世界の秩序は僕次第

虎鶫

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メクドの章:強敵編

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うーん、ブクドはなんで森に向わないんだろう。
レクドの言いなりになるのがいやなのかな。

メクドの章:強敵編

巣に戻るのブクドが居た。
「ただいま、リクドに合ってきたよ」
「それでどうだった?」
「ずるいって怒ってた」
「やっぱりな・・・」
「ブクドもリクドもなんでレクドのいいなりなの?」
ストレートに聞いてみた。

「いいなりというか、タダ単にレクドは見掛け倒しのへたれなだけだ」
「で、ずる賢いってやつ?」
「まぁそんな感じだ」

「それで、ブクドは森に行ったの?」
「行った」
「それでそれで?森の敵はどんなやつ?」
「リクドのやつ、そんなことまで言ったのか・・・」
リクドはリクドで困ったちゃんのようだ。

「それが、森から異様な雰囲気は出ているのだが、セキダインの森と違って妙なのだ」
「妙って?」
「うーん・・・説明が難しいから、とりあえず行ってみろ。そしたらわかる」
教えてくれてもいいのに・・・

「行ってくる」

ヒューーーーッ!

そろそろ合流してる頃かな?
そうなるとあまりワニナに近寄るのは危険か。
空を飛んでいても、サーカさんとドンリンさんのコンビプレーで攻撃される。

森が見えてきた。
でもセキライミは見えない。
あれ?なんでセキライミが見えないんだ?

森を迂回して反対側に移動した。
なるほど、そういうことか。

セキライミは地上というよりは、窪みの下にあった。
だから見えなかったのか。

ワニナ村も見えた。
まだサーカさん達は到着していないだろう。
空ならあっという間だ。
今ワニナに行っても仕方が無いので森に戻って探索してみよう。

ブクドは異様な雰囲気と言っていたが、イマイチそんな感じはしない。
いたって普通の森だ。
上から見ても普通の森。
セキダインのように大きな木もない。

真ん中あたりに降りてみるか。
バサッバサッバサッ!

・・・

バサッバサッバサッ!

・・・

あれ?
森の中に入ったはずなのに、いつまでたっても地面に着かない。
バサッバサッバサッ!

やっぱりおかしい。
一度外に出てみよう。

バサッバサッバサッ!
あっさり、森の外に出ることが出来た。

うーん・・・

違和感と言われると違和感はあるが、妙な気配は感じられない。
もう一度降りてみよう。

バサッバサッバサッ!
やっぱり、いつまでたっても地面にたどり着けない。

ヒュッ!
油断していたわけでは無いが、何かが一瞬で僕の背後に迫ってきた。
ドカッ!
そして、首元を思いっきり打ちのめされた。

ヒューーーッ!
バキバキバキバキ!

僕は森の木をなぎ倒しながら地面に落ちた。
一体なにが?
というか、地面にたどり着いている。
「いつつ・・・」

スタッ!

何者かが目の前に着地した。
「ほう、鞘に閉まった状態で攻撃したが気絶しないとは、小さいとはいえやはりドラゴンなだけあるな」

言葉がわかる。
人間か?

「ちっこいドラゴンよ、何の用でこの森に来た。と言っても伝わらないか」
「いや、わかる」
「ほう、珍しいドラゴンもいるもんだ。で、何のようだ?」
剣で自分の肩を叩くようにポンポンしながら話している。

完全に舐められている。
でも、油断している今がチャンスでもある。

スーッ!
ブォーッ!
一気に息を吸って炎を飛ばした。
ブクドほどではないがかなりいい感じだ。

スパッ!
ドーン!

「!」
「おいおい、物騒な返事してくれるじゃないか」

なんてやつだ。
完全に不意をついた攻撃だと思ったのに避けるどころか、さっきまで肩を叩いていた剣で炎を切り裂いた。

「攻撃としては悪くないが、森の中で炎は勘弁して欲しいな。せっかくの住処が燃え広がるじゃないか」
スパッ!
スパッ!
そういいながら、そいつは炎が燃え移った木の枝を切り落とした。

確かにここで炎はよくないな。
ビビーもいるだろうし。

「そろそろ、目的を教えてくれてもいいんじゃないかな」
相手は構えることもなく近寄ってくる。
なんだこいつは。
何を考えているかさっぱりわからない。

ブーンッ!
スカッ!

尻尾も当たらない。
というよりは尻尾が短すぎたから届いてなかった。

「まだまだ未熟なやつだな。自分の間合いを把握するのも強さの1つだぞ」
返す言葉が無い。

「もういいだろ、いい加減何しに来たかぐらい教えてくれよ」
「この森を元に戻せ」
「元に?それはできない。オレはのんびりここで過ごしたいだけだ」

そ、それは僕が望む将来の姿だ。
正直羨ましい。

戦ってもまだ勝てそうにない。
それでも何かヒントを掴んでおかないと。
「なんでこの森は自由に出入りできないのだ?」
「さぁな。オレを倒したらわかるかもよ」
くっ。

「この森にはビビー達がいたはずだ。ビビー達はどうした?」
「どうしたもこうしたも、何もしていない。何もしてないのに逃げようとするから、出られないようにしているだけだ」
やっぱり、この森の謎を解くためにはこいつを倒すしかないのか。

「で、どうするよ。まだ戦いを続けるか?ブクドを連れてきてもいいぞ」
なめるな!と言いたいところだが今の僕では絶対に勝てない。
どんどん距離を縮めてくる。

「それとも今ここで生涯を遂げるか?」
ピタッ!
顔の眉間辺りに剣の先端を突きつけてきた。

お互いにじっと見つめあう。
ちゃんと顔を合わせるのは今が初めてだ。
えっ!

「オマエ、名前はなんだ?」
「メクドだ」
「オレはプリファイ、オマエは面白い運命を背負っているようだな。今日は帰れ、また会おう」

そういうと、小屋へ戻っていった。
プリファイの背になにやら黒い影のような物が見えたきがした。
それよりもあの顔は!?

とりあえず巣に戻ろう。

バサッバサッバサッ!

「お、メクド。戻ってきたか、どうだった?」
「森の中に入ったら妙なやつがいた」
「え、オマエ、森の中に入れたのか?どうやって」
ブクドが驚いている。

「正確に言えば、入ろうとしたけど、入れなかった」
「だろうな。でも、どうやって中に?」
恐らくブクドも入れなかったのだろう。

「妙なやつに攻撃されて森の中に落とされた」
「そうか。で、戻ってきたってことは森は元通りに?」
「いや、手も足も出なかった。ブクドを連れてきてもいいと言われた」
情けない話だが、正直に話した。

「なるほど。そうとうな腕前のヤツが森を仕切ってるわけか」
僕は頷いた。

「よし、相手の望む通りに一緒にいくぞ!」
あれ?意外な反応だ。
てっきり、情けないだの未熟だの言われて修行を積めとか言われると思ったのに。

「何をボーっとしている。オレもソイツに合ってみたくなった」
なんだ、興味本位か。
でも、森を何とかしないとブクドも元の場所に戻れないってのもあるのだろう。

バサッバサッバサッ!

さっき、叩き落された場所の辺りについた。
「ここで落とされた」
「では、ここから降りるぞ」

バサッバサッバサッ!

・・・

元の位置に戻ってきていた。
「メクド、降りれないぞ」
「あれ?でもさっきはここで落とされて、ここから出てきたよ」

「もう一回行ってみる」
バサッバサッバサッ!
今度は僕だけで降りてみた。

スタッ!
あれ?森の中に入れた。

「まったく、今日は千客万来のようだな、面白いヤツがどんどん集まってくる」
プリファイが小屋から話をしながら出てきた。
面白いヤツ?他にだれが?

「おまえは・・・メクドだったか。で、懲りずにどうした」
「お望み通りにブクドを連れてきた」
「ハッハッハ、やっぱりオマエは面白い!」
完全にバカにされている。

「で、ブクドはどこだ?」
「森に入れずに困っている」
「ハッハッハ、まぁあの巨体で森に入られると困るしな。挨拶でもしてくるか」

「呼んでこようか?」
僕がそういいながら飛び立ちだした時、プリファイは僕に向って突進してきた。

「案内ご苦労だったな、もうオマエには用は無い」

バキッ!
鞘に入ったままとはいえ、剣でなぎ払われて吹き飛んだ。

ヒューーーーッ!
バキッ!バキッ!バキッ!
木を折りながら僕の身体は森の外に向って飛んでいく。

剣は1本しかなかったはずなのに、2箇所叩かれた感触がある。
だからほぼまっすぐ真横に飛んでいるのかもしれない。

ヒューーーーッ!

ドカッ!
壁にぶつかってそのまま地面に落ちた。
ベチャッ!

ここは?
目の前にセキライミがある。
それと、みたことが無いヤツがいる。
セキライミに入ろうとしているのか?

一方その頃。
「ブクドとご対面と行きますか、せーのっ!」
プリファイは木々を飛び移って上空へ飛んだ。

「おお!オマエがブクドか!メクドを心配して気を抜いてる場合じゃないぞ!」
そういうと、プリファイはブクドを剣でなぎ払った。

バキッ!

グガーーーッ!
不意打ちを喰らったブクドが吹っ飛ばされた。

ヒューーッ!
何か巨大な物が飛んでくる音が聞こえた。
というか、ブクドだ!

なんでブクドがこっちに向って飛んできてるんだ?

ドーーーーーンッ!
ブクドも僕と同じように壁にぶつかった。
違うのはぶつかった威力だ。

ガラガラガラッ!
ザッパーーン!

壁が崩れて、横にあった湖の水が流れ込んでくる。
「メクド、早く飛び上がれ!」
ブクドがそう言ってくる。

もちろん、そのつもり・・・だった。
ズシーン、ベチャッ!
崩れてきた壁の一部に潰された。

「メクドー!」

ズシーン、ベチャッ!
同じように何が潰された音が聞こえたような気がする。

・・・

「・・・ゃーん、もしもーし」
コンコン!
誰かが声をかけながら頭を叩いてくるのを感じる。

「もう!サーカさん、それやめて・・・あれ?」
知らない人が目に前に居た。

続々々々・メムロの章へつづく
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