世界の秩序は僕次第

虎鶫

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メインストーリー2

メクタウの章:試練編

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「とりあえず、戻るぞ!」
「お、おう・・・」
いつも通り言われるがまま、ついて行く事にした。

メクタウの章:試練編

ドテッ!
思いっきりこけた。

「おいおい、平地なのになんでこけるんだよ」
なんで?
なんでもなにも、4本足で歩いたことなんかないからに決まっている。

・・・とは、さすがに言えない。

「ははは、なんでだろうな、疲れてるのかな」
精一杯の言い訳。

「急に全力を出すから、その反動がきたんだろ」
「そ、そうかもな」
呆れた顔をされているが、とりあえず相手に合わせるしかない。

「そりゃーさ、10年、いや100年、いや1000年の逸材とか言われたら浮かれるのもわかるけどさ、オレ達の今後がどうなるかオマエにかかってるんだから、ちゃんとサポートするからしっかりしてくれよな」
「あ、あぁ、すまないな」

うーん、本当に状況はまだ把握できないが、とりあえず歩くのに慣れないといけないようだ。

ドテッ!

その後も、何度か転倒はしたがようやく住処らしきところに着いた。

「おかえりメクタウ様とタレス。試練の為の訓練は順調ですか?」
「おいおい、なんでこいつには様でオレは呼び捨てなんだよ」
いや、ほんと。
この扱いの差は一体なんなんだ。
というか、こいつはタレスっていうのか。

ポカッ!
タレスが叩かれた。
「メクタウ様に対して、【こいつ】とはなんて口のきき方をするんですか!せめて、メクタウさんと呼びなさい!」
タレスとやら、なんだか本当にすまない。

「長になってもこれまで通り、メクタウでもいいよな?な?」
「あ、あぁ」
「ほら、こいつもそう言ってるじゃないか」
ポカッ!
タレスがまた叩かれた。

「まったく、メクタウ様もいくらタレスが幼馴染とはいえ甘すぎですよ!そんな事では長として他の者に示しがつきません!試練はまだですが長としての自覚をちゃんともちなさい!」
「すみません」
今度は何故か僕が怒られた。

はぁ、また上の立場にいる状況になったのか。
永遠とこういうのが繰り返されるのか?
いい加減、面倒くさい。
僕はのんびりと本を読んで過ごしたいだけなのに!

・・・

いや、待てよ?
これまでの経験を思い返してみると、僕の魂が無くなる事は無かった。
殺されたら、僕を殺した相手に魂が移動している。
そして、トラップみたいに相手が居ない場合に死んだ時はメムロに戻っている。

タスト村がゴブリに守られて平和になったのも、ドマシとジュマシが敵対しなくなったのも、ある意味この体質のおかげだ。
なぜ僕がこの体質になったのかはわからないが、この体質を利用すればプリダルエに一泡吹かせる事もできるかもしれない。
そのチャンスがいつ来るかはわからないが・・・

ただ、問題があるとすれば、痛みは感じるという事。
言葉通り死ぬほど痛い。
あと、メムロの時にトラップで死んだ時の事は考えるのをやめておこう。

・・・

ロキさんの具合も心配だが、今はメクタウとして行動するしかない。
例によって情報が足りない。
「なぁ、タレス。ここで一番物知りなのは誰?」
「よかった、オレの名前は記憶に残ってたんだな」
ついさっき知ったとは言えない。
「ここで一番物知りというか、一番最年長なのは・・・ウスタスさんかなぁ。オレは会った事もないけど、前の長の最期を看取ったぐらいだし、いったい今いくつなんだろう。それに試練の内容を決めるのもウスタスさんだし」
「なるほど。で、そのウスタスさんはどこに?」
「・・・」
え、なに、この沈黙。

「オマエ本当に大丈夫か?ついさっき会ったじゃないか」
「あ、あぁ、そうだったな。まだ少しボーっとしているようだ」
「メクタウ、長になっても急に態度を変えないでくれよ?」
「も、もちろんだ」
「なんで、そこで詰まるんだよ。んじゃなー」
そう言うとタレスは去っていった。

入ってすぐに会ったタウスがウスタスさんか。
確かに、他のタウスに比べると格が違うというか、品があるというか、少なくともタレスとは大違いの雰囲気はあった。
えーっと、どこにいるんだろう・・・あ、居た。

「ウスタスさーん」
「!」
凄く驚いた顔をしている。
タウス間違いか?
それとも何かへまをしたのかな。

「ど、どうしました?」
「・・・あ、すみません、メクタウ様。まさか【さん】付けで名前を呼ばれるとは思ってませんでしたので」
あぁ、元のメクタウはタレスと同じタイプだったってことか。

「それで、何かご用ですか?」
「いくつか聞きたいんですけど、例えば魔法でかかった呪いとかを解く方法ってあるのかな?ってのと、試練はどんなのか聞きたくて」
「!!」
え、また驚いた顔をしている。

「えっと、何かおかしな事いいましたか?」
「・・・いえ、まさか今回の試練の内容を先に言われるとは思ってませんでしたので」
「え?え?どういうことですか?」

「セキダイコの森はご存知ですよね」
「はい、一応」
「一時期その森が騒がしくなったと思ったのですが平穏になりました」
スイダと戦ってた時の事だろう。

「でも、しばらくすると巨大な爆発が起きて、森の雰囲気が一段と妖しくなったので、偵察に向わせたのですが・・・」
「え、もしかして・・・」
「はい、おそらくそのもしかして、であってます」
膝から崩れ落ちそうになった。

「一応聞きますけど、ウスタスさんの考えは?」
「一番確実なのは、その魔法を使う相手を倒すことです」
あぁ、やっぱりそうなるか。

「しかし、森に向わせた者もそれなりのてだれでしたが、戻ってきた者はみな満身創痍の状態でして、回復魔法を使える者もおりますが、傷は治せても謎の症状だけが治らなくて・・・」
「それで、試練の内容はその者たちを治せと」
「そういうことになりますが・・・」
今の僕の実力では倒せそうにないということか。
一族としてはメクタウを失いたくないと。

「で、他の案も思いついているのでは?」
「!!!」
いや、だから毎回驚かないで。

「さすが、10000年の逸材ですな」
年数増えてる気がする。

「ただ、こっちに関しては確証がなくて」
「あるかどうかわからない、魔法を解除できるようなアイテム的な物を探してくるとか?」
「!!!!」
やっぱり、そうなのか・・・

「で、それがありそうな場所ってのは?」
「思い当たる所といえば、セキダイコですな」
はぁ、結局そこに行き着くわけか。

「ちなみに、ウスタスさんはセキダイコに行った事は?」
「ありません。昔、流行り病が起きた時に前の長がセキダイコに行って神秘的な草を取ってきて以来、誰も」
「だから、今回の症状もセキダイコにあるその神秘的な草ってのがあれば治るかもしれないと」
「そういうことになります」

「試練ってどういう基準で決めてるの?」
「基本的にはその時に起こった困り事を解決することが試練になります」
「じゃあ前の長ってのは、その流行り病を治したから長になったってこと?」
「誰でもいいというわけでもなくて、試練を与えられるのは素質がある者だけです」
で、今回は僕の番ってことか。

「なんにしても、急いだほうがいいようなので、これからセキダイコに行ってくるよ」
「え、もう出発ですか?お供は?」
「必要ない」
「では、これを持っていってください。前の長がこれが必要だと言っていた物です」
そういうと、ウスタスさんは緑色の液体の入った袋を渡してくれた。

「じゃあ、行ってくる」
「はい、ご武運を」

サーカさんと出会いませんように・・・
そう祈りながらセキダイコに向った。

メクタウの章つづく
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