113 / 173
騎士団長の推しは、ポーション娘。〜頭ぽんぽんはセクハラになるのか? 真っ赤になって怒っているんだが〜
前編
しおりを挟む
まいった。
どうしてこんな状況になっている。
「はい、騎士団長さん、あーん」
「じ、自分でできる……っ」
俺がそう言うと、自宅に押しかけてきた娘は、シチューのスプーンを持ったまま眉を垂れ下げた。
っく! そんな顔をしないでくれ!
俺は君の、笑った顔が好きなんだ!!
しかしなおも続くロザリンの悲しい顔に、俺の方が折れてしまった。
「わ、わかった……あーん……」
ベッドの上に座る俺が口を開くと、彼女は嬉しそうに笑ってくれる。さては天使だな?
シチューを口に運ばれると、ごくりと飲み込んだ。うまい。
「……どうですか……?」
不安そうな顔のロザリンに、俺は微笑んで見せる。
笑うと気持ち悪いので笑うなと副団長のランディには言われているが。
「うん、うまい。ありがとう、すまないな」
「私がポーションを切らしてしまったせいなんですから、これくらいは……」
ロザリンは、町の外れでポーション作りをしている娘だ。
年は二十二歳。愛らしい風貌で、騎士団員には『ポーションちゃん』とか『ポーション娘』と呼ばれて親しまれている。
先日俺は、魔物との戦闘で新人団員を守って負傷してしまった。いつもならポーションで回復するところなのだが、最近はポーションが不足しているのだ。
というのも、材料となる薬草が今年は魔物に荒らされ、採れなくなっているせいである。
「ロザリンのせいではない。むしろ俺たち騎士団の責任だ。魔物を駆除できなくてすまない」
「そんな! 団長さん達がいつも頑張ってくれているの、私わかっています!」
優しい。可愛い。愛でたい。
何を隠そう、ロザリンは俺の推し。癒しである。
いつも元気に納品に来る彼女を、遠目で見るだけで幸せな気分になれるのだ。
十歳も年の離れた男に推されているなど、ロザリンは思いもしていないだろう。
気付かれては困る。迷惑にしかならないだろうから。
「あ、あの、団長さんのお名前を聞いてもよろしいですか?」
「俺の名前?」
「はい……皆さん、団長としか呼んでないので、お名前を知らなくて……ごめんなさい」
俺は、推しに名前すら知られていなかった。
当然か。俺は騎士団長とはいえ、彼女にとってはむさい騎士団の一人に過ぎないのだから、モブ同然だ。
だがなぜ、今日彼女はモブの家にまで来ているんだ?
そんな疑問を抱きながらも、俺は自分の名を口にする。
「俺の名前は、ヴィクターだ」
「ああ、それでたまにランディさんが『ヴィト』って呼んでるんですね」
副団長のランディとは、士官学校時代からの友人である。
勤務中は俺のことを団長と呼ぶが、ふとした時に普段遣いの言葉が出てくるのだ。
「ランディさんと、仲いいですよね」
「仲がいいというか、腐れ縁だな。十五の時から、もう十七年も四六時中一緒にいる」
「あ、あの……」
「ん?」
ロザリンが、顔を赤くさせてもじもじしている。
なんだこの可愛い生物は。
俺はぽんぽんと頭に手を置いてみる。
「……っえ?」
「っは!」
しまった! そこに撫でやすそうな頭があったから、おもわず……!
「すまない。可愛くてつい」
「か、可愛い……!?」
ロザリンの顔が燃えるように赤く染まった。そこまで怒ることなのか!?
そういえばランディが、『最近は世間がうるさいから、セクハラ発言には気をつけろよ』と言っていたな。
もしかして、女性を可愛いと言うのはセクハラか!?
いや、その前に頭ぽんぽんがまずかった! これは完璧なセクハラじゃないか!!
「申し訳ない、反省している! なんでもするから、訴えるのはやめてくれ!」
「なんでも……ですか?」
「もちろんだ!」
「じゃあ……」
俺はゴクッと息を飲んだ。勢い余ってなんでもするなんて言ってしまったが、何を要求されてしまうのだろうか。
ロザリンは先ほどのようにもじもじしてしまっている。
「私、実は……騎士団にお慕いしている方がいまして……っ」
がふっ!! 推しに、好きな人が!! なんという破壊力!!
