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原作・悪役令嬢、現在・傍観主希望
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しおりを挟むみゅう、みゅう、と可愛らしい鳴き声を上げながらヴィオラにすりすり頭を擦り付けるドラゴン――の幼体。
しん、と教室内が静まり返り、先生は絶句してドラゴンの幼体を凝視している。
「――貴方が、私のパートナー?」
みゅーう! と元気いっぱいに鳴いて、鼻先にちゅっとキスをした。
キラキラと、宝石みたいなまん丸い瞳を細めると笑っているように見えた。子猫のようで、なんだか可愛い。
「よろしくね」
ふんわりと、氷を解かして花が咲く。
冷たい横顔が笑みに綻び、直視してしまったクラスメイトは顔を赤く染めて、背後から漂う冷気に顔を青くした。
「よ、ろしい。ミス・ナイトレイ。席へお戻り。あと、授業が終わったら準備室に来てください」
「わかりました」
ルンルンと、花を飛ばしながらスキップでもしそうなくらい上機嫌のヴィオラは、指先でドラゴンの顎下を擽ってやる。ゴロゴロと喉を鳴らすものだから、ますます子猫みたいで愛おしさが溢れてきた。
ヴィオレティーナは、使い魔の召喚に失敗するはずだったのに、ヴィオラは成功してしまった。
しかも、ドラゴンだなんて前代未聞! これまでドラゴンを使い魔として召喚した魔法使いはゼロだと言う。
あとで図書室に行こう。なんのドラゴンか調べなければ。食べ物も調べて、部屋に寝床を整えてあげよう。
完全にペットを飼いたての思考回路になっていたヴィオラを呼び戻したのは頬をぷすっとさした指先だ。
「僕にもかまっておくれよ、お姫様」
「あら、授業中よ。それに、そろそろユリアも呼ばれるのではないかしら? ふふっ、ねぇ、あとで図書室に行きましょう? この子について調べなくっちゃ」
手のひらを差し出せば、その上に跳んで丸くなるドラゴン。
大きい成体だと、体長二十メートルを超える種もいるらしいが、手のひらに納まるこの子もそれだけ大きくなるのだろうか。
すでにパートナーのことで頭いっぱいになっているヴィオラに不満げな表情のユリアだが、一緒に図書室に行こうと誘ってくれたので良しとしよう。
「ミスター・ユリア」
「はい」
そうこうしていると、先生に呼ばれてしまった。
使い魔はすでに決定しているようなものだ。きっと雪か氷の精霊だろう。
「まぁ、氷狼の幼体! あなたもずいぶんと珍しい個体を呼び出しましたね」
……と思っていたのに、魔方陣の中心でお行儀よくお座りをする真っ白い純白の毛並みをした子犬、否、子狼に目を瞬かせた。
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