世界の秩序は僕次第

虎鶫

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メインストーリー2

続々々々・メムロの章:報告編

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『あ、あんた達、無事だったんだ!』
ちゃんとイウンはおとなしく待っていた。
『とりあえず、仕切りなおしになりました』
そういって、僕達は森の外へと出て行った。
『えー!っていうか、なんであんた達は外に出られるのよー!』
遠くからイウンの声が聞こえる。

続々々々・メムロの章:報告編

「オオカさん、すっごい強いですね」
「まぁ、剣折られてもーたけどな」
しまった、やぶへびだったか。

「でも、あの剣舞はサーカさんと似てますね」
「そらそうやん。オレがサーカに教えたからなぁ」
やっぱり。
オオカさんとサーカさんの関係を聞くべきか否か。

と、考えているうちにワニナに着いた。

「ブラフ、じゃますんでー」
「・・・」
「なんや、なんや。無視かいな」
オオカさんがつまらなさそうにしている。

真剣に策を練っているブラフさんとセイドさんには今は冗談も通じなかった。

「オオカ、戻ってたのか。森はどうだった?」
セイドさん達は今気がついたようだ。

「なかなかおもろいヤツが仕切ってて、このありさまや」
そういって、オオカさんが折れた剣を見せた。

「オマエのその剣を折るとは、面白いどころか相当な相手のようだな」
「プリファイっちゅーやつやねんけど、弁償してくれへんかってん。ケチなやっちゃで」
「その割には嬉しそうな顔をしているな」
「まー、久しぶりに楽しめたわ」

オオカさんがブラフさん達に森の中での話をしている間にサーカさん達も帰ってきた。

「ブラフはん、じゃますんでー」
「・・・」
「なんや、なんや。そろいも揃って無視かいな」
やっぱりサーカさんとオオカさんは同じノリだ。

「で、サーカ。セキダインの方はどうだった?」
セイドさんはそう言ってサーカさんの話をスルーした。
「セキダインは無理や。近づけん」
「近づけない?どういうことだ」
「ギノツあったやろ?あっこに砦がでけとった。溶岩まみれの山も採掘ルートが確保されとった」

「その砦の主とは会ったのか?」
「ルーナちゃんがびびってもーて近寄ってへん」
「何よその言い方!サーカも真っ青の顔してたじゃない!」
サーカさんとルーナさんがもめ出した。

砦の主・・・プリダルエだろう。
もうそんなにも勢力を広げているのか。
いや、元々噴火させる予定だったから、先の展開まで考えていたのだろう。

「ブラフ、これからどうする。ここのマスターはお前だ」
セイドさんがブラフさんに向って問いかけた。
「せやなぁ・・・プリファイってのは自分からは動いてけーへん感じやから、ここは大丈夫やろうな」

・・・

しばらく沈黙が流れる。

「おし!オオカとドンリンはセキダインへ。サーカとルーナとメムロはセキダイコへ。セイドは念のためここで待機や!」
「念のためって、お前プリファイが出てきたらオレに戦わせるつもりだろう」
セイドさんが呆れた顔でブラフさんを見たが、ブラフさんは知らん振りしている。

「くれぐれも深追いせずにな」
セイドさんがそう言うと、みんな頷いてギルドを出た。

「メムロちゃんと旅するのんも、なんか久しぶりやなー」
サーカさんが嬉しそうに言ってくれた。
「ギノツに行った時以来よね。魔法は使えるようになった?」
ルーナさんがそう聞いてきたが僕は横に首を振った。
「そっかー。なんとなく素質はありそうな気がするのに何故使えないのかなぁ」
ルーナさんは首をかしげている。
理由を知りたいのは僕の方だ。

「あ、サーカ、あっちからナトリに行くのはいや!」
ルーナさんが湿地帯の方を指差して言った。
「なんでや?」
「ジメジメしててベタベタするから」
「なんやそれ。でも、こっちはこっちでどろんこなるで」
「えー、じゃあどっちもいや」
「わがままゆーな、こっちからいくで」
2人とも相変わらずで安心した。

しばらく歩くと沼地が見えてきた。
「沼地の穴からルロっちゅーのが出てくることあるから、きーつけや」
「ルロってどんなの?」
ルーナさんが聞いた。
「にょろにょろしたやっちゃ。ルーナの魔法でも十分倒せるしメムロちゃんは短剣の炎があるから雑魚や」
「なーんだ、じゃあ安心だね」
「でもな・・・」

スパッ!
サーカさんがルーナさんの後ろに向って剣を振った。
ボトッ!

ルロが地面に落ちた。
「急に出てくるから油断したらあかんでー」
「そんな大切な事は先に言いなさいよ!」
「ハッハッハ、まぁ雑魚相手でも油断したらあかんっちゅーやつや」

やっぱり似てる。
「うーん・・・」
「ん?メムロちゃん、どないしたんや?おなかでもいたいんか?」
「いえ、サーカさんとオオカさんの剣さばきが似ているなぁと思いまして」
「お!気になるか?気になっちゃうか?知りたい?知りたいか?」
「あ、やっぱりいいです」
どうせ茶化されて終わりそうだったので聞くのをやめた。
サーカさんはちょっとがっかりしている。

スパッ!
ボトッ!

シューッ!
ボトッ!

スカッ!
僕の攻撃だけはなかなか当たらない。

「メムロちゃんはまだまだやなぁ。うまなったのは迷子からの帰還だけかいな」
サーカさんに嫌味を言われたが、返す言葉が無い。

「ルロの出てくるタイミングのコツ教えたろかー?」
「どうで、勘って言うんでしょ」
「先に言うなやー」
ルーナさんはやれやれといった感じの顔をしている。

沼地を抜けると草原が見えてきた。
ここを過ぎるとナトリの街にたどり着ける。

・・・また走るのかな?

ピタッ!
サーカさんの動きが止まった。

「ま、えぇか」
そういうと、サーカさんは歩き出した。
「走らないの?」
ルーナさんが聞いた。

「ルーナちゃん、なんか感じるか?」
「いや、なにも」
「メムロちゃんはどうや?」
「なにも」
「そういうこっちゃ」

どういうことなんだろう。
でも今はなぜか安全ってことなのだろう。
強くなればそれもわかるようになるのかな。

そう考えながら草原を歩いた。
心地よい風が吹いている。
平和だ・・・今は。

ナトリに着いた。

続々々々・メムロの章つづく
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