うう、しかし好きな男がいても当然の話だ。ロザリンは可愛らしくて少し幼く見えるが、二十二歳。結婚していてもおかしくない年齢なのだから。
好きな人などいてほしくないというのは、単なるわがままだ。
ショックではあるが、三十を過ぎた大の男が、推しに好きな人がいるという理由で泣くわけにもいかない。
「そうだったのか、誰だ? 協力しよう。ああ、もしかして、ランディか?」
「あの、その……」
今度は照れたように耳まで赤くして、俯いてしまった。
どうやらランディで合っているらしい。あいつは美形だからな。
ランディは俺と同い年の三十二歳。元嫁が浮気して出ていって、バツイチの子持ちだから毎日大変そうだ。
いい奴なので、あいつを支える素敵な女性がいればいいと思っていた。
それがまさか、俺の推しのロザリンになるとは思ってもいなかったが。
……心臓が、魔物にやられた傷よりも、痛い。
「そうか、わかった。心配しなくていい、俺がなんとかしてやろう。ランディはいい奴だ。きっとロザリンを大切にしてくれる」
「え……? あの……」
「いきなり二児の母となるのは大変だろうが、応援している。いつも一生懸命なロザリンなら、きっと懐いてくれるだろう」
ああ、どうしてランディじゃなく、俺を好きになってくれなかったんだ。泣いてしまいそうだ。
同じ三十二歳、可能性はあった。
遠くから推しを眺めるだけじゃなく、もっと積極的に距離を詰めればよかった……くそ!!
「あ、あのっ」
「それを言いたくてわざわざ俺の看病に来てくれたんだな」
「ちが……」
「任せておいてくれ、ちゃんとランディに伝えておく。さぁ、早く帰るんだ。俺の家にはもう来ないでくれ」
来てくれたことは本当に嬉しかったが、俺を看病するために来たのではない。ランディとの仲を取り持ってもらうのが目的だったんだ。
独身女性が、好きな人に疑われるようなことをしてはいけない。
「そんな……私……っ」
って、どうして泣いてるんだ!?
意味がわからないんだが!! 俺、なんかしたか!?
「ロ、ロザリン……!? 不安にならなくても大丈夫だ! 俺がランディを必ず説得して──」
「違います!! 私のお慕いしている方は、ヴィクターさんなんです!!」
「……お、俺!?」
青天の霹靂──!!
推しのお慕いが、まさかの俺!?
なんの冗談か!!
ロザリンはぽろぽろ涙を流しながら、強い瞳で俺を見る。
「ヴィクターさんは、魔物に畑を荒らされたと言えば、すぐに討伐に行ってくれますし」
「それは仕事だからだ」
「ポーションを納品に行くと、遠目で私をじっと見つめてくれていますよね?」
「つい……すまない」
「団長さんのぎこちない笑みに、胸がキュンキュンしちゃうんです」
「さてはロザリン、変わり者だな?」
「つんつんした、短髪の人が好きなんですよ、私」
「そ、そうか。つんつん頭にしていて良かった」
「瓶のポーションを開けて飲む仕草が、とってもセクシーで」
「普通に飲んでただけだが?」
「さっきの頭ぽんぽんなんて、反則じゃないですか!!」
「反則だとは知らず、申し訳ない!」
やはりあれはセクハラ──!!
どう償えばいいんだ!!
「私のお願い、聞いてくれますか?」
「もちろんだ」
俺の言葉に、ロザリンの顔がパアッと明るくなっていく。可愛い。
「じゃあ、怪我が治ったら、私にプロポーズしてください!」
「プロポーズ!!?」
なんてことだ! 今日日セクハラをすれば、責任を取らなければいけないらしい!!
改めて、ロザリンには酷いことをしてしまった──!
しかし、こうなっては背に腹はかえられん。
俺を好きだと言ってくれているんだ。ちゃんと責任はとる。
「わかった。近いうちに必ず、プロポーズする。約束しよう」
「ありがとうございます! 嬉しいっ!」
ロザリンは花が咲いたように笑い、俺はその姿に見惚れてしまっていた。
そして数日後、その時はやってきた。
ベタだが、手には赤い薔薇の花束を持って約束の花畑に向かう。
「ヴィクターさん!」
俺の名を呼ぶロザリン。妖精か。
可憐過ぎて、俺の心臓がもたない。
赤い薔薇を持った俺が滑稽すぎないか。超絶似合っていないだろうから、早く花束を超絶似合う君に渡したい。
「来てくれて、ありがとうございます」
「いや、待たせてすまない」
「遅れてませんよ。楽しみで、三十分も早く来てしまったんです」
いじらしい。女神かな?
