚がゴブリンたちをそれぞれ真っ二つに切り裂き、もう一枚が今現在ユニスに背後から襲い掛かろうとしていた別の一体を両断した。
いずれもが直後に消滅し、あとには魔石がころりと地面に転がる。
それを確認したユニスは、ひとつ息をつく。
「ふぅ……こっちは片付いたな。イルマの方は──」
その大広間にいたゴブリンの数は十数体ほど。
ユニスが倒したのは、その半分にも満たないはずだ。
残りはと言えば──
「あ、ユニス先輩、そっちも終わりました?」
広間にいたもう一人の魔法少女が、いつもの笑顔とともにその手に拾い集めた魔石をじゃらりと見せてきた。
手にした魔石の数は、すなわち倒したゴブリンの数ということ。
イルマが手にしている魔石の数は、ユニスが倒した数の倍ぐらいはあるのではなかろうか。
その魔石を、ユニスが戦闘を終えたタイミングではすでに拾い集め終えているというのだから、戦闘そのものはもっと早く終わっていたということだ。
戦闘を開始してから、まだ十秒ほどしかたっていないというのに。
相変わらずの怪物っぷりに、ユニスとしては舌を巻くしかない。
「……ていうかお前、今のでも本気出してないだろ」
「あ、バレました? えへへー、ユニス先輩の戦っているところ見たくて。カッコ良かったですよ、先輩」
「ったく。油断すんなっつってんだろ」
「そうですね。だから手を抜いたんですけど」
「……?」
首をかしげるユニスの横で、後輩魔法少女は周囲を見渡しながら、わずかに真剣な表情を垣間見せる。
だがそれも一瞬のことで。
「それよりもユニスせんぱぁい。カッコ良かったですぅ。抱かせてくださいよぉ」
「なっ……! なんでカッコ良かったら抱かせろになるんだよ! バ、バカ、にじり寄ってくんな……!」
「んふふっ、先輩ってば、照れちゃって可愛いです……」
「ひ、ひぃっ! こっち来んなぁあああああっ!」
相変わらずのコメディを繰り広げる二人の少女。
──その先では、濁った闇が少女たちを絡め取ろうと待ち受けているのだが、その前に後輩の魔の手から逃げ回らなければならないユニスが、それに気付くことはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
追放された検品係、最弱の蛇に正しく聞いたら鉱脈を掘り当てた ~この世界は精霊の使い方を間違えている~
Lihito
ファンタジー
精霊に「やれ」と言えば動く。この世界の全員がそう信じている。
レイドだけが違った。範囲を絞り、条件を決め、段階的に聞く。それだけで最弱の蛇は誰より正確に答える。——誰にも理解されず、追放された。
たどり着いた鉱山町で、国が雇った上位精霊が鉱脈探査に失敗し続けていた。高性能の鷹が毎回違う答えを返す。
原因は鷹じゃない。聞き方だ。
レイドは蛇一体で名乗り出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる