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番外編
いつか王子様が〜Someday my Prince will come 5
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あれからロレッタは、相変わらずやる気が出ずにいた。あれほど好きな恋愛小説もほったらかしで、ページを開く気にもならない。
これまで脳裏を埋め尽くしていたのはデヴィッドであり、その後は小説の中の『ローレンス様』だったが、今やロレッタの頭の中は幼馴染のローレンスでいっぱいだった。
(なんだかわからないけど腹がたつわ。何なのよあいつ)
ローレンスは確かに、自分から申し込むって言ってたけど、わたしの知ってる子なのかな……
ロレッタは令嬢の顔を何人か思い浮かべたが、誰もピンと来なかった。
髪飾りは帰ってきてすぐに外した。いっそのこと返してしまおうかと思う。
学校では徹底的にローレンスを避けている。相手もまた、ロレッタには近寄ってこないし、以前は感じていた視線も無くなった。
授業も上の空だったが、なんとか乗り越えて帰り支度をする。
ぼんやりと窓から外を眺めていると、目に入ったのはローレンスと知らない女の子が連れ立って歩く様子だった。思わず凝視しているとローレンスと目があってしまった。
ロレッタは咄嗟にカバンを持って、ごきげんようと教室を飛び出した。
(知らない、知らない、ローリーなんて知らない。
誰と婚約しようと関係ないわ)
走ったせいか息が上がっているロレッタに、御者は心配したが、ロレッタは大丈夫、早く出して、と告げた。
その夜、ロレッタは熱を出した。
*
「ロレッタ、俺はお前のことが好きだ。ずっと、子どもの頃から。俺じゃあ、お前の王子様になれないか?」
「ローリー。嬉しい!」
ロレッタはローレンスの胸に飛び込んだ。
(やっと、わたしだけの王子様を見つけたんだ!)
「………ローレンス様はわたくしのものよ。貴女なんかに渡さないわ。だってわたくし達婚約してるんだもの。ローレンス様から申し込まれたのよ」
「嘘よ!今、告白されたのよ!わたしの王子様になるって……」
うぅぅぅ、うぅぅうーん、、
「、、さま。、、、うさま。お嬢様。
お熱で苦しいのですか?ずいぶん魘されてましたけど」
ロレッタは目を開けると、そこは自分の部屋のベッドの上。どうやら夢を見ていたようだ。
心配そうな顔でジェーンが覗き込んでいる。
「大丈夫よ。夢を見ただけ」
母もやってきた。
「ロレッタ、このところ元気もないし、しばらく学校は休みなさい。体調が戻るまでね」
身体を起こしたものの、ぼんやりしていたロレッタは、サイドテーブルに置いた髪飾りを見た。
「ジェーン、これ要らない。捨てて」
「あら。これはローレンス様から頂いたものじゃありませんか。要らないのですか?お嬢様、ローレンス様と喧嘩でもなさったのですか?」
「喧嘩も何も。そんな仲じゃないから」
ジェーンは承知しましたと、髪飾りを手に取ると、お嬢様を苦しめるこんなものっ!と、窓から投げ捨てた。
ロレッタは焦った。まさか、ジェーンが本当に捨てるとは思わなかったのだ。
「駄目ー!投げ捨てるなんて。酷いわ、ジェーン。
ローリーに貰ったのに、、」
ロレッタは泣き出した。
「お嬢様、心にもない事を仰るからですよ。ほら、投げたふりをしただけです。ちゃんとここにらありますから」
ジェーンはロレッタの手にそっと髪飾りを乗せた。
ロレッタは髪飾りを胸元で抱きしめた。
「意地を張るのをやめたら、ぐっと楽になりますよ」
ジェーンが背中をさすると、ロレッタは、うん、と小さく頷いた。
翌日、熱は下がったが、学校へ行く気になれず、ロレッタは再びの引きこもり生活に入ろうとしていた。
そんなロレッタを訪ねてきた人があった。学友だというが、名前に心当たりがない。
しかも、ローレンス・アーチャー様のことで話したい事がある、とお見舞いの花束にメッセージカードが付いている。
ロレッタは、会わないで後から気になるなら、会った方がいいと決心して、身なりを整えた。
「お待たせしました。」
学友だと言う女性は立ち上がって深くお辞儀をした。
自分は、エインズワースの領都でドレスを作っている工房の娘、メアリーだと名乗った。年はロレッタより1歳上だという。
「体調がすぐれないとお聞きしました。こんな時に伺うご無礼をお許しくださいませ」
ロレッタはメアリーを観察した。大層美しい娘である。実家がドレス工房だけあって、シンプルながら上質の布を使ったドレスを着ている。
(あ、この人、ローリーと一緒にいた女性)
ロレッタが一瞬眉を顰めたその様子を、メアリーはしっかりと見ていた。
「メアリー様、今日はどういったご用件かしら?
わたくし、病み上がりですので、難しいお話はご遠慮願いたいわ」
頷いたメアリーの口からは、信じられないような言葉が出てきて、ロレッタは頭が混乱してしまった。
「本当に?」
「ええ、本当です」
「わたくし、どうしたら良いのかわかりません」
「お待ちいただくのが一番かと」
何を信じて待てば良いのだ?
これまで脳裏を埋め尽くしていたのはデヴィッドであり、その後は小説の中の『ローレンス様』だったが、今やロレッタの頭の中は幼馴染のローレンスでいっぱいだった。
(なんだかわからないけど腹がたつわ。何なのよあいつ)
ローレンスは確かに、自分から申し込むって言ってたけど、わたしの知ってる子なのかな……
ロレッタは令嬢の顔を何人か思い浮かべたが、誰もピンと来なかった。
髪飾りは帰ってきてすぐに外した。いっそのこと返してしまおうかと思う。
学校では徹底的にローレンスを避けている。相手もまた、ロレッタには近寄ってこないし、以前は感じていた視線も無くなった。
授業も上の空だったが、なんとか乗り越えて帰り支度をする。
ぼんやりと窓から外を眺めていると、目に入ったのはローレンスと知らない女の子が連れ立って歩く様子だった。思わず凝視しているとローレンスと目があってしまった。
ロレッタは咄嗟にカバンを持って、ごきげんようと教室を飛び出した。
(知らない、知らない、ローリーなんて知らない。
誰と婚約しようと関係ないわ)
走ったせいか息が上がっているロレッタに、御者は心配したが、ロレッタは大丈夫、早く出して、と告げた。
その夜、ロレッタは熱を出した。
*
「ロレッタ、俺はお前のことが好きだ。ずっと、子どもの頃から。俺じゃあ、お前の王子様になれないか?」
「ローリー。嬉しい!」
ロレッタはローレンスの胸に飛び込んだ。
(やっと、わたしだけの王子様を見つけたんだ!)
「………ローレンス様はわたくしのものよ。貴女なんかに渡さないわ。だってわたくし達婚約してるんだもの。ローレンス様から申し込まれたのよ」
「嘘よ!今、告白されたのよ!わたしの王子様になるって……」
うぅぅぅ、うぅぅうーん、、
「、、さま。、、、うさま。お嬢様。
お熱で苦しいのですか?ずいぶん魘されてましたけど」
ロレッタは目を開けると、そこは自分の部屋のベッドの上。どうやら夢を見ていたようだ。
心配そうな顔でジェーンが覗き込んでいる。
「大丈夫よ。夢を見ただけ」
母もやってきた。
「ロレッタ、このところ元気もないし、しばらく学校は休みなさい。体調が戻るまでね」
身体を起こしたものの、ぼんやりしていたロレッタは、サイドテーブルに置いた髪飾りを見た。
「ジェーン、これ要らない。捨てて」
「あら。これはローレンス様から頂いたものじゃありませんか。要らないのですか?お嬢様、ローレンス様と喧嘩でもなさったのですか?」
「喧嘩も何も。そんな仲じゃないから」
ジェーンは承知しましたと、髪飾りを手に取ると、お嬢様を苦しめるこんなものっ!と、窓から投げ捨てた。
ロレッタは焦った。まさか、ジェーンが本当に捨てるとは思わなかったのだ。
「駄目ー!投げ捨てるなんて。酷いわ、ジェーン。
ローリーに貰ったのに、、」
ロレッタは泣き出した。
「お嬢様、心にもない事を仰るからですよ。ほら、投げたふりをしただけです。ちゃんとここにらありますから」
ジェーンはロレッタの手にそっと髪飾りを乗せた。
ロレッタは髪飾りを胸元で抱きしめた。
「意地を張るのをやめたら、ぐっと楽になりますよ」
ジェーンが背中をさすると、ロレッタは、うん、と小さく頷いた。
翌日、熱は下がったが、学校へ行く気になれず、ロレッタは再びの引きこもり生活に入ろうとしていた。
そんなロレッタを訪ねてきた人があった。学友だというが、名前に心当たりがない。
しかも、ローレンス・アーチャー様のことで話したい事がある、とお見舞いの花束にメッセージカードが付いている。
ロレッタは、会わないで後から気になるなら、会った方がいいと決心して、身なりを整えた。
「お待たせしました。」
学友だと言う女性は立ち上がって深くお辞儀をした。
自分は、エインズワースの領都でドレスを作っている工房の娘、メアリーだと名乗った。年はロレッタより1歳上だという。
「体調がすぐれないとお聞きしました。こんな時に伺うご無礼をお許しくださいませ」
ロレッタはメアリーを観察した。大層美しい娘である。実家がドレス工房だけあって、シンプルながら上質の布を使ったドレスを着ている。
(あ、この人、ローリーと一緒にいた女性)
ロレッタが一瞬眉を顰めたその様子を、メアリーはしっかりと見ていた。
「メアリー様、今日はどういったご用件かしら?
わたくし、病み上がりですので、難しいお話はご遠慮願いたいわ」
頷いたメアリーの口からは、信じられないような言葉が出てきて、ロレッタは頭が混乱してしまった。
「本当に?」
「ええ、本当です」
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