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編入生なんてシナリオイベントなかったわ。
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しおりを挟む「カトレア先輩の使い魔探し?」
素っ頓狂な声を上げたジュキアに肩をすくめる。太陽の寮のことは、太陽の寮生に聞くしかない。
初めて聞いたとばかりに眉を跳ね上げたジュキアに、かいつまんで事情を説明すれば、珍しいものを見る目を向けられた。
「あんた、そんなに人が良かったか? 嫌なら断ればよかったじゃねぇか」
「……困っている人を見過ごすほど、人間捨ててないわ」
「アリスへの態度見てりゃそう思わさるだろ。んで、カトレア先輩の使い魔だっけか? 姿見えねぇとは思ってたけど、行方知らずだったとはな」
顎に手を当て、考え込むジュキアに、ヴィオラは矢継ぎ早に質問をする。
妹とつるんでいない今が情報収集のチャンスなのだ。
「つっても、先輩とあんまし話さねぇしなぁ」
「どんな情報でもいいのよ。最後に見かけたのはいつ?」
「そもそも、先輩は放し飼いみたいにしてたから、授業以外は自由にさせてたらしいぞ。うちの寮はそういう先輩が多いからな」
放し飼い。きょとんと目を瞬かせてアダムを見た。アダムは不思議そうに首を傾げてヴィオラを見つめている。
ある程度の自由を与えてはいるが、月の寮生は基本的に使い魔とつかず離れずの関係だ。どこへ行くにも使い魔と一緒に行動をしているのは、万が一に備えてである。
「じゃあ、太陽の寮でなにか変わったことは?」
「変わったことぉ? ……あ、」
ぱち、と睫毛を瞬かせたジュキアは何か思い出したかのように口を噤む。
「あ、あー……」と、言いづらそうに口を開いたり閉じたりする様子にじれったく、「なぁに?」と一歩近づき先を急いだ。
至近距離にある白花の顔に頬を赤くしてそっぽを向き、重たい口を開いた。
「学校内に、吸血鬼がいるんだと」
吸血鬼とは、また伝承染みた話だ。
ちょうど一週間前、太陽の寮の女子生徒が寮内で倒れていたのを発見されている。現在も意識不明で魔法病院に入院中だ。
倒れているのを発見される直前まで、寮生たちと夕食を取っているのを目撃されており、直前まで一緒にいた寮生たちは友人の身に起こったことを想像して顔を青褪めさせた。
意識不明の女子生徒――エミーリアの首筋にはポツリと赤い傷痕がふたつあったそうだ。まるで、鋭い牙を突きたてたような傷痕に、太陽の寮内では「学校に吸血鬼がいる」と噂が広まっているのだと言う。
「吸血鬼なんて、伝承よ」
「俺だってそう思うけどな、実際に、エミーリアの首にそういう痕があったんだ」
眉を寄せたジュキアに、それ以上何も言うことができなかった。
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