世界一の鍛冶師を目指して!〜不遇スキル『鍛冶』と前世の知識の組み合わせが最強だった件〜

福寿草真@異世界エステ1巻12/25発売

文字の大きさ
68 / 73
3章 魔剣創造と変わり者の竜人娘

19話 アイシャ父、襲来

しおりを挟む
 いつものようにギルドに納品し、宿に戻っている最中にそれは起こった。

「アイシャ」

 突然背後からアイシャの名を呼ぶ、太く威圧感のある声が届いた。アイシャがバッと振り向き「げっ……」と声を上げる。

 いったいどうしたのか。僕もつられるようにそちらへと目をやると、そこには身長2mはゆうに超えるだろうか、大柄な壮年の男性が立っていた。

 その姿を見ただけで、僕はその人物が誰なのかおおよその検討がついた。

 なぜならばその男はアイシャと同じ赤髪、2本の角、大きな翼、そして太く力強い尻尾を有していたからである。

 壮年の竜人族。まさか──

「実の父に向かってその反応はなんだ」

 どうやら僕の予想は正しかったようだ。竜人族の男──アイシャのお父さんは片眉を上げる。

「ご、ごめんなさい」

 あのアイシャがシュンとしながら下を向く。

「少年、お主がこれの面倒を?」

 言葉と共にアイシャ父はまるで品定めするかのように僕の姿を見る。僕はその圧に気圧されながらも、すぐさま居住まいを正した。

「は、はい。ファンと申します。現在アイシャさんと共に冒険者として活動しています」

「それだけではないはずだ。少年、お主はアイシャの主人でもあるのだろう?」

 ……アイシャが奴隷になったこと知ってるのか?

 疑問に思いながらも、おそらくここで嘘をついても見抜かれるだろうと踏んだ僕は、間髪入れずうんと頷く。

「はい。主人でもあります」

「ふむ……やはり奴隷になったという噂は本当だったのだな」

 アイシャ父は呟くようにそう言うと、こちらへと向き直った。

「申し遅れた。俺はグラン・ルーガ。すでに察していると思うがアイシャの父だ」

「改めてファンです。よろしくお願いします、グランさん」

「んで。パパはこんなところまで一体なにをしにきたんだ? あたしまだ旅の最中なんだけど」

「なに、つい数日前村に竜人族の少女が奴隷になったという噂が流れてきてな。まさかと思い確認しに来たのだが……いやはや噂は本当だったとはな」

「えーっと……」

「大方奴隷商に騙されでもしたんだろう?」

「うぅ……そ、それは」

 言葉を濁すアイシャに、グランさんは溜息をつく。

「まったくそれだけでも情けないが、まさか最終的にこんな年端もいかぬ子に買われるとはな。竜人族として情けなくはないのかアイシャ」

「確かに奴隷になったのはあたしの落ち度さ。でも、誰に付き従おうとそれはあたしの勝手だろ。パパが口出すことじゃない!」

「……まさかとは思うが、この少年を将来の伴侶として考えているのではあるまいな」

 ……ん? 伴侶? いったいなんの──

「そうだよ。悪りぃかよ」

 アイシャが顔を赤らめながらボソボソとそう言う。

 ……いや、そんな魂胆が!?

 まさかの内容に僕が内心驚いていると、ここでグランさんはもう一度僕をチラと見た後、目を閉じる。

「申し訳ないが俺はこの少年にそこまでの可能性を感じない。竜人族の伴侶として相応しいとは一切思えない」

「それはご主人のことを何も知らないからそう言えるんだ。すごいんだぞご主人は」

「ほう?」

 言いながらグランさんは僕に鋭い眼光を向けてくる。

「……ッ!」

 そのあまりの圧に、僕は恐怖から思わずピクリと反応してしまう。
 グランさんは小さく息を吐く。

「これしきの威圧にも耐えられないのだ。やはりそれほどの大成の器とは思えんが」

「そりゃ今は強くないさ。なんてったってご主人はまだ10歳だからな! でも遠くない将来にパパをも超える強者になる!」

「俺をも超えるだと?」

「あたしは確信してる。だからご主人について行ってるんだ!」

 アイシャの力強い声音を受け、グランさんは顎に手を当て考えるような素振りを見せる。そして数瞬の後、再び口を開いた。

「──そうか。ならば証明してみろ」

「……証明?」

「それだけの器であることを俺に証明してみせよ」

「どうすりゃいいのさ」

「俺と模擬戦をしろ。ただし今の少年1人では酷だ。そっちは3人、俺は1人でいい。それで一撃でも俺に攻撃を入れられればそちらの勝ち。勝てばこれからもその少年と共に歩むことを認める。負ければ奴隷契約を破棄し、俺と共に村に戻る。どうだ?」

 ……いや、さすがに厳しくないか。

 僕は目の前のグランさんに目をやりながらそう思う。
 しかしそれも仕方がないと言えるだろう。なぜならば、相手はアイシャの父親なのだ。

 アイシャが冒険者Aランク相当だとすれば、おそらくグランさんはSランク相当かそれ以上の強さであろう。竜人族である以上、まず間違いないはずだ。

 そんな人相手では、アイシャはまだしも、僕とシュムではまったく太刀打ちできないのは目に見えている。

「ご主人! やろうぜ!」

 しかしアイシャはやる気満々のようだ。シュムもアイシャに感化されたのか、メラメラと燃えている。

 ……断りにくい雰囲気。いや、仮にここで断ったら、グランさんから軟弱だと非難されて終わりそうだ。──つまり逃げ場はない。

 僕はハーッと息を吐く。次いでしっかりとグランさんの目を見つめると「わかりました。やりましょう」と力強く言葉を返した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

処理中です...