無自覚に世界最強だった俺、追放後にチートがバレて全員ざまぁされる件

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第5話 魔獣討伐と謎の力の覚醒

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 森の神殿跡をあとにして二日後、俺たちは西方にある交易都市フェンバルドへと辿り着いた。  
 王都ほど大きくはないが、冒険者や職人、行商人が入り混じる活気ある町だった。  
 神殿騎士団の探索線上にあるため、魔獣が頻発しているらしく、城門前には依頼書を掲げる兵士たちの姿が目立つ。  

「人が多いですね。まるでお祭りみたいです」  
 リリアが目を輝かせながら屋台を眺めている。  
 俺はその横で、露店の果物を一本買ってかじった。甘さよりも、どこかざらついた酸味が懐かしい。  
「ここは昔、俺もちょっとだけ滞在したことがあった。……まだギルドにいた頃とな」  
 そう呟くと、リリアが心配そうに俺の顔を覗きこんだ。  
「追放された場所に戻って、怖くないんですか?」  
「怖くはないさ。けど、面倒は起きるかもな」  
 俺は苦笑した。  

 案の定、ギルド前を通った瞬間、背後から声がかかる。  
「おい、あれ……リオじゃねぇか?」  
 蒼銀の鎧に身を包んだ男——ガイルだった。かつてのリーダー。  
 隣には女魔法使いエリーナの姿もある。  
 彼らは俺を追放した張本人だ。覚えていないわけがない。  

「……ああ、久しぶりだな」  
「どのツラ下げて戻ってきた? 俺らの足を引っ張った雑魚が、何を今さら」  
 周囲の冒険者がざわめく。  
 俺は肩をすくめるしかなかった。  
「ただ通りかかっただけだ。お前らと張り合う気もないよ」  
「ふん、逃げ腰か。まったく成長してねぇな」  

 その瞬間、リリアが一歩前に出た。  
「あなたたち、失礼ですよ。リオさんはこの間、封印魔獣を倒して——」  
「ははっ、封印魔獣? 冗談にもほどがある」  
 エリーナが鼻で笑う。  
「あんたがいくら夢見ようが、《創造》なんて鍛冶屋のスキルで英雄は気取れないわよ」  

 その言葉で、リリアの尻尾が怒りに逆立つ。  
「そんなこと、言わせません! 私はこの目で見たんですっ!」  
 ギルド前の視線が集まる中、俺は小さくため息をついた。  
「やめろ、リリア。無駄だ」  
 俺がそう言った時だった。  
 突然、城門の方角から爆風が巻き起こり、黒煙が立ちのぼった。  

「魔獣だ! 北門方向から大型級が出たぞ!」  
 兵士の声が響き、町が慌ただしく動き出す。  
 討伐依頼の鐘が鳴り、冒険者たちは武器を手に走った。  
 ガイルたちも顔を見合わせ、慌てて装備を整える。  
「おい、俺たちがやるぞ。Sランク討伐だ!」  

 俺は一歩遅れてその場を離れようとしたが、セリアが手で制した。  
「行かれるおつもりでしょう? この規模の魔力反応、放っておけません」  
「わかってる。行こう」  

***

 北門を抜けた先の平原は地獄のようだった。  
 灰色の毛並みをした巨狼たちが群れをなし、その中に一体だけ、生き物とは思えぬ存在がいた。  
 胴が蛇、首が獅子、尾が竜。複合魔獣《ケイモラス》。  
 王都でも滅多に現れない災厄級の魔獣だ。  

 冒険者たちが総出で攻撃を仕掛けていたが、奴の魔力障壁に全て弾かれている。  
 その中央で、ガイルが前へ出て吠えていた。  
「この程度! 俺たち《白鷹の牙》が倒せば——」  
 言葉の途中で、ケイモラスの尾が閃き、ガイルの盾を粉砕した。  
 地面が裂け、周囲の冒険者が吹き飛ぶ。  
「がっ……!」  
 彼は辛うじて立ち上がったが、もはや体が震えていた。  

 俺は前に出ようとしたが、セリアが固い声で言った。  
「障壁が女神の加護を拒絶しています。通常の攻撃では通りません」  
「なら、通る形を作ればいい……」  
 俺は胸の中心に意識を集中させ、世界の“理”に触れた。  

「《創造》——《光律の槍・アルメス》!」  

 風が止まり、空が輝いた。  
 俺の手に収束する光が形を持ち、音も立てずに槍を生む。  
 その刹那、セリアの口からかすれた声が漏れる。  
「そんな……聖堂兵ですら扱えない、最高位の神器を……」  

 周囲が息を飲む中、俺は地面を蹴った。  
 槍を投げつけ、ケイモラスの胸を貫く。  
 鈍い咆哮が響き、魔獣が暴れる。  
「全員、下がれ!」  
 爆発的な光が広がり、黒煙を切り裂く。  
 その瞬間、魔獣の障壁が砕け散った。  

 ガイルが呆然と立ち尽くす。  
「……ば、馬鹿な。そんな馬鹿な……」  
 エリーナも言葉を失い、ただ俺を見ていた。  

 だが、戦いは終わっていなかった。  
 ケイモラスが瀕死の状態で咆哮を上げ、凄まじい魔力を放つ。  
 黒い光線が町に向かって放たれた——  

「《創造》……防壁展開!」  
 一瞬で俺は想像を形にする。  
 透明なドーム状の壁が立ち、光線を弾いた。  
 衝撃で地面が裂けるが、内部の誰一人傷つかなかった。  

 光が止み、煙が収まるころには、ケイモラスの姿は消えていた。  
 ただ、大地に焼け焦げた跡だけが残る。  
 リリアが駆け寄ってくる。  
「リオさん……!」  
「大丈夫。少し疲れただけだ」  
 彼女は目に涙を浮かべ、俺の手を両手で包んだ。  
「本当に……すごいです。この町の人たち、みんな救われました」  

 セリアは静かに祈るように目を閉じる。  
「再び見せていただきました。“理を創る者”の奇跡を」  

 集まってきた冒険者たちが囁き合う。  
 「今のは何だ……」「あのリオってやつが……?」「まさか、神の遣い?」  
 ガイルは口を開けたまま俺を見ている。  
 皮肉でも、嘲笑でもなく、純粋な恐怖を浮かべて。  

 俺は彼に向かって静かに言った。  
「何かを信じないのは勝手だ。でも、見たものを否定するな」  

 その言葉に、ガイルは何も返せなかった。  
 エリーナが唇を噛み、視線を逸らす。  
 周囲の兵士や冒険者たちがざわめく中、リリアだけが真っ直ぐな目で俺を見つめていた。  

***

 日が沈むころ、町は再び静けさを取り戻した。  
 ケイモラスの残した魔力反応は完全に消滅し、フェンバルドの人々は命拾いしたのだ。  
 夕暮れの屋根の上から、俺は町を見下ろしながら小さく息を吐いた。  
 立ち上る煙の匂い、燃え残った草の焦げる音——戦いの余韻はまだ消えない。  

「……リオさん」  
 背後からリリアが声をかける。  
「私、今日、怖くなかったんです。不思議と、リオさんがいれば何があっても大丈夫って思えて」  
「そんな風に思われても困るけどな。俺だって、怖いさ」  
「ふふ。でも、その“怖い”を超えてくれるから、私……あなたを信じられるんですよ」  

 その言葉に、胸の奥が温かくなる。  
 セリアが少し離れた場所から見守っていた。  
「“絆の光”があなたを導いています。おそらくこの力は、まだ目覚めの途中です」  
「だったら、この先に何があっても、俺は逃げない」  

 リリアが柔らかく頷く。  
 夕焼けに照らされた彼女の横顔が、どこか神々しかった。  

(第5話 終)
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