世界の秩序は僕次第

虎鶫

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ルートB

続々々・メムロの章:疑問編

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「ルーナさんについていく!」
「じゃ先に行っとくから、はよおいでやー。あと死なんといてやー。おばちゃんのご飯めっさうまいからなぁ」」
そう言うと、サーカさんはギルドを出て行った。

続々々・メムロの章:疑問編

「ロキさん、ルーナさんはいつ頃戻ってきます?」
「うーん、恐らくお昼頃になりそうだな。戻ってきたら連絡するからそれまで街の中をゆっくり見学でもするといい。ここに来てから宿とギルドの往復ぐらいしかしていないだろう?」
祠にも行ったが、街の中に何があるかさっぱりわからない。

「そうすることにします」
そう言って僕はギルドを後にした。

とはいえ、どこに行こう。
見学といっても何も買うことも出来ない。
かといって宿でぼーっと過ごすのも時間がもったいない気がする。

うーん・・・
少し引っかかっていることがあるので確認しにいこう。

僕は街の外に出た。
目的はワフ族の新しい住処。
まだ建設中だが話ぐらいは出来るはずだ。

ギノツの人に通訳を頼まなくても会話もできるに違いない。
メムロの時にゴブリの言葉が分かったからワフの言葉も分かる・・・はず。

ワフ達が見えてきた。
まだ作業には取り掛かっていないようだ。
これなら声がかけやすそうだ。

一番近くに居たワフに聞いてみた。
『ちょっと聞きたいんだけど、いいかな?』

『え、おまえさん、ギノツの人間じゃないのに言葉がわかるのかい!?』
ワフは驚いた顔をしている。
『で、何が聞きたいのだい?』

とりあえず質問には答えてくれそうだ。
気になる事は色々あるが、全部聞いているほどの時間は無い。
『インツって何者?』
ワフが困惑した表情に変わった。
『おまえさんは、噴火した山とギノツはみたかい?』
僕は黙って頷いた。
『その先に森があるのもみたかい?』
もちろん頷いた。
見たどころか、そこに居たのだから。
『あの森はインツの縄張りでさぁ、でも好戦的じゃないので平和でしたなぁ』
『今は居なくなっちまったが、メフのだんなはインツにぞっこんでしたし、あっしらもギノツの人間達と仲良しだったからねぇ』
ワフが遠い目で語っている。

『でも、なんでギノツは攻撃されていたの?』
理由は知っているが一応聞いてみた。
『それがよくわからんのです。急に見たことがない種族が森から出てきてギノツを攻撃しだしたんす』

急に出てきた?
『もしかして、最近セキダインが光ったりしなかった?』
『!』
ワフが驚いた顔をしている。
『おまえさん、見てたのかい?』
『いや、見てないですけど、なんとなくそう思っただけです』
『おまえさんの言う通り、セキダインが妖しく光った後からですなぁ。森の雰囲気が変わったのは』

理由はわからないが、セキダイコもセキダインも妖しく光ったら森の様子がおかしくなった。
ということは、セキライミも妖しく光っている可能性がある。
森の様子も変貌しているだろう。
ロキさんが急ぐ必要があると言った理由もそう推測したからだろう。

『あ、短剣作ってくれてありがとう』
礼を言って街に戻った。
『短剣?誰かが作ったのかな?』

街に戻ってギルドに向った。
まだルーナさんは戻ってないようだ。

「メムロくん、見学はもう終わりかい?」
ロキさんが声をかけてきた。
「はい、と言っても手持ちがないので何もできませんでしたけどね」
「ハッハッハ、小遣いでも渡せばよかったな、すまんかった」
「いえいえ、この短剣だけで十分です」
余計な事を言ってしまった。

「たっだいまー。さっすが私、ミッションコンプリート!」
ルーナさんがそういいながら帰ってきた。
「オレの手紙を持っていったから当然だ」
ロキさんが冷静に返す。

後からギルドに入ってきた人物を見て僕は驚いた。
「セ、セイドさん!?」
「おーう、メムロ元気にしてたか」
タスト村に居るはずのセイドさんが何故ここに?

