世界の秩序は僕次第

虎鶫

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ルートB

ルーナとセイドの章

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「メムロくーーん!」
「ルーナ!立ち止まるな!またモリが飛んでくるとヤバイ」

ルーナとセイドの章

ズルズルズル・・・
セイドはルーナを掴んで強引に移動させた。

「おい、ルーナ。そろそろ自分の足で歩いてくれ」
「・・・」

ルーナは放心状態になっている。

「はぁ、無理も無いか。荒療治になるが、仕方が無い」
パチーンッ!
セイドはルーナの頬を叩いた。

「いったーい!何するのよー!」
「ん、戻ってきたか」
「もうちょっと手加減しなさいよ!」
ルーナは涙目で頬を押さえている。

「どうやらハギョのやつらは撤退したようだから、今のうちに移動するぞ」
「わかった・・・けど。メムロくんが・・・」
「沼に沈んだな」

・・・

「少しは落ち着いたか?」
ルーナの目が真っ赤になっていた。
「また私、助けられちゃった・・・」
「また?」
「ガイアも私を助けて・・・」
「ふむ、ガイアが行方不明ってことはそういうことか」

・・・

「ルーナ、ここで立ち止まっていても何も始まらんぞ」
「ガイアとメムロくんの意思は私が受け継ぐ!」
「よし!よくわからんが、その気持ちを忘れるなよ」
そういいながらセイドはルーナの肩をポンポンと叩いた。

しばらく歩くと湿原地帯を抜けて草原に出た。
「はぁ、やっとジメジメ終わりね」
ルーナがうんざりとした顔でそう言った。

「ここから先はもう草原だけだ、よかったな」
「セイド、あれなに?」
ルーナが空の遠くの方を指差した。

「あれはブクドだな。なんでここにブクドが?」
「ブクド?リクドと同類?」
「ルーナ、リクドをみたことがあるのか?」
「うん、メムロくんとサーカと3人でギノツ村に行く途中で出会った」
「よく無事でいたなぁ」
「サーカがひきつけてくれてる間に、私はギノツに向ってダッシュした」
「なるほどな・・・ん?」
セイドが考えこんだ。

「なぁ、ルーナ。おまえが見たのは本当にリクドか?」
「本当かどうかはわからないけど、サーカがリクドって言ってた。深緑の皮膚したやつ」
「やっぱりリクドか。でもなんでリクドがそこに」
「なんでって私に聞かれても」
「あぁ、そうだったな、すまんすまん」

「あれ?ブクドってやつの近くにちっこいのもいるよ」
「本当だな。なんで小さいブクドがいるんだ?」
「だから、なんでって私に聞かれても!」
「あぁ、すまんすまん」
なぜかセイドがルーナに責められている。

「でも、どういうことなの?」
「この世界にはリクドとブクド、そして赤い皮膚をしたレクドってのがいる」
「へー、赤いのもいるんだ」
「それぞれ縄張りがあるんだが、縄張り争いはしない」
「まぁ、同族だからね」
「そういうことではないが、まぁいいだろう。本来はここはレクドの縄張りでギノツの周辺はブクドの縄張りだ」
「え、でも、ギノツに向うときに出会ったのはリクドだったわよ」
「だからおかしいのだ」

「セイドが分からないのに私がわかるわけないか。あーっ!」
「急に大声出してどうした?」
「ヨサトってあれじゃないの?」
「ルーナ、その程度で大声を出すな。心臓に悪い」
「ごめん、ごめん」
そういうとヨサトに向ってルーナは走っていった。
「少しは元気を取り戻したからいいか」
セイドも後に続いた。

「サーカとはどこで合流するの?」
「冒険者の合流場所といえば、ギルドに決まっているだろう」
「決まってるかどうかは知らないけど、ギルドが待ち合わせ場所なのね」
「ルーナ、粗相のないようにな」
「はいはい、大丈夫よ」

2人はギルドに入った。
「こんにちは、ナトリ街のギルドから来たルーナです」
ルーナは頭を下げた。

「よっ、ルーナ。何を猫かぶっとんのや」
サーカ達は先に着いていたようだ。

「サーカ!・・・と、横のでかいの誰?」
「ん?ドンちゃんや。つよいでー」
ルーナはぺこりと頭を下げた。

「で、メムロちゃんはどこなん?」
「!」
サーカの言葉にルーナが反応して泣き出した。

「え、え、なんで泣くねん。おばちゃんのご馳走たべれんようなって泣きたいのはこっちやで」
「サーカ。メムロの事は今は触れるな」
「セイドはん・・・ま、まぁ、メムロちゃんのことやから、なんやかんやで、ひょっこり出てくるって、うんうん」
「言われてみれば、メムロはいつも気がつけば村に帰ってきてるな」
「な、な、セイドはんやったらわかるやろ?」
サーカがセイドに同意を求めている。

「久しぶりだなシュヌ」
「セイドも同じギルドマスターやったら、挨拶が先やろー」
「すまん、すまん」

「で、メムロってのがどーなったか知らんけど、じぶんらのんびり談笑してる暇あるんかいな」
シュヌの発言で全員ハッとなった。

「せ、せやで。メムロちゃんの事は一旦おいといて、ワニナに向うでー!」
「やれやれ、調子のいいやつだ」
セイドが呆れたように言う。

「シュヌ、もしメムロがここに来たら先に向ってるといっておいてくれ」
「別にかまへんけど、メムロっての見たことないで。まぁきーつけて」

全員、ギルドから出てワニナに向って移動を始めた。

メンギャの章へつづく
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