「えーと、じゃあ……」
俺はごほんと嘘くさい咳払いをして、ロザリンの前に跪いた。
これが人生最初で最後のプロポーズとなるだろう。
緊張しないわけがない。なんてこった、魔物討伐よりもよっぽど大変だ。
心臓が耳のそばで爆発しているんじゃなかろうか。
「ロザリン。俺と結婚してくれ」
色々考えていたというのに、いざとなるとシンプルな言葉しか出てこなかった。
顔が熱い。こんな言葉で、ロザリンは納得してくれるのだろうか。
差し出した花束を、彼女は幸せそうな表情で受け取ってくれる。
「ヴィクターさん、嬉しいっ!」
ロザリンの最高の笑顔。
これからお互いの両親にも紹介して、もっと交流を深めて、そしていつかは正式に結婚を──
「じゃ、ありがとうございました!」
「…………へ?」
花畑の中を、一度も振り返ることなく走り去っていくロザリン。
ポツンと残される俺。
────どゆこと?
どうしてこんな状況になっている。
「はい、騎士団長さん、あーん」
「じ、自分でできる……っ」
俺がそう言うと、自宅に押しかけてきた娘は、シチューのスプーンを持ったまま眉を垂れ下げた。
っく! そんな顔をしないでくれ!
俺は君の、笑った顔が好きなんだ!!
しかしなおも続くロザリンの悲しい顔に、俺の方が折れてしまった。
「わ、わかった……あーん……」
ベッドの上に座る俺が口を開くと、彼女は嬉しそうに笑ってくれる。さては天使だな?
シチューを口に運ばれると、ごくりと飲み込んだ。うまい。
「……どうですか……?」
不安そうな顔のロザリンに、俺は微笑んで見せる。
笑うと気持ち悪いので笑うなと副団長のランディには言われているが。
「うん、うまい。ありがとう、すまないな」
「私がポーションを切らしてしまったせいなんですから、これくらいは……」
ロザリンは、町の外れでポーション作りをしている娘だ。
年は二十二歳。愛らしい風貌で、騎士団員には『ポーションちゃん』とか『ポーション娘』と呼ばれて親しまれている。
先日俺は、魔物との戦闘で新人団員を守って負傷してしまった。いつもならポーションで回復するところなのだが、最近はポーションが不足しているのだ。
というのも、材料となる薬草が今年は魔物に荒らされ、採れなくなっているせいである。
「ロザリンのせいではない。むしろ俺たち騎士団の責任だ。魔物を駆除できなくてすまない」
「そんな! 団長さん達がいつも頑張ってくれているの、私わかっています!」
優しい。可愛い。愛でたい。
何を隠そう、ロザリンは俺の推し。癒しである。
いつも元気に納品に来る彼女を、遠目で見るだけで幸せな気分になれるのだ。
十歳も年の離れた男に推されているなど、ロザリンは思いもしていないだろう。
気付かれては困る。迷惑にしかならないだろうから。
「あ、あの、団長さんのお名前を聞いてもよろしいですか?」
「俺の名前?」
「はい……皆さん、団長としか呼んでないので、お名前を知らなくて……ごめんなさい」
俺は、推しに名前すら知られていなかった。
当然か。俺は騎士団長とはいえ、彼女にとってはむさい騎士団の一人に過ぎないのだから、モブ同然だ。
だがなぜ、今日彼女はモブの家にまで来ているんだ?
そんな疑問を抱きながらも、俺は自分の名を口にする。
「俺の名前は、ヴィクターだ」
「ああ、それでたまにランディさんが『ヴィト』って呼んでるんですね」
副団長のランディとは、士官学校時代からの友人である。
勤務中は俺のことを団長と呼ぶが、ふとした時に普段遣いの言葉が出てくるのだ。
「ランディさんと、仲いいですよね」
「仲がいいというか、腐れ縁だな。十五の時から、もう十七年も四六時中一緒にいる」
「あ、あの……」
「ん?」
ロザリンが、顔を赤くさせてもじもじしている。
なんだこの可愛い生物は。
俺はぽんぽんと頭に手を置いてみる。
「……っえ?」
「っは!」
しまった! そこに撫でやすそうな頭があったから、おもわず……!
「すまない。可愛くてつい」
「か、可愛い……!?」
ロザリンの顔が燃えるように赤く染まった。そこまで怒ることなのか!?
そういえばランディが、『最近は世間がうるさいから、セクハラ発言には気をつけろよ』と言っていたな。
もしかして、女性を可愛いと言うのはセクハラか!?
いや、その前に頭ぽんぽんがまずかった! これは完璧なセクハラじゃないか!!
「申し訳ない、反省している! なんでもするから、訴えるのはやめてくれ!」
「なんでも……ですか?」
「もちろんだ!」
「じゃあ……」
俺はゴクッと息を飲んだ。勢い余ってなんでもするなんて言ってしまったが、何を要求されてしまうのだろうか。
ロザリンは先ほどのようにもじもじしてしまっている。
「私、実は……騎士団にお慕いしている方がいまして……っ」
がふっ!! 推しに、好きな人が!! なんという破壊力!!
うう、しかし好きな男がいても当然の話だ。ロザリンは可愛らしくて少し幼く見えるが、二十二歳。結婚していてもおかしくない年齢なのだから。
好きな人などいてほしくないというのは、単なるわがままだ。
ショックではあるが、三十を過ぎた大の男が、推しに好きな人がいるという理由で泣くわけにもいかない。
「そうだったのか、誰だ? 協力しよう。ああ、もしかして、ランディか?」
「あの、その……」
今度は照れたように耳まで赤くして、俯いてしまった。
どうやらランディで合っているらしい。あいつは美形だからな。
ランディは俺と同い年の三十二歳。元嫁が浮気して出ていって、バツイチの子持ちだから毎日大変そうだ。
いい奴なので、あいつを支える素敵な女性がいればいいと思っていた。
それがまさか、俺の推しのロザリンになるとは思ってもいなかったが。
……心臓が、魔物にやられた傷よりも、痛い。
「そうか、わかった。心配しなくていい、俺がなんとかしてやろう。ランディはいい奴だ。きっとロザリンを大切にしてくれる」
「え……? あの……」
「いきなり二児の母となるのは大変だろうが、応援している。いつも一生懸命なロザリンなら、きっと懐いてくれるだろう」
ああ、どうしてランディじゃなく、俺を好きになってくれなかったんだ。泣いてしまいそうだ。
同じ三十二歳、可能性はあった。
遠くから推しを眺めるだけじゃなく、もっと積極的に距離を詰めればよかった……くそ!!
「あ、あのっ」
「それを言いたくてわざわざ俺の看病に来てくれたんだな」
「ちが……」
「任せておいてくれ、ちゃんとランディに伝えておく。さぁ、早く帰るんだ。俺の家にはもう来ないでくれ」
来てくれたことは本当に嬉しかったが、俺を看病するために来たのではない。ランディとの仲を取り持ってもらうのが目的だったんだ。
独身女性が、好きな人に疑われるようなことをしてはいけない。
「そんな……私……っ」
って、どうして泣いてるんだ!?
意味がわからないんだが!! 俺、なんかしたか!?
「ロ、ロザリン……!? 不安にならなくても大丈夫だ! 俺がランディを必ず説得して──」
「違います!! 私のお慕いしている方は、ヴィクターさんなんです!!」
「……お、俺!?」
青天の霹靂──!!
推しのお慕いが、まさかの俺!?
なんの冗談か!!
ロザリンはぽろぽろ涙を流しながら、強い瞳で俺を見る。
「ヴィクターさんは、魔物に畑を荒らされたと言えば、すぐに討伐に行ってくれますし」
「それは仕事だからだ」
「ポーションを納品に行くと、遠目で私をじっと見つめてくれていますよね?」
「つい……すまない」
「団長さんのぎこちない笑みに、胸がキュンキュンしちゃうんです」
「さてはロザリン、変わり者だな?」
「つんつんした、短髪の人が好きなんですよ、私」
「そ、そうか。つんつん頭にしていて良かった」
「瓶のポーションを開けて飲む仕草が、とってもセクシーで」
「普通に飲んでただけだが?」
「さっきの頭ぽんぽんなんて、反則じゃないですか!!」
「反則だとは知らず、申し訳ない!」
やはりあれはセクハラ──!!