「セイド、手紙の通りだ。すまんが頼めるか」
「オレがここに来たのが手紙の返事だ」
どうやらルーナさんはタスト村に行っていたようだ。
野暮用ってのがこの事なら教えてくれてもいいのに・・・
少しふてくされてみた。

「内緒にしておいてすまんな、メムロくん」
察したのかロキさんが謝ってきた。

「で、サーカのアホはどうせ勝手に出発したんだろうが、ガイアの行方はわかったか?」
「いや、それが未だにわからん」
ルーナさんの顔が曇る。

「とにかく一刻も争う事態のようだから、早速出発するか」
セイドさんがそう言うとギルドを出て行った。
あとを追いかけるようにルーナさんと僕もギルドを出た。

「今度こそはたのんだぞ」

街を出ると草原が広がっていた。
のどななようにみえたが、セイドさんの顔が険しい。

「ふむ、一気に駆け抜けるぞ!」
突然そういうとセイドさんが走り出した。
「え、え、どういうことなの?」
ルーナさんが困惑する気持ちもわかる。
僕も何のことかさっぱりわからない。

とにかくついて行くしかない。
タッタッタッタッタッ!

一緒に走りながらルーナさんが聞いてきた。
「セイドって人はあんなに強引な人なの?」
「いえ、サーカさんと違ってちゃんとした理由が無いと指示を出さないです」
「ギルドマスターだからそうだよね・・・」
一応は理解してくれたようだ。

ある程度走ったところでセイドさんが歩き出した。
ハァハァハァ・・・
2人のペースを見ながら走ってくれていたがさすがに疲れる。

「ね、ね、セイド。なんで急に走ったの?」
ルーナさんが問いただした。
僕も理由が知りたい。

セイドさんは立ち止まって聞いてきた。
「お前らは、あの草原で何か感じたか?」
2人とも横に首を振った。
「なるほど、だからロキがオレを呼んだのか」

全く意味がわからない。
ルーナさんもわかってない。
「どういうことなの?教えてよ」
こういう時のルーナさんはしつこいぐらい食い下がる。

「あそこの草原には危険なモンスターが生息している。それを感じられなかったお前たちは戦うと負ける」
「そんなのわからないじゃない!」
ルーナさんはご立腹のようだが、セイドさんが言うのだから間違いはないだろう。

移動を再開した。

バッ!
モンスターが草むらから急に現れた。

ゲル?

「メムロ、そいつは普通のゲルじゃないから気をつけろよ」
言われてみれば色が違う。
ドゲルとも違う感じだ。

スパッ!
ボッ!

ボッ?

ビリビリビリ!
「ギャー!」
思わず悲鳴をあげてしまった。
というか、その前の炎のようなものはなんだ?

「メムロ、だから言っただろ。普通のゲルじゃないって」
セイドさんが呆れた顔で言ってくる。
「良く見ろ、雷をまとってるだろうが」

ジーッ!

言われてみればそんな気がする。
「じゃあ、どうやって攻撃したらいいの?」
「自分で考えろ。それも修行だ」
冷たい。

でも、今後の事を考えると、闇雲に攻撃するだけではダメだ。
それと、短剣から炎みたいなのが出たのも気になる。

そのゲルに触れないぐらいの距離で短剣を振ってみた。

ブンッ!
ボッ!

ジューッ!

「えー!メムロくん、その武器なになに、すごーい」
「さっき、ギルドで貰った新しい武器。でもこの事は教えてもらってなかった」
「なるほどな、魔法の使えないメムロにはうってつけの武器だな」

貰った短剣はどうやら炎が出る短剣のようだ。
ギノツの人たちはこんなのも作れるのか。

「おしゃべりはそれぐらいにしておいて、残りを殲滅させるぞ」
そうだ、まだゲルは残っている。

ふー、なんとか殲滅できた。
何度かビリビリして動きが止まってしまったが対したダメージではない。

「メムロ、おまえビリビリのダメージが弱くてよかったと思っただろ」
この人は心でも読めるのか?
僕は頷いた。

「ビリビリを喰らった瞬間、おまえの身体はどうなった?」
「!」
「わかったか?動きが止まると別の攻撃が避けられなくなる。致死傷のダメージを喰らうかもしれない。戦いとはその一瞬で勝敗が決まるのだ」
セイドさんの言う通りだ。

「さて、サーカが先走らないように、早くヨサトに向うか」
なるほど、あらかじめ合流地点を決めていたわけか。

でも、サーカさんはちゃんと待っていてくれるのかな?
「心配しなくても、いくらサーカでもヨサトから先には勝手には行かん」

考えている事が顔にでも出てるのかなと思うぐらい心を読んでくる。
でも、セイドさんが一緒なら心強い。

続々々・メムロの章つづく
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