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第三話 もっとわかりやすく
しおりを挟む「ただいま……」
「おかえり!メール見てくれたんだ。頼んだ食材買ってきてくれた?今日はたこ焼きパーティだよ!」
夕食を作っているのだろう姿は見えないが奥から妹が久しく聞いていないセリフを返してきた。どれぐらいぶりだろう、俺の言葉に返事が帰ってくるなんて。例え妹でもかなり嬉しい。けど。
「あれ、俺が言うのもなんだけど今日夜勤は……」
靴を脱ぐために壁を押していた手が目に入り言葉が止まった。さっきは暗かったせいか気付かなかったか、昼間見た夢の様に透けている。だが昼間見た時よりはかなりマシだ。よく見ないと気付かない。慌てて鏡を見る。顔は至って普段通りの顔だった。どうなってんだ……。ふと昼間のソティスとか言った変な名前のおかしい少女が頭を過ぎった。普通じゃない。でももし本当だったら、このまま俺は……消えて死ぬ。
「タコ買ってくるの忘れたちょっと行ってくる!」
それだけ言い残し手に持っていたスーパーの袋を投げ捨て外へ飛び出してった。『気が変わったら気軽に声を掛けてください。』……そういったのは良いが、そういやアイツ何処に居るんだ?やっぱりこの展開は学校の屋上で待ってた的な?なら向かう場所はただ一つ!
「お、おーー、あー……」
その時当の少女はゲームセンターのクレーンゲームと対決していた。
「ふむ、なかなかしぶとい奴ですね……せっかく私がこの狭い牢屋から救い出して上げようとしているのに。あっそうだ牢屋を破壊してしまえば良いのですね♬私ったらばか♬」
「本当にばかだなお前!何するつもりだ!?」
少女は俺の背後からの声にビックリした少女は振り返りため息を付きながら説明してきた。
「はぁ、なにってこの可哀想な子グマを救ってあげるのですよ。そして私のペットに。」
「でこのyouforキャッチャーを破壊しようとしたのか?。」
「…………」
普通に黙って立っていれば誰もが羨む美少女なのに行動と言っている内容が。ため息を付きながら頭をかいた時その腕を見てな俺は今置かれている現状を思い出した。
「大分透けてきていますね。そろそろ7時を回ります。タイムリミットはあと12時間と言った所でしょう。」
少女はyoufourキャッチャーに向き直りクマさんの救い作業に取り掛かった。
「俺はどうすれば……」
「昼間言ったら通りアナザーワールドに行けばここでの貴方の残り12時間は進みません♬」
クマ救出作業をしながら説明をするなんて器用な少女だと俺は内心呟いただが、youfourキャッチャーは至って初心者らしい。あれではいつまで経っても取れないだろう。少女は淡々と話を続ける。
「このアプリはオンライン型MMOゲームで、アナザーワールド、文字通りもう一つの世界が存在し、これから貴方様が生きていく世界です。」
少女は甘いなんとも言えぬ表情で微笑んだ。
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