世界の秩序は僕次第

虎鶫

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ルートB

続々々・メムロの章:ピクニック編

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「ねぇねぇ、こっちからの依頼とはいえ、タスト村を離れても大丈夫なの?」
ルーナさんがセイドさんに聞いた。
「うむ、大丈夫だ」

続々々・メムロの章:ピクニック編

言われてみれば確かにそうだ。
小さい村とはいえ、セイドさんはタスト村のギルドマスターだ。
ギルドマスターがギルドを離れるのはよっぽどの時ぐらい。
いや、よっぽどの時だからか。

それにタスト村を攻め込んでくるモンスターは居ない。
居たとしてもギルド員はいるし、ビブリやゴブリ達も守ってくれるだろう。

あれ?
「セイドさん」
「どうしたメムロ」
「セイドさんは、何故ヨサトとかの場所を知ってるの?」
「そういえばそうよねぇ。なんでなんで?」
ルーナさんも興味津々だ。

「今でこそタスト村でギルドマスターをしているが、それまではあちこちを放浪していたからな」
「へー、冒険者ってやつね。いいじゃない」
なるほど、戦闘経験が豊富だから街を出てすぐの草原が危険と判断できたのか。
で、それに気がつかない僕達が居るから駆け抜けたと。

「うーん、私のギルドはまだまだってことかぁ」
ルーナさんががっかりしたような感じで言う。
「ルーナ、自分の所属のギルドの事を悪く言うものではないぞ」
諭された。

「それにロキは思っている以上に強いぞ」
「へー、そうなんだ。ギルドマスターやってるぐらいだから強いんだろうとは思うけど・・・」
「ロキが動く時は本当にヤバイ時だと思っておけばいい」

そういってる間に、湿原地帯が近づいてきた。
「なーんかジメジメしててキラーイ」
ルーナさんがわがままを言い出した。
「ハッハッハ、湿原だからな」
セイドさんはそう言ってあっさり流した。

「一応、ほいっと」
ポワーッ!
全員の身体が光で包まれた。

「毒対策ってことか、ルーナ」
「そうそう、念のためにね」

なんだか僕だけ取り残されている気分だ。

「さて、ピクニックはここまでだ」
セイドさんが警戒感を高めた。
「セイドさん、この辺りにはどんなモンスターが?」
「触ってもビリビリしないから安心しろ」
答えになってない。

でも、普通に攻撃しても大丈夫のようだ。
あとはどういうモンスターなのかを観察して弱点を見極める。
僕がマルムの弱点を見つけた時のように!

ザッパーン!

水溜りっぽい所から何かが飛び出してきた。

「おいでなすったぞ!」

ペタッ!
人型のモンスターだけど身体中が鱗で覆われている。
でも、サーカさんがリクドと呼んでいたモンスターとは違う感じの鱗。
どちらかといえば、魚の鱗?
触れてもビリビリはなさそうだ。

飛び込んで斬りつけたいところだが、相手の武器が僕にとってはやっかいだ。
槍状でリーチが長い上に先端が3つに分かれている。
先端はともかく、リーチの長さがやっかいだ。

恐らく突いてくるだろうが、その隙に近寄るには足場が悪すぎる。

シュッ!シュッ!シュッ!
連続で突いてくる。

この武器さえ何とかすれば。
シュッ!
スパッ!

敵の武器を斬る事ができた!
この手だ!

シュッ!
スパッ!
スパッ!

相手は慌てている。
サッ!
ズバーッ!
ボッ!

炎のオマケつきだ。
ドサッ!

ふー、なんとか倒せた。

「メムロ、ハギョは1体だけじゃないぞ!」
セイドさんが叫ぶ。
こいつらはハギョというのか。

ルーナさんは苦戦しているようだ。
「ルーナさん、大丈夫?」
「ちょっときついかも」

ズバーッ!
ボッ!

「ありがと。私の魔法じゃ効きづらいみたい」
相性が悪い相手ってことか。
ルーナさんと一緒に戦うことにした。

ルーナさんの魔法で足止めしてもらってる隙に僕が斬る。
「ほう、いいコンビじゃねーか」
セイドさんが言ってきた。

「うーん・・・」
ルーナさんの様子が何かおかしい。
「ルーナさん、まだ殲滅してないですよ」
「あ、いや、なんとなく既視感ってやつかな?」

どういうことだろう。
「ほらほら、どんどん来ますよ!」
「あ、あぁごめんごめん」
ルーナさんはハギョに向って魔法を撃ちまくり。
僕はそのハギョを斬りまくり。

「既視感って言っても、ギノツ行った時にも一緒に戦ったでしょ?」
「うーん、それとはちょっと違う感じかな」
会話しながら倒せるぐらい息が合ってきた。

「あぁ、そうだ。ガイアとコンビを組んでた時みたい!」
「えっ!」
2人とも一瞬動きが止まってしまった。

ビューン!

何かが飛んでくる音が聞こえた。
「危ない!ルーナさん!」
そう言って、ルーナさんを突き飛ばした。

ザクッ!

「キャーッ!メムロッ!」
ルーナさんの悲痛な叫び声と真っ青な顔が見えた。

僕の身体から3本の刃が突き出ている。
そして、そのまま湿原の沼地に僕の身体が落ちていった。

ザプンッ!

・・・

「さっすが、メンギャ様。この距離でモリを命中させるなんて」
メンギャ?

メンギャの章へつづく
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