34 / 116
第34話 セヴェリ様の事を知り尽くしたいんですーっ
しおりを挟む
目に涙を溜めていたサビーナを見て、セヴェリは少し困惑しているようだった。
いきなりそんな顔で部屋に現れれば、誰でも驚くには違いないだろうが。
「どうかしましたか? デニスと喧嘩でもしたのですか?」
幼い子供に話しかけるような優しい口調で尋ねられ、サビーナはゆっくりと首を横に振った。
セヴェリはいつもと違い、対角には座らずに隣に居てくれている。
「いえ、違うんです。喧嘩をしたのはリックとで……」
「また兄妹喧嘩ですか。まさか今回は剣は抜いてはいませんよね?」
問われてサビーナは冷や汗を流した。言い訳のしようも無い。実際に剣を抜き、しかも切り掛かってしまったのだから。
サビーナの様子を見て、セヴェリは嘆息している。
「抜いたのですか……」
「す、すみません。ついカッとなって……」
「二人とも、怪我は?」
「ないです。すぐに剣を弾かれて取り上げられてしまったので」
「そうですか。さすがリックバルドと言ったところですが、今後このような事は無いように気をつけなさい」
「はい……」
サビーナは怒られてシュンと肩を落とした。セヴェリはどうすべきかと眉を下げてこちらを見ている。
「しかし何故、兄妹喧嘩をなさったのですか?」
「えっと、それはリックが……兄が、デニスさんに余計な事を言ったから……」
「デニスに? 何と?」
「妹が迷惑してるから、もう食事には誘うなって、そう言ったらしいです」
「リックバルドが? それはまた、過保護な事ですね」
そこは、過保護は全く関係無い。リックバルドは確かに過保護な部分もあったりするが、今回はセヴェリを誘惑するのに不必要だからと切り捨てただけだ。
「まぁあまり気にしない事ですよ。あなたたちは付き合っているのですから、周りの言葉など気にしない方が良い」
「いえ、あの……付き合ってなんかいませんけど」
「ええ?」
セヴェリが驚いたように目を広げた。どうやらセヴェリにまで、デニスと付き合っていると思われていたようだ。
これはまずい。ちゃんと否定しておかないと、さらにセヴェリを落とし辛くなってしまう。
「デニスと付き合ってなかったのですか?」
「はい」
「デニスも何も言ってませんか?」
「何もって……何をですか?」
セヴェリの言いたい事が分からず首を傾げると、彼は難しい顔をして黙ってしまった。何か悪い事でも言ってしまっただろうかと不安になる。
「まったく……デニスは臆病になっていますね」
「あの、何の話ですか?」
「いえ。しかし付き合っていなくとも、サビーナの気持ちはデニスにあるのでしょう?」
「へ? いえ、とんと」
「な、無いのですか!?」
何故か思いっきり驚かれてしまい、サビーナの方がそれに驚いてしまった。セヴェリは前傾姿勢になって問いかけてくる。
「何度か二人でいる所を見かけましたが、とても仲睦まじい様子でしたよ?」
「そりゃ、仲は悪く無いですから」
「恋愛感情については欠片もないと?」
「無いです」
「この先の可能性としては?」
「ゼロです」
サビーナの返答に、セヴェリは頭を抱えて「前途多難ですね、デニス……」と呟いている。
どうやらセヴェリは何かを勘違いしているようだと気付き、サビーナはそれを修正すべく言葉を発した。
「あの、セヴェリ様。私たちはいつも食事をしながら、セヴェリ様の話をしているんですよ」
「……私の話を?」
「はい! いかにセヴェリ様が素晴らしい人物か、どれだけ私たちがセヴェリ様の事を好きかを、ずっと話し合っているんです!」
「それはまた……嬉しいですが、色気も何も無い話ですね……」
「セヴェリ様に色気はありますっ」
「いえ、そういう意味では……」
サビーナが主張すると、セヴェリは返答に困った様に眉を下げていた。
「では、互いに何も思っていないと?」
「はい、当然です」
「そうは見えませんでしたが……では何故、あなたはリックバルドと喧嘩をしたのですか? デニスの事が好きで、今後一緒に食事が出来なくなるのが嫌だったからでしょう?」
「それは……」
その通りだ。でも、好きの意味合いが違う。あまりセヴェリにはそういう方向に持って行って欲しくない。このままでは、何だかデニスとくっ付けられてしまいそうだ。
そんな事になってしまっては、セヴェリを落とすのは容易ではなくなる。
「それは、リックが勝手に迷惑だって言っちゃったからです! 本当は、私から迷惑だって伝えるつもりだったのに……!」
「……え?」
セヴェリは訝しげに眉を寄せた。さすがにこの言い訳は無理があっただろうか。しかし一度口に出してしまった言葉は、もう取り消す事は出来ない。
もうこのまま突っ切るしかないと、サビーナは心を決めた。
「迷惑……? サビーナは、本当にデニスの事を迷惑だと思っているのですか?」
「も、もちろんです!」
「彼の、一体どんな所が迷惑だったと言うのですか?」
「迷惑っていうか……だってデニスさんはいつも、『俺の方がセヴェリ様の事を考えてる』って言うんですよ! 入ったばかりの新人メイドに、セヴェリ様を理解出来るわけがないとか色々言われて! 私のセヴェリ様への思いを軽んじられては、腹も立ちますっ」
ゼーゼーと肩を怒らせて捲し立てると、若干気圧されたセヴェリが苦笑いしている。
「まぁそう言って頂けるのは嬉しいですが……出来れば私の事で喧嘩はしないで欲しいですね」
そう言われてサビーナはハッとする。誰だって自分の事で喧嘩をされるのは嫌だろう。この言い訳はやはり失敗だったかと項垂れた。
「うう、申し訳ございません……でもデニスさんは幼い頃からのセヴェリ様を知っているのに、私は何も知らないのが悔しくて……」
「付き合いの長さが違いますから、それはまあ仕方がないでしょうね」
「そんな! セヴェリ様まで! 私だって、セヴェリ様の事を知り尽くしたいんですーっ」
これは本心だ。デニスに大きな顔をされるのは気に食わない。デニスばかりセヴェリの事を知っているのはズルい。
サビーナは、悔し涙を目の端に溜めながら訴えた。するとこの優しい主(あるじ)は困った様に少し考え、そして口を開く。
「では、私の事を詳しく知れたなら、デニスとまた元の様に食事に行く事が出来ますね?」
「え? は、はい」
セヴェリの思わぬ言葉に、サビーナは目を丸めた。
彼は無言で立ち上がると、衣装ダンスの中から上着を一枚羽織り始める。
「あの……セヴェリ様?」
「では、今から一緒に出掛けましょう」
「え?」
「私の事を知りたいのでしょう? 今日はちょうどリカルドをからかえるネタが出来る、良い機会なのですよ」
クスクスと笑みを漏らすセヴェリ。
どうやら思いがけず、二人で出かけられる事になったらしい。これでリックバルドに文句を言われずに済むとホッとする。
「あの、出掛けられるのでしたらどなたか護衛騎士を……」
「必要ありませんよ。あなたがいるでしょう?」
セヴェリはサビーナの剣を指差す。
エセ騎士をあまり頼りにはして欲しくはない。サイラスにやられたように、いきなり羽交い締めされては手も足も出なくなるのだから。
しかしセヴェリは気にも留めず、さっさと部屋を出て行ってしまい、サビーナも騎士服姿に変身して慌てて後を追いかけた。
いきなりそんな顔で部屋に現れれば、誰でも驚くには違いないだろうが。
「どうかしましたか? デニスと喧嘩でもしたのですか?」
幼い子供に話しかけるような優しい口調で尋ねられ、サビーナはゆっくりと首を横に振った。
セヴェリはいつもと違い、対角には座らずに隣に居てくれている。
「いえ、違うんです。喧嘩をしたのはリックとで……」
「また兄妹喧嘩ですか。まさか今回は剣は抜いてはいませんよね?」
問われてサビーナは冷や汗を流した。言い訳のしようも無い。実際に剣を抜き、しかも切り掛かってしまったのだから。
サビーナの様子を見て、セヴェリは嘆息している。
「抜いたのですか……」
「す、すみません。ついカッとなって……」
「二人とも、怪我は?」
「ないです。すぐに剣を弾かれて取り上げられてしまったので」
「そうですか。さすがリックバルドと言ったところですが、今後このような事は無いように気をつけなさい」
「はい……」
サビーナは怒られてシュンと肩を落とした。セヴェリはどうすべきかと眉を下げてこちらを見ている。
「しかし何故、兄妹喧嘩をなさったのですか?」
「えっと、それはリックが……兄が、デニスさんに余計な事を言ったから……」
「デニスに? 何と?」
「妹が迷惑してるから、もう食事には誘うなって、そう言ったらしいです」
「リックバルドが? それはまた、過保護な事ですね」
そこは、過保護は全く関係無い。リックバルドは確かに過保護な部分もあったりするが、今回はセヴェリを誘惑するのに不必要だからと切り捨てただけだ。
「まぁあまり気にしない事ですよ。あなたたちは付き合っているのですから、周りの言葉など気にしない方が良い」
「いえ、あの……付き合ってなんかいませんけど」
「ええ?」
セヴェリが驚いたように目を広げた。どうやらセヴェリにまで、デニスと付き合っていると思われていたようだ。
これはまずい。ちゃんと否定しておかないと、さらにセヴェリを落とし辛くなってしまう。
「デニスと付き合ってなかったのですか?」
「はい」
「デニスも何も言ってませんか?」
「何もって……何をですか?」
セヴェリの言いたい事が分からず首を傾げると、彼は難しい顔をして黙ってしまった。何か悪い事でも言ってしまっただろうかと不安になる。
「まったく……デニスは臆病になっていますね」
「あの、何の話ですか?」
「いえ。しかし付き合っていなくとも、サビーナの気持ちはデニスにあるのでしょう?」
「へ? いえ、とんと」
「な、無いのですか!?」
何故か思いっきり驚かれてしまい、サビーナの方がそれに驚いてしまった。セヴェリは前傾姿勢になって問いかけてくる。
「何度か二人でいる所を見かけましたが、とても仲睦まじい様子でしたよ?」
「そりゃ、仲は悪く無いですから」
「恋愛感情については欠片もないと?」
「無いです」
「この先の可能性としては?」
「ゼロです」
サビーナの返答に、セヴェリは頭を抱えて「前途多難ですね、デニス……」と呟いている。
どうやらセヴェリは何かを勘違いしているようだと気付き、サビーナはそれを修正すべく言葉を発した。
「あの、セヴェリ様。私たちはいつも食事をしながら、セヴェリ様の話をしているんですよ」
「……私の話を?」
「はい! いかにセヴェリ様が素晴らしい人物か、どれだけ私たちがセヴェリ様の事を好きかを、ずっと話し合っているんです!」
「それはまた……嬉しいですが、色気も何も無い話ですね……」
「セヴェリ様に色気はありますっ」
「いえ、そういう意味では……」
サビーナが主張すると、セヴェリは返答に困った様に眉を下げていた。
「では、互いに何も思っていないと?」
「はい、当然です」
「そうは見えませんでしたが……では何故、あなたはリックバルドと喧嘩をしたのですか? デニスの事が好きで、今後一緒に食事が出来なくなるのが嫌だったからでしょう?」
「それは……」
その通りだ。でも、好きの意味合いが違う。あまりセヴェリにはそういう方向に持って行って欲しくない。このままでは、何だかデニスとくっ付けられてしまいそうだ。
そんな事になってしまっては、セヴェリを落とすのは容易ではなくなる。
「それは、リックが勝手に迷惑だって言っちゃったからです! 本当は、私から迷惑だって伝えるつもりだったのに……!」
「……え?」
セヴェリは訝しげに眉を寄せた。さすがにこの言い訳は無理があっただろうか。しかし一度口に出してしまった言葉は、もう取り消す事は出来ない。
もうこのまま突っ切るしかないと、サビーナは心を決めた。
「迷惑……? サビーナは、本当にデニスの事を迷惑だと思っているのですか?」
「も、もちろんです!」
「彼の、一体どんな所が迷惑だったと言うのですか?」
「迷惑っていうか……だってデニスさんはいつも、『俺の方がセヴェリ様の事を考えてる』って言うんですよ! 入ったばかりの新人メイドに、セヴェリ様を理解出来るわけがないとか色々言われて! 私のセヴェリ様への思いを軽んじられては、腹も立ちますっ」
ゼーゼーと肩を怒らせて捲し立てると、若干気圧されたセヴェリが苦笑いしている。
「まぁそう言って頂けるのは嬉しいですが……出来れば私の事で喧嘩はしないで欲しいですね」
そう言われてサビーナはハッとする。誰だって自分の事で喧嘩をされるのは嫌だろう。この言い訳はやはり失敗だったかと項垂れた。
「うう、申し訳ございません……でもデニスさんは幼い頃からのセヴェリ様を知っているのに、私は何も知らないのが悔しくて……」
「付き合いの長さが違いますから、それはまあ仕方がないでしょうね」
「そんな! セヴェリ様まで! 私だって、セヴェリ様の事を知り尽くしたいんですーっ」
これは本心だ。デニスに大きな顔をされるのは気に食わない。デニスばかりセヴェリの事を知っているのはズルい。
サビーナは、悔し涙を目の端に溜めながら訴えた。するとこの優しい主(あるじ)は困った様に少し考え、そして口を開く。
「では、私の事を詳しく知れたなら、デニスとまた元の様に食事に行く事が出来ますね?」
「え? は、はい」
セヴェリの思わぬ言葉に、サビーナは目を丸めた。
彼は無言で立ち上がると、衣装ダンスの中から上着を一枚羽織り始める。
「あの……セヴェリ様?」
「では、今から一緒に出掛けましょう」
「え?」
「私の事を知りたいのでしょう? 今日はちょうどリカルドをからかえるネタが出来る、良い機会なのですよ」
クスクスと笑みを漏らすセヴェリ。
どうやら思いがけず、二人で出かけられる事になったらしい。これでリックバルドに文句を言われずに済むとホッとする。
「あの、出掛けられるのでしたらどなたか護衛騎士を……」
「必要ありませんよ。あなたがいるでしょう?」
セヴェリはサビーナの剣を指差す。
エセ騎士をあまり頼りにはして欲しくはない。サイラスにやられたように、いきなり羽交い締めされては手も足も出なくなるのだから。
しかしセヴェリは気にも留めず、さっさと部屋を出て行ってしまい、サビーナも騎士服姿に変身して慌てて後を追いかけた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる