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1章 Reincarnation
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「こんにちは、今日からここがあなた達の家で私はあなた達の親になります。ここの協会の神父ジャンです。気軽にジャンと呼んでください。」
にっこりと優男顔の神父が微笑んだ。その時にふっとこの世界での任務を思い出した。
この世界に転生してから5度目の春だった。
よし、あの青年(多分、天使とかだったのか?)との約束は覚えてる。
俺は決意を固めるため、胸元のペンダントをぎゅっと握りしめた。
このペンダントはちなみに最後に天使様がお守りにとくれたものだ。自分の守りたいものを思いながらぎゅっと握ると一度だけ力を貸して守りたいものを守ってくれるらしい。(自分の身を守るものではないらしいので、なんとも複雑な心境だが…)
俺は、新たな転生先の世界――オルトリンという世界のリーズ王国の端にある田舎町のオーラルという町に転生したらしい。(神様からの手紙に書いてあった)種族は人間で4歳の男子らしい。そして、親は居ない(転生したからだろうか...?)為この町にある孤児院ことオーラル協会に預けられることになった。
ここオーラル協会は下から3歳で上は14歳までの子供が神父を入れ14人で過ごしていた。(この世界では成人は15歳で成人したら独り立ちをするという決まりがある為、孤児院にも14までの子供しかいないのだ)
孤児院では、子供に独り立ちまでの間に生活に必要なことを教えるため、一人一人に仕事(掃除や料理作り、内職など)を与えていた。勿論、個別の仕事ではなく2人や3人でやる共同作業の仕事を…。
俺は正直、人と馴れ合うことが苦手である。前世で人とあまり付き合ってこなかったこともあるが、苦手である根拠の大部分は、人を信用しきれていないからだと思う。
最初は、いい人ヅラをして人は、俺の事を息子のように思っているのだ!と口にした所で、どうせ裏切るのだと。居候先の家で転々とした生活の中で知った俺は多分…いやかなり…だいぶ…可愛くないような子供なのだと思う。
今日も皆より1人だけ離れた場所で作業をしていると
「おはようございます、ルーク。」
にこにこと人に好かれそうな柔らかな笑みを携えた神父――ジャン様が俺と目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「ルークは、いつも黙々と作業してて偉いですね。ルークの頑張り屋の所はとてもいい所だと私は思いますよ。」
そう言ってジャン様は、俺の頭を軽く撫で、他の子供の所へ向かった。
そして、一人一人に優しく声をかけていく。
…………いつもの事だ。俺らに信じ込ませる為に外面が良いアピールをしてるだけに過ぎない。どうせあの人も俺らのことなんてめんどくさい邪魔者としか思っていないんだ。
そんなひねくれた考えで、その日もいつものように1人で黙々と作業を繰り返したのだが、
「いや!やめて!いたいよ!」
「ちっ!早く来い!俺らに手間かけさせるな!」
「こわいよ...、かみさま、ジャンさま...たすけてください...!」
「......」
俺を含めた3人の孤児が誘拐にあった。
孤児は、身元が不明な奴が多く存在しており、誘拐にあったとしても誰も探しにきてくれないことが多い。それは、人身売買を行うもの達にとってはとても好都合な事なのだ。
麻の袋を被せられ、荷馬車の荷台に放り込まれた俺たちは絶望の縁に立たされた状態だった。そんな状態のなか思ったことは、
(すみません、天使様。神様から託された任務を遂行できそうにないです。)
という、懺悔と。
(俺案外、孤児院の暮らし気に入ってたんだな。最後にあの神父の笑顔が浮かぶなんて)
ということに気づかされたのだ。
あの孤児院は俺にとっては今世の家になってしまっていたことに気づかされた途端に絶望が大きくなった。
(どうせ、俺ら孤児を助けるなんて結構な変わり者か相当のお人好しでしかないんだから…)
袋から出されてから表情が見えた一緒に誘拐された子供を慰めるように頭を撫でるしか俺には気持ちを落ち着かせる道がなかったのだ。
どれぐらいの時間がたっただろう。
誘拐された子供たちにとっては長い時間に思えた。
いつの間にか、外の様子が騒がしくなってきた。
外の様子確認して見たくなったのだが、生憎、俺たちをむりやり乗せた荷馬車は、周りを覆われており、中から外の様子が見えることは無い。もちろん逆からも様子は見えないと思う。だから、これが誘拐に使われたのだろう。
そんなことを考えていると荷馬車の速度がさっきとは比べ物にならないくらい(いやさっきも早いは早かったが)早くなりガタガタと荷馬車は音を立てた。
まるで、何かに追われているような―――
そんな風に荷馬車は走っていた。
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