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第一章
episode 12 二日目休日 後編
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二人がユルクから出たのは、入店してから三時間後このことであった。洋服選びが楽しかったのか、両手に多くの袋を持っていた。
「いや~私としたことがつい。今日はあまり買う予定はなかったのだけど、服選びを手伝っていたらつい私まで欲しくなって買っちゃった。」
「私もここまでゆっくりと服選びをしたのは、初めてかもしれないわ。それに買った数もよ。」
「ヴァーミリオンは一回の服の買い物にどれくらい時間をかけて買っているの?」
「大体一時間くらいかしら。それに、服もそこまで吟味しないで買っているからお洒落な服はそんなに多くないのよ。」
「あら、意外と長いわね。貴女のことだからもう少し短いのかと思ったわ。」
お店を出てからは、さっきの買い物のことを喋りながら道を歩いていた。そのとき、時計があったため時間を確認した二人。
「ちょうどお昼だからどこかのお店でご飯にしましょう。」
「そうね、ヴァーミリオンの服選びを手伝っただけなのだけど、お店の中をそれなりに歩いたからお腹がすいちゃった。」
少し歩いていると、レストランなどが並んでいる通りに着いた。お腹空いていることもあり、どのお店にするのか悩んでいた。そんな中、パスタをメインに扱っているお店があった。
「エリー。ここのお店にしましょう。」
「いいわね、ここ最近パスタ食べていなかったから。早く入りましょ。店内を見た感じまだあまり人は居ないみたいだから。」
「確かに今なら待ち時間もなく、早く商品も提供されるでしょうから入りましょう。」
少し考えてからお店に入店した。中はそれほど混んでいなかったため、好きなテーブルの場所を選んで座った。それからヴァーミリオンはカルボナーラ、エリーはナポリタンを注文した。注文してから少しの間待っていると、料理がテーブルに置かれた。
「きたわね。早速頂きましょうか。」
「えぇ、ではいたたぎます。」
二人はパスタを口に入れると、お腹が空いていたのも相まって、いつも以上に美味しく感じた。あまりにも美味しかったため、ゆっくりと味わいながら食べ進めて言った。
「「ご馳走様でした」」
「美味しかったわねエリー、もし機会があればまたここに来ましょう。」
「本当よ。パスタ料理ってことを考えると値段はほんの少し高いけど、この美味しさなら納得よ。また来ようね。これはリピーターになっちゃいそうだわ。」
興奮気味に喋った二人は会計をして、お店を出た。それから、午後はどうしようか話し合った。
「午後はどうする?どこか行きたいところとかあったら遠慮なくいっていいよ。」
「特に決まっては無いのだけれど、どうせなら平民街をゆっくり見て回りたいわ。いつも同じようなところにしか足を運んでいるから。」
「分かったわ、じゃあ一緒に平民街を見て回りましょう。」
午後の予定を立て終え、帝都の平民街を回ることになった。ただし、スラム街を避けてのことだ。
「この辺りは巡回で訪れたことがあるだけだからゆっくり見て回れてないのよね。」
「私はスラム化のところ以外は大体行ったことがあるからね。後で景色の綺麗なところに連れて行ってあげる。」
「本当!?エリーが言うなら間違いないわね!楽しみだわ~。」
「まっ、それまではゆっくり見て回りましょう。帝都の地理を覚えるのも悪くないよ。」
それから三時間ほど休憩を入れながら平民街を見て回った。しばらくすると、宮殿の後ろ側に来ていた。
「ここの坂を登るとね、景色がいい所に繋がっているの。」
エリーが指を指した方に向けると、そこは宮殿の裏にあるちょっと高台に木々が茂っている場所であった。
「この先に?私も宮殿に仕事で訪れた際、裏側を見ているのだけど、見えるの?」
「それは室内から見た話でしょ?私たちが行く場所にはちょっと開けた場所があるの。」
その言葉を聞き、若干の疑いを持ちながら二人は進んで行った。登り始めてから十分後、目的地の場所に到着した。
「どうかしら、ここの感想は?」
「すごい、帝都を囲っている塀より高いからその先の景色を見えるなんて。それにこの先にはアルプスの山々が見えているからすごく綺麗。」
エリーの教えられたこの場所は、塀より少し高いため、向こう側の景色を見ることができる。さらに、ここはあまり知られていない場所である。あまりにも綺麗な景色だっため、ヴァーミリオンは感嘆していた。
しばらくして景色を見終えた二人は、街中に戻っていた。時刻は午後四時になっていた。平日ではあるが、道にはそれなりに人が溢れていた。
「この通りは私たちがいるところより人が多いのね。」
「帝都の中では、ここが一番人口密度が高いのよ。ほら、建物と建物の隙間にある路地裏の道が少ないでしょ。」
「本当ね。それだけ建物が密集してい「おい!あそこで人が襲われているぞ!」ッ!」
ヴァーミリオンが喋っている途中、突然ある方向に指を指しながら男が大声を発した。指先の方へ視線を向けると、ボロボロの服をまとった男三人組が若い女性を襲っていた。
「女性の服装を見るにあれは貴族だね。恐らく護衛を付けなかったのね。って悠長に言っている場合では無いね。あの三人組ナイフを持っているわ。どうする?」
「エリー、少しの間私の袋を持ってくれないかしら。」
「分かったわ。ちゃんと手加減してくるんだよ。」
「分かってるわよ。」
そう言って荷物をエリーに預けたヴァーミリオンは走り出した。
「おら女!金目のものを出せ!さもないと痛い目にあうよ~!」
「やめてください!それに私はただこの辺りを散策していただけでお金は持っていません !」
「そうかぁ~、なら身体を使わせてもらうぜ
ニタァ」
「ヒィッ!」
「いい名案ですぜ兄貴!だが独り占めしないでくだせーよー。俺達も楽しみたいですぜ!」
「わ~てる。だが俺が最初「「ガァー!あっ足がー!」」どうした!」
「あ、兄貴、足が~。」
「俺も~。そ、それにナイフが…。」
男が仲間の方を見ると、二人の足首の腱が切られており立てないでいた。さらに、ナイフも真っ二つに切られていた。
「だっ誰だ!出てこい!」
そう言った瞬間、後ろから気配を感じた。それと同時に、足に痛みが走り立てなくなった。それたでなく、ナイフも切られていた。何が起こったのか分からず顔を上げると、一人の女性が立っていた。そして、首に剣を突きつけられた。
「貴方たちを暴行罪で逮捕します。」
「逮捕だぁー。騎士でもねぇくせに逮捕できるかよ!」
「そうでした、今は髪の色を変えているのでした。」
髪の色を変えていることに気づいた彼女は、ネックレスを外した。すると、髪の色が徐々に赤色に変わっていった。
「これでも分かりませんか?」
「お、おめぇはヴァーミリオン・エーデルハイン!」
彼女を見て、犯罪をした三人だけでなく周りの人たちもざわついた。ただ、周りがざわついてたのは、彼女が有名人だからという訳ではなく、私服の姿を初めて見たからである。彼女が本来の姿になってすぐ、数名の騎士が到着した。
「こちらに女性を襲っていると知らされたのですがってヴァーミリオンさん。なんでこちらにいるのですか?」
「エリーと買い物などをしていたのよ。その帰りに際、偶然近くを通っていたから鎮圧させてもらいました。」
「そうですか、助かります。あとはこちらで対処しますので。」
騎士はそう言うと、三人をロープで捕縛し牢獄の有る建物へ連れていった。
「あの助けていただいてありがとうございます。」
「いいですよ、これくらい。それより今度からはしっかりと護衛の者を付けてくださいね。」
「分かりました。」
軽くやり取りを終えるとエリーの元へ戻った。
「お疲れ様。なんか最後の最後に面倒事に遭遇しちゃったね。」
「しょうがないよ、帝都だって絶対安全という訳では無いからね。むしろ早い段階で対処できて良かったわ。」
「それもそうね。」
エリーに預けていた荷物を返してもらい、噴水広場に向け歩き始めた。しばらく歩いていると噴水広場に到着した。
「今日はこれでお開きね。じゃあねヴァーミリオン。また明日。」
「うん、今日はありがとうね。とても楽しかったわ。」
こうして二日間の休日を終えた。
「いや~私としたことがつい。今日はあまり買う予定はなかったのだけど、服選びを手伝っていたらつい私まで欲しくなって買っちゃった。」
「私もここまでゆっくりと服選びをしたのは、初めてかもしれないわ。それに買った数もよ。」
「ヴァーミリオンは一回の服の買い物にどれくらい時間をかけて買っているの?」
「大体一時間くらいかしら。それに、服もそこまで吟味しないで買っているからお洒落な服はそんなに多くないのよ。」
「あら、意外と長いわね。貴女のことだからもう少し短いのかと思ったわ。」
お店を出てからは、さっきの買い物のことを喋りながら道を歩いていた。そのとき、時計があったため時間を確認した二人。
「ちょうどお昼だからどこかのお店でご飯にしましょう。」
「そうね、ヴァーミリオンの服選びを手伝っただけなのだけど、お店の中をそれなりに歩いたからお腹がすいちゃった。」
少し歩いていると、レストランなどが並んでいる通りに着いた。お腹空いていることもあり、どのお店にするのか悩んでいた。そんな中、パスタをメインに扱っているお店があった。
「エリー。ここのお店にしましょう。」
「いいわね、ここ最近パスタ食べていなかったから。早く入りましょ。店内を見た感じまだあまり人は居ないみたいだから。」
「確かに今なら待ち時間もなく、早く商品も提供されるでしょうから入りましょう。」
少し考えてからお店に入店した。中はそれほど混んでいなかったため、好きなテーブルの場所を選んで座った。それからヴァーミリオンはカルボナーラ、エリーはナポリタンを注文した。注文してから少しの間待っていると、料理がテーブルに置かれた。
「きたわね。早速頂きましょうか。」
「えぇ、ではいたたぎます。」
二人はパスタを口に入れると、お腹が空いていたのも相まって、いつも以上に美味しく感じた。あまりにも美味しかったため、ゆっくりと味わいながら食べ進めて言った。
「「ご馳走様でした」」
「美味しかったわねエリー、もし機会があればまたここに来ましょう。」
「本当よ。パスタ料理ってことを考えると値段はほんの少し高いけど、この美味しさなら納得よ。また来ようね。これはリピーターになっちゃいそうだわ。」
興奮気味に喋った二人は会計をして、お店を出た。それから、午後はどうしようか話し合った。
「午後はどうする?どこか行きたいところとかあったら遠慮なくいっていいよ。」
「特に決まっては無いのだけれど、どうせなら平民街をゆっくり見て回りたいわ。いつも同じようなところにしか足を運んでいるから。」
「分かったわ、じゃあ一緒に平民街を見て回りましょう。」
午後の予定を立て終え、帝都の平民街を回ることになった。ただし、スラム街を避けてのことだ。
「この辺りは巡回で訪れたことがあるだけだからゆっくり見て回れてないのよね。」
「私はスラム化のところ以外は大体行ったことがあるからね。後で景色の綺麗なところに連れて行ってあげる。」
「本当!?エリーが言うなら間違いないわね!楽しみだわ~。」
「まっ、それまではゆっくり見て回りましょう。帝都の地理を覚えるのも悪くないよ。」
それから三時間ほど休憩を入れながら平民街を見て回った。しばらくすると、宮殿の後ろ側に来ていた。
「ここの坂を登るとね、景色がいい所に繋がっているの。」
エリーが指を指した方に向けると、そこは宮殿の裏にあるちょっと高台に木々が茂っている場所であった。
「この先に?私も宮殿に仕事で訪れた際、裏側を見ているのだけど、見えるの?」
「それは室内から見た話でしょ?私たちが行く場所にはちょっと開けた場所があるの。」
その言葉を聞き、若干の疑いを持ちながら二人は進んで行った。登り始めてから十分後、目的地の場所に到着した。
「どうかしら、ここの感想は?」
「すごい、帝都を囲っている塀より高いからその先の景色を見えるなんて。それにこの先にはアルプスの山々が見えているからすごく綺麗。」
エリーの教えられたこの場所は、塀より少し高いため、向こう側の景色を見ることができる。さらに、ここはあまり知られていない場所である。あまりにも綺麗な景色だっため、ヴァーミリオンは感嘆していた。
しばらくして景色を見終えた二人は、街中に戻っていた。時刻は午後四時になっていた。平日ではあるが、道にはそれなりに人が溢れていた。
「この通りは私たちがいるところより人が多いのね。」
「帝都の中では、ここが一番人口密度が高いのよ。ほら、建物と建物の隙間にある路地裏の道が少ないでしょ。」
「本当ね。それだけ建物が密集してい「おい!あそこで人が襲われているぞ!」ッ!」
ヴァーミリオンが喋っている途中、突然ある方向に指を指しながら男が大声を発した。指先の方へ視線を向けると、ボロボロの服をまとった男三人組が若い女性を襲っていた。
「女性の服装を見るにあれは貴族だね。恐らく護衛を付けなかったのね。って悠長に言っている場合では無いね。あの三人組ナイフを持っているわ。どうする?」
「エリー、少しの間私の袋を持ってくれないかしら。」
「分かったわ。ちゃんと手加減してくるんだよ。」
「分かってるわよ。」
そう言って荷物をエリーに預けたヴァーミリオンは走り出した。
「おら女!金目のものを出せ!さもないと痛い目にあうよ~!」
「やめてください!それに私はただこの辺りを散策していただけでお金は持っていません !」
「そうかぁ~、なら身体を使わせてもらうぜ
ニタァ」
「ヒィッ!」
「いい名案ですぜ兄貴!だが独り占めしないでくだせーよー。俺達も楽しみたいですぜ!」
「わ~てる。だが俺が最初「「ガァー!あっ足がー!」」どうした!」
「あ、兄貴、足が~。」
「俺も~。そ、それにナイフが…。」
男が仲間の方を見ると、二人の足首の腱が切られており立てないでいた。さらに、ナイフも真っ二つに切られていた。
「だっ誰だ!出てこい!」
そう言った瞬間、後ろから気配を感じた。それと同時に、足に痛みが走り立てなくなった。それたでなく、ナイフも切られていた。何が起こったのか分からず顔を上げると、一人の女性が立っていた。そして、首に剣を突きつけられた。
「貴方たちを暴行罪で逮捕します。」
「逮捕だぁー。騎士でもねぇくせに逮捕できるかよ!」
「そうでした、今は髪の色を変えているのでした。」
髪の色を変えていることに気づいた彼女は、ネックレスを外した。すると、髪の色が徐々に赤色に変わっていった。
「これでも分かりませんか?」
「お、おめぇはヴァーミリオン・エーデルハイン!」
彼女を見て、犯罪をした三人だけでなく周りの人たちもざわついた。ただ、周りがざわついてたのは、彼女が有名人だからという訳ではなく、私服の姿を初めて見たからである。彼女が本来の姿になってすぐ、数名の騎士が到着した。
「こちらに女性を襲っていると知らされたのですがってヴァーミリオンさん。なんでこちらにいるのですか?」
「エリーと買い物などをしていたのよ。その帰りに際、偶然近くを通っていたから鎮圧させてもらいました。」
「そうですか、助かります。あとはこちらで対処しますので。」
騎士はそう言うと、三人をロープで捕縛し牢獄の有る建物へ連れていった。
「あの助けていただいてありがとうございます。」
「いいですよ、これくらい。それより今度からはしっかりと護衛の者を付けてくださいね。」
「分かりました。」
軽くやり取りを終えるとエリーの元へ戻った。
「お疲れ様。なんか最後の最後に面倒事に遭遇しちゃったね。」
「しょうがないよ、帝都だって絶対安全という訳では無いからね。むしろ早い段階で対処できて良かったわ。」
「それもそうね。」
エリーに預けていた荷物を返してもらい、噴水広場に向け歩き始めた。しばらく歩いていると噴水広場に到着した。
「今日はこれでお開きね。じゃあねヴァーミリオン。また明日。」
「うん、今日はありがとうね。とても楽しかったわ。」
こうして二日間の休日を終えた。
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