どう償えばいいんだ!!
「私のお願い、聞いてくれますか?」
「もちろんだ」
俺の言葉に、ロザリンの顔がパアッと明るくなっていく。可愛い。
「じゃあ、怪我が治ったら、私にプロポーズしてください!」
「プロポーズ!!?」
なんてことだ! 今日日セクハラをすれば、責任を取らなければいけないらしい!!
改めて、ロザリンには酷いことをしてしまった──!
しかし、こうなっては背に腹はかえられん。
俺を好きだと言ってくれているんだ。ちゃんと責任はとる。
「わかった。近いうちに必ず、プロポーズする。約束しよう」
「ありがとうございます! 嬉しいっ!」
ロザリンは花が咲いたように笑い、俺はその姿に見惚れてしまっていた。
そして数日後、その時はやってきた。
ベタだが、手には赤い薔薇の花束を持って約束の花畑に向かう。
「ヴィクターさん!」
俺の名を呼ぶロザリン。妖精か。
可憐過ぎて、俺の心臓がもたない。
赤い薔薇を持った俺が滑稽すぎないか。超絶似合っていないだろうから、早く花束を超絶似合う君に渡したい。
「来てくれて、ありがとうございます」
「いや、待たせてすまない」
「遅れてませんよ。楽しみで、三十分も早く来てしまったんです」
いじらしい。女神かな?
「えーと、じゃあ……」
俺はごほんと嘘くさい咳払いをして、ロザリンの前に跪いた。
これが人生最初で最後のプロポーズとなるだろう。
緊張しないわけがない。なんてこった、魔物討伐よりもよっぽど大変だ。
心臓が耳のそばで爆発しているんじゃなかろうか。
「ロザリン。俺と結婚してくれ」
色々考えていたというのに、いざとなるとシンプルな言葉しか出てこなかった。
顔が熱い。こんな言葉で、ロザリンは納得してくれるのだろうか。
差し出した花束を、彼女は幸せそうな表情で受け取ってくれる。
「ヴィクターさん、嬉しいっ!」
ロザリンの最高の笑顔。
これからお互いの両親にも紹介して、もっと交流を深めて、そしていつかは正式に結婚を──
「じゃ、ありがとうございました!」
「…………へ?」
花畑の中を、一度も振り返ることなく走り去っていくロザリン。
ポツンと残される俺。
────どゆこと?
84
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
妹に婚約者を奪われた上に断罪されていたのですが、それが公爵様からの溺愛と逆転劇の始まりでした
水上
恋愛
濡れ衣を着せられ婚約破棄を宣言された裁縫好きの地味令嬢ソフィア。
絶望する彼女を救ったのは、偏屈で有名な公爵のアレックスだった。
「君の嘘は、安物のレースのように穴だらけだね」
彼は圧倒的な知識と論理で、ソフィアを陥れた悪役たちの嘘を次々と暴いていく。
これが、彼からの溺愛と逆転劇の始まりだった……。
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
たいした苦悩じゃないのよね?
ぽんぽこ狸
恋愛
シェリルは、朝の日課である魔力の奉納をおこなった。
潤沢に満ちていた魔力はあっという間に吸い出され、すっからかんになって体が酷く重たくなり、足元はふらつき気分も悪い。
それでもこれはとても重要な役目であり、体にどれだけ負担がかかろうとも唯一無二の人々を守ることができる仕事だった。
けれども婚約者であるアルバートは、体が自由に動かない苦痛もシェリルの気持ちも理解せずに、幼いころからやっているという事実を盾にして「たいしたことない癖に、大袈裟だ」と罵る。
彼の友人は、シェリルの仕事に理解を示してアルバートを窘めようとするが怒鳴り散らして聞く耳を持たない。その様子を見てやっとシェリルは彼の真意に気がついたのだった。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~
薄味メロン
恋愛
HOTランキング 1位 (2019.9.18)
お気に入り4000人突破しました。
次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。
だが、誰も知らなかった。
「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」
「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」
メアリが、追放の準備を整えていたことに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる