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2章 町と仲間と成長と
エピローグ 隣国へ
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「突然だが隣国へ拠点を移す気はないかい?」
「……へ?」
紫電一閃の皆さんに再びお世話になるようになって数日後のこと。たまたまメリオさんと2人で食事を取っていると、突然そう提案があった。
僕は口をあんぐりと開けながら数秒固まった後、目をパチクリとさせる。
「しょ、詳細の説明を求めます」
「もちろん。順を追って説明しよう。まずは提案内容だが、これは言葉通り。隣国であり俺ら紫電一閃の故郷でもあるペゴニア王国へ拠点を移さないかというものだね」
「はい」
「続いてなぜか……だけど、まず元々俺たち紫電一閃が拠点を移そうと考えていたからというのが1つ。もう1つが昨今のファンとシュムの事情を踏まえてかな」
「僕たちの事情……なるほど」
その時点で彼の提案の意味が理解できた。
まず僕については再び狙われるリスクを恐れ、以前のように活動ができていない。そしてこれは今後も続く可能性がある。
シュムに関しては前々から話題に上がっていたが、この国では差別の対象となってしまう。対してペゴニア王国は亜人の数も多く、生活に溶け込んでおり、こういった心配がなくなる。
そんな隣国への移動が僕たちの利点だらけとなる中で、元々予定していた紫電一閃の拠点移動が重なった。であれば一緒に移るのはどうかというのがメリオさんの提案であろう。
「で、どうだろうか」
「僕たちからすればメリットしかないというか、正直願ったり叶ったりですね。元々拠点を移したいと考えていた中での提案ですし。言い方は悪いですが、皆さんと一緒であれば道中の安全も確保されますからね」
「もちろんそこは保証するよ」
「ちなみにこの話はシュムには?」
「簡単には伝えてある。彼女としては賛成だが、基本はファンに任せると」
「あはは、シュムらしいな」
「では拠点移動ということで話を進めてしまってもいいかな?」
「はい、よろしくお願いします!」
こうしてメリオさんの提案を受け、僕とシュムは拠点をここガルドの町から隣国であるベゴニア王国へと移すことになった。
◇
お世話になった人への挨拶やもろもろの準備を進め、いよいよ出発の日。
今回はいくつかの町を経由して向かう長距離移動のため、町の入り口には隣町まで移動できる馬車が用意されている。
馬車の周りには、さすが紫電一閃の皆さんというべきか、彼らを見送るべく集まった人々が囲うように立っている。
……あ、あの子たちは露店の。
その中には露店で武器の修繕を依頼してくれたおそらくスラム出身の少年少女たちの姿もあった。彼らは僕と目が合うと、笑顔で手を振ってくれる。僕も手を振りかえす。
……いやーまさか僕にも見送りにきてくれる人がいるとは。短い期間ではあったし、色々めんどうなこともあったけど露店を開いた意味があったのかもしれないとそう思えるな。
隣に立つシュムと視線を合わせ、笑い合う。
「さて、そろそろ出発しようか」
「わかりました」
メリオさんの言葉を受け、僕とシュムはカンナさん、ルナさんと共に客車へと乗り込む。メリオさんとアキレスさんは御者台へと腰掛けた。
こうして皆さんの準備が整った所でメリオさんが操作をし、馬車がゆっくりと動きだす。
馬車から顔を出す。段々と町並みが遠ざかる。これにより本当に町を離れるのだと実感する。
「ファンくんどうしたの? 寂しい?」
「いえ、全く。ただ短い期間の中で色々あったなぁと」
「そうだね。色々あったね~」
最後は襲われるという嫌な思い出となったが、紫電一閃の皆さんやシュムと出会えたのも、初めてしっかりとした商売を行ったのもこの町である。
特にかけがえのない人々と出会えたことには心から感謝しなくてはならない。
「ありがとう。ガルドの町」
だから僕は遠ざかる町並みに小さくお礼をする。
こうして僕のガルドの町での活動は終わった。これからは隣国、ベゴニア王国での日々が待ち受けている。
いったいそこではどんなイベントがあるのだろうか。どんな素敵な出会いがあるのだろうか。
沢山の期待を胸に抱きながら、僕は大好きな皆さんと共に新たな一歩を踏み出した。
================================
これにて2章完結です。3章はついに魔剣等魔装を創造したり、新たなヒロインが登場したりとより楽しい章になります。ぜひお楽しみにお待ちください。
また少しでも気に入っていただけたのであれば、お気に入り登録や感想等いただけますと大変励みになります。まだしてないよという方がいらっしゃいましたら、これを機に是非よろしくお願いします!
「……へ?」
紫電一閃の皆さんに再びお世話になるようになって数日後のこと。たまたまメリオさんと2人で食事を取っていると、突然そう提案があった。
僕は口をあんぐりと開けながら数秒固まった後、目をパチクリとさせる。
「しょ、詳細の説明を求めます」
「もちろん。順を追って説明しよう。まずは提案内容だが、これは言葉通り。隣国であり俺ら紫電一閃の故郷でもあるペゴニア王国へ拠点を移さないかというものだね」
「はい」
「続いてなぜか……だけど、まず元々俺たち紫電一閃が拠点を移そうと考えていたからというのが1つ。もう1つが昨今のファンとシュムの事情を踏まえてかな」
「僕たちの事情……なるほど」
その時点で彼の提案の意味が理解できた。
まず僕については再び狙われるリスクを恐れ、以前のように活動ができていない。そしてこれは今後も続く可能性がある。
シュムに関しては前々から話題に上がっていたが、この国では差別の対象となってしまう。対してペゴニア王国は亜人の数も多く、生活に溶け込んでおり、こういった心配がなくなる。
そんな隣国への移動が僕たちの利点だらけとなる中で、元々予定していた紫電一閃の拠点移動が重なった。であれば一緒に移るのはどうかというのがメリオさんの提案であろう。
「で、どうだろうか」
「僕たちからすればメリットしかないというか、正直願ったり叶ったりですね。元々拠点を移したいと考えていた中での提案ですし。言い方は悪いですが、皆さんと一緒であれば道中の安全も確保されますからね」
「もちろんそこは保証するよ」
「ちなみにこの話はシュムには?」
「簡単には伝えてある。彼女としては賛成だが、基本はファンに任せると」
「あはは、シュムらしいな」
「では拠点移動ということで話を進めてしまってもいいかな?」
「はい、よろしくお願いします!」
こうしてメリオさんの提案を受け、僕とシュムは拠点をここガルドの町から隣国であるベゴニア王国へと移すことになった。
◇
お世話になった人への挨拶やもろもろの準備を進め、いよいよ出発の日。
今回はいくつかの町を経由して向かう長距離移動のため、町の入り口には隣町まで移動できる馬車が用意されている。
馬車の周りには、さすが紫電一閃の皆さんというべきか、彼らを見送るべく集まった人々が囲うように立っている。
……あ、あの子たちは露店の。
その中には露店で武器の修繕を依頼してくれたおそらくスラム出身の少年少女たちの姿もあった。彼らは僕と目が合うと、笑顔で手を振ってくれる。僕も手を振りかえす。
……いやーまさか僕にも見送りにきてくれる人がいるとは。短い期間ではあったし、色々めんどうなこともあったけど露店を開いた意味があったのかもしれないとそう思えるな。
隣に立つシュムと視線を合わせ、笑い合う。
「さて、そろそろ出発しようか」
「わかりました」
メリオさんの言葉を受け、僕とシュムはカンナさん、ルナさんと共に客車へと乗り込む。メリオさんとアキレスさんは御者台へと腰掛けた。
こうして皆さんの準備が整った所でメリオさんが操作をし、馬車がゆっくりと動きだす。
馬車から顔を出す。段々と町並みが遠ざかる。これにより本当に町を離れるのだと実感する。
「ファンくんどうしたの? 寂しい?」
「いえ、全く。ただ短い期間の中で色々あったなぁと」
「そうだね。色々あったね~」
最後は襲われるという嫌な思い出となったが、紫電一閃の皆さんやシュムと出会えたのも、初めてしっかりとした商売を行ったのもこの町である。
特にかけがえのない人々と出会えたことには心から感謝しなくてはならない。
「ありがとう。ガルドの町」
だから僕は遠ざかる町並みに小さくお礼をする。
こうして僕のガルドの町での活動は終わった。これからは隣国、ベゴニア王国での日々が待ち受けている。
いったいそこではどんなイベントがあるのだろうか。どんな素敵な出会いがあるのだろうか。
沢山の期待を胸に抱きながら、僕は大好きな皆さんと共に新たな一歩を踏み出した。
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これにて2章完結です。3章はついに魔剣等魔装を創造したり、新たなヒロインが登場したりとより楽しい章になります。ぜひお楽しみにお待ちください。
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