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エピローグ
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「たんこぶが痛い……」
「恐ろしい目に合いました……」
涙目で頭をさすりながらセイルとハイネルは冒険者ギルドから出てきた。
二人の頭にはたんこぶが膨らんでいる。アイザックの拳骨によるものだ。
先日のゴーレムの一件でアイザックからお説教と拳骨を食らった二人は、ようやく今、解放されたところだった。
ゴーレムの制御盤の件や、リゾット達を捕まえた事、ストレイも弁護してくれた事もあって、この程度で済んだ。
アイザックからは「一歩間違えりゃ死ぬ所だったんだぞ!」言われたことからも、相当心配してくれていたのだろう。
命令を無視して行動した事に対してよりも、そちらの方の比重が多かったのだろうなとセイルは思う。
心配を掛けて申し訳ないなと思う反面、心配してくれて嬉しいなというのもあって、少しニマニマしてしまったら更に怒られた。
「しかし、大分時間がかかりましたね」
ハイネルが冒険者証である銀色の懐中時計を開いて時間を見ると、すっかりお昼を過ぎてしまっている。
呼び出しの前に念の為早いお昼を取っておいて良かったとハイネルは頷く。
歩いているとアルギラ達とすれ違った。
アイザックから聞いたのだが、あの後アルギラ達も町を守ろうと奮闘したのだそうだ。
ストーンゴーレムと戦う冒険者達を、たくさんのマジックアイテムを使って支援した。
彼らなりに失敗を取り戻そうとしたのだろう。
とは言え彼らも新人である。アイザックの指示を無視した事には変わりない。
「痛い……」
「すげぇ痛い……」
アルギラ達の頭にもたんこぶが見えた。
セイル達と同じ拳骨が落とされたようだ。アルギラ達は涙目になって頭をさすっている。
恐らく拳骨を落とされた理由もセイル達と同じだろう。
ゴーレムの事に関しても、元を正せばリゾットとパニーニが元凶だ。
もちろん厳重注意は受けたようだが、今回の件で少し顔つきが変わったようにセイルには思えた。
「ちょっと待たせ過ぎちゃいましたかね」
「ですねぇ」
セイルがそう言うとハイネルは頷き、パチンと懐中時計のフタを閉じた。
「いつになるかは分からないと言っていたものの、結構かかっちゃいましたからね」
それでも走るのはたんこぶに響くらしく、二人は歩いている。
歩きながら、ふと、セイルは空を見上げた。
青空だ。
澄んだ色の空だ。
白い雲が浮かび、流れている。
セイルはごそごそと胸の内ポケットから一枚の栞を取り出した。
それは一輪の白雲の花が押し花にされた栞だった。
「その白雲の花の栞、可愛いですね」
ハイネルの言葉にセイルは嬉しそうに笑う。
「でしょう!」
そうして空にかざす。
青空をゆっくりと動いていく雲のように、栞の中の花が揺れた、ような気がした。
「おーい! お前ら、そろそろ行くぞー!」
やがて大通りの向こうにストレイの姿が見えた。
ストレイは手を振ってセイルとハイネルを呼んでいる。
待ちくたびれたようなその様子に苦笑すると、セイルとハイネルは顔を見合わせて頷く。
「はーい!」
手を振りかえすとセイルは栞を胸にしまい、ハイネルと共に駆け出した。
「お前ら、遠くから見てもたんこぶすげぇ事になってるぞ」
「アイザックさんの愛ですね」
「愛が痛くて涙が出そうです」
空は晴天、風は緩やか。
駆け出しの冒険者達は賑やかに、今日もログを綴り始めた。
「恐ろしい目に合いました……」
涙目で頭をさすりながらセイルとハイネルは冒険者ギルドから出てきた。
二人の頭にはたんこぶが膨らんでいる。アイザックの拳骨によるものだ。
先日のゴーレムの一件でアイザックからお説教と拳骨を食らった二人は、ようやく今、解放されたところだった。
ゴーレムの制御盤の件や、リゾット達を捕まえた事、ストレイも弁護してくれた事もあって、この程度で済んだ。
アイザックからは「一歩間違えりゃ死ぬ所だったんだぞ!」言われたことからも、相当心配してくれていたのだろう。
命令を無視して行動した事に対してよりも、そちらの方の比重が多かったのだろうなとセイルは思う。
心配を掛けて申し訳ないなと思う反面、心配してくれて嬉しいなというのもあって、少しニマニマしてしまったら更に怒られた。
「しかし、大分時間がかかりましたね」
ハイネルが冒険者証である銀色の懐中時計を開いて時間を見ると、すっかりお昼を過ぎてしまっている。
呼び出しの前に念の為早いお昼を取っておいて良かったとハイネルは頷く。
歩いているとアルギラ達とすれ違った。
アイザックから聞いたのだが、あの後アルギラ達も町を守ろうと奮闘したのだそうだ。
ストーンゴーレムと戦う冒険者達を、たくさんのマジックアイテムを使って支援した。
彼らなりに失敗を取り戻そうとしたのだろう。
とは言え彼らも新人である。アイザックの指示を無視した事には変わりない。
「痛い……」
「すげぇ痛い……」
アルギラ達の頭にもたんこぶが見えた。
セイル達と同じ拳骨が落とされたようだ。アルギラ達は涙目になって頭をさすっている。
恐らく拳骨を落とされた理由もセイル達と同じだろう。
ゴーレムの事に関しても、元を正せばリゾットとパニーニが元凶だ。
もちろん厳重注意は受けたようだが、今回の件で少し顔つきが変わったようにセイルには思えた。
「ちょっと待たせ過ぎちゃいましたかね」
「ですねぇ」
セイルがそう言うとハイネルは頷き、パチンと懐中時計のフタを閉じた。
「いつになるかは分からないと言っていたものの、結構かかっちゃいましたからね」
それでも走るのはたんこぶに響くらしく、二人は歩いている。
歩きながら、ふと、セイルは空を見上げた。
青空だ。
澄んだ色の空だ。
白い雲が浮かび、流れている。
セイルはごそごそと胸の内ポケットから一枚の栞を取り出した。
それは一輪の白雲の花が押し花にされた栞だった。
「その白雲の花の栞、可愛いですね」
ハイネルの言葉にセイルは嬉しそうに笑う。
「でしょう!」
そうして空にかざす。
青空をゆっくりと動いていく雲のように、栞の中の花が揺れた、ような気がした。
「おーい! お前ら、そろそろ行くぞー!」
やがて大通りの向こうにストレイの姿が見えた。
ストレイは手を振ってセイルとハイネルを呼んでいる。
待ちくたびれたようなその様子に苦笑すると、セイルとハイネルは顔を見合わせて頷く。
「はーい!」
手を振りかえすとセイルは栞を胸にしまい、ハイネルと共に駆け出した。
「お前ら、遠くから見てもたんこぶすげぇ事になってるぞ」
「アイザックさんの愛ですね」
「愛が痛くて涙が出そうです」
空は晴天、風は緩やか。
駆け出しの冒険者達は賑やかに、今日もログを綴り始めた。
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