大人向け童話、児童文学集

toku

文字の大きさ
2 / 18
↑新着(上へ行くほど新しい)

ぎゃくはりこちゃん

しおりを挟む
 あるところに、すぐ『逆張り』をしてしまうぎゃくはりこちゃんがいました。

 朝、
「ご飯食べる?」
 ママに聞かれると、
「パン食べる」
 と言います。

 昼、学校、給食の時間、
「プリン余ってる!
プリン食べたい人!」
「はーい!」
 何人ものクラスメートがプリンをめぐってじゃんけんする傍ら、
『プリンなんて二個も欲しくないもん』
 ぎゃくはりこちゃんは思いました。
『うらやましくないもん』

 夕方、公園で遊ぶとき、
「かくれんぼしよう!」
「うん!」
 ぎゃくはりこちゃんは空気を読んで何も言いませんでしたが、心の中では
『おにごっこが良かったなあ』
 と思いました。

 夜、パパがアニメを見ているぎゃくはりこちゃんに言いました。
「このキャラクター、かっこいいな!」
「え~。そうかな~?」
 ぎゃくはりこちゃんは言葉をにごしました。


 ※※※

 そんな『逆張り』思考を毎日してきたぎゃくはりこちゃんですが、あるとき、ふと思いました。

『私には自分の意見はない。
ただ人の「反対の意見」を言いたくなる』

 そう思ったぎゃくはりこちゃんは、『確かにそうだ……』と思いました。

 私には『意見』がない。
 人の意見の逆を言っているだけ。

 ぎゃくはりこちゃんは『気をつけよう』と思いました。
『もう人の意見の反対を、言ったり、思ったり、しない』

 しかし……

 やっぱり……

 ぎゃくはりこちゃんは逆張りを続けてしまいます。

 ぎゃくはりこちゃんの逆張りは治りません。

『これが、私の性格なのかな……』

 ぎゃくはりこちゃんは、今日も逆張り。

 ただ、自分に逆張りの傾向があることに気づいた分、少しだけ表に出ることは減りました。

 あと、逆張り思考をしてしまったとき
『あ、これ、逆張りしてるな』
 と気づけるときも増えました。


 また、ぎゃくはりこちゃんは『逆張り』について、こう考えたりもしました。

『賛成意見ばかり集まるより、逆の意見も出る方が良い』

 だから世の中には自分のような、『人と反対の意見を言いたくなる』傾向がある人間がいるのでは、と……

 ぎゃくはりこちゃんは自分の『逆張り傾向』を気にしつつも、その逆張りもまた人の役に立つこともあるのでは……と思っています。



 さて、実際はどうでしょうか……
 がんばれ、ぎゃくはりこちゃん!





 ――終――











 私も(も?)逆張り人間です…


 お読み下さりありがとうございました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

夏空、到来

楠木夢路
児童書・童話
大人も読める童話です。 なっちゃんは公園からの帰り道で、小さなビンを拾います。白い液体の入った小ビン。落とし主は何と雷様だったのです。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

かぐや

山碕田鶴
児童書・童話
山あいの小さな村に住む老夫婦の坂木さん。タケノコ掘りに行った竹林で、光り輝く筒に入った赤ちゃんを拾いました。 現代版「竹取物語」です。 (表紙写真/山碕田鶴)

悪女の死んだ国

神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。 悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか......... 2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

処理